多和田秀弥 | インタビュー | Deview-デビュー

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インタビュー「多和田秀弥」

2017/06/24

「(小野寺)晃良は、みんなの弟みたいな感じですごく可愛がられていたし、癒しでもありました」

多和田秀弥

文乃ゆきのBL漫画を実写映画化した『ひだまりが聴こえる』で、難聴の大学生という難しい役どころに挑んだ多和田秀弥。小野寺晃良とともにW主演を務めた本作への想い、役作りについて、撮影エピソードなどを直撃インタビュー。また、初主演舞台『ソラオの世界』以降、話題作への出演が続いている彼に、激動の1年間を振り返ってもらった。


多和田秀弥
W主演を務めた映画『ひだまりが聴こえる』がついに公開。まずは、出演が決まったときの心境を教えてください。
「主演ということに対しては、緊張とかプレッシャーはあまり感じませんでした。それは、きっと(初主演となった)舞台『ソラオの世界』をやった直後に、このお話をいただいたからかなと思います。前だったら“主演か、どうしよう”というような不安があったかもしれないですけど、そういう気持ちは全然なくて、光栄だなと思いましたし、素直に嬉しかったです」
プラスな気持ちで臨めたと。
「自分を求めてくださっているのなら、できることはやりたいなと思いましたし、W主演という形でもあったので、お話を聞いたときは、プラスな気持ちでした。ただ、題材がBLものと聞いたときは、“おや!?”ってなりましたけど(笑)」
恋愛もので言うと、『不機嫌な果実』では不倫、今回はBLに挑戦……。
「そうなんですよね。この前は不倫もので、今回はBLって、自分でもふり幅がすごいなって思いました(笑)。BLにあまり触れたことがなかったので、“需要あるのかな?”という不安はあったんですが、台本をいただいたときに、読んでいくにつれて気づいたらBLに対しての不安は無くなっていて。いわゆる僕らや一般の人が想像しているような、濃厚なBLものではなくて、BL要素が薄いというか、そこだけをフィーチャーしたいわけじゃないんだなっていうのを、台本を読んで感じました。原作の漫画も、最初は今回実写化する1巻だけを買って読んだんですけど、続きも読みたくなってしまって、続編の『-幸福論-』も買っちゃいました。それぐらい面白い、素敵な作品だなと思いましたし、原作を読んで、より楽しみになりました」

多和田秀弥
どんなところに魅力を感じましたか?
「僕が演じた航平は、突発性難聴を患ったために、耳が聞こえづらくて、周囲から距離を置いている役どころなんですが、きっと、いろんな理由があって、そんな風に心を閉ざしてしまうことってあるだろうなって思ったんです。そんな中、心を閉ざしている主人公・航平が、もう一人の主人公・太一と出会って、心が晴れていって、一歩ずつ前に進んでいくという、その感じが丁寧に描かれていて、魅力的だなって思いました。ジェットコースターみたいな激しい展開はないけど、読み終わったあとに、“この先、この二人はどういう人生を歩んでいくんだろう?”と、続きが見たくなる原作だなって思いました」
難しい役どころでもあったと思いますが、役作りとして、イヤホンをして周囲の音を聞こえづらくして過ごしたりしたそうですね。
「難聴という部分をどう表現するんだろうっていうところが、一番のキーポイントだなって思って。自分はそれを体感することはできないから、どうしたらいいかな?と思ったときに、家でイヤホンをつけてみたら、テレビの音が聞こえづらいなと感じて、“この感覚に近いのかもしれない”と思って、実践してみたんです。音楽は流さずにイヤホンだけして電車に乗ったり、わざとガヤガヤしている渋谷のスクランブル交差点の近辺に行ってみたりしました。原作にも書かれているんですが、確かに声が高めの人とか早口の人だと何を言っているかわからなかったり、ボワ〜っとして聞こえたりして、そういうのを少し体験できたことで、自分の中では大きく一歩進めた感覚がありました」
役に少し近づけた?
「ちょっと近づけたかなって思いましたし、自分の自信にもなりました。何もしない状態で現場には入りたくなかったというか、“自分はこれだけやったんだ”という自信をつけてから入りたかったので。もちろん、現場に入ってから、そこで発見したり、教えてもらったりすることも重要だと思いますが、せっかく自分がこの役を与えてもらったんだし、できることはやりたいなと思ってやりました」
内面の部分では、どのような役作りを?
「しばらく、スターニンジャー(『手裏剣戦隊ニンニンジャー』)や、ソラオ(舞台『ソラオの世界』)とか、けっこう明るい役を演じることが多かったのですが、今回は真逆の役。どうやったら無愛想な感じに見えるだろうか、でもただの無愛想じゃない。人のことが嫌いで鬱陶しいなと思っているわけじゃなくて、いろんな経験を経た上で、人との距離を置くようになってしまっただけで。その悲しみを含んだ感じとか、それをすごく出したくて、家の鏡の前で表情作って、“あ、これは違うな”とか、何度も何度も試しました」

