水田航生 | インタビュー | Deview-デビュー

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インタビュー「水田航生」

2018/09/28

「いろんな瞬間に“今のは妖怪なんとかだ!”って、妄想をしている自分がいて。水木しげる先生にやられているなと(笑)」

水田航生 撮影/加藤千絵(CAPS) 取材・文/長島恭子 スタイリスト/大石幸平(sasaki office)

『散歩する侵略者』『太陽』の映像化が相次ぐなど、注目を集める劇作家であり、「イキウメ」主宰の前川知大による最新作『ゲゲゲの先生へ』が、いよいよ10月8日より幕を開ける。本作は、『ゲゲゲの鬼太郎』などで知られる水木しげるの“世界観”を原作としたオリジナルストーリー。以前から前川作品のファンだったという水田航生に、本作への意気込みや稽古での手応え、演劇の魅力について聞いた。

水田航生

――今回、人気劇作家・前川さんの作品に初出演される水田さん。以前から、前川作品のファンだと伺いました。

「そうなんです! 僕は昔から都市伝説とか、現実とフィクションの狭間という世界が大好きで。映画もドラマも“信じるも信じないもあなた次第”と投げかけるような作品が好きなんです。前川さんの作品の世界観はいつも、そんな僕の好みにドンピシャで、フィクションのはずなのに、いろいろと調べたら本当にある世界なのでは? と思わせてくれる感じが大好きです」

――では、前川さんの最新作に立てると決まったときは、格別な気持ち抱いたのでは?

「それはもう、大変、ありがたいなという気持ちでした。自分が好きな劇作家さんの作品だからといって、簡単にその舞台に立てるものではありませんから。僕がイキウメを知ったのは、『太陽』の映画版への出演がきっかけでした。それ以降、主宰の前川知大さんも僕の舞台を観に来てくれるようになり、今回、『一緒にやりたい』という言葉を頂いたんです」

水田航生

――今作、『ゲゲゲの先生へ』には、いろんな妖怪が登場しますが、水田さんが演じるのは人間の男性ですね。

「僕が演じるのは、いちばんお客さんに近い立場の役柄だと思います。水木先生が原案の作品ですから、妖怪のほうが存在としての深まりがあるかもしれませんが、『物語の中には僕が演じるようなまったくの普通の男も必要だ』と、前川さんに言われました。でも、“普通”って難しいんですよね。立ち稽古も始まったばかりなので、どう演じていくか、絶賛、試行錯誤中です」

――稽古前に、水木作品はかなり読まれたんですか?

「はい。水木先生の作品は『ゲゲゲの鬼太郎』しか知らなかったので、まずは自伝を読み、そこで初めて先生の壮絶な生き方を知りました。今回の台本は、そこを知って読むのと知らないで読むのとでは、まったく違った読み方ができると感じています」

水田航生

――昨日から立ち稽古に入ったそうですが、稽古場はどんな雰囲気ですか?

「和気あいあいとした雰囲気ですし、みなさん、思ったことはどんどん言い合っています。とても印象的なのは、前川さんをはじめ、すべての役者さんが、人の話を聞くことを大事にされている点です。“この人は何を考えているだろう”、“どういう意見があるのだろう”と、皆さん、すごく意識されている。みなさん、僕よりも経験も知識も豊富な方たちばかりですが、僕や水上(京香)さんのような若手の言葉にも、大事なこととして耳を傾けてくれます。だから僕らも、あまり物おじせずに発言できているのかなと」

水田航生

――逆に、考えを積極的に口に出そうという気持ちでしょうか?

「そうですね。僕のような水木先生をあまり知らない人間だからこそ感じる言葉を、純粋な意見として聞いてくれます。今回は、最初にディスカッションの日が2、3日あり、皆で1シーン1シーンについて、意見を交換したんです“ここは水木先生のこういうところだよね”“このニュアンスってあの本のあのシーンだよね”とか……」

――なんだか、非常にマニアックな会話に感じますが……(笑)。

「実際、皆さん、かなり水木オタクになっていると思います(笑)。稽古場には水木作品や、前川さん持参の参考資料もたくさんあって、すべてが貸し出し自由。皆さん稽古前の時間や休憩になると、机に並んで、台本ではなく水木先生の本をずーっと読んでいます。まさに漫画喫茶状態(笑)」

水田航生

――(笑)。その熱量を聞くと、ますます期待が膨らみます。

「昨日、初めて舞台セットの模型を見たのですが、“マンガっぽくていいね!”という言葉がたくさん上がったのが面白かったです。常識外のセットがいろいろ登場したのですが、それってキャスト、スタッフさんの共通認識がないと絶対に生まれないものだと思うんです。前川さんが全員の認識のすり合わせを、丁寧にされるからこそできるものだと、改めて実感しました。一見、抽象的なセットでも、実は細かい意図が必ずある。それを生み出していく過程を間近に見ると、ゾクゾクッとします」

――また一つ、新しい舞台の作り方に触れている感じですか?

「はい。ここまで徹底的に話し合い、理詰めで構築していくスタイルは初めてですね。あと、完全に水木しげるさんにやられている感じもします」

――どういう意味ですか?

「街を歩いているときヒュウっと風が吹くと、“あ、妖怪〇〇だー”と考える自分がいるんです(笑)」

水田航生

――なるほど(笑)。

「今まではそんなことぜんぜん考えなかったのに、いろんな瞬間に“今のは妖怪なんとかだ!”って、妄想をしている自分がいて。先生にやられているな!!って感じます(笑)。でも“風が吹く”という、小さな変化の一つにも意識を向ける感覚は、すごく大事だなって思います。水木先生の“目に見えないものを信じる”という言葉の真意って、もしかしたらそこなのかなと。霊的な意味だけではなく、目に見えない色んなものを敏感に察知して、受け止める。それは、対人間に置き換えても、大事なことですよね」

水田航生

――読者の皆さんに伝えたい、今回の舞台の魅力とは?

