観ている人の気持ちに届くお芝居をしたい

松竹が創業110周年を記念して行った女優発掘オーディション『松竹STARGATE』でグランプリを受賞した海老瀬はなちゃん。6月20日公開の映画『築城せよ！』でヒロインを演じるなど今後の活躍に注目が集まるはなちゃんが、女優への思いやオーディションの裏話を話してくれました。

Ｑ　『築城せよ！』でヒロインの井原ナツキ役を演じるって聞いてどう思った？

「ここまで大きな役をもらったのは初めてなんですけど、取り組み方みたいなのはそんなに変わってないですね。どっぷり映画に漬かれると最初に思いました。現場に居られる日数ももちろん長いし、それだけいろんなものを感じられるし、いろんな思いができるっていうのがすごいうれしかったです」

Ｑ　どっぷり映画に漬かってみて今までと違う点はあった？

「いろんな人の仕事だったり、姿、思いっていうのをいっぱい見られたなって思います。本当に今さらなんですけど、映画って大変なんだなっていうのをあらためて感じたり。私は撮影にしか参加してないですけど、撮影が終わった日に監督から“映画を作るっていう全行程の中では撮影は1割くらいなんだよね”って言われて。あれだけの密度で1割なんだっていうのを感じました」

Ｑ　“400年前の戦国武将が段ボールの城を築城する”っていう設定が面白いよね。

「お城も段ボールもみんなが知っているものだけど、“段ボールのお城”っていうのは想像できないですよね。すごい奇想天外でビックリしました。その設計をすることになったナツキの成長を見てもらいたいなと思います」」

Ｑ　現場の雰囲気はどうだったの？

「舞台挨拶のときにも話題になったんですけど、父親役の阿藤(快)さんとの初日の撮影がいきなりケンカのシーンですごく緊張してしまって……。そうしたら、遠くから阿藤さんに“はな、お前緊張してるんじゃねえよ”って叫ばれたんです。それで“アカン、これからケンカのシーンや”ってハッとして(笑)。阿藤さんのおかげで、すごく緊張が解けましたね」

Ｑ　はなちゃんのことを気遣ってくれたんだね。

「藤田(朋子)さんにも救っていただきましたね(笑)。ラストシーンでNGを出してしまったとき、エキストラさんもいっぱいいる大がかりな撮影だったのですごく焦ってしまったんです。そうしたら、藤田さんが“コラッ、海老瀬ー！”って(笑)。あわてて謝ったら、そのやり取りにみんなが笑ってくれて気持ちが楽になりましたね。監督にも“藤田さんとのシーンが一番リラックスしている”って言われました。藤田さんは面白いモノを見つけるアンテナがすごいんですよ。例えば“家のカーナビがちょっとエッチなんだよね”って、マネしてくれたり(笑)。でもそんな時の表情が、私が言うのは失礼かもしれないけど、すごくかわいらしくて女性としてあこがれますね」

Ｑ　はなちゃんは、今後どんな女優になっていきたい？

「自分のお芝居で、観ている人がちょっとでも笑ってくれたり、温かい気持ちになったりして何かプラスな気持ちになってくれたらうれしいので、ちゃんと観ている人の気持ちに届くようなお芝居をしたいなと思います」

Ｑ　女優の仕事をする上で日々取り組んでいることはある？

「当たり前かもしれないですけど、映画をいっぱい観てます。小さい頃から映画は大好きでした。テレビで『バック・トゥ・ザ・フューチャー』や『ターミネーター』を観てハリウッド映画が好きになって、小学校の4、5年生の時に母親に初めて劇場に連れて行ってもらいました。でもその映画が衝撃的で、デミ・ムーアの『素顔のままで』ってストリッパーの話やったんですよ！ お母さんは何で私をこれに連れて行ったんやろうってビックリしました(笑)。それからベタだけど、小6の時に観た『タイタニック』は全部が衝撃的で、7回くらい劇場に行って観ましたね」

Ｑ　洋画が好きなんだね。今後の目標は世界進出かな？

「目標が大き過ぎて想像できないけど(笑)、小さいころに映画を見ていた素人のときの私から比べたら、ほんの少しは近い位置にいるわけですよね、たぶん。……英語頑張ろう(笑)」

PART2につづく…

Text／藤岡真司(日刊編集センター)