山田裕貴 | インタビュー | Deview-デビュー

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インタビュー「山田裕貴」

2019/08/17

「緊張しすぎて本来の自分を見せずに終わるオーディションって、本当にもったいないと思う」

山田裕貴

――雪次郎が役者を目指して東京で一人暮らしをしていた部屋に貼ってあった『魂』とか『全身芝居』とかっていう言葉もまさにだなと。

「あれ全部、恐ろしいくらいにシンクロしてるなって思いました。あの張り紙も含めて、スタッフさんと事前に打ち合わせしたわけでもぜんぜんなくて。いろいろと引き引き寄せてもらったのか、引き寄せたのか、どっちの引力もピッタリ合ったのかなと」

――自分とリンクする役って演じやすかったり、演じにくかったりするタイプの方がいますが、山田くんはどうでした?

「俳優を目指して頑張っている役っていうのはすごく気持ちがわかるなって思いました。17週で蘭子さんにフラれて風車で飲み倒したあと、朝起きてなっちゃんに語っているところとかもそうですが、『本当は仲間たちと一緒に演劇がやりたかった。こいつらが好きだったし』っていうのと、『役者を志したきっかけでもある憧れのトップの女優さんと共演したい』という思いもあるっていう、それってどっちもとれないし、だからこそ雪次郎は迷ったままだった。そこに加えて蘭子さんへの恋愛感情があったりしていたから、よりわからなくなっていて、それを蘭子さんが断ち切ってくれて良かったなって思いました。それはすごくわかる瞬間だったんです。野球をやらなきゃいけないっていう思いに駆られていた僕の少年時代にリンクしていたというか」

山田裕貴

――山田くんのお父さんはプロ野球選手でしたしね。

「そうなんです。そういうところで、自分の家が菓子屋だから、将来は自分も菓子職人になって後を継ぐんだろうなと思った雪次郎の想いに本当に重なるなって思ったし、こんな偶然あるのかなって。やっぱり雪次郎という役は、そういう意味でも自分にとって特別だなと思うし、シンクロ率でいうと異常なほどですよね。あと、母ちゃん(仙道敦子演じる妙子)の言葉とかもすごく思い出します」

――“雪次郎の乱”で、母が雪次郎のためにカレーライスを作ってあげて背中を押す、あのシーンもすごく印象に残っています。

「あのシーンが放送された後、母親から連絡がきて、母ちゃんの『雪次郎がやりたいことを応援したいだけだわ』っていうセリフに対して、『それが私の全部思っていることだよ』って。それを読んで、“え? そっちまでシンクロする!?”みたいな(笑)。怖いくらいにシンクロしていて、ちょっと不思議な力を感じています」

――役者になりたいという夢を打ち明けたとき、山田くんのご家族はどのような反応だったんですか?

「父親からは『俺は野球をやれとは一言も言っていないが、自分からやるって言って、途中で辞めたよな。だから、次にやるって決めたことは、最後まで死ぬまでやれ』って言われて。僕もそう言われなくてもその覚悟だったし、もちろんそうするつもりでしたけど。そういう会話があったあとは、わりと普通でした。ただ、めちゃめちゃ覚えているのは、上京する日、すごく寂しそうな顔をしている妹とおかんが家の前で見送ってくれて。『頑張ってね』って言っているんだけど、なんか伝わってくるものがあって。それで、最後に車で名古屋駅まで送ってくれオヤジが、めったに言わないけど、『頑張れよ』って送り出してくれたんです。それで新幹線に乗ったあと、そこからヤバかった。隣にお母さんと赤ちゃんがいたんですけど、僕、涙が止まらなくて、ずっと窓際を見ながら泣いていました」

山田裕貴

――離れてみて気づいた家族の温かさみたいなものを実感したんですかね。

「そこから27歳くらいになって、実家に寄ったときにデジャブを感じたことがあって。同じように妹とおかんが見送りに家の前まで出てきて、オヤジが名古屋駅まで車で送ってくれて。でも、そのときのみんなの顔が、僕が上京したときの顔とはまったく違っていて。なんか、ルフィを見る仲間の目みたいな感じだったんです! “もうこいつなら大丈夫だな”っていう感じ。そういうのを感じて、ちょっとは成長したのかなって思いました」

――役者になりたいという想いはどんな風に伝えたんですか?

「特に何も考えなかったんですよね。普通にテレビを見ながら、『東京に行って、俳優になりたいんだけど』って話をしました。よくある長年のカップルが何気ないときに『で、結婚する?』みたいな、ああいう感じで(笑)。たぶん、オヤジもおかんからなんとなく聞いていたんだと思うけど、さっきの『次やると決めたことは最後までやれ』っていう約束以外は、『なんでだ?』とかも言われなかったし、『成功するまでは帰ってくるなよ』っていう感じでしたね」

山田裕貴

――上京する際、地元の友達にも成功するまで帰らないというような約束をしたっていうことも以前おっしゃっていましたよね。

「そうなんです。だから、『コレに出るから観て』とか友達に言ったことがほとんどない。自然とみんなが観たくなるような役者にならなきゃダメだなと、地元を出た10年前から思っていたし、地元の友達が自慢できるくらい、僕が役者として知られていないとカッコ悪いなって思っていたので。本当に最近なんですよね、地元の友達から『めっちゃ出てるじゃん』って言われるようになったの。地元の友達に『観て!』って宣伝したのは、『あの頃、君を追いかけた』くらい。あれは自分の高校生活を思い出して作った感覚があったので、地元の高校の友達が観たら絶対に大笑いするだろうなって思ったから連絡したんです。そしたら案の定、『山ちゃん、変わってないな』っていう声多かった(笑)」

――『なつぞら』のほか、10月4日には映画『HiGH&LOW THE WORST』が公開されます。4年前からずっと演じてきている鬼邪高校の村山良樹という役も思い入れが強いのでは?

