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2018/09/20 12:27
芳根京子、舞台初主演に「どんとこい!って気持ちで挑んでいきたい」と意気込み『母と惑星について、および自転する女たちの記憶』再演決定
女優の芳根京子が、2019年3月より紀伊國屋ホールにて上演される『母と惑星について、および自転する女たちの記憶』で、舞台初主演をつとめることが明らかとなった。
本作はパルコ・プロデュースゆかりの蓬莱竜太(09年「まほろば」で岸田國士戯曲賞を受賞)が書き下ろし、2016年に旧パルコ劇場にて最後を華々しく飾った舞台で、国外での活動も行っている日本を代表する演出家・栗山民也が、パルコ劇場最後の新作舞台のために立ち上げた意欲作。「家族とはなにか」「女性の生き方とは」など壮大なテーマの中で、クセのある母娘4人の愛憎による人間らしさ溢れる壮絶なドラマの本作。母親を亡くした三姉妹が放浪の中、それぞれが抱える悩み、葛藤にどう向き合うのかを描く。同作品で蓬莱が第20回 鶴屋南北戯曲賞を受賞するなど、大好評で幕を下ろした本作が2019年3月に待望の再演が決定。
テーマは、“命”。普遍的で、それでいてさまざまな色や形をもつ「家族」。蓬莱が母と三姉妹の女性4人を中心に描く家族の在り方は、特に母と娘という関係にひそんでいる独特の愛憎を浮かび上がらせる。そして、栗山の人間への深い洞察力により、悲しくも愛しい「家族」と「女たち」の「生きる」姿と形を描き出す。
出演は新キャストを含め、実力派女優4人が集結。三姉妹の三女・シオには、16年NHK 連続テレビ小説『べっぴんさん』でヒロインを務め、その演技が高く評価され、近年、映画・ドラマに数多く出演し、めざましい活躍を見せる注目の若手女優・芳根京子。舞台は15年『幕が上がる』に続き2度目の出演となり、本作が初主演舞台となる。母親には、『フェードル』(17)、『にんじん』(17)と近年の栗山演出作品に立て続けに出演し、確かな演技力を見せつけたキムラ緑子。
そして、今作の初演時での演技が高く評価され、第24回読売演劇大賞・最優秀女優賞を受賞し、舞台を中心に活躍の幅を広げている鈴木杏が次女役を、舞台・映画と存在感・実力ともに高く評価される演技派女優・田畑智子が長女役を初演から引き続き演じる。
【芳根京子 コメント】
――出演が決まった時の気持ちをお聞かせください。
「すごくドキドキしています。これから本当に始まるんだぁって(笑)。実は、舞台は怖いと勝手に苦手意識を持っていて、怖いから戦う前に逃げたこともあるんですが、マネージャーさんから『怖いは理由にならない』って言われたんです。一度『幕が上がる』で舞台に出演した際、同世代の方が多くて純粋に楽しかったのですが、今感じているのは"舞台"の楽しさなのかなって疑問に思ったんです。舞台によく立たれている方が悩んでもがいて舞台を創り上げている姿を見ていたので"あ、違うかも…"って感じて。勝手に大きな壁を作ってしまったのかもしれません。
そういった経験もあり、以前から先輩方に『舞台を若いうちにやったほうがいい』とアドバイスをいただいていたんですが、あまりピンとこなくて…。でも、みなさんが言うってことは私には見えていない理由があると思いますし、実際に挑戦して自分もその感覚を味わって、今後私も後輩にかっこよく言いたいと思ったんです(笑)。そして、何より純粋に舞台をやってみたいと思いました。
一歩踏み出せなかった中で今回のお話しをいただいて、しかも4人しか出ないので、舞台と向き合うのにすごくチャンスだなと思います。栗山さんにもご指導いただけるので、舞台を創る楽しさを感じられるのかなと楽しみですし、どうなるか想像がつかないのですが、絶対乗り越えたいです」
――作品の印象はいかがですか。
「初演は映像で拝見させていただきました。今回の役を志田(未来)さんは今の自分と同じ年齢で演じられていたということで、自分は果たしてあそこまでいけるのか、とても不安です。でも新しい挑戦だからこそ、とっても大きな壁ですが周りのみなさんに"芳根がんばってんなー"と思われるように、先輩方にアドバイスを頂きながら乗り越えていきたいと思います。
台本を読ませていただいて、自分の役の台詞にチェックをしていたら蛍光ペンが一本なくなるほど台詞が多かったんです(笑)。でも、それだけセリフをいただけるというのはとても幸せなことなので、一言一句大切にしながら、生のお芝居の楽しさを自分でも感じたいですし、観に来てくれたお客さんにも感じてもらえたら嬉しいです。
