CASPA | インタビュー | Deview-デビュー

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インタビュー「CASPA」

2017/01/25

「生音で勝負していきたいし、3ピースだけど、もっともっと分厚いサウンドを目指してます」

CASPA

HAWAIIAN6の安野勇太プロデュースによる新人ガールズロックバンドCASPAが、1月18日に1stシングル『ユニコーンにのって』をリリース。2015年にバンドを結成、2016年2月には1stミニアルバム『さよなら世界』でCDデビュー。同年7月にバンドの発起者でありリーダーでもあったDr.のAikaが脱退。3人体制となり、2017年新たな一歩を歩み始めた彼女たちの想いを聞いた。


CASPA

Miyu

まずは、みなさんがそれぞれが音楽に目覚めたキッカケを教えてください。
Miyu「歌うことは小さい頃から大好きで、その頃から“歌手になりたい”という夢は漠然とあって、いつからか“歌手になるのが私の宿命”とどこかで思うようになっていました。高校2年生のときに友達に誘われて初めてライヴで歌ったとき、すごく緊張して歌詞を間違えたんですけれど(笑)、すごく楽しかったんです。それからはライヴハウスで歌ったり学園祭で歌ったりするようになって、高3になって進路を決めるときに、専門学校に行って真剣に音楽を勉強しようと思ったんです」
Natsumi「私は小学4、5年生でBUMP OF CHICKENさんを聴いてギターボーカルに憧れて、小6のとき将来の夢を書く欄に“バンドを組む”って書いたのを覚えています。夢が叶ったのは高校の軽音楽部に入ってからなんですけれど、本気でバンドをやりたかった私と、遊びでやっていた周りとの温度差を感じて、専門学校に行こうと思ったんです。私もそこから真面目に音楽を勉強し始めました」
当時からプロ志向だったんですね。
Natsumi「ハイ。私立の学校だったので大学進学が普通なんですけれど、バンドをやっていた父の後押しもあって、意志を貫き通すことができました。最初は親に話すのも“反対されたらどうしよう?”って不安な気持ちがあったんですが、自分の想いをきちんと話してからは応援してくれるようになりました」
Tokoちゃんは?
Toko「私は小学校の頃からずっと音楽の授業が大好きで、歌はもちろんリコーダーとかピアニカとか新しい楽器をどんどん習っていくのが楽しかったんですよね。高校に入るとドラムをやっていた友達がバンドに誘ってくれて、ベースってどんな楽器だろう?という興味から始めました」

CASPA

Toko

ちなみにベースで一番最初にコピーした曲は?
Toko「ASIAN KUNG-FU GENERATIONの『君の街まで』という曲です。音色とかよくわからずにやっていましたけれど、当時から“やるなら上手くなりたい”という気持ちがあったので、レッスンに通ったりしました。だけどNatsumiと同じで進路を決めるときにちょっと悩みました。“音楽の仕事には就きたい”とはずっと思っていたので、専門学校でギターやベースを作るクラフト科に進んだんです。そこで趣味としてバンドをやれればいいかなと思っていたんですけれど、ライヴをやったときに先生が『プレイヤーのほうがいいんじゃないか』と言ってくださって」
そのひと言がキッカケで人生が変わったんだね。
Toko「ハイ。今はバンドでベースを弾けることが一番楽しいですし、このまま夢に向かって走っていこうと思っています」
では、3人の出会いは?
Miyu「もともとバンドの発起人だったドラムが通っていた専門学校の先輩で、私の卒業コンサートを観てバンドに誘ってくださったんです。そして、その先輩が以前、同じ専門学校の東京校にいたTokoを見たことがあったみたいで“サウスポーベーシスト”って目をつけていたらしく、それで声をかけて3人が揃いました」
Natsumi「私は別の専門学校だったんですけれど、“こういうガールズバンドがいるから一度スタジオに行ってみないか”とお声がけがありまして。Tokoちゃんと実は顔見知りで、スタジオに行ったら、“あっ!知っている子”がいると思って加入を決意しました」
NatsumiちゃんがTokoちゃんたちのバンドに惹かれた理由は?
Natsumi「ガールズバンドで自分のやりたいことに近いというのもあったし、Miyuの元気さとか、サウスポーでこれだけ弾けるベーシスト!っていうのもありましたね」
Miyu「私、バンドを組むのはCASPAが初めてだったんです。それまではずっと歌とダンスをやっていてソロで活動したり、ダンスボーカルグループで活動したりしていて。なので、初めてバンドで歌ったときは歌い方とか身体の使い方もまるっきり違っていて衝撃を受けました。最初は全然歌えなくてボイトレも基礎からやり直したりしました」
お互いの第一印象はどうでしたか?
Miyu「Natsumiは同い年なので最初から親近感が湧いていました。Tokoちゃんは年上だし、ベースとかわからない私でも上手いな、カッコイイな〜ってすごく憧れの目で見ていました」
Natsumi「Miyuはすごいキラキラしたコだなって思いましたね。一緒にいるとハッピーな気持ちになれるんですよ。最初はバンドで歌うことに戸惑っていましたけれど、すごく努力していましたから吸収も成長も早くて初期とは全然変わりました。そういうところは同い年ですけれど尊敬しています。Tokoちゃんもそれは一緒で、先輩で経験も豊富で、ステージングがすごくカッコ良くて感動させられます。初めて一緒にやったときに“あ、このコに負けちゃいけない”っていい意味で刺激し合えるメンバーに出会えたなって思いました」
Toko「私は2人よりも4つ年上なので私が引っ張っていって、自分の経験したことを伝えたりすると、素直に“やってみる!”って。本当にいいコたちだなぁと思いました(笑)」

