恒松祐里 | インタビュー | Deview-デビュー

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インタビュー「恒松祐里」

2017/08/30

「(オーディションは)受かるかどうかわからないけど、挑戦している感じがすごくワクワクする」

恒松祐里

国内外で注目を集める黒沢清監督が、劇作家・前川知大氏率いる劇団イキウメの人気舞台「散歩する侵略者」を映画化。長澤まさみ、松田龍平、長谷川博己といった豪華キャストの中で、若き侵略者の一人・立花あきらを演じ、堂々たる存在感を発揮している恒松祐里。7歳から仕事を始め、近年『5→9〜私に恋したお坊さん〜』、大河ドラマ『真田丸』などでも注目された彼女に直撃インタビュー。「オーディションが大好き!」と笑顔で語る、そのポジティブの源を語ってもらった。


恒松祐里
映画の冒頭からいきなり衝撃的な登場をされていますね。
「はい(笑)。私が演じるあきらが、血まみれになって車道を歩くシーンから始まります。映画を撮っていたのがちょうど去年の夏で、“あの日も暑かったな〜”って思い出しました」
本作では、一家惨殺事件のカギを握る女子高生であり、地球の侵略をもくろむ侵略者の一人、立花あきら役を演じられました。あの登場シーンから“この子は普通の女子高生じゃない”ということが伝わってきました。
「あの時点で、あきらはもう侵略者に乗っ取られているんです。だから地球のすべてが新鮮なんですよね。“空ってこんな色をしているんだ”、“太陽がまぶしいな”、“すごい汗が出るけど、人間の体ってこうなんだ”とか、セリフにはないんですが、見知らぬ土地に来ていろんなことを好奇心いっぱいに吸収してる気分で演じていました」
見た目は人間のまま侵略者を演じるって、言葉にすると難しそうだけど、役作りはいかがでしたか?
「いろいろ考えたんですけど、最終的にたどり着いたのは、あんまり考えないほうがいいのかなということでした。人間ってどうしても感情や社会的なルールに左右されて行動するけど、あきらにはそういうのがまったくないんですよね。“お腹が空いたら食べる”、“自分に対して害を及ぼしてくる相手は倒す”というふうに、ただただ本能のままに行動する。そういう意味では、人間としての中身は“無”なので、役作りはこれまで演じた役の中でもシンプルだったかもしれません。現場でもその場で起こっていることを肌で感じて、そのまま行動していました」

恒松祐里
中身の役作りは“無”だとしても、アクションはかなり訓練したんじゃないですか?
「そうですね。クランクインする前に2ヵ月くらいアクション練習がありました」
大人の男性を平気な顔してバッタバッタとなぎ倒していく姿は、怖いというより、どこか爽快感すらありました。
「たぶん、あきらが楽しそうに倒していたからだと思います。アクション練習に入った最初の頃は、相手を倒すんだから怖い表情でやったほうがいいのかなと思ったんです。でも、監督に『あきらは人間に敵意があるわけじゃない。倒すにしても“こうやると人間ってこうなるんだ”と観察しながら、好奇心が満たされていく、ちょっと面白がっている感じがあるといい』と言われたので、なるべく笑顔でアクションをするように心がけていました」
笑顔であそこまで動くのも、逆に大変そうだけど?
「そうですね。頑張っちゃうとやっぱり顔がキツくなるので、平気で動くのに慣れるまではちょっと時間がかかりました。相手を倒すアクション以外にも、刑事役のアンジャッシュの児嶋(一哉)さんにガッと飛び乗るシーンがあるんですけど、児嶋さん、すごく身長が高くて大変だったんです。だけど恐る恐るやるとあきらじゃなくなってしまうので、現場でも何度も練習させていただきました」

恒松祐里
拳銃やマシンガンをぶっ放すアクションもカッコ良かったです!
「あれはめちゃくちゃ興奮しました! 私、スパイ映画が好きで、ずっとガンアクションをやってみたかったので、いっぱいそういうシーンを作ってくださって嬉しかったです。監督はマシンガンにとてもこだわりを持っていらして、あの振動は自分で揺らしているんですけど、『そんなに揺れないんだよな』『もうちょっと大きく』などと、お芝居以上に細かく指導してくださって(笑)」
お芝居以上に(笑)。ケガとかは大丈夫でしたか?
「本番ではぜんぜん大丈夫だったんですけど、練習中はアザだらけでした。でも、そのおかげでアザを早く消す方法を会得したんですよ。お風呂で青くなっているところをパンパンパーンって叩くと消えるんです。そういう意味でも、いろいろタフになりました(笑)」
そうそうたる顔ぶれがそろう本作ですが、劇中では主に長谷川博己さん演じる桜井と、高杉真宙さん演じるもう一人の若き侵略者・天野と行動を共にしています。現場ではどんなふうに過ごしてたんですか?
「長谷川さんは、海外に一人旅したときのこととかを、高杉さんと私にお話ししてくださいました。大人としての許容がとてもある方で、高杉さんと『長谷川さんカッコイイね』ってずっと言ってました」

