宮沢氷魚 | インタビュー | Deview-デビュー

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インタビュー「宮沢氷魚」

2018/10/24

「原作よりも分かりやすくなっていますし、舞台を観る機会が少ない若い世代の方にも、気軽に観に来ていただけたら」

宮沢氷魚 撮影/booro(BIEI) 取材・文/根岸聖子 ヘアメイク/尾関真衣

MEN'S NON-NO専属モデルとして活躍する一方、ドラマ『コウノドリ』、『トドメの接吻』をはじめ、今年7月には『BOAT』で初舞台・初主演を務めるなど、俳優としても急成長を遂げている宮沢氷魚。11月に幕を開ける舞台『豊饒の海』で、三島由紀夫作品に挑む彼に、本作への意気込み、三島作品の印象、初舞台で得た経験などを語ってもらった。

宮沢氷魚

――今回出演する舞台『豊饒の海』は、三島由紀夫原作の小説を基にした作品ですが、宮沢さんの年代からすると三島由紀夫という作家は、どんな存在ですか?

「僕らと少し上の世代は、三島由紀夫さんが生きていた時代(昭和前半)のことも知らないですし、“本当に実在した人だったのかな?”といった神様みたいな存在です。もちろん作品や、テレビのドキュメンタリーで拝見したことはあるのですが、フィクションの映画を観ている感覚というか、架空の人物っぽい、不思議な存在です」

宮沢氷魚

――写真だけではない、本人の映像も残っていますしね。

「そうですね。最期はとくに強烈なインパクトがあったし、三島由紀夫さんが英語でインタビューに答えている映像を観たことがあるんですが、とても知的で素晴らしい方だったんだなと。小説に関しては、今回、舞台に出演することになるまで、実は読んだことがなかったんです。インターナショナルスクールに通っていたせいか、教科書とかにもあまり出てこなかったし、学校で得る情報量も少なかったです。テレビでの三島さんの生涯を追った特番とかでしか触れたことがなかったので、改めて、今回、作品を読んだときに、なぜ、今まで読んでいなかったのか、もったいなかったなって思いました。正直、表現も難しく、時代背景的にも、きちんと理解できていない部分も大きかったんです(苦笑)。ページを遡って読み返したりして読んでも、結局わからなかったりして。この間、主演の東出(昌大)さんとお話させていただいたときに、東出さんも『最初は理解できないところが多かった』と言っていたんです。それが年齢を重ねて何回も読み直すうちに、少しずつ理解できるところが増えてきたと。それでもまだ全部はわからないとおっしゃっていたんです。僕は今、24歳なんですが、また何年か後に読んだら、印象が変わるのかもしれないなと思って。感じることは日々変わっていくので、“100%理解しなきゃ!”というプレッシャーを感じずに、やっていくほうがいいのかなと。今はそういう風に考えるようにしていて、これから稽古を通じてどんどん距離を詰めていけたらなという気持ちです」

宮沢氷魚

――演出家のマックス・ウェブスターさんによる、ワークショップにも参加したそうですが。

「はい。これまでも演劇のワークショップとかを受けたことはあったんですが、それとはまた違ったメソッドだったので、とても新鮮でした。例えば、いろんな体を使ったエクササイズとか、“みんなと繋がる”ということで、順番にみんなの名前を言いながら手に持ったボールを渡していくとか。一度に、いくつかの行動を同時にするんですね。体を動かしながら頭を使ったり、すべてを繋げることを意識していく。あとは“テンション”のエクササイズもやりました。【1】から【7】までレベルがあって、【1】は、全身の力を抜けた状態で、床に寝っ転がって動く。【2】になると立つことができるけどまだ力が抜けているからダラダラ歩く感じで……っていう、指定されたテンションで、目的の場所まで辿り着くというレッスンで。【7】になると、怒りや緊張感を体で表しながら動くんです。要するに、芝居では、いきなり0から100になることはない。いろんな段階を踏んで、クライマックスに持っていくのだというのを、体で実感するエクササイズでした」

宮沢氷魚

――期間はどれくらいでしたか?