CASPA

Natsumi

バンド内での自分たちの役割ってハッキリしています?
Toko「ムードメーカーはMiyuですね。Miyuをイジっとけば間が持つみたいな(笑)」
Natsumi「(笑)。ちょっと抜けてるんですよね。たまに“話聞いてる?”みたいなときあるよね」
Miyu「ふふっ! たまにイジられるんですけど、そこに愛があるのでイヤとは思っていないです」
Toko「わりと事務的なことをやる担当がNatsumi」
Miyu「連絡係みたいな」
Natsumi「そうですね(笑)。Tokoちゃんが引っ張ってくれてるので」
Miyu「プレイ面ではTokoちゃんだよね。知識とか経験が一番あるので頼もしいです」
そんなCASPAの音楽の特徴とは?
Natsumi「HAWAIIAN6の安野勇太さんがプロデュースしてくださっているのでパンク寄りなんですけど、歌詞が日本語で、今までのガールズバンドにはない新しさもありつつ、やっぱり安野さんの曲にどこか懐かしさを感じてくださる方もいて。そこが特徴なんじゃないかなとは思います」
私もメロコア大好きだったので、聴いた瞬間にあっ!と思いましたよ。最近、純粋な3ピースサウンドって少ないように思うんですよね。だからこそCASPAにはキュンとしてしまいました。
Miyu「私たちは同期音源を使わず生音で勝負していきたいし、3ピースだけど、もっともっと分厚いサウンドを目指しているんです」
Toko「私たち、まだまだ上手くないなって思うんです。でも、荒々しいけど一生懸命ぶつけた音が勢いになっていたりするので、それもいいのかな?って思います」
今しか出せない音だと思いますよ。
Toko「落ち着いてないところが私たちなんだと思います(笑)」

CASPA

Miyu

サウンドプロデュースが安野勇太さんであることを知ったときはどんな気持ちだったんですか?
Miyu「信じられなかった〜」
Natsumi「フェスとか行ったときによく見ていた方だったので、“まさかその方の曲を自分たちが弾くなんて”って、信じられなかったです。しかも安野さん、ギターじゃないですか。だから怖いっていうのと、私しかこの役割を果たすことができないという嬉しさとが入り混じって、プレッシャーはいまだにあります(笑)」
Toko「安野さんの曲調とかコーラスとかも特徴的なんですよね。しかも、今までの安野さんになかった日本語詞だし、女性のピンボーカルだし、おもしろそうだなって思いました」
Miyu「最初は不安もありましたけど、実際に歌ってみると、私の新しい部分を引き出してくれたんだなって思いました。すごく感謝しています。安野さんは、師匠って感じです!!」
そして、1月18日には1stシングル『ユニコーンにのって』をリリース。表題曲の『ユニコーンにのって』は、切なくて、思春期のおとぎ話のような感じがありますね。
Miyu「まさにそうですね。物語性があると思います。前向きな歌詞ではあるけれどどこか切ない部分があるので、歌い方は新しいチャレンジでした」
Toko「現実で起きていることへの応援歌なんだけど、どこか現実逃避している感がでているなと思うので、その世界観を崩さずにどう表現するか?って、ちょっと悩みました」
Natsumi「曲を客観的に見て、自分の中に湧いた感情を忠実に表現しようと努力しました」
みなさんは『ユニコーンにのって』のような気持ちになったこと、ありますか?
Toko「夜寝る前にこんな気持ちになりますよね」
Natsumi「確かにいろいろ悩んだり考えたりする。でも、前に進んでいこうって思うことはあるので、なんかストンと詞が入ってくるところはあります」

