賀来賢人 | インタビュー | Deview-デビュー

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インタビュー「賀来賢人」

2017/10/18

「みんな違うキャリアを重ねてきているから被る人が一人もいない。誰にでもチャンスはあるし、誰がやっても面白い仕事だと思う」

賀来賢人

撮影/草刈雅之 取材・文/熊谷真由子 ヘアメイク/SHUTARO(vitamins)スタイリング/伊藤省吾(sitor)

ドラマ『スーパーサラリーマン左江内氏』、ミュージカル『ヤングフランケンシュタイン』、映画『斉木楠雄のΨ難』など、様々な作品で個性豊かな役柄を演じている賀来賢人が、M&Oplaysプロデュース『流山ブルーバード』で主演を務める。以前からプライベートで仲が良かったものの共演経験が一度もない太賀と“一緒に芝居がしたい”という想いから始動した同舞台への意気込み、舞台作品・芝居の魅力、面白さなどを聞いた。
賀来賢人
――本作『流山ブルーバード』は賀来さんが太賀さんとぜひ一緒に舞台をやりたいというところからスタートした企画だったそうですね。
「太賀とは以前から友達だったんですが、共演はしたことなかったんです。でも、彼の出演作を観ていて、素敵な役者だなとずっと思っていて。僕はけっこう同年代の方と共演することが多い方だと思うんですが、太賀とだけは共演がなかったので『いつか一緒にやりたいね』という話をしていたんです」
――『いつかやりたいね』と話していたことが、ついに実現したときの気持ちは?
「めちゃめちゃ嬉しかったです。でも舞台はかなり先の予定を埋めていくので、この作品が決まったのは2年前だったんです。だから“早く2017年が来ないかなあ”と思いながら今まで生きていました(笑)」
――何がきっかけで実現に向けて動き出したんでしょうか?
「太賀が出演した『結びの庭』(岩松了演出)という舞台のプロデューサーの大矢(亜由美)さんに、『僕たち一緒に芝居やりたいんです』というお話をしたら、数ヵ月後に“本当にやれるかもしれない”ということで話が進んでいきました」
賀来賢人
――太賀さんの他にも同世代の役者さんとして、柄本時生さん、若葉竜也さんが出演されます。おふたりの役者としての印象を教えてください。
「若葉くんとは今回が初めてですが、時生とは『海の金魚』(2010)という映画で共演して以来、ずっと連絡取り合っていて、しょっちゅううちにも遊びに来ます。時生は要注意人物……というか、友達なので共演するのが恥ずかしい気持ちもあって、お互いちゃんとできるのかな?っていう不安があるんです(笑)。もちろん、お互い久しぶりの共演を楽しみにはしているんですけどね。若葉くんも出演映画などを観ていて、同年代にはあまりいないタイプの役者さんだなと思いました。いろいろ幅広い役ができる人だなという印象です」
――同年代の役者同士というところで刺激もありそうですよね。
「映像で同世代の役者さんと共演することはよくあるんですけど、僕は舞台では同年代の人との共演があまりありませんでした。なので、どうなるかわからないところがありますが、みんながどういうふうに作ってきて、稽古場でどうやって出していくのか。それがすごく楽しみです」
――ちなみに賀来さんが一緒にやりたいと思う役者はどういうタイプなんでしょうか?
「“無難にこなす”のではなく、ちゃんと真面目に考えながら真剣にやっている熱量の高い役者さんを見ると、“おっ!”と思います」
賀来賢人
――今回の演出の赤堀雅秋さんですが、厳しいというイメージもあるかと思うのですが。
「すごく楽しみです。しごいてほしいというわけではないですけど(笑)、厳しいという評判が立つくらい、丁寧で熱のある方だと思いますし、そういう方とのお仕事はやっぱり楽しい。舞台でしか味わえない感覚になれることが多いです」