「2日間です。初日と2日目と、どちらも本読みをして、最後に自分の役について、どう感じたかなどを話し合いました。その2日間は作品と向き合うというよりは、体も心も開いて、何でも受け入れる体制に入るという準備期間という感じで。本当に楽しい2日間でしたし、みなさんと本稽古に入る前にとても仲良くなれて良かったなって思いました」

――宮沢さんは、役者として活動を始めてから、約1年。映像とドラマ、両方経験していますが、それぞれ、今の段階でどんなところが魅力だなと感じていますか?

「お芝居を本格的にやりはじめてから1年くらいなので、正直、じっくりと振り返る余裕はないのですが……(笑)。ドラマ3本、舞台が今作で2回目になるんですが、ほんの少しだけ、自信がついてきたかなと思ってきています。やっぱり最初のうちは、台詞を覚えて、決められた動きをして……ということで、頭の中がパンパンだったんです。現場に慣れることが先決で、芝居が楽しいと思えるような余裕は、まったくなかった。それが、少しずつ、役に向き合えるようになり、考えを巡らせることができるようになってきたんです。役と一体化する感覚を味わえるようになってきたので、今はすごく、楽しいです。前回の舞台では、演出家の方に“もっとこうしてみたい”と提案することもできましたし、本番にも反映されて。最初は怖くてなかなか自分の意見を言ったりできなかったんですけど、勇気を出して言ってみたら、とても柔軟に対応していただけて。そういう経験ができたことも楽しかったです」

宮沢氷魚

――稽古期間が長い、舞台ならではの楽しさだったのでしょうか?

「そうですね。約1ヵ月稽古をして、ひとつの作品、役柄にそこまで時間をかけるということを、それまでは経験したことがなかったので。ドラマだと、撮影期間は約3ヵ月とかあったりしますが、与えられた時間内にこのシーンを撮りきらないといけないとか、制限とかもあって。それはそれで瞬発力が鍛えられたりするし、もちろん楽しい。ただ、舞台を経験したことで、役以上に、僕自身が変われたし、成長できたと感じています。今年の7月に舞台をやって、その後にモデルの撮影現場に行ったら、いろんな人から『あれ、なんか変わった?』『表情が前と違うね』と言われることがすごく多くなって。自分としては変わったつもりはなく、今まで通りカメラの前に立ってやっていたんですが、誌面を見てみたら、確かに、ちょっと違うなって感じました。舞台で揉まれて、いろいろと悩んで苦しんだことで、一皮むけたのかなと思いました」

宮沢氷魚

――短期間で成長するほど、勉強になること、大変なことも多かった!?

「初舞台でわからないことが多かったので大変でした。エネルギーの使い方、ペース配分や声の使い方など、わからないことだらけで。稽古をしているときにはわからない、自覚していなかったこともあり、本番で勉強になったことも多かったです。それを乗り越えられたことも、自分の中では大きかったなと思います。しかも、本番初日の前日の夜まで、クライマックスのシーンが完成していなかったりもして」

宮沢氷魚

――それは、なかなか演出が固まらなかったということですか?

「いえ、単純に決まっていなかったんです。前日にやっと、最後のシーンが完成して。それを2時間くらいで稽古して、その後にゲネプロで初めて通して、なんとか形になっていった感じでした」

宮沢氷魚

――初舞台なのに、けっこう過酷な経験をしたんですね!

「はい(笑)。もう、ダメかもしれない…と精神的に追い詰められましたけど、“でも、やるしかない!”と、集中してやりきりました。しかも、初日前もギリギリまで稽古をやって、ようやく初日迎えた!と思ったら、2日目には改訂された新しい台本が渡されて……(笑)。シーンがどんどん増えていくということが、ほぼ毎日続いたんです。それを初舞台で経験ができたのは、今となってはすごく貴重な体験だったし、乗り越えられたので良かったなって思います」

宮沢氷魚

――かなり鍛えられた上で、今回『豊饒の海』に挑むことができると(笑)。改めて、台本を読んだ感想を教えてもらえますか?

