岡本夏美 | インタビュー | Deview-デビュー

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インタビュー「岡本夏美」

2019/03/26

「初演を観たとき、日記に大きな文字で『ヴェントラがやりたかった』と書いていたので、“願いが叶った!!”とすごく嬉しかった」

岡本夏美 撮影/加藤千絵(CAPS)

2017年春に白井晃演出で好評を博した舞台『春のめざめ』が、新キャストを迎えて2019年4月〜5月にKAAT神奈川芸術劇場ほかにて上演される。『Deview/デビュー』では、オーディションを経てヒロイン・ヴェントラ役を射止めた岡本夏美にインタビュー。初演を観劇した際に衝撃を受け、『ヴェントラをやりたかった』という彼女が、どんな想いでオーディションに挑んだのか、そして本作への意気込み、お芝居への熱い想いを明かした。

岡本夏美

――初演を観た際、『ヴェントラをやりたかった』と思ったということですが、そのとき作品を観てどんな衝撃を受けたんですか?

「思春期ならではの“生と性”の問題もしっかりと提示している作品だったので、そこにまず衝撃を受けました。KAAT神奈川芸術劇場の劇場内もいつもとちょっと違う空間でセットが組まれていて、周りの壁がクリアガラスで覆われていたり、シンプルで殺風景なのにすごく抽象的で。観ているこっち側が“この演出の意図ってどうなんだろう?”と、どうにでも解釈できる自由性もありましたし、その中で芯強くエネルギッシュに生きている学生がいて、それを抑圧する大人がいて……というような全体的な空気感と作品が持つメッセージ性とエネルギーに圧倒されて、客席で心と身体が痺れたのを覚えています」

岡本夏美

――当時、日記に観劇した感想を書いていたとか。

「そうなんです。『春のめざめ』を観たあと、日記に舞台の感想を書いていたんですけど、すごく大きい字で『ヴェントラがやりたかった』と書いていて。当時、マネージャーさんにも『私、この作品でヴェントラがやりたかったです。すごく残念だし悔しい』っていうようなことを言っていて。だから、まさかその2年後にこのオーディションを受けられるとは!?という感じで、感慨深かったです」

――オーディションを受ける前、その日記を読み返したりしました?

「読み返しました! 『春のめざめ』を観たあとの興奮が伝わるくらい長文でいろいろと書いてあって。前回、ヴェントラを演じていた大野いとさんのお芝居のことにも触れていたし、性的なものに対する思いとか、生きるということに対しての性の交わり方とか、とにかくいろんなことについて書いていました。当時の想いを読み返して、“やっぱり私はこの作品に出たい!”という想いがより一層強くなりました」

岡本夏美

――オーディションは白井さんと一対一だったそうですが、どんな雰囲気の中で行われたんですか?

「場所が靴を脱がないといけないお部屋だったんですが、靴下になるなら、いっそ裸足でいいや!と思って、靴下を脱いで“動く気満々、やる気満々”っていう状態で白井さんを待っていたんです。そしたら、白井さんに『裸足?やる気すごいね(笑)』と言われて。最初はいろいろとお話をさせていただいたり、ワークショップみたいな形で、軽く動いたりジャンプしたり、回って歩いたり、体を動かすことから始まりました。その後に、白井さんに少し演出をつけていただいて。ヴェントラのセリフを遠くで言うとか、近くで言う、綱渡りをしている体で言うということをやったり、白井さんが『今病室にいて一人だよ』、『空は晴れているけど風がある』というような感じで、言葉でいろいろと想像させてくださるような演出方法でお芝居をしていきました。その言葉に乗って、心でヴェントラを演じていくときに、だんだんと気持ちが出来てきて、“なんでこんなにも窮屈なんだろう”って思ったら涙が止まらなくなってしまって。親に甘える気持ちだったり、友達に言えないという葛藤だったり、そういう新たな発見もできたので、よりヴェントラが持つメッセージをちゃんと客席に届けられるよう、稽古を通してもっともっとヴェントラに寄り添いたいなと思いました」