――うだつの上がらない4人のダメな若者の青春物語というだけで、脚本はまだ出来上がっていないそうですが(※取材時)、上演時期とキャスト・演出家が決まってから内容の詳細が決まるという出来上がり方は舞台ならではですよね。
「さっき赤堀さんと対談したんですけど、何も教えてもらえず……。本当にまだ何も決まっていないんですけど(笑)、この座組だったら確実に面白いものになるという確信があるので、あとは役者の頑張り次第ですね」
――水着の女性がビーチでポーズをとっているポスターもインパクトありますよね。
「そうですよね。これは赤堀さんが“流山にある看板”というイメージで作ったそうです。海のない流山とは真逆というか、そこに住むキャラクターたちの憧れのようなものを表しているみたいです」
賀来賢人
――『ロミオ&ジュリエット』や『RENT』、劇団☆新感線の『五右衛門VS轟天』、ミュージカル『ヤングフランケンシュタイン』など、今まで賀来さんはさまざまな舞台に出演されていますけど、今回はどのように臨もうと思っていますか?
「舞台って、実際に稽古に入ってみないとわからないんです。だから毎回、稽古前日まで本当に何も考えていない。真っ白なまま(稽古に)入る感じです。稽古中作る時間はたくさんあるので、今回も何も考えずに稽古に臨もうと思っています。相手がどういうふうに演じてきて、どんな雰囲気になるのかは実際に稽古してみてわかることの方が多いです」
――この物語にかけてお聞きしますが、賀来さんが“大人なのにここがダメだな”と思うところはありますか?
「服がたためないところ(笑)。例えばTシャツを上手くたためないんですよ。洗ったばかりとかアイロンかけたシャツがくしゃくしゃになっちゃう。一応、自分ではたたんでいるつもりなんですけど、キレイにたためない。そういう身の回りのことができないんですよね。けっこう重病かも(笑)」
賀来賢人
――多くの舞台に立っている賀来さんが思う、舞台の魅力を教えてください。
「やっぱりお客さんに生のお芝居を届けられるということがすべてかなと思います。芝居の起源が舞台だったように、やっぱり目の前のお客さんに死角なしで360度、演技を観られることが芝居の基本だし、そうじゃなくちゃ芝居をやっている意味がないんじゃないかとさえ思います。それにダイレクトに反応が返ってくるのも醍醐味ですね。もちろんカメラだからこそ伝えられるものもありますけど、反対にカメラだけでは伝わらない芝居もある。だから今後も舞台は続けていきたいですね」
――若手俳優の中には舞台は怖いと思っている方もいると思いますが、賀来さんはそう思ったことはないですか?
「怖いですけど、出ちゃえば大丈夫です。1ヵ月、ちゃんと稽古ができるので、準備期間はたっぷりあるんです。ドラマの場合、タイトなスケジュールのものだと台本を渡されるのが2日前ということもあるので、それに比べたら全然怖くないかも…。それに舞台は一連の流れで芝居をやっていきますけど、映像だと順番に撮れないし、映像の編集の都合で間を取らないといけないとか舞台とは違ういろいろなルールがあるので、僕はむしろ映像の方が緊張するし、舞台の方がやりやすいのかもしれません。俳優でそれぞれやり方が違うのでわからないですけど」
――Deview読者の世代だと、映像は観やすくても、舞台はちょっとハードルが高くてなかなか観に行く機会が少なかったりするんですが……。
「そうなんですよね。だからこそ、今回の作品は舞台を観たことがない人にこそ観てほしい。ハードルが高いなんて思わず、バカバカしい内容のものもありますし、今回の作品も若者の青春物語ですから」
賀来賢人
――“芝居の面白さ”は、どんなところで感じていますか?