「そうですね。雪次郎と同じように、村山も自分のパーソナルな部分が入った役でもあるので。あと、今回はあの人気漫画『クローズ』『WORST』とのコラボということで、“あ、ここの世界軸って一緒だったんだ”っていうことにとても感動しました。しかも、原作者の橋ヒロシ先生が脚本にも加わってくださって、すごく嬉しかったですね。鬼邪高でスピンオフ作品をやるっいうのは、僕を含め、古屋役の鈴木(貴之)くんと関役の一ノ瀬(ワタル)くん、鬼邪高定時制チームの念願だったし、何百回も妄想してきたストーリーだったので。最初はSWORD地区で唯一負けるチームだったけど、よくここまでこられたなという感じです」

山田裕貴

――鬼邪高はチームのカラーもそうですが、雑草魂で這い上がってきた感がありますよね。

「ただ正直な話をすると、鬼邪高のスピンオフがやれるって聞いたときに、本当に良かったなって思ったし、鬼邪高の頭として仲間たちに恩返しができるなって思ったんです。鈴木くんと一ノ瀬くんは、各段にセリフの量も少なかったから、もっとしゃべらせてほしいなっていう思いもあって。僕ら鬼邪高がフィーチャーされれば、僕以外の鬼邪高の人たちがいっぱい出られるなって思っていたんです。でも、定時制が主軸の物語ではないという話を最初に聞いて。悔しい想いもしましたが、『HiGH&LOW THE WORST』はいろんなコラボがありますし、ハイローシリーズならではの世界観ももちろんあって、映画としては最強に面白いし、ぜひ楽しみにしてもらえたらって思います」

――そして10月29日からは、久しぶりの舞台となる『終わりのない』も控えています。こちらは、イキウメの主宰・前川知大さんの作品ですね。

「出演が決まったときはめちゃくちゃ嬉しかったです。前川さんの作品は僕が好きなジャンルでもあるし、劇団の舞台の中で一番観に行っているのが、たぶんイキウメだと思います。前川さんの作品はSFと日常をテーマにした作品で、僕も好きなその世界観に関われるっていうのが本当に嬉しい。どんな稽古になるのか今から楽しみですし、前川さんはじめ、イキウメの劇団員のみなさんとご一緒させていただけるということで、いろんなことを勉強して吸収できたらと思っています。ちょっと怖さもありつつもワクワクした気持ちでいっぱいです。来年、30歳になりますし、シンプルな言葉を選ぶとしたら、ちゃんと良い俳優になれるよう、深みまでどっぷりと入りたいなと思います」

山田裕貴

――では最後に、オーディションを受けようと思っている読者に向けて、山田さん自身の経験を元にアドバイスをいただけますか。

「これまでのオーディションを振り返って思うのは、緊張は無駄だなって思います。『デビュー』さんの取材で、けっこう読者のみなさんに『緊張しないで自分らしく挑戦してみてください』って、これまでも言ってきたと思うんですが、緊張しすぎて本来の自分を見せずに終わるオーディションって、本当にもったいないなって思うんです。『僕なんて……』『私なんかが……』っていうような憶する気持ちでいるのはもったいない。僕自身も3年目くらいまであったし、緊張って誰しもすることだとは思うんですが、大きく考えたらみんなヒト科の動物だし、いきなり50歳になっている人もいないですから」

――誰しもみんな最初は“新人”ですしね。

「みんなその気持ちがわかるし、わかっている人たちだから、安心してオーディションに臨めばいいんだって、僕も途中から考えるようになりました。きっとちゃんと見てくれようとしているとか、信じられないから緊張するのかなと。やっぱりあるじゃないですか、入ってきた瞬間に目を惹く子って。それが具体的に何なのかって言われたらわからないんだけど、そういうのってあるんですよね。だから、僕もオーラを纏おうと思ったり、それを目に宿そうとか、今の言葉にのっけようとか、そういうことを考えるようになったかも。それって根拠のない自信で良いと思うんです。自分を良く見せようとする過信はダメだけど、謙遜しつつも自分を信じて自信を持つことも大切なのかなって思います」

連続テレビ小説『なつぞら』で注目の山田裕貴が、ワタナベエンターテインメントBOYSオーディションをアピール

PROFILE

山田裕貴(やまだ・ゆうき)●1990年9月18日生まれ、愛知県出身。ワタナベエンターテインメント所属。2011年『海賊戦隊ゴーカイジャー』で俳優デビュー。その後、ドラマや映画、舞台等で活躍。近年の主な出演作に、映画『あゝ、荒野』『万引き家族』ドラマでは『ホリデイラブ』『健康で文化的な最低限度の生活』主演映画『あの頃、君を追いかけた』2019年は『大全力失踪』『特捜9』。現在放送中の連続テレビ小説『なつぞら』(NHK)に出演中。今後、映画『HiGH&LOW THE WORST』(10月4日公開)舞台『終わりのない』(10月29日〜世田谷パブリックシアターほか)映画『嘘八百 続編』(2020年新春公開予定)などが控える。

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ワタナベエンターテインメントBOYSオーディション2019

ワタナベ

瀬戸康史、志尊淳、山田裕貴ら若手俳優が多数所属する「ワタナベエンターテインメント」が、俳優・モデル・歌手・声優などを目指すスターを発掘する男性限定オーディションを開催中。そして、この度、好評につきオーディション最終日の応募締切の延長が決定!

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