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2015/09/10 20:38

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野村萬斎による『現代能楽集』シリーズの最新作。「三島由紀夫を超える”平成の現代能楽集”になれば」

現代能楽集VIII『道玄坂奇譚』制作発表会の登壇者。(前列左から)一路真輝、平岡祐太、倉科カナ、眞島秀和。(後列左から)野村萬斎、水田航生、根岸拓哉、マキノノゾミ。(C)De-View
現代能楽集VIII『道玄坂奇譚』制作発表会の登壇者。(前列左から)一路真輝、平岡祐太、倉科カナ、眞島秀和。(後列左から)野村萬斎、水田航生、根岸拓哉、マキノノゾミ。(C)De-View

 世田谷パブリックシアター芸術監督の野村萬斎が立ち上げた『現代能楽集』シリーズの第八弾となる『道玄坂綺譚』の制作発表会見が、9日に都内で行われ、野村をはじめ、作・演出のマキノノゾミ、平岡祐太、倉科カナ、眞島秀和ら出演者が出席し、舞台への意気込みを語った。

 同舞台は、世田谷パブリックシアター芸術監督の野村が古典の知恵と洗練を現代に還元すべく立ち上げた『現代能楽集』シリーズで、今作は、作・演出をマキノノゾミが初めて手掛け、三島由紀夫作『近代能楽集』の二作、『卒塔婆小町(そとばこまち)』と『熊野』を土台とし、現代のネットカフェを舞台に、能の幽玄な世界、三島の耽美な世界を新作現代劇として描く。

 舞台は、繁華街のネットカフェ。映画監督を志す従業員のキイチ(平岡祐太)は、ネットカフェに長期滞在する年齢不詳の女・コマチ(一路真輝)に興味を抱く。彼に促され、コマチは往時を振り返る――。また、同じネットカフェにてその日暮らしをする家出少女・ユヤ(倉科カナ)のもとに、実業家のムネモリ(眞島秀和)が現れる――。『卒塔婆小町』と『熊野』、そして現代と幻想が入り乱れ重なりながら進んでいき、観ているものをこの世界ではないどこかへといざなう幻想譚。

 企画・監修を務める野村は「三島由紀夫の『近代能楽集』は昭和の匂いが非常に強く、やや時代劇がかってきているので、現代の作家にトライしてもらいたいと、マキノさんにお願いしました。期待できる作品です」と語り、「三島を超える、平成の“現代能楽集”になればいいなと思っています」と期待を寄せる。三島の2作を1つの作品に融合させての上演について、マキノは「2つの作品を1つに構成しなおすというのはめんどくさい作業ではありますが、同時に“次は何が起こるんだろう?”というのを予測させない効果があると思います。観てくださる方には、常に驚いて楽しんでいただきたいと思っています」とコメント。

 平岡は出演について「去年の10月頃にお話をいただいて。あまりに想像ができなさすぎて、自分自身できるのか?とすごく迷った記憶があります。でも、いろいろ詳しいお話を聞いていくうちに、どうやら能をやるわけではないとわかり安心しました」と話し笑いを誘い、「三島作品は、言葉が美しかったり、力強かったりする。そういう要素を踏まえながら、マキノさんの作る新しい作品を、みなさんとともに作りあげて、お客さんに届けられたらと思います」と意気込みをコメント。

 倉科は「どんな舞台になるのか想像がつかなくて、でもそこもまた楽しみでもあります」と笑顔をみせ、「毎日、毎日いろんな挑戦をして、自分一人の感性や読解力では追いつかないところもあると思うので、みなさんのお力をお借りしつつ、より一層ステキな舞台にしていきたいと思います」と謙虚にコメント。眞島は「『卒塔婆小町』と『熊野』を読んで、ファンタジーのような美しい部分と、生々しい人間臭い部分の両方が絶妙なバランスで含まれているなと感じました。読み終わって、なんとも言えぬ違和感というか、気持ちがざわざわした。それがこの作品の魅力なんだと思います。これが現代劇として融合されてどうなるんだろうと興味を持ちました」と三島作品の魅力を語った。

 以前、舞台『金閣寺』で三島由紀夫作品を経験している水田航生は「その世界にまた触れることができるんだなというのが楽しみです」と笑顔で語り、「三島さんが能を昭和に置き換えて、それを平成の今の時代にマキノさんが新たに書いてくださる。僕は平成生まれなので、その作品をいかに体現して、僕等みたいな若い世代にも能楽というものをわかっていただける作品になることを目指して、稽古に取り組んでいきたいです」とコメント。俳優集団・D-BOYSのメンバーでもある根岸拓哉は「僕はストレートプレイの演技というのはほとんど初めてに近くて、三島さんの2作を上演するということで不安もありますが、すごく楽しみな気持ちのほうが強いです」と語り、「僕は19歳なのですが、大先輩の方々の背中をみて、奪えるものは奪って、背中を追うだけでなく同じ立場に立ち、三島由紀夫の舞台観、マキノさんの世界観に染まって、素晴らしい作品の中のひとりの役をつとめさせていただければと思います!」と力強く意気込みを語った。

 ”現代版・卒塔婆小町”を演じる一路真輝は「(根岸の)19歳の衝撃から立ち直ってないんですが。隣には平成生まれの方(水田)もいらっしゃるし……」とコメントして笑いを誘いつつ「どの作品でも最年長に近い立場になってきて。私の演劇人生の半分以上がミュージカルでしたが、ここ最近、ストレートプレイや翻訳劇と触れて“新たな世界を見つけたい”と思っている時期に、野村さんとマキノさんの最強タッグの作品に参加させていただくことが、ここからの演劇人生における挑戦の場だと思っています」と決意を新たにした。

 現代能楽集VIII『道玄坂綺譚』は、11月8日(日)〜21日(土)世田谷パブリックシアターにて上演。

 なお、オーディションエンタメ情報サイト『Deview/デビュー』で掲載中の俳優集団D-BOYS連載『D-DAYS』には、根岸拓哉が、白又敦、土屋シオン、前山剛久、大久保祥太郎ともに登場。同舞台のみどころなどをたっぷりと語っている。

関連写真

  • 現代能楽集VIII『道玄坂奇譚』制作発表会の登壇者。(前列左から)一路真輝、平岡祐太、倉科カナ、眞島秀和。(後列左から)野村萬斎、水田航生、根岸拓哉、マキノノゾミ。(C)De-View

  • 現代能楽集[『道玄坂奇譚』に出演する平岡祐太。(C)De-View

  • 現代能楽集VIII『道玄坂奇譚』に出演する倉科カナ。(C)De-View

  • 現代能楽集VIII『道玄坂奇譚』に出演する眞島秀和。(C)De-View

  • 現代能楽集VIII『道玄坂奇譚』に出演する水田航生。(C)De-View

  • 現代能楽集VIII『道玄坂奇譚』に出演する根岸拓哉。(C)De-View

  • 現代能楽集VIII『道玄坂奇譚』に出演する一路真輝。(C)De-View

  • 『現代能楽集』シリーズを立ち上げた、世田谷パブリックシアター芸術監督の野村萬斎。(C)De-View

  • 現代能楽集VIII『道玄坂奇譚』で作・演出を手掛けるマキノノゾミ。(C)De-View

  

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