――今作で楽しみにしていることはありますか？

久保田秀敏「「土方篇」は、いわば『薄桜鬼』の王道のストーリーですし、『お前こそが【薄桜鬼】なんだ』と名付けられた、その最後の最後、命尽き果てるそのラスト1秒まで生きられる、そこまでの景色を見られるというのが一番の楽しみです。それと、キャストには続投メンバーも多いですし、人となりもわかっているみんなと一緒に作れるというのも楽しみですし、今作から脚本・演出を初演から「薄ミュ」を創り上げてきた毛利亘宏さんが再び担当することになり、スタッフさんも変わられたりしている部分もあるので、今までにないミュージカル『薄桜鬼』をまた一から新しく作れるという楽しみもあります」

――「薄ミュ」をはじめ、数多くの作品で活躍されている久保田さんですが、改めて、この仕事の魅力・楽しさというのは、どんなところで感じていますか？

久保田秀敏「ありふれた言葉になってしまうかもしれませんが、やっぱりいろんな人生を生きることができるというのは、良い気分転換にもなるし、普段、僕たちが生きている中で思っていることを役を通して素直に言えるというのは、役者ならではだし、それが役者の醍醐味なのかなと思います。その役を降りた後は、1人の人間として普段の生活に戻って、その普段の生活の中でいろいろと得た体験や情報をまた役に昇華して演じることができるっていうのは、役者でしかできないことなのかなと。なので、自分の感覚では“仕事”というより、“もう1人の人間を生きている楽しい時間”という感覚です」

――では、最後に『デビュー』読者をはじめ、ミュージカル『薄桜鬼 真改』土方歳三 篇を楽しみにしている皆様へのメッセージをお願いします。

久保田秀敏「僕自身もこの仕事を始める前から、当時は雑誌でしたが『デビュー』を読んで、そこからこの業界に入る1つのきっかけ作りをしていました。当時は自分の周りにこの業界の知り合いとかもいませんでしたし、ただがむしゃらに自分で道を開いていくしかなくて、そんな中で『デビュー』でいろいろと情報を得ていたことを今でも鮮明に覚えています。何か大きい夢があったとして、今の自分には到底無理だなっていう想いになることもあるかもしれませんが、でも諦めずに強い想いを持ち続けていたら、きっとその夢に近づくことは少なからずできると思うんですよね。その想いを行動に移すか移さないかでもガラっと変わってくると思うので、まずはその一歩を踏み出してほしいです。その一歩を踏み出したからこそ、僕も今こうやってミュージカル『薄桜鬼 真改』土方歳三 篇という作品で、主演をやらせていただくことができている。“この世界に興味があるけど…”と迷っている方がいたら、この作品を観に来ていただければ嬉しいです。“土方歳三を演じているあの人も『デビュー』読んでいたんだ、そんな人があんな風に主演をやっているんだ”みたいな、そういう1つの光みたいなものを見つけていただけたらとても嬉しいですし、その人の最初のきっかけになれたら、これ以上幸せなことはないです。お互いにエンタメを自分の人生の活力として頑張っていけたらなと思いますので、ぜひ劇場にお越しください！ 誠心誠意、頑張ります!!」