「僕自身、脚本を読んで感じたことですが、水木先生自身やその作品を知らないで観るのと、知ってから観るのとでは、まるで印象が変わるところです。恐らく、冒頭のシーンから、見え方がまったく変わると思います。ぜひ初見は、まっさらな状態で観てほしい。その後、分厚い『水木しげる伝 上・中・下巻』を読むと、きっと発見があります。そして2回目を観ると、ああ、水木先生のこんなところを舞台で描いているんだなと、より世界観を楽しめると思います。水木作品はただの妖怪話ではありません。そこにはリアリズムや社会の風刺があり、深く考えさせられるし、心に訴えるものがある。一方で“なんちゃって”という展開も多いんです。感動的なラストを迎えたかと思いきや、最後の最後で、冷めた目の鬼太郎で締めたり、ね。漫画だからこそ伝わるものもありますが、そんな、水木先生らしい面白さやニュアンスを出せたらいいなと思います」

水田航生

――『ゲゲゲの先生へ』の後も、舞台の出演が続く水田さん。様々な作品を経験されている中、演劇の魅力とはどんな点だと感じていますか?

「今日、お話したようなことを、稽古の間、ずっと考えていられることです。目の前の作品に没頭し、一つの舞台を作り上げていく。その稽古場の感じが好きなんです。よく、『稽古場が本番で本番は遊びだ』と言いますが、その感覚を持てるのが演劇ならではの魅力です。稽古場では作品について徹底的に考えを巡らせているのに、本番では舞台の上で、ただただ演じる。こんな経験は生きている間に、そうはありませんから」

――最後に、デビュー読者の先輩である水田さんから、読者へのメッセージをお願いします!

「繊細に物事を見たり、感じたり大切さや、日々のなかで薄れていくもの。この舞台は一つひとつのことに目を向ける大切さに、気づくきっかけになると思います。ミュージカルや海外の作品など、ドカーンと華やかな舞台も楽しいですが、時には今作のような、日本のマンガ界の最高峰の方から生まれた舞台を観て、何かを感じ取ってほしいと思います」

PROFILE

水田航生(みずた・こうき)●1990年12月20日生まれ、大阪府出身。アミューズ所属。2005年『第1回アミューズ王子様オーディション』でグランプリを受賞し、芸能界デビュー。近年の主な出演作は、ドラマ/『クズの本懐』(CX)、連続テレビ小説『ひよっこ』(NHK)、映画/『カノジョは嘘を愛しすぎてる』、『太陽』、舞台/ミュージカル『エドウィン・ドルードの謎』、『マイ・フェア・レディ』、『お勢登場』、『Glorious!』、地球ゴージャスプロデュース公演Vol.15『ZEROTOPIA』など。2019年1月には、ミュージカル『ナターシャ・ピエール・アンド・ザ・グレート・コメット・オブ・1812』への出演が決定している。

Information

舞台『ゲゲゲの先生へ』

【東京公演】2018年10月8日(月・祝)〜21日(日)東京芸術劇場 プレイハウス 【松本公演】2018年10月27日(土)、28日(日)まつもと市民芸術館 主ホール
【大阪公演】2018年11月2日(金)〜5日(月)森ノ宮ピロティホール
【豊橋公演】2018年11月9日(金)〜11日(日)穂の国とよはし芸術劇場PLAT 主ホール
【宮崎公演】2018年11月14日(水)メディキット県民文化センター(宮崎県立芸術劇場)
演劇ホール 【北九州公演】2018年11月17日(土)、18日(日)北九州芸術劇場大ホール
【新潟公演】2018年11月22日(木)、23日(金・祝)りゅーとぴあ 新潟市民芸術文化会館

『ゲゲゲの先生へ』 [ビジュアル背景] 水木しげる「五円玉」より©水木プロ

「イキウメ」を拠点に劇作家、演出家として活躍している前川知大が脚本・演出を手がける新作。水木しげるの“世界観”を原作にしたオリジナルストーリーに、幾つかの原作短編を織り込んでいく。ある一つの作品の舞台化でも、評伝でもなく、水木しげるの人生観、世界や“不思議”との関わり方を、膨大な作品群とその登場人物、エッセイやインタビューで語られた言葉、エピソードから読み解き、新しい物語を編む。
半妖怪の主人公・根津を佐々木蔵之介が演じるほか、松雪泰子、水田航生、水上京香、手塚とおる、池谷のぶえ、「イキウメ」より浜田信也、盛隆二、森下創、大窪人衛、さらには白石加代子と、あやかしの世界を体現するに相応しい、実力と風格を兼ね備えたキャストが集結。

Present

水田航生 サイン入りポラを2名様にプレゼント!

水田航生

【応募のきまり】
件名:水田航生 サイン入りポラプレゼントと明記し、本文:[名前]、[年齢]、[都道府県]、[インタビューの感想]、[今後インタビューしてほしい人・要望]を記入して、下記メールアドレスに送信して応募。

【応募メールアドレス】
deview-oubo@oricon.jp

【応募締切】
2018年10月12日(金)23時59分まで。

※抽選の上、当選者のみにメールでご連絡いたします。当落のお問い合わせにはお答えできませんので、ご了承ください。
※当選者の発表は発送をもって代えさせていただきます。

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