CASPA

Toko

どうなんですかね? これって女の子特有の想いなのかな?とも思ったり。
Miyu「安野さんがおっしゃっていたんですけど、これは夢の中の話で、人が死ぬ間際に見る夢の話だと思ってほしいと。“あれもしたかったこれもしたかった”という希望が出てくる。でも現実では叶えることができない切なさ。でも夢の中なら何だって叶えることができるんじゃない?って。その夢だったり希望だったりをユニコーンに託そうという物語も含んでいるんだよというお話をいただいたんです。だから悲しいお話でもあるんです」
そのお話を知ると、聴こえ方も変わってきますね。M-2の『風になりたい』は、玉屋2060%さん(Wienners)によるCASPAへの初めての提供曲ですね。卒業シーズンに聴くといいなと思いました。
Miyu「あ、私も思いました! それぞれの青春の1ページのように楽しさや出会いや別れがギュッと詰まっているんですよね。それに、ただ懐かしいなって浸るだけじゃなく、自分次第で今でも青春は作り出せるんだって私は思っていて、“最高だ!”って言える今を作っていこうというメッセージも込められた歌です」
Natsumi「私たち自身としても、ドラムが抜けちゃったあとに今回の4曲をレコーディングしていたので個人的に歌詞がけっこう心にくるんですよね。そういう心情だったので余計に表現しやすかったです。玉屋2060%さんとお話ししたときも『キミたちも実際にメンバーの脱退を経験してるから、そういうことを意識して書いてみたんだよ』とおっしゃっていて、“あ、だからなのか…”って納得した部分がありました」
Toko「タイトルもそうだし、デモを聴いたときからすごい疾走感があるなと思って。私、普段は指弾きなんですけど、これはピック弾きだなと思って、初めて挑戦した曲なんです。コード進行がカッコ良くて、ベースラインだけで完成しちゃうような曲なので、それを崩さずに疾走感を感じるグルーヴを出せるように弾きました。もう私、“風”になりました(笑)」
Miyu「コーラスを録るときも『どうやって歌えばいいですか?』って聞いたら『風のように歌って』って言われました(笑)」

