飯豊まりえ | インタビュー | Deview-デビュー

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インタビュー「飯豊まりえ」

2017/03/29

「『暗黒女子』は、人として少し強くなれたし、一生忘れられない作品です」

飯豊まりえ

全ての予測を裏切る、ラスト24分のどんでん返しが話題となっている映画『暗黒女子』で、清水富美加とともにW主演を務める飯豊まりえ。謎の死を遂げる学院一のカリスマ美少女「白石いつみ」を体当たりで演じた彼女に、本作への想いを語ってもらった。


飯豊まりえ
本作の原作、台本などを読んで、この物語の世界観をどう感じましたか?
「ミステリーを読んだことが初めてだったんですけど、すごくおもしろくて、一気に読んじゃいました!“(原作者の)秋吉(理香子)さん、スゴイ!”って思いましたし、“こういう子、絶対いる!”っていう女の子の共感できる部分がたくさんありました。台本を読んでみても、最後に『えぇ〜!』という展開で、これは見ているほうは騙されるだろうなというストーリーになっていると思います」
演じた「白石いつみ」はどう役づくりをしましたか?
「いつみは、多面性があるので、誰もがやってみたい、興味深い役柄だと思うんです。“この人にはこういう風に見られたい”というプランは、自分にもある気持ちだったので、汲み取りやすかったですね。だから最初は、“自分にできるだろう”という根拠のない自信があったんです。だけど、演じたら、すごく大変で(苦笑)。あと、“私が頑張って、周りをかき混ぜないと、全然怖い話ではなくなっちゃう”と、プレッシャーにも感じていました。普段は周りに合わせるタイプなので、自分の勢いで場を作っていくのが難しくて、“どうやってやったらいいんだろう”と悩みました」

飯豊まりえ
確かに。いつみを中心として物語が展開されていきますからね。
「いつも台本は真っ白なほうなんですけど、今回は書き込みが多かったです。赤や青、黒ペンで書いたものがグチャグチャになるくらい。役作りに苦労しましたけど、やりがいはすごくありました。途中で、“ムリ〜!”と思ったときでも、『それじゃダメ』と(耶雲哉治)監督に言われて、“やるしかないんだ”と開き直れました。あとは、いつみちゃんは、華やかさと無邪気さと、凛としているところもある“バラ”のようなイメージだったので、“今日もバラになろう”と思って演じていました(笑)。予告でも流れている、屋上から飛び降りるシーンがあるんですけど、あのシーンはスタントではなく、自分でやったんです。あの時に初めてスタッフの方々から歓声や拍手が起こったので、ホッとしました」
同世代の女優さんたちとの共演はどうでしたか?
「まったく暗黒感がないキャスティングだったんですよね(笑)。みんな、本当に明るくて、フワフワしている方たちだったので、居心地は良かったです。ストーリーが“暗黒”なので、撮影がスタートしてからは、少し居心地の悪さはありましたけど……。現場では、(清水)富美加ちゃんが結構笑いをとっていてくれて、ムードメーカーでした。富美加ちゃんの存在は大きかったです! 富美加ちゃんが演じる(澄川)小百合いたからこそ、いつみちゃんができたと思っています。富美加ちゃんは、モデルも特撮も経験していて、私に近い部分があったし、女優としてとても尊敬している子でした。だから、撮影に入る前に二人でご飯に行ったときに、『共演できてすごく嬉しい!』って伝えました。富美加ちゃんも同じような気持ちだと言ってくれたので嬉しかったです。他の4人も、もともと共演したことがあったんです。劇中で、いつみとそれぞれの距離感が近いシーン、いわゆる“百合っぽい”シーンがあるんですけど、共演経験があったからこそ、『思いっきりやるからよろしく』と言って、心置きなく距離が詰められたなと思っています。たいちゃん(平祐奈)も『ドキッとした』と言っていました(笑)」

飯豊まりえ
耶雲監督とは、『MARS〜ただ、君を愛してる〜』に続いてのタッグ。愛あるダメ出しがいっぱいあったと聞きましたが?
「監督は、私に対してだけ対応が違いすぎましたね(笑)。他のみんなにはマイルドに優しい対応なんですけど、私には厳しくて! 撮影の最後のほうまで“嫌われているんじゃないか”と思っていたくらい。『MARS〜ただ、君を愛してる〜』で一緒だったから、最初は甘えていたところもあったかもしれないです。それまでは優しい耶雲監督しか知らなかったので。でも、本読みの時点で、『一番ダメだったところわかる?』と言われたんです。“私、この役できると思っていたけど、全然ダメだ”と思って凹みました」
以前に一緒に作品を作った経験があったからこそ、期待する部分も多かったのでは?
「今までは、自分の性格の延長戦上で演じることが多かったんです。監督には、『それじゃダメだ』、『お芝居がかったような演技をして』や『自信がないのが出てるよ』と言われました。つらいときは、『監督だって、若いときは怒られたことがあったから、私にも厳しくしているかもしれない』って思っていました(笑)。途中で、“なんで、いつみちゃんの役を私にしたんだ!”って悩んだことも。でもそれって、私にいつみちゃんの要素が感じられないからこそ、映画を見ている人を裏切れるし、今までにない役だからこそ違う一面を見てもらえるチャンスだなと。だから、監督がそれを手伝ってくださったんだなと、撮影が終わってから思えました」

