水田航生 | インタビュー | Deview-デビュー

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インタビュー「水田航生」

2016/06/29

「キラキラしたものを発しながらも、クスっと笑える……そんなフレディを演じられたら」

水田航生

『エドウィン・ドルードの謎』、ニューミュージカル『JAM TOWN』、映画『太陽』など、様々な作品で活躍中の水田航生がミュージカル『マイ・フェア・レディ』に出演。世界初演から60年……永遠に愛され続けるシンデレラストーリーの決定版で、過去にそうそうたる役者が演じてきた作品に挑む彼が、今の心境を赤裸々告白。

水田航生
今回、出演されるミュージカル『マイ・フェア・レディ』はブロードウェイでの世界初演から60年、日本初演からは50年を数える作品です。世界的に有名な演目に出演される気持ちは?
「この作品はこれまでも、日本を代表するそうそうたるメンバーの方が演じてこられていますし、僕が演じるフレディはストーリーのポイントとなる役どころ。さらに、ミュージカル作品を代表する大ナンバー『君が住む街』をソロで一曲歌い上げる力が要求されます。今は気持ちの9割9分がプレッシャー。“オレは本当に大丈夫か!?”……という感じです(笑)」
近年、水田さんは『サンセット大通り』や『エドウィン・ドルードの謎』など、ミュージカル界の大先輩が出演する作品にも出演。その経験が歌に活かされるのでは?
「そうですね。毎回毎回の現場で、ミュージカル界を代表する先輩や歌唱指導の方々に出会い、指導やアドバイスを受けてきたのは大きな財産。長く愛されている舞台に立つ怖さは大きいですが、今までの経験で得たものから自分に合った歌い方でチャレンジしたいです」
具体的に言うと?
「技術的な話になりますが、ミュージカルでも様々な歌い方のメソッドや声の出し方があり、それこそ口の開け方一つから異なるんですね。また、ご指導いただく際、先生によって『喉の奥を開けて』など体の構造から説く方もいれば、『エイリアンのように後頭部が後ろに伸びていく感覚で』などと、イメージで伝える方もいる。だから、ミュージカルの楽譜を見ると役者それぞれの書き込みがあって面白いですよ。『渦を巻いて上にのぼるような』というイメージのパートに、ソフトクリームの絵が描いてあったり(笑)。僕はどちらかというとイメージから入る派で。まだまだ模索中ですが、自分に向いている、合っている方法を選んでいきたいなと思っています」
『マイ・フェア・レディ』はオードリー・ヘップバーンが主演した映画も有名ですが、観たことはありますか?
「はい! 実は高校時代、選択でとっていた音楽の授業で観たことがあるんです。だからこの作品に出演が決まり、なんとなく縁を感じています」
水田航生
水田さん世代ではきっと、観たことがある人ほうが珍しいですよね。
「リメイク作品でもある映画『プリティ・ウーマン』は観たことがあっても、『マイ・フェア・レディ』は名前だけ知っている……という人のほうが多いかもしれませんね。でも、映画で覚えていたのは、“オードリー・ヘップバーンってめっちゃキレイだな!”って印象だけ。フレディにいたっては、“そんな登場人物いたっけ?”というレベルです(笑)。ただ、音楽の授業だっただけに、『君が住む街角』は覚えていて。今回、改めて映画を見返したのですが、当時のことをいろいろと思い出しました」
水田さん演じるフレディは、ヒロインである花売りのイライザに一目惚れしてしまう貴族の青年。役のイメージにはまっていると思いました。
「そうですね、役柄としては僕自身が持っているものに近い印象があります。ただ、演出のG2さん曰く『フレディは高貴な貴族というイメージは持ちつつ、地に足がついていない夢見る夢男くん』だと。先日の稽古の際、僕の演技は『地に足がついている感じがする』と指摘されました。今まで『セリフは地に足を付けて出せ』と、まったく逆のことをいわれてきたので、そこをどう演じていくのかに難しさを感じました。恋のライバルとなるヒギンズ教授(寺脇康文さん)は、非常に現実的な人物です。ですから、フレディの夢見がちな面を表現できればこそ、お互いのキャラクターがより引き立ってくるのかなと思います」

水田航生
“高貴な貴族らしさ”はどう表現していく?
「寺脇さんに『名前だけはコウキだな!』と言われましたが(笑)、そこは、立ち姿や振る舞いでしっかり見せていきたいなと。上流階級のキャラクターを演じてきた先輩役者さんもたくさんいるので、皆さんの動きを見て、学んでいきます。ただし、夢見心地で高貴なだけでは、薄っぺらいというかアニメのなかの人みたいで現実味に欠けてしまう。フレディにも彼なりの人間味があるし、僕はそれを誠実にイライザを好きになっていく思いの変化などで見せていきたいと思っています。そうすることで、フレディの存在が2Dから3Dになり、分厚いキャラクターに変化していくのかなと思うんです。G2さんと話し合いつつ、キラキラしたものを発しながらもクスっと笑える……そんなフレディを構築していけたらと思います」
今回のような、クラシカルな作品に対して、時代や感覚の違いによる壁はありませんか?
「僕はいわゆる“型にはまるタイプ”ではないので、壁は確かに感じます。その一方で、今の時代に、今生きている男が、あえて古典を演じる意味もあると思う。観客も今を生きている人たちです。温故知新ではないけれど、ただ古典に立ち返るのではなく、伝統を大事にしながら、新しいものを作り上げていく。その点はどんな舞台も同じだと気づいてからは、変な気負いはなくなりました。実際、特に3年前、初めてG2さんが『マイ・フェア・レディ』を演出されるようになってからは、昔とはセリフや演出がずいぶん変わっているんです。今回も2013年の前回から、さらに変化しているみたいなので、僕も楽しみです」

