竜星 涼 | インタビュー | Deview-デビュー

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インタビュー「竜星 涼」

2016/05/11

「(この映画で)俺のイメージが壊れたんだったら、逆に“成功”っていう感じかな(笑)」

竜星 涼

“絶対に読んではいけない漫画”『シマウマ』が禁断の実写映画化。依頼人の恨み憎しみなどを暴力により回収する組織“回収屋”の世界へ足を踏み入れる主人公・ドラを演じた竜星涼くんに直撃インタビュー。熱血漢なヒーローや爽やかイケメンなど、これまで演じてきた役柄とは真逆の、裏社会で生きる“ダークヒーロー”を体当たりで熱演!


竜星涼
“絶対に読んではいけない漫画”と言われている原作コミックですが、ご存じでしたか?
「映画のオファーをいただいてから、原作を読んだんですが、率直な感想としては“果たしてこれをどこまで実現できるんだろう!?”と思いました。台本のト書きに、漫画に出て来る描写が書いてあるんですが、“これを今の時代、映画化するの!? すごくない!? 超面白いじゃん!”みたいな興奮があって(笑)。この漫画の世界観が好きで浸っている人はたくさんいるから、その世界観が映画でも成立していれば、『面白い』と言ってくれる人が必ずいると思いました。こういうハードな世界が苦手という人も、観てもらえたら嬉しいです。とは言え、全員に良かったと言ってもらえるとはこれっぽっちも思っていないんです。賛否両論あってこそ映画だと思いますし、だからこそ、“映画らしい映画を作った”という自負もあります」
今までの竜星くんのイメージを打ち壊すような役柄だと思いますけど、リスクは感じましたか?
「全くなかったです。受け入れやすさが重要視される映画が多いなか、“絶対に読んではいけない漫画”を実写化しようとすることは、プロデューサーの世の中への挑戦だと思うし、僕にとっても挑戦なんです。この作品のおかげで、“こういう一面もある”“こういう表情も出せる”という点をいろいろな方々に知ってもらう、良いきっかけになるし、自分にとってもターニングポイントになるだろうなという想いがありました」

竜星 涼
なるほど。でも若いファンの子はびっくりしちゃうかもしれませんね(笑)。
「そこが狙い……っていうわけじゃないですけど、ファンの望むイメージにばかりにすがっていてもダメだし、逆に『シマウマ』の僕がいいって言ってくれる人がいる分、嫌いって言う人は必ずいると思うんです。でもそういう意見はどんなものでもありがだいですし、俺のイメージが壊れたんだったら、逆に成功っていう感じかな(笑)」
でも確かに、今までにないハードさはカッコ良かったです。
「こういう作品やテイストが好きで憧れていたので、やってみたかったんです。もっとハードボイルドな作品や泥臭い役柄も挑戦してみたいですし、そういう作品で揉まれてみたかった。でも、観ている側と、実際に出演するのでは全然違っていて、難しかったです。いきなり(感情の)沸点を高くして演技しなくちゃいけないシーンもあるんですけど、日常生活ではそういうことはあまりないし、『シマウマ』で描かれるようなすごいことも普通はなかなか経験しないじゃないですか。非日常の括りのなかで、リアルに見せるのは難しいなと感じました」

竜星 涼
特に難しかったシーンは?
「今回はほとんど全部、やったことのない演技だったんです。アクションシーンでも、馬乗りになって殴るシーンの際、撮影では下に敷いたマットを殴っていたんですが、途中からマットがズレしまって、でも途中で止めるわけにいかないから床を殴って血を流しながら演じていました。そういうアクションシーンは難しかったです。それに橋本 一監督が変態なんですよ(笑)。ニヤニヤしながら、なかなかカットをかけないんです(笑)。だからこっちもずっとやり続けるんですが、本気で殴っているからボロボロになるし、痛いし、息はきれるし、だんだん余力がなくなってきて……。でも、何故かそれがすごく気持ち良かったんです。“まだカットがかからないな”とは思うんですけど、役者から何かを引き出してくれているのがわかるし、こっちのテンションが上がりきるのを待ってくれているっていう気がして。それに、カットがかからないということは、芝居が間違っていないということの証だなと思えるので、信頼をおいて臨めました」
目を覆いたくなるようなリアルなアクションシーンは迫力ありました!
「特に、クライマックスの(福士)誠治さん演じる網川とのシーンは、僕も途中から、“あれ、これ、ホラー撮っているのかな?”と思うくらいでした(笑)。でも誠治さんとのアクションは本当に楽しかったです。映画中盤、喫茶店でドラが網川に一方的にボコボコにされるシーンがあるんですけど、ほとんど段取りなしでいきなり本番だったんです。そこで誠治さんが俺に『殴るから受けてよ』ってサラッとおっしゃって。アクションって殴る方がうまくても、受ける方がうまくないと成立しないんですよね。そこで誠治さんがそうおっしゃってくれたってことは、僕のことを信頼してくれているんだと嬉しかったですし、その信頼に応えたいと思いました。誠治さんも段取りがなくても、カメラのアングルとかちゃんと理解されているから、殴っているように見えるポジションを全部入れてくるんです。だから、やっていてすごいアドレナリンが出ました。段取りがあると何発殴ったら終わりとかなっちゃうけれど、そこは生のやり取りができて、リアルなシーンが撮れたんじゃないかなと思います」