多和田秀弥
言葉数が少ないからこそ、表情でのお芝居が重要になってきますよね。
「あんなに表情を気にしたのは初めてでした。特に、前半はあまりしゃべらないからこそ、ちょっとした目の動きとかで表現できたらいいなっていうことを考えて、今までにやったことのない役作りに挑戦しました。でも、細かいところまでできたというのは、自分にとってもプラスになりましたね」
航平に対して、共感できる部分はありましたか?
「似ている部分はあるかなって思いました。僕自身、別に暗い人間ではないんですが、中学の頃は、自分に対してすごいコンプレックスがいろいろとあって、イヤなことばかりだったんです。そのころはしゃべりかけられたら話すくらいな感じで、あまり社交的じゃなくて。それこそ、一人でお弁当を食べていた時期もありました。当時は今よりももっと細くて、お弁当食べるのとかもすごく遅かったんです。周りからそのことを言われたりして、傷ついたりもしていたから、そういう人たちを遠ざけて、一人でお弁当食べていた時期があって。だから、似ている経験をしたことあるな〜と思ったので、そういう部分では苦戦はしなかったです」
今の多和田くんからは想像もつきませんが……。
「撮影中は暗い感じだけど、終わったら明るくなるから、(小野寺)晃良からは『差がすごい』って言われました。“この人どうなっているんだろう?”って思っていたみたいです(笑)。自分の中では、そういう風に切り替えがあればあるほどやりやすいなって思います」

多和田秀弥
撮影はかなり過酷なスケジュールだったんですよね。
「けっこう大変でした。8日間というタイトなスケジュールの中で、パツパツな状態で撮影しないといけなかったのに、なかなか天候が味方してくれなくて」
プレミア上映会の際、共演者の三津谷亮くんが雨男だったという話が出ましたね。とにかく雨の日が多かったとか。
「撮影初日に雨がガンガン降っていて、“大丈夫かな? 天気が味方してない!?”ってちょっと不安に思ったりしました。撮影の順番とかも直前に変わったりして、スタッフさんもあたふたしていて、けっこう大変でしたね。でも、大変だった分、“どうにかしてやらないと!”っていうチームワークは生まれました」
ともにW主演を務めた小野寺くんは、どんな役者さんでしたか?
「現場ではみんなの弟みたいな感じで、すごく可愛がられていました。晃良は面倒を見たくなるような子なんです。ほっとけない感じというか、『ホラ、ご飯こぼしてるよ』とか、『今、カメラ回っているから、ペットボトルのラベルは剥がしておかないとダメだよ』って言って、僕が剥がしてあげたりとか、そういうことを自然としたくなるんです」
なんか、お母さんみたい(笑)。
「普通の人だったら、“ちゃんとしてよ!”って、ちょっとイラっとする部分があったりするけど、全然イラっとしない。みんなにもすごく可愛がられていたし、『お兄ちゃん』みたいな感じで寄ってきてくれるところもあったから、癒しでもありました」

多和田秀弥
現場では可愛い弟でも、芝居では大学の同級生の役を演じなければならないわけですが、どんな風にその関係性を作っていきました?
「僕とみちゅ(三津谷くん)は、晃良に比べて全然年上だから、僕らは同い年に見えても、肝心の晃良だけは、僕らが普通の芝居をしていたら一人だけ弟にみえてしまう。それをどうしようかというのは、僕もみちゅもどこか頭の中にあって。もしかしたら、どちらかというと、僕らが晃良に寄せにいった感じはあると思います。晃良が放つ何気ない言葉とかにも、なるべく僕らも食いつくようにしたり、わ〜いって騒いでいたら一緒になって盛り上がったり。それは嫌々やっていたのではなくて、自然と二人ともそういう考えてやっていたと思う」
その3人の中では最年長の三津谷くんは、どんな印象でしたか?
「あの人が一番若かったんじゃないかな(笑)。元々みちゅは愛されキャラだから、彼が来ると、現場がパッと明るくなるんです。本当に、太陽的な存在でした。雨は呼び寄せていたかもしれないけど(笑)、彼がそういう立場で現場に居てくれたので、すごく安心感があったし、感謝していますね」
ミュージカル『テニスの王子様』(テニミュ)の青学(せいがく)キャストの先輩でもありますよね。
「代替わりだったので、1回ライブでご一緒させていただきましたが、ほとんどしゃべったことがなくて。やっぱり先輩だし、年上だし、気を遣うかなって思っていたけど、みちゅ自体が“気を遣わなくていいよ”っていう大きな器を持った人だったので、僕らも歩み寄れたし、助けられた部分は大きかったです。本当に彼なしでは、この映画は成り立たなかったなって感じています」
大きな存在だったんですね。
「本当にそうですね。いい意味で、すごく鬱陶しかったですし(笑)」