岡本夏美

――とても濃密な空間でのオーディションだったんですね。

「そうなんです。1時間くらい白井さんと一対一でお芝居について教えていただいて、白井さんのワークショップに参加させていただいているような感じで、とても貴重な体験をさせていただいているなって思いました。このオーディションに参加してそれを体験できただけでも役者人生においてとても幸せなことだなと。奇跡的なご縁でこのオーディションを受けさせていただけていると自分では思っていたので、“とにかくこの作品に携わりたい”、“ヴェントラをやりたい”という気持ちが、お芝居を通して白井さんに伝わったらいいなと、それだけを考えてがむしゃらにやっていました」

――手応えみたいなものは感じていました?

「『受かったかな? どうだったかな!?』ということを考えないくらい、すごく幸せな時間でしたし、終わったあともマネージャーさんに『すごく楽しかったです!!』という感想を伝えていたので、『大丈夫だったかな?』と不安になるような感じはなかったです。これで選んでいただけたなら嬉しいし、もしご縁がなかったとしても、白井さんとあんな素敵な時間を過ごさせていただいたし、これからまた頑張ろうと思っていたので、とてもポジティブな気持ちで帰った記憶があります」

――そして、オーディションの結果、見事ヴェントラ役を射止めたわけですが、喜びもひとしおだったのでは?

「ヨッシャー!!って思いましたし、すごく嬉しかったです。これまでもいろいろな舞台を観劇してきましたが、“この作品で、この役をやりたかった”とあそこまで強く思った作品って、今までなくて、『春のめざめ』のヴェントラが初めてだったんです。出演が決まって、“願いが叶った!!”って思いましたし、早くお稽古がしたい、ヴェントラを演じたいってワクワクしました」

岡本夏美

――客席から観ていたヴェントラに対して、ご自身が演じることになって、改めて台本や戯曲を読んで何か新たな発見とかはありましたか?

「作品を観ていたときは、私も女のコなので、登場人物の中でもヴェントラが一番寄り添いやすかったし、一番見てしまう役でもあって。すごく可愛らしくてまっすぐで本当に清潔感のある純粋な女の子だなと思っていました。そんなヴェントラが周りの大人からの意見や圧で、自分の心と身体に差ができていることに対して疑問に思っていく……。私もこういう経験したことがあるなと、ヴェントラに対して共感する部分がたくさんありました。でも、実際にオーディションで白井さんに演出をつけていただいて、ヴェントラを演じたときに、こんなにも悲しい結末がまっているんだなと改めて感じて。細かいことも含めて彼女なりにいろいろと苦しい想いをしていて、誰にも言えないという生活環境だったり、こんなことを言ってはいけないんじゃないかと想像する心の揺れとか、それをヴェントラとして自分が疑似体験したときに、なんて苦しいんだと思って、オーディション中も涙が止まらなかったんです」

――ヴェントラに共感した部分というのは?

「中学生の頃、私はすでにモデルのお仕事をさせていただいていたので、大人としゃべる機会多かったというのもあると思うんですが、周りの同学年と比べて『大人っぽいね』とよく言われていたんです。見かけが大人っぽいから、それに合わせて自分もどこか背伸びをしないといけない……みたいな窮屈な気持ちになったというか、外見の見た目に心が追いつかないという状態を経験していたので、そういうところがヴェントラに少し似ているのかなと。あと、私も好奇心旺盛で、いろんなことにまっすぐに興味を持ったりするようなタイプだったので、ヴェントラと同じように大人の世界をちょっとのぞいてみたいという想いもあったりしたなと思いました。だから、ヴェントラに共感しながら、そして寄り添いながら、体と心のすれ違いがある繊細な気持ちをしっかりと演じていきたいなと思います」

