前田敦子 | インタビュー | Deview-デビュー

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インタビュー「前田敦子」

2019/07/08

「自分がやりたいことを口に出すということを、14歳から今まで、ずっとやってきて良かった」

前田敦子

――最初のオーディションの時から『女優がやりたい』と言っていましたよね。

「そうですね。当時はまだ14歳だし、そこに明確な理由というのはなかったと思うんですけど、『女優がやりたい』と言い続けて、今もやれているので。言っていて良かったなと思います。なぜやりたいかの理由はわからないけど、やってみたいなという想いがあるなら口にしておこうと思っていて。そうすると、自然とお仕事の軸が決まっていくというか、周りの人も『女優をやりたいと思っているんだったら、オーディション受けてみれば?』って、オーディションに参加させてもらって、映画に出演させていただく機会もあったので。自分がやりたいことを口に出すということを、14歳から今まで、ずっとやってきて良かったと思います」

――AKB48在籍時代からドラマや映画に出演されてましたが、特に芝居への思いが強くなった作品や転機となった作品は?

「気持ちの変化が大きかったのは、山下(敦弘)監督の『苦役列車』ですね。もともと山下監督の映画『天然コケッコー』が一番好きな映画だったので、山下監督の作品に呼んでもらえたことがすごく嬉しくて。でも、自分が大好きだけでは終わらず、山下監督をはじめとするみなさんが『こっちおいでよ』って手招きしてくれたように感じたんですね。私はここで頑張ってもいいのかなって思わせてくれた現場だったなって思います。でも、同時に、自分の異物感みたいなものもすごく感じたんです。やっぱり私は外から来ている人だなって。山下監督にも当時、言われたんですよ。AKB48としていろんな活動をさせていただいていたので、『自動販売機のポスター見てもあっちゃんがいるし、コンビニに行ってもあっちゃんを見かけるから、アイドルの子なんだっていう認識しかできていなかった』って」

――卒業した年の夏に公開されているから、撮影自体はアイドルシーンのトップを走っている時期ですよね。

「でも、そう言われて、悔しいなと思って。ちょうど二十歳くらいだったので、このままじゃいけないなとも思っていたし、アイドルを続けていくにしても、このままじゃダメだなと思っていました。今は、例えば指原(莉乃)も26歳まで頑張ってたじゃないですか。アイドルの年齢層も上がってきているのかなと」

――前田さんや高橋みなみさんと同い年の柏木由紀さんは現役ですしね。

「そうなんです。乃木坂46の(白石)麻衣ちゃんだって、1つ下ですもんね。あんまり私と年齢が変わらないので、“私、もう少し頑張れたかな?”って思ったりもしますけど(笑)、あの頃は焦りを感じていまし、当時は私のアイドルとしての賞味期限だって自分で判断しましたね」

前田敦子

――卒業後に、ずっと好きだった映画の世界に入って、どんなことを感じました?

「映画の世界は一番、そのままでいられる場所なのかなと。それぞれの個性が必要とされるから、誰の真似もしなくていいですし、“自分はこうです”っていうのを、当たり前に出せる場所なんじゃないかなって思うので、すごく楽ですね」

――卒業してから7年ですから、AKB48の活動歴と並ぶ7年を女優として歩まれてきたわけですよね。先ほど、転機となったという山下監督とは、卒業後の2013年に公開された主演映画『もらとりあむタマ子』で再会していますが。

「お芝居をやっていく中で一番幸せだなって思うことは、監督さんやスタッフさんに再び呼んでいただいて、また一緒に作品を作れることなんですよね。1回で終わるのはとても淋しいことですし、“やっぱり自分はダメだったのかな、認められなかったのかな”って思っちゃったりする。こんな風に短期間で、『お久しぶりです』って言うことができたのは嬉しかったです。でも、“ここが自分の居場所だ、私は女優になったんだ”と感じられたっていうよりは、山下監督をはじめ、映画界の方々がそこにいれる環境を作ってくれたという感じだったなって思います」

――現在公開中の主演映画『旅のおわり世界のはじまり』も黒沢清監督と二度目のタッグですね。

「黒沢監督とは信頼関係が築けた方かなと思ってはいますね。……いや、次があったら、そうやって言おうかな」

――3作目でやっと言えるっていう感覚ですか?

「1度主役をやらせてもらったら、その次が重要だと思うんですよね。主演をやらせていただいた後、もう1回、呼んでもらったら本物だなって、自分にプレッシャーをかけることにしてます。これで満足はしちゃいけないなって。黒沢監督には特にそう思いますね。きっとまた仕事ができるはずって思いたいから、これで安心しちゃいけないって思うようにしています」

前田敦子

――他にも、今年はすでに『マスカレード・ホテル』と『コンフィデンスマンJP -ロマンス編-』『町田くんの世界』『旅のおわり世界のはじまり』と出演映画が半年で4作品も公開されています。

「一昨年くらいに自分で志願したんです。とりあえず、ずっと働いていたい!って。仕事欲が強すぎて、『なんでもいいから仕事していたいんです』って言いました。事務所の人たちも、私のことを10代から見てくれている人たちばかりなので、『やりたいんだったらやってみようか』って言ってくれて。小さい役でもポンポん入れてもらって。“よく見たら、ここにも前田敦子がいる!”みたいな(笑)。そういう出方をしたのは初めての経験だったんですけど」

――主演やヒロインとしてではなく、脇役としての出演で、また違った経験もできました?

「こういう居方もありだなって感じまし、すごく楽しかった。主役だとできることって限られてしまったりするんですよね。出番が少ない作品の方がより高度なことを求められていると思うんですけど、それもすごく楽しいんですよね。監督さんも、“ちょっとしか出てないんだから、インパクトをちょうだいよ”っていう圧をかけてくるというか。『町田くんの世界』の石井監督もそうだったんです」

――『町田くんの世界』の前田さんは、すごく印象に残るキャラクターでしたね。

「最初から『前田さんにかかっているからね!』って言われて。『あなたが引っ張っていかないといけないのでよろしくお願いしますね』ってはっきりと言われたんです。“こういうポジションの役だと、こういう役割も担わないといけないのか”という、プレッシャーもあったんですけど、どの位置にいたって適当に扱うことはしないし、どの役にも同じくらい情熱を注いでくれるのが監督さんなんだなと。現場や監督さんの姿勢をいろんな目線で見ることができたのは貴重な経験だったなって思います。それに、インパクトを残すために頑張ろうって思っている自分もいましたし、そういう挑戦もさせてもらえるので、こういう出方はすごく楽しいですね」

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