シオちゃんという役は素の自分に近い等身大の役だな、という印象を受けました。なので、自分の中から出てくる感情を大切にしなきゃなと思いますし、長崎弁を頑張らないといけないので、きっと苦しむ三ヶ月になるんじゃないかなと思ってます(笑)。でもやりがいがあるし、いろんな景色が見えてくるんじゃないかなと思うので、やるからにはどんとこい!って気持ちで挑んでいきたいなと思ってます」
――本作への意気込みをお願いします。
「私自身もすごくワクワクしています。前回を観られた方も楽しんでもらえないと、もう一度やる意味がないと思うので、そのプレッシャーはあります。
まだイメージがわかないけど、映像作品をいろいろやらせていただいた中で、舞台で生きる新しい私を見せられると思います。きっと今までにやったことがない役で新鮮に思っていただけるんじゃないかなと思いますし、みなさんが引き込まれるような生のお芝居を感じていただければなと思います。
SNSでも"舞台やらないんですか"とか、地方の方々には"イベントで地元に来てくれませんか"とお声かけをいただいていたので、今回、色んな場所に行けるのがとても楽しみですし、実際に足を運んでいただけると嬉しいです」
【公演概要】
パルコ・プロデュース 2019『母と惑星について、および自転する女たちの記録』
作:蓬莱竜太 演出:栗山民也
出演:芳根京子、鈴木杏、田畑智子・キムラ緑子
東京公演:2019年3月5日(火)〜3 月26日(火) 紀伊國屋ホール
高知公演:2019年4月 2 日(火)、3 日(水) 高知市文化プラザかるぽーと 大ホール
北九州公演:2019年4月6日(土)、7日(日) 北九州芸術劇場 中劇場
京都公演:2019年4月12日(金)〜14日(日) ロームシアター京都 サウスホール
豊橋公演:2019年4月20日(土)、21日(日) 穂の国とよはし芸術劇場 PLAT
長崎公演:2019年4月25日(木)、26日(金) 長崎市民会館 文化ホール
企画・製作:株式会社パルコ
≪登場人物≫
辻シオ(三女)―芳根京子
母親のことがわからない。自分のこともわからない。妊娠しているが産むべきかどうかもわからない。母親の優しい記憶と母親が自分を置き去りにしようとした記憶が混在して混乱する。「母」いうものに恐怖を持っている。
辻優(次女)―鈴木 杏
新婚。夫を愛し、愛されている。母親のように結婚を失敗するまいと思い、専業主婦願望が非常に強い。しかし収入の安定しない夫と借金を抱えており、思い悩んでいる。
辻美咲(長女)―田畑智子
未婚。現実主義である。母親のようには絶対になるまいと思っている。しかし気が多く、新たに恋をするたびに別れてしまう、交際期間の長い恋人との結婚に踏み切れないでいる。
辻峰子(母)―キムラ緑子
三姉妹の記憶のイメージの中で色んな顔を見せる。時には荒ぶり、時には穏やかに、海のように大きくもあれば、路地裏のネズミのように矮小であったりもする。
≪あらすじ≫
三人姉妹は異国を旅行している。
三人姉妹の母親が死んで1ヵ月が経とうとしている。
三姉妹が文字通り、放浪してから1週間を超えていた。
彼女たちは、母の遺骨を抱えていた。
父親を知らない三人姉妹。母親は男を取っ替え引っ替えしては家を空けていた。酒、タバコ、博打が好きな母親だった。三人姉妹は幼い頃からおよそ母親らしい愛情を受けた覚えがない。裕福でもない。徹底的に放任されていた。
「私には重石が三つ必要なのー。」それが母親の口癖だった。
三人姉妹はその母親と闘うため、いつもよりそって生きてきた。
そんな母親の突然死。三人姉妹はどういう気持ちになっていいのか解らず、母親の生命保険の給付金で異国を旅行している。あてのない旅だった。目的もない、帰国の予定もない、特にやるべきこともない、そんな旅だった。
長女の辻美咲は未婚で、子供はいない。結婚はしたくないと思っている。
次女の辻優は結婚したばかりだ。子供がなかなか出来ない。愛に生きると思っている。
三女の辻シオは妊娠していることを隠している。自分だけは父親が違うのではと思っている。三人姉妹は母親の遺伝子を受け継いでいること、母親と同じ血が流れていることに無意識の恐れのような感覚を抱いている。
そしてある日。異国の市場に風が吹き荒れる中、死んだはずの母、辻峰子が立っているのを見る。あの母親は自分にとって何であったのか。母親の突然死は何であったのか――