「何が面白いんだろう……難しいですね。もちろんお芝居、好きなんですけど僕も模索中です。ただ、10年続いているのでやっぱり楽しいんでしょうし、今後もずっと続けていくと思います。逆に他のみんなは何が面白くて芝居を続けているのか気になりますね(笑)。もともとは人を笑わせたりするのが好きなので、それが根源で、やっていくうちにシリアスや感情的な芝居も難しいけどやりがいがあると思うようになってきました。でも芝居の面白さって、役者を志す読者の方が気になるところですよね。何としても答えたいな。うーん……。普段、ここまで感情を表現することってあまりないので、そこは面白い点だと思います。役者を始める前より、僕は喜怒哀楽がはっきりするようになりました。あと、自分の経験値や今の状況が芝居に反映されるのが面白いところではあると思います。一人ひとりみんな違うキャリアを重ねてきているから被る人が一人もいない。みんな個人商店というか、同じ業種でも同じ職種の人がいないというか。だから誰にでもチャンスはあるし、誰がやっても面白い仕事。そういう職業ってなかなかないですよね。芸術家でも建築家でも作品にその人の色が必ず出るように、役者も身体を通して表現するという意味では魅力的な職業だと思います」
――賀来さん自身は今、どんな色を持つ役者なのでしょうか?
「まだないんじゃないですかね。これからもないかもしれないです。でも何でも屋さん……みたいな、何でもできる役者にはなりたいです」
――では最後に、Deview読者に向けて、賀来さんが夢を叶えるために必要だと思うことを教えてください。
「俺が夢を叶えてるのかはわからないけど(笑)。でも、諦めないでとりあえずやってみることなんじゃないかなと。“自分にはできない”と思い悩むより、“失敗してもいいし、恥をかいてもいいからやってみよう”というメンタルの方が物事はうまくいくと思います。僕自身も現場で、“これはちょっと違うって言われるかもしれないけど、とりあえずやってみよう”と思ってやってみたことを意外にも褒めてもらえたりすることがあるので。あと、最近すごく思うのは、遠回りはしても無駄なことは一つもないということ。とんでもなく凹むことやくすぶっている時期があっても、それはその後、必ず糧にはなると思います」
Profile
賀来賢人(かく・けんと)●1989年7月3日生まれ、東京都出身。アミューズ所属。2007年に映画『神童』で俳優デビュー。2009年に映画『銀色の雨』で初主演を飾り、2012年にはTVドラマ『クローバー』で主演を務める。近年の主な出演作は、連続テレビ小説『花子とアン』、大河ドラマ『花燃ゆ』、ドラマ『Nのために』、『スーパーサラリーマン佐江内氏』、『愛してたって、秘密はある』、舞台『モンティ・パイソンのスパマロット』、『RENT』、劇団☆新感線『五右衛門 vs 轟天』、ミュージカル『ヤングフランケンシュタイン』など。10月21日公開の映画『斉木楠雄のΨ難』、2018年公開予定の映画『ちはやふる -結び-』に出演。
M&Oplaysプロデュース『流山ブルーバード』
【東京公演】2017年12月8日(金)〜12月27日(水)本多劇場
【島根公演】2018年1月11日(木)島根県民会館 大ホール
【大阪公演】2018年1月13日(土)、14日(日)サンケイホールブリーゼ
【広島公演】2018年1月16日(火)JMSアステールプラザ 大ホール
【静岡公演】2018年1月18日(木)浜松市浜北文化センター 大ホール
【大田区(東京)公演】2018年1月20日(土)、21日(日)大田区民プラザ 大ホール
流山ブルーバード
撮影/三浦憲治
映画『葛城事件』(脚本・監督)や、舞台『世界』(作・演出)などで、人間の根底になる無様さや滑稽さをあぶり出し、残酷さや狂気までをも丁寧に描いては独特の世界観で見るものに迫る赤堀雅秋の書き下ろし最新作。
千葉県、流山市。東京にもほど近い地方都市を舞台に、この街の半径3キロ圏内でくすぶっている4人の若者。東京に出て行く気力もなく、町を抜け出そうにも抜け出せない、「ダメな」4人と、彼らを取り巻くろくでもない大人たちの青春群像劇。それぞれに鬱屈を抱えた人々の、やるせない日々と、その中に垣間見れる一縷の希望を描く。

公式サイト: http://mo-plays.com/bluebird/

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