「自分なりに役を固めるという方法もありますが、僕はあえて、そうしないでいこうかなと思っています。稽古を通して役を作っていきたいですし、僕が演じる飯沼勲は、東出さん演じる松枝清顕という人物の生まれ変わりでもあるので、東出さんの役へのアプローチやお芝居も参考にしたいなと思っていて。決めつけずに、稽古初日を迎えようと思っています。今回の作品は、原作よりも舞台の台本のほうが、わかりやすくなっているなって思いました。僕の周りの一般の友達とかもそうですが、10代や20代の若い世代の方って、劇場に行って舞台を見る機会がなかなかないのかなと思うんですが、そういった方達にもぜひ観ていただきたいなとも思っています。三島作品だし、難しい作品だろうなって思っている方もいると思うんですが、U-25チケット(割引)もありますし、気軽に来ていただいたらと思います」

宮沢氷魚

――では最後に、デビューを目指している読者に、メッセージをお願いします!

「僕はデビューが二十歳のときだったので、周りと比べたら遅いほうだと思います。最初のうちは、オーディションにもなかなか受からず、とても焦りました。でも、タイミングや運というものもあって、今は、いろいろなお仕事をさせていただけています。今、昔の僕と同じように夢を追いかけている人には、きっと焦りもあると思います。でも、本気で、心の底からやりたいと願っていると、チャンスは必ず、訪れると思います。もし、そういう機会が訪れたときは、自分も持つ力を出し切って、120%ぐらい出すつもりで、挑んでみてください。それは僕も常に心がけていることでもありますし、ぜひ、一緒に頑張りましょう!」

PROFILE

宮沢氷魚(みやざわ・ひお)●1994年4月24日生まれ。レプロエンタテインメント所属。MEN'S NON-NO専属モデルとして活躍中。アメリカ、カリフォルニア州生まれのクォーター。語学も堪能で、日本語と英語のバイリンガル。2017年TBS10月期金曜ドラマ「コウノドリ」で俳優デビューを果たす。2018年にはNHK-BSプレミアム「R134/湘南の約束」でドラマ初主演を務め、さらに舞台「BOAT」(東京芸術劇場)でも初舞台にして初主演を務めた。

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Information

2018 PARCO PRODUCE “三島 × MISHIMA”『豊饒の海』

東京公演:2018年11月3日(土・祝)〜12月2日(日)
※11月3日(土)〜5日(月)=プレビュー公演
大阪公演:2018年12月8日(土)、9日(日)森ノ宮ピロティホール

『豊饒の海』
『豊饒の海』

三島由紀夫著「豊饒の海」は第一部「春の雪」、第二部「奔馬」、第三部「暁の寺」、第四部「天人五衰」の全四作からなる長編小説。三島は、執筆に約6年の歳月を費やし、この小説を書き上げた1970年11月25日、陸上自衛隊市ヶ谷駐屯地にて割腹自殺を遂げた。その自決するまでの時間を費やした「豊饒の海」は、三島由紀夫が目指した「究極の小説」ともいわれている。

今回、舞台化するにあたり、史上初の試みとして、四冊からなる大河小説を一舞台作品として創作。三島由紀夫の「美」の象徴とも言うべき松枝清顕(まつがえ・きよあき)役を東出昌大が演じるほか、清顕の影を追い続ける本多繁邦の老齢時代を笈田ヨシ、中年時代を首藤康之、青年時代を大鶴佐助が演じる。さらに3つの黒子を持つ清顕の生まれ変わりとして宮沢氷魚、上杉柊平らが出演。そして神野三鈴、初音映莉子実力派女優がMISHIMAの世界を共に創りあげる。

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宮沢氷魚

【応募のきまり】
件名:宮沢氷魚 サイン入りポラプレゼントと明記し、本文:[名前]、[年齢]、[都道府県]、[インタビューの感想]、[今後インタビューしてほしい人・要望]を記入して、下記メールアドレスに送信して応募。

【応募メールアドレス】
deview-oubo@oricon.jp

【応募締切】
2018年11月7日(水)23時59分まで。

※抽選の上、当選者のみにメールでご連絡いたします。当落のお問い合わせにはお答えできませんので、ご了承ください。
※当選者の発表は発送をもって代えさせていただきます。

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