恒松祐里
共演者はほとんど大人の役者さんの中で、唯一年代の近い高杉さんとはどんな話をしてましたか?
「それが高杉さん、相当な人見知りだっておっしゃっていて。でも人見知りって言われると、私、心を開きたくなっちゃうんです。だから『好きな食べ物は何ですか?』とか、高杉さんにいろいろと話しかけていたんですけど、最終的に心を開いてくれたかどうかは謎です(笑)。でも、クランクアップの日に一緒に写真を撮った時、はしゃいだポーズをしてくれたので、少しは心を開いてくれたのかなと思います」
現場では、松田龍平さんや長澤まさみさんとはほとんど一緒になってないですよね。
「ほんの一瞬だけでしたね。長澤さん・松田さんの夫婦チームと、私たち侵略者チームは別々に撮っていたので、スタッフさんも『映画を2本撮っているみたいだ』っておっしゃっていました」

恒松祐里
じゃあ、完成した映画を観て初めて「こうなってたんだ」と知ったこともあったのでは?
「そうですね。もちろん台本でストーリーは知っていたけど、完成してやっと頭の中でつながった!って感じでした。自分のアクションを客観的に観るのも初めてで。でも自分の想像以上に迫力がすごかったので、映像のおかげもあるけど、頑張ってよかった!と思いました」
7歳から女優のお仕事をしている恒松さんですが、この作品を通して、改めて感じた“演じる面白さ”ってなんですか?
「あきらたち侵略者は、“家族”とか“仕事”、“自分”といった人間の概念を奪うことで、地球を侵略しようとしてるんですね。そういう概念を奪われてしまったとき、人間がどうなってしまうかということが、この映画にはたくさん描かれているんです。でもそういう概念みたいなものって、普段あんまり考えたことないですよね。考えなくても、普通に日常の中にあるから。この作品を通して、その概念がなぜ自分にとって大事なのかということを改めて考えるのって、すごく大切な作業だなと気付かされました。やっぱり役者はいろんな役を演じられたほうがいいから、単なる言葉ではなく、その概念の意味をじっくり考えるのって大切だなと。だからこの作品に関わることができてとても光栄だったし、特に役者を目指す方にはオススメしたいです」

恒松祐里
ところで今回は、恒松さんの過去作を見た映画スタッフが監督に推薦したことでキャスティングされたそうですが、オーディションもこれまでたくさん受けてきたそうですね。
「オーディションは今も普通に受けています。たぶん2〜300回は受けていると思います。私、オーディションが好きなんですよ。受かるかどうかわからないけど、挑戦している感じがすごくワクワクするんです」
それだけ受けているということは落ちた経験もいっぱいあるわけですよね。それでも、前向きにオーディションに挑戦し続けられる理由は?
「もちろん落ちるほうが多いですけど、少なくともオーディションの現場では、今までお芝居したことのない人と一緒にお芝居できるじゃないですか。それだけでも十分、得るものがたくさんあるなって思うんです。たぶんお芝居が好きだと、オーディションも苦ではなくなると思います。今回みたいにオファーをいただくのも嬉しいし、今後もオーディションのチャンスがあったらどんどん受けていきたいと思っています」

インタビュー・終
撮影/mika 取材・文/児玉澄子

Profile

恒松祐里
つねまつ・ゆり●1998年10月9日生まれ、東京都出身。アミューズ所属。7歳の頃から子役として活動し、ドラマや映画、CMなどで活躍。近年の主な出演作に、連続テレビ小説『まれ』(NHK)、『5→9 〜私に恋したお坊さん〜』(フジテレビ)、『大河ドラマ『真田丸』(NHK)、映画『くちびるに歌を』、映画『ハルチカ』、映画『サクラダリセット』(前篇・後篇)など。

INFORMATION

映画『散歩する侵略者』
映画『散歩する侵略者』
映画『散歩する侵略者』
©2017『散歩する侵略者』製作委員会

映画『散歩する侵略者』
9月9日(土)全国ロードショー

国内外で常に注目を集める黒沢清監督が劇作家・前川知大率いる劇団「イキウメ」の人気舞台「散歩する侵略者」を映画化。数日間の行方不明の後、夫が「侵略者」に乗っ取られて帰ってくる、という大胆なアイディアをもとに、誰も見たことがない、新たなエンターテインメントが誕生。
≪story≫
数日間の行方不明の後、不仲だった夫がまるで別人のようになって帰ってきた。急に穏やかで優しくなった夫に戸惑う加瀬鳴海(長澤まさみ)。夫・真治(松田龍平)は会社を辞め、毎日散歩に出かけていく。一体何をしているのか…?その頃、町では一家惨殺事件が発生し、奇妙な現象が頻発する。ジャーナリストの桜井(長谷川博己)は取材中、天野(高杉真宙)という謎の若者に出会い、二人は事件の鍵を握る女子高校生・立花あきら(恒松祐里)の行方を探し始める。やがて町は静かに不穏な世界へと姿を変え、事態は思わぬ 方向へと動く。「地球を侵略しに来た」真治から衝撃の告白を受ける鳴海。当たり前の日常は、ある日突然終わりを告げる。

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