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2017/05/06 18:45
志尊淳、『春のめざめ』で舞台初主演「14歳の役の想いをしっかりと伝えたい」
俳優の志尊淳が主演を務める舞台『春のめざめ』が5日よりKAAT神奈川芸術劇場にて開幕。初日公演に先駆けて、前日の4日にはゲネプロが行われ、志尊をはじめ、共演の大野いと、栗原類、構成・演出を手がける白井晃が登壇し、本番への意気込みを語った。
KAAT神奈川芸術劇場の芸術監督として、近代戯曲を現代に蘇らせるシリーズに取り組んでいる白井晃が『ペール・ギュント』『夢の劇-ドリームプレイ-』『マハゴニー市の興亡』に次ぐ第4弾としてドイツの劇作家、フランク・ヴェデキント作の名作戯曲『春のめざめ』を上演。本作は、思春期の少年たちの性への目覚め、生きる事の葛藤、それに対する大人たちの抑圧などが描かれ、そのセンセーショナルな内容から、当時上演禁止の処分を受けた問題作。2006年にブロードウェイでロックミュージカルとして上演されて話題を呼んだ本作を、今回は、ヴェデキントの原作をもとに、白井の世界観で構成し、ストレートプレイでの上演する。
本作で舞台初主演を果たす志尊は「1ヵ月半前くらいからずっと稽古を重ねてきました。今まで白井さんとみんなとで作ってきたものを最大限に、そしてそれを超えられるように表現できたらいいなと思います」と意気込む。志尊が演じるメルヒオールの幼馴染・ヴェントラを演じる大野は「すごく緊張していますが、たくさん稽古もしたし、自分なりにたくさん考えたので、あとはヴェントラとしてちゃんと生きられればいいなと思います。頑張ります」とコメント。
メルヒオールの友人で劣等生のモーリッツを演じる栗原は「不安がないと言ったら嘘になるけど、キャストそしてスタッフのみんなでこの舞台を一から頑張って作ってきたので、あとは、白井さんに言われた“僕らが何を表現すべきなのか”というのを自覚しながら、本番に挑みたいと思います」と決意を新たにする。
本作の構成・演出を手がける白井は「この作品は、若い俳優のみなさんを中心に作っておりますので、なかなか難しい、厳しい表現を求められる作品だと思います」と語り、「私はこの作品の舞台となっているギムナジウムの、まるで校長先生のように、みんなを叱咤激励しながら、ここまでやってきたんですが、きっと僕が思っていた予想以上のことを、初日に向かってみなさんがジャンプしてくれるんじゃないかと期待しております」と若手キャスト陣への期待を寄せた。
また「ベテランのみなさんに比べると、まだまだ経験は少ないけど、逆にベテランでは出せないエネルギーっていうのはあると思います。技術ではなく、彼らが一生懸命、舞台と立ち向かおうとしているところが、我々にとっても新鮮ですし、そこが見どころじゃないかなと思います」とアピール。そして、舞台の完成度に関して「まだ80点くらいかなという気がしていますので、ゲネで90点くらい出て、初日には100点が出るという予定です」と語り、「お客さんとも非常に近い距離になるので、どのような反応がくるか、楽しみにしています」と笑顔を見せる。
本作で舞台初主演を務める志尊は「僕は舞台が本当に久しぶりなので、いろんなことをいろんな人から吸収できるようにという意識でやっていて、今回、座長という意識はまったくないんです」と告白しつつ、「これから初日に向かって、エネルギーやメルヒオールが抱えるものを出していって、千秋楽までには座長としてちゃんとしたものができればいいなと思います」と意気込む。
そんな座長に対して大野は「稽古中に、真剣に向き合っている様子とかをみると、人一倍プレッシャーとかも感じているんだろうなっていうのが伝わってきた」と語り、「女の子キャストとお話していて『志尊さん頑張っているね』という話をしていたりもするので、座長としてたくさんのことを抱えているというのはすごく伝わってきます」とコメント。
『春のめざめ』にかけて、“最近めざめたものは?”と質問されると、志尊は「コンビニのおにぎり。稽古中、毎日同じことをやる中で、僕の唯一の楽しみが帰りの電車の中か、朝ご飯でコンビニでおにぎりを選ぶ時間なんです」と語り、「それ以外は稽古に集中していたので、みんなもコンビニでご飯買って、『美味しそう』って言って、分け合ってました」とほのぼのとしたエピソードを告白。
大野は「ヴェントラのメイクは、垂れ眉でチークをたくさんつけるんですが、ヴェントラのお母さん役のあめく(みちこ)さんとかが『すごく可愛い!』って言ってくださったので、“あ、チークをたくさんつけると可愛い感じになるんだ”という発見があって。普段はチークつけないので、これからはたくさんつけようかなって思います」とコメント。栗原は演じる役柄のヘアースタイルについて言及。「基本的にロングヘアーが多かったけど、意外とショートヘアが似合うんだなって思いました。自分が思っていた以上に、世の中のみなさんの反応が良かったです」と、それぞれ“目覚めたもの”について語った。
最後に志尊が「僕たちが演じるのは14歳の役なんですが、自分たちが通ってきたことでもありますし、各々が抱えているものというのは、誰しもが持っている部分でもあり、この作品は、見る方によって捉え方が変わると思います」と語り、「いろんなものを感じてもらえる戯曲だと思うので、その部分をみなさんにしっかりと伝えていきたい。各々の役が思っていることを存分に発揮できたらいいなと思いますし、たくさんの方に見ていただきたい作品だなと思います」とメッセージを送った。
舞台『春のめざめ』は、5月5日(金・祝)〜23日(火)までKAAT神奈川芸術劇場<大スタジオ>にて上演。その後、京都、北九州、兵庫公演が上演される。