水田航生
舞台、映画、ドラマと幅広いフィールドで活躍されていますが、役に臨むときの心構えにミュージカル独特のものはありますか?
「リアリティな芝居に魅力を感じている舞台ファンの方には、セリフから急に歌が始まるという独特の構成が苦手という人がいますよね。でも、ミュージカルもただ『歌っている』だけではありません。芝居で沸き立つ気持ちをセリフにぶつけるのと同じで、感情の高ぶりが叫ぶのを通り越して歌になっている。ミュージカルに出演するときはそこに改めて立ち返ります」
水田さん自身もミュージカルをよく観に行かれますか?
「勿論! 僕は芝居、ダンス、音楽とあらゆるエンターテインメントが好きで観に行きますが、ミュージカルも大好き。最近観に行ったのは、『1789 -バスティーユの恋人たち-』や『ブラック メリーポピンズ』。特に印象に残っているのは、音楽劇ですが沢田研二さん主演の任侠もの、『悪童』です。着流し姿の沢田さんは、酒焼けしたような声でセリフを吐きつつも、歌声が素晴らしかった。若いときの“THEスター!”というジュリー(※沢田さんのニックネーム)もカッコイイけれど、年を重ねたからこそ発するものを感じ、自分も将来、こんなカッコイイ歳の重ね方をしたいなと思いました」

水田航生
さて、水田さんもDeviewで掲載していた『第1回アミューズ王子様オーディション』から始まった芸能生活も11年目を迎えました。15歳のデビューからを振り返ると、どんな気持ち?
「自分でもビックリです。実はデビューした頃、10年間で自分の気持ちに何も生まれなかったり、仕事の結果が出なかったりしたら、きっぱりこの仕事を辞める覚悟でいたんです。きっかけは親戚のおじさんの一言。『東京まで行って何にもならなかったら、お前はどうするんだ? やるなら覚悟を持ってやれ』という言葉を受けて、“絶対に25歳までに結果を残してみせる”という負けん気につながったんです。で、いざ25歳を迎えてみたら、“辞める”という選択は心の中にまったくなくなっていた。そのことが、とても嬉しかったですね」
“何か”を得られたんですね。
「はい。10年間、悔しい想い、辛い想いが多々あったけれど、仕事を続けていること、そして応援してくれている人たちがいることへの喜びや感謝の気持ちのほうが大きいと気づきました。自信も根拠もなく決めて始めた仕事ですが、10年という期間を決めたからこそ、集中して取り組めたとも思います」

水田航生
役者の魅力はどこに感じていますか?
「僕はデビューしてからずっと、どんな仕事でも楽しんで取り組めるし、仕事をしていると幸せなんです。しかも、そんな僕を見てくれたお客さんも幸せになれる。これって悪いことが何一つないでしょう? すごくシンプルですが、こんなにワクワクした気持ちを持ち続けていられる仕事はほかにはないって思います」
では最後に、水田さんが考える夢を叶えるために大切だと思うことは?
「自分の想いが正解であっても、間違っていたとしても、貫くことだと思います。僕もこの先に描いていることはありますが、この先も具体的に目標を決めるよりも、思いを抱きつつ、一日一日、やるべきことを積み重ねていきたい。そして今までと同様、“この仕事が最後かもしれない”という覚悟を持って、取り組んでいきます!」

インタビュー・終

撮影/mika(f-me)取材・文/長島恭子 ヘアメイク/大野彰宏(ENISHI) スタイリング/Kohei Oishi

Profile

水田航生
みずた・こうき●1990年12月20日生まれ、大阪府出身。アミューズ所属。2005年『第1回アミューズ王子様オーディション』でグランプリを受賞し、芸能界デビュー。主な出演作は、ミュージカル『ロミオ&ジュリエット』、舞台『金閣寺』、映画『カノジョは嘘を愛しすぎてる』、舞台『マーキュリー・ファー』、ミュージカル『サンセット通り』、ミュージカル『エドウィン・ドルードの謎』、映画『太陽』など、ドラマ・映画・舞台等、幅広く活躍中。

INFORMATION

『マイ・フェア・レディ』
『マイ・フェア・レディ』

ミュージカル『マイ・フェア・レディ』
【東京公演】7月10日(日)〜8月7日(日)東京芸術劇場プレイハウス
【名古屋公演】8月13日(土)〜14日(日)愛知県芸術劇場 大ホール
【大阪公演】8月20日(土)〜22日(月)梅田芸術劇場 メインホール

ロンドンの下町の花売り娘が、言語学者のレッスンで、 見違えるように麗しい貴婦人に変貌する――。
オードリー・ヘップバーン主演の映画版でも広く親しまれている『マイ・フェア・レディ』。心躍る珠玉の名曲の数々とともに再演を重ね、ミュージカル史に燦然と輝く不朽の名作。日本初演50周年となった2013年には、演出を一新。クラシカルな英国の香りと華やかさはそのままに、個性豊かな登場人物たちの、生き生きとした情感がより際立つ舞台となってリボーン(再誕生)した本作。
そして、2016年夏、好評を博したリボーン版が、新たなキャストを迎えてカムバック!!

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