岡本夏美

――ヴェントラと深く関わる、主人公・メルヒオール役の伊藤健太郎さんと、初演に続きモーリッツ役を演じる栗原類さん、それぞれ役者としての印象も教えていただけますか。

「伊藤さんは私の1つ上で歳も近いんですが、物怖じしない雰囲気のある方だなって思いました。というのも、先日の会見のとき、私は実はすごく緊張していたんです。でも、伊藤さんは堂々とされていて、度胸がある方なんだなと思いましたし、そんな伊藤さんが座長ということで、きっとこのカンパニーや作品を引っ張っていってくださるんじゃないかなという安心感がありました。幼なじみの役なので、一緒に作品を作り上げていく上で、とても心強い座長に出会えたなという思いでいっぱいです。伊藤さんは様々な作品でご活躍されていますし、今回、どんなメルヒオールになるのかすごく楽しみです」

―― 一方、栗原さんは同じ事務所ということで、これまでも交流があるかと思いますが。

「栗原さんとは昔から一緒にワークショップに参加したり、舞台で共演したりしていましたし、前作にも同じ役で出演されているので、とても心強いなと。『春のめざめ』の雰囲気やこの作品のテーマというものを深いところまで知っているキャストの一人でもあるので、そこは甘えていきながら、私も新しいエッセンスを栗原さんにしっかりとお渡しして、また前回とは違う気持ちとか表現方法が生まれたら、きっと面白いものが出来上がるんじゃないかなと思っています」

岡本夏美

――岡本さんは、モデルやバラエティ、女優など、幅広く活動されていますが、“演劇”や“女優”というお仕事に対しての楽しさ、魅力はどんなところで感じていますか?

「舞台に関しては、デビュー当時から同じ事務所の方々と一緒に小劇場でやらせていただく機会がけっこうあって。たぶん、私の初めてのお芝居も舞台だったんじゃないかな。中学1年生くらいのときに初めて舞台に立って、こんなにリアルなものをお客さんに届けるんだって思ったのが舞台との最初の出会いでした。映像作品だと、NGだったらテイクを重ねて“コレ”という一番いいものを提示できるけど、舞台は生ものなので、予期せぬアクシデントも含めて、舞台上で起こったことすべてがお客さんに見えてしまう。だから、より緊張感もありますし、ライブ感があって、こういう感覚って楽しいなって思いました。お芝居をやっていると、普通に生活していたら経験できないようなことだったり、知ることのできない感情を発見できたりするんですよね。役を通して、“私って、この事柄について、意外とこういう風に考えていたんだ”とか、普段は考えないようなことについてもたくさん考えるきっかけをくれるので、お芝居を始めてから、自分の感情の引き出しがすごく増えた気がしていて。私生活でもより豊かにいろんなことを感じ取れることが多くなったので、そういうところも魅力だなと思います」

――『春のめざめ』のほか、『BACK STREET GIRLS -ゴクドルズ-』や『賭ケグルイ』など、すでにたくさんの出演作が発表されていて、ますますの活躍が期待される岡本さん。憧れの女優像みたいなものってありますか?

「先日まで放送されていた『さくらの親子丼2』で、真矢ミキさんと共演させていただいたんですが、真矢さんは女優さんとしてしっかりと芯があってキリッとしたオーラのある方なんですけど、その一方でとても優しくて、温かい空気で私たちを包んでくださって。ときには一緒に冗談を言いながら笑い合ったりという気さくな部分もあって、オールマイティに素敵な女性だなと思いました。私もそんな真矢さんのように、周りの人たちに優しさや温かさを配れるような女性になりたいなと思いますし、その中でも自分がやりたいことや伝えたいこととか、しっかりと気持ちを強く持って、芯のある女優さんになっていきたいなと思っています」

岡本夏美

――今後挑戦してみたい役は?