CASPA

Natsumi

M-3『Be Honest』もメッセージ性の強い曲ですね。楽曲はTOMさん(STOMPIN’BIRD)で、こちらもCASPAへの初提供曲。
Toko「演奏、渋くないですか?(笑)」
Miyu「その上に乗ってくる歌は“本当に子どもっぽく歌って”とディレクションが入ったので、無邪気に歌いました」
Natsumi「ギャップですね。計算されていますよね(笑)」
Toko「ベースは、この曲が一番好き勝手やりました。ベースでステップを踏んでいるイメージで跳ねているところ止まっているところを意識しました」
Natsumi「ギターは『とにかく楽しく弾きなさい』と言われたので、一番何も考えずに弾きました。演奏は渋いかもしれないんですけれど、楽しさが伝わればいいなという想いで弾いたので、そこのギャップもあります。この歌詞って自分の中では新しいんですよ」
詩的でもあるし、心の声でもあるような。
Natsumi「そうなんです。皮肉っぽいことも言っているんだけど、“君の声 音楽の様に響け”ということなのかな?って」
Miyu「そして“「ありがとう」「ごめんね」素直になれたら〜”という最後のフレーズにすべてが詰まっていると思います」
Toko「TOMさんの表現いいなぁ。私、大好きです」
M-4『Over』は安野さん。これまたカッコイイですね〜。
Toko「松岡修造さんみたいな熱い歌です」
Miyu「ストレートな応援ソングです」
“自分を超えろ!”ということですね。
Toko「まさにその通りです。この歌詞を朗読することが、私たちの中で今流行っていて」
Miyu「朗読すると、すごい歌詞だなって改めて思うんです」
Toko「ぜひ、みなさんにも朗読してほしいです(笑)」
間奏もステキですね。
Natsumi「難しかったです。弾きながらコーラスもしないといけないので、ライヴだと難易度がさらに増します。でもこの楽曲は、歌っていてもギター弾いていても、自分を奮い立たせられるというか。応援ソングでありながら自分のこともちゃんと背中を押してくれる楽曲です」
Toko「心なしか弾いていると力んじゃうんだよね」
Miyu「わかる(笑)。歌詞を初めて読んだときに、どんなことがあっても一番の敵は自分自身だなって思ったんですよ。なので、レコーディングのときは自分に言い聞かせるように歌いました。他の曲に比べると芯の強い声になってると思うし、声色も全然違います」
CASPA
全4曲、どれも夢を追いかけている『Deview』読者に響く楽曲ですが、特に『Over』はど真ん中だと思います。
Miyu「夢や希望に向かって走っている方たちにピッタリですよね。青春の葛藤をストレートに表現しているので響くと思います」
CASPA自身の今の目標は何ですか?
Miyu「2017年中に、ワンマンライヴをやることです。去年初めて主催ライヴをさせていただいたので、次はワンマンが目標です」
では最後に、『Deview』読者に向けて、応援メッセージをお願いします。
Miyu「目の前にあることには何でも挑戦してみてほしいなと思っています。どこに夢へのチャンスやキッカケがあるのかわからないので、どんどんチャレンジして掴みとってほしいです。私も“考える前に行動!”というスタンスでやってきましたから」
Toko「夢に向かって走っていても迷ったり立ち止まったりすることがあると思うんです。でもそんな自分を奮い立たせるものは、絶対に自分の中にあると思っていて、私はそういうとき初心にかえるようにしていて。ベースを始めた頃の自分を思い出したり、当時聴いていた曲を聴いたりコピーしたりして“やっぱり楽しい”と思うと、またやる気を出して頑張れるんですよね。あとは、みなさんそれぞれ好きなアーティストとかいると思うから、その人の考え方を知ることもいいと思います」
Natsumi「私は以前、やりたことがあってもそれに向かうにはどうしていいかわからないっていうことで、すごくモヤモヤしてた時期があったんですよ。でも自分から一歩踏み出す勇気が必要だなって思うんです。周りがいくらサポートしてくれても自分が動き出さなきゃ何も始まらないので。それが自分の教訓でありアドバイスです。ぜひCASPAの曲を聴いて、一歩踏み出す勇気を持ってください!!」

インタビュー・終
撮影/草刈雅之 取材・文/三沢千晶

Profile

CASPA
キャスパ●Vo.Miyu(1994年7月28日生まれ、大阪府出身)、Gt.Natsumi(1994年6月14日生まれ、東京都出身)、Ba.Toko(1990年4月4日生まれ、埼玉県出身)の3人によるガールズロックバンド。2015年春、バンド結成。2016年2月にサウンドプロデューサー安野勇太(HAWAIIAN6)を迎えて、1stミニアルバム『さよなら世界』をリリース。同年12月14日には初の主催イベントをShubuya O-nestにて開催した。

INFORMATION

ユニコーンにのって

1stシングル『ユニコーンにのって』発売中

タイトな演奏と全員でのコーラスワークが交わり、絶妙なグルーヴを醸し出す、ガールズバンド・CASPAの1stシングル『ユニコーンにのって』。今作は、同バンドのサウンドプロデュースを手がける安野勇太(HAWAIIAN6)が『ユニコーンにのって』、『Over』の2曲を手がけ、玉屋2060%(Wienners)が『風になりたい』、TOM(STOMPIN BIRD)が『Be Honest』を楽曲提供。ガールズバンドとは思えないような骨太なサウンドに、夢や希望、切なさや葛藤など、夢と現実の狭間で揺れている若者やデビュー読者にも響く、メッセージ性の強い歌詞が心を揺らす。

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