飯豊まりえ
だからこそ、この作品で、これまでにない一面を見せることができたんですね。
「自分の殻を破りたくなかったんですけど、監督だから破れたのかもしれません。この作品の撮影をもう1回やるとなったら、“ヒィィ〜”と思うくらいなんですけど、いつみちゃんを演じられて、思い悩んだ経験ができて、今は幸せだと思えています。この経験が10代のうちにできたことは、今後の自分にとって本当に大きいと思います。別の作品で共演した俳優の先輩方が、『その経験を10代でできたのは良かったね』とか『若いうちはいっぱい苦しんだほうがいいよ』って言ってくださったり、つらい時に、私の話を聞いてくださる年上のお友達がいたので、周りの方々のおかげで乗り越えられたとも思ってます。人として少し強くなれたし、一生忘れられない作品です」
撮影で印象に残っているシーンは?
「学校の屋上で、富美加ちゃん以外の4人を呼び出すシーンがあるんですけど、そのときは、一番いつみちゃんになれた気がしました。いつみちゃんの世界に入り込んでいて、“すべて自分の計算通りになっているわ。周りの人は全員エキストラ”という感覚で気持ちよく演じられていました。こんな気持ちで演じることってもうないかもしれないというくらい。こういう子が実際にいたら、友達になりたくないって思いましたけどね(笑)」
キスシーンをはじめ、濃厚なラブシーンもありました。
「(文学サークルの顧問・北条先生役の)千葉(雄大)さんとは撮影でお会いするたびに、キスシーンがあったくらいでした。撮影をする前に、『ダンスを踊っているかのようにキスをして』と監督に言われて、ハリウッド映画ばりのやりかたを見せられたんです。“これをやるのかぁ”と思いました(笑)。恥ずかしい気持ちもありましたけど、そこは振り切ってやりました。ただ、自分を知っている人たちには見てほしくないですね。特に、父には(笑)。自分でも見るのが恥ずかしいくらいです」

飯豊まりえ
見どころのシーンは?
「闇鍋のシーン! 私は出ていないですけど、おもしろいし、怖いですね。最初と最後でみんなの表情が違うところが見どころです。一番怖いなと思ったのは、闇鍋のラストのシーンで富美加ちゃんが笑うところ。あとは、とあるところで、富美加ちゃんが笑っているのか泣いているかわからない表情をするところは鳥肌が立ちました。私が出ているシーンでは、やっぱり屋上でのシーンかな」
“キラキラと美しい表の顔と恐るべき裏の顔を持つ女子”=“暗黒女子”。飯豊さんの美少女の裏に隠された「実はこんな一面あります」というギャップはありますか?
「わりと警戒心があるところかな〜。いろんな方に“いい人”って思われたい気持ちがあったり、人に対して、自分は全力の愛を注ごうと努力しようと思っているんです。でも、それがもし性格悪い人のように見られていたら、“計算している”と相手に疑われていたらどうしようと警戒してます(笑)」

飯豊まりえ
最後に、デビュー読者に向けて夢を叶える秘訣を教えてください!
「夢は、願い続けて、思い続けて、諦めなかったら絶対叶うものです! 夢を言葉にすることも大事だと思います。言葉にすることで興味を持ったり、実現しようという思いが強くなるはずだから。あとは、“きっといい方向にいく”って思って、夢に向かって努力することだと思います。自分がやりたいことは少しずつでもやっていけば、それが未来につながっていくし、努力は自分の成長につながります。あと、私はやる気や自信がなくなったら、好きな友達や尊敬している人に会うようにしています。そうすると、“頑張ろう”って気持ちになるんです。私は、ラブリちゃんに会うと、毎回気が楽になったり、頑張れると思えるんです。自分でも驚くのが、落ち込んでいる時に、ラブちゃんにバッタリ会ったりするんです。私の救世主ですね」

インタビュー・終
撮影/booro(BIEI)取材・文/宮平なつき

Profile

飯豊まりえ
いいとよ・まりえ●1998年1月5日生まれ、千葉県出身。主な出演作に、ドラマ&映画『MARS〜ただ、君を愛してる〜』、ドラマ『好きな人がいること』、ドラマ『嫌われる勇気』、映画『きょうのキラ君』など。『Seventeen』専属モデルとしても活躍。

INFORMATION

映画『暗黒女子』
映画『暗黒女子』
©2017「暗黒女子」製作委員会
©秋吉理香子/双葉社

映画『暗黒女子』
4月1日(土)より全国ロードショー

読んでイヤな気持ちになる最悪の結末だが、後味が悪ければ悪いほど“クセ”になってしまう魅惑のミステリー=〈イヤミス〉。今や一大人気ジャンルとなったイヤミス界に新たな旋風を巻き起こした、秋吉理香子の小説『暗黒女子』が映画化。
≪story≫
セレブ女子高生たちが通う、聖母マリア女子高等学院。ある日、学院の経営者の娘で、全校生徒の憧れの的だった白石いつみ(飯豊まりえ)が謎の死を遂げる。校舎の屋上から落下したのだが、自殺か他殺か、事故なのかもわからない。やがて、いつみが主宰していた文学サークルの誰かが彼女を殺したという噂が立つ。いつみの親友だった澄川小百合(清水富美加)がサークルの会長を引き継ぎ、部員が自作の物語を朗読する定例会を開催する。今回のテーマは、「いつみの死」。それぞれを“犯人”と告発する作品が発表されていく。物語は5つ、動機と結末も5つ──果たして真実はあるのか?

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