「振りかえってみると、『さくらの親子丼2』のように家庭環境に問題がある子だったり、口が悪かったり、漫画原作の作品でキャラクターが濃い役というのがこれまで多くて、意外にフラットに生きている普通の女の子ってやったことがないんです。しかも誰かを愛するとか、愛に触れた作品もあまりなくて……。今回の『春のめざめ』も“愛”というのが一つテーマだったりもするので、これからは大人ならではの感情を表現できるような作品だったり、恋愛ものや、家族愛、友人への愛とか、人間に対して愛を配れるような役もやってみたいなと思います。あとは、社会性のある役というか、業界的な専門用語を覚えないといけないような、刑事や法律関係、医療系ドラマとかもやってみたいです。難しいセリフに対して、自分が苦しくて堪らなくなりそうな、“セリフが覚えられない!!”みたいなプレッシャーのある作品もやってみたいなと思います」

――では最後に。今作品で、ご自身の夢を一つ叶えた岡本さんが思う、夢を叶えるために大切だと思うこととは?

「私自身、高校卒業したくらいのときに、いろんなことをマイナスに考えてしまったり、不安に思ったりした時期があって。きっと芸能界を目指す方々もそうだと思うんですが、新たな世界に踏み出す瞬間って、誰しも不安を抱くと思います。でも、“やりたい”という想いを強く持ちつつ、不安に思う気持ちにも寄り添ってあげて、自分のことを信じるということが大切なのかなと。周りの大人や友達に相談していろんな言葉をもらうことも必要だと思うけど、それを鵜呑みにしたり惑わされたりするのではなく、その言葉の中から自分の心に一番ヒットしたものを大切にして、自分の気持ち、“コレがやりたい!!”という思いをまっすぐ届けられたら、その夢に近づく一歩になるのかなと思います」

PROFILE

岡本夏美(おかもと・なつみ)●1998年7月1日生まれ、神奈川県出身。エヴァーグリーン・エンタテイメント所属。2011年『ラブベリーモデル・オーディション』グランプリ受賞。その後、『ラブベリー』、『ニコラ』、『Seventeen』の専属モデルを経て、2019年3月号より『non-no』専属モデルを務める。女優としても、ドラマ『GTO』(KTV・CX)、映画『女流闘牌伝 aki -アキ-』主演、ドラマ『さくらの親子丼2』(CX)、ドラマイズム『BACK STREET GIRLS -ゴクドルズ-』(MBS・TBS)などに出演。今後、4月スタートのドラマ『賭ケグルイ season2』(MBS・TBS)、映画『賭ケグルイ』(5月3日公開)などが控える。

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Information

KAAT神奈川芸術劇場プロデュース
舞台『春のめざめ』

神奈川公演:2019年4月13日(土)〜29日(月・祝)KAAT神奈川芸術劇場 大スタジオ
東広島公演:2019年5月6日(月・振休)東広島芸術文化ホールくらら 大ホール
兵庫公演:2019年5月11日(土)、12日(日)兵庫県立芸術文化センター 阪急中ホール

『SPECTER』

<Story>
ドイツの中等教育期間“ギムナジウム”で学ぶ優等生のメルヒオール(伊藤健太郎)、友人で劣等生のモーリッツ(栗原類)、幼馴染のヴェントラ(岡本夏美)。
ある日の帰り道、メルヒオールはモーリッツに「子供の作り方」を図解で説明すると約束する。成績のさえないモーリッツは、学校での過度な競争に耐えられず、米国への出奔を企てた。しかし、それが果たせなかった彼は、将来を悲観して自殺してしまう。
一方、メルヒオールは半ば強姦のように幼馴染のヴェントラと関係をもつ。やがて自殺したモーリッツの遺品からメルヒオールからのメモが見つかり、モーリッツを自殺に追い込んだとして両親に感化院へと送られるメルヒオール。その後、ヴェントラの妊娠が発覚。彼女の両親の知るところになり、ヴェントラは……。

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deview-oubo@oricon.jp

【応募締切】
2019年4月10日(水)23時59分まで。

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※当選者の発表は発送をもって代えさせていただきます。

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