竜星 涼
他の共演者の皆さんとはいかがでしたか?
「今回のキャスト陣はみなさん素晴らしくて。各々、他の作品では観たことがないような姿をこの映画の中で披露していて刺激を受けました。アカ役の須賀健太くんなんて、『ダークナイト』のジョーカーだなって。普通の芝居もできるけど、こういう振り切れた役の芝居もできるっていうのがすごい。それにプロ根性も素晴らしかった。向こうもいろいろ投げてくるから、それに対して俺も投げ返すのが楽しかったです。高橋メアリージュンさんとは、初対面の日に、彼女を水攻めにするシーンの撮影があって、“本当にすいません”っていう感じでした。でもメアリージュンさんからは『遠慮しないできてください』って言ってもらって……」
ドラの役作りや、演じていて感じたことは?
「自分のやりたいようにやらせてもらっていたんですけど、監督からはクランクインの日に、『ドラがいた』と言ってもらったので、その言葉を信じてやっていました。“回収屋”という職業については、例えば、“自分自身が恨んでいる人間に復讐する”なら理解できるんですけど、他の人に依頼された何も関係ない人間にひどいことをするのは、演じていてちょっとスッキリしなかった部分があって、個人的には罪悪感がありました。ただ、だからこそ、その罪悪感にドラとしてちゃんと向き合って、この仕事を腹くくってやっていくっていう覚悟を見せたつもりです。特にメアリージュンさん演じる彩を生かすシーンは、ドラではなく、竜夫としての弱さが出ているんじゃないかと思います。やっぱり生身の人間としての感覚があった方がいいと思っていたので、意識したところです」

竜星 涼
竜星さんのブログに、「絶望と向き合いながら撮影していた」と書かれていたことが印象に残っています。
「2週間くらいで一気に撮影したので、精神的に切羽詰っていたんだと思います。“常に自分で自分の首を絞める”じゃないですけど、追い込まれている感じはありましたし、撮影中のことをあんまり覚えていないんです(笑)。今思うと、そういう状況がいいように役に反映できたかなと思います」
そんなハードな撮影の中、何か和むエピソードはありますか?
「待機スペースがカラオケボックスだった時があって、誠治さんと二人で歌いました。唯一、ちょっと和んだ瞬間ですね。誠治さん、超歌上手いんですよ! 僕は長渕剛さんとか矢沢永吉さんとか歌っていました」
ドラは、劇中、“回収屋”として生きていくことを決意しますが、竜星さんが芸能界に入って、俳優としてやっていこうと決意したきっかけや作品はありますか?
「スカウトしてもらって事務所に所属した時に、“俳優としてやっていこう”っていう覚悟はありました。もちろん、今はその時よりもずっと濃い覚悟になっていますけど。そこから6年くらい経って、今、23歳になりましたけど、やっと役者としてのスタートラインに立てたかなと思っています。役者としていろいろな作品に携わって、広い世界を知って、やり方を学んで。本気でやっていくためにはどういうキャリアを積んでいけばいいのかを真剣に考えています。この作品はドラの成長物語のような側面もあると思うんですけど、もがき苦しんでその世界で認められようとするドラと、俺が芸能界で本気で頑張ろうと思うのと重なりますよね」

竜星 涼
最後になりますが、2nd写真集『023』でも披露していた見事な肉体美を、劇中でも見せてくれていますね。
「そうなんですよ〜。いやでも、これだけはハッキリ言えるのは、僕が好んで脱いでいるわけじゃないんです!(笑) 。脱ぐことが作品として必要だったら、もちろん拒否する理由はないですけどね」

インタビュー・終

撮影/草刈雅之 取材・文/熊谷真由子

Profile

竜星 涼
りゅうせい・りょう●1993年3月24日生まれ、東京都出身。研音所属。ドラマ『素直になれなくて』で俳優デビュー。『獣電戦隊キョウリュウジャー』でキョウリュウレッド/桐生ダイゴ役で注目を集め、その後、ドラマ『GTO』、『ごめんね青春!』、映画『orange-オレンジ-』などに出演。志田未来とW主演の映画『泣き虫ピエロの結婚式』が9月24日に公開される。

INFORMATION

『シマウマ』
『シマウマ』
『シマウマ』
(C)2015東映ビデオ

映画『シマウマ』5月21日(土)ヒューマントラストシネマ渋谷ほか、全国ロードショー

『ヤングキング』にて連載中で、現代社会の暗部を強烈に切り取りながら身近に潜む闇を炙り出す、小幡文生による“絶対に読んではいけない漫画”『シマウマ』が禁断の実写映画化。
他者が受けた屈辱などをありとあらゆる方法を用いて昇華させる“回収屋”の世界へ足を踏み入れる主人公・ドラ/倉神竜夫を竜星涼が演じるほか、回収屋の一員で“ジョーカー”のような奇抜メイクを施した猟奇的な快楽殺人者・アカ役に須賀健太、同じく回収屋の紅一点で敵が味方かわからない“ミステリアス”な女・キイヌ役に日南響子、回収屋を取り仕切る謎に包まれた“ボス”の男・シマウマ役を加藤雅也が演じる。
≪story≫
美人局(つつもたせ)で仲間達と一緒に金稼ぎをしていた倉神竜夫は、ある日ヤクザを引っ掛けてしまったことから、転がるように闇へと堕ちていき、“回収屋”の“ドラ”として、禁断の世界へ足を踏み入れることになるが……。

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