多和田秀弥
(笑)。先日のプレミア上映会のチケットは即完だったそうですね。満員のお客さんが詰め掛けた上映会はどんな景色でしたか?
「始まる前はまったく緊張していなかったんですが、入り口の前にスタンバイした瞬間、急に緊張してきてしまって。“これが主演の重みなのか!?”とも思いました。お客さんの顔も最初はあまり見られなかったんです。久しぶりにお客さんの圧を感じたというか、みなさん圧をかけているつもりはないと思いますけど。僕たちのファンの方々に加えて、原作ファンの方や、関係者の方々、原作の文乃ゆき先生もいらっしゃっていたし、そういうのも含めた緊張感だったんでしょうけど。あれは不思議な感覚でしたね」
映画を観た方からの感想や反応も届きました?
「お手紙やTwitterのリプライなどで届きました。いろいろな感想を目にして、観に来てくれた人には、少なからずこの作品の魅力が伝わったんだなって思って、嬉しかったです。今回の作品で僕のことを知ったという方からも、『実写化に対して不安だったけど、良かったです』というようなメッセージをいただいたりして、安心しました。正直、すごく不安だったんです。でも、プレミア上映会のときに、温かい空気感で迎えてもらったり、そういう言葉をいただけたので、良かったなって心から思えました」
前回取材をさせていただいたのが、『ソラオの世界』が始まる前でした。ちょうど1年前になりますが、初主演舞台を経てからのこの1年、すごくいろいろな変化があった年だったと思うのですが。
「『ソラオの世界』を経験できたことは、本当に大きかったです。テニミュを長くやっていたので、(座長の)小越勇輝の隣で支える役だったこともあり、近しい景色は見てきたし、いろいろと話し合ったりもしたから共感できる部分はあったけど、やっぱり自分で味わないとわからない部分もあったんだなって、わかっていたことだけど、改めて感じました」

多和田秀弥
『手裏剣戦隊ニンニンジャー』でも、追加戦士として主人公の隣にいることが多かったのでは?
「はい。主人公の隣にいるというポジションが続いたので、“自分もいつか主役をやりたい、真ん中に立ちたい”という想いが強くなっていたタイミングでの主演だったので、“やってやる!”という感じでした。でも、稽古初日から心をへし折られて……(苦笑)。稽古場行くのがツライって思ってしまったこともあったけど、自分がしっかりと立たないと、周りも不安になるだろうし、話が成り立たないと稽古序盤で気づかされて」
演出の西田シャトナーさんとの舞台は、どんな経験になりましたか?
「シャトナーさんと出会えたことは、すごくいい経験になりました。シャトナーさんはすごく真摯で熱心に作品に向き合う方なので、演出の方と深く話すという経験もできて、共演者の方々に対しても改めて一歩引いたところから見られるようになったかなと。幕を開けてからは正直、体力的にも精神的にもけっこうしんどかったですけど、だからこそ本番中にすごく鍛えられたなって感じいて。改めて、真ん中から見る舞台上の景色って全然違うなと思いました。主演はまたやりたいけど、『ソラオの世界』を経験して、軽々しく口にできないなと思ったし、もしまた次に主演をやらせてもらえるのなら、もっと実力をつけたタイミングでやれたらなって。今回は、周りの人たちに支えてもらっていた部分が多いので、次やるときは、支えられるような太い人間、役者になりたいなと、この舞台を経て思いました」
主演を経験したからこその想いですね。
「本番が終わったあとに、シャトナーさんが『俺がやりたかった「ソラオの世界」ができたよ』って言ってくださったんです。音響のスタッフさんからも『シャトナーさんが(本番を)観ていて泣いていた』っていう話を聞いて。僕らの前では涙を見せていなかったけど、すごく嬉しかった。『ソラオの世界』はこれまでも何度も上演されていて、シャトナーさんにとって思い入れのある作品だったからこそ、そうやって言ってもらえたことが、嬉しかったし、自分へのご褒美にもなりました」
それはすごく嬉しいお言葉ですね。
「とりあえず、やりきったということに対しては、自分で頑張ったなって思いましたけど、満足はしていない。まだまだできるし、やらなきゃいけないことがたくさんあるって思っているので、シャトナーさんとまたいつかご一緒できたらいいなと。本当にいろいろな方向から刺激を受けたし、自分も変わるきっかけをいただけた作品でした。初主演舞台だし、一生忘れられない作品ですし、やれて良かったなって思います」

多和田秀弥
『ソラオの世界』のあとに、『ひだまりが聴こえる』の撮影を経て、昨年末には舞台『Take me out』がありました。
「『Take me out』も自分の中ではすごく大きかったです。稽古期間中に、所属事務所の移籍のタイミングも重なって。揉めたりしたわけではないし、そういう意味では不安はなかったんですけど、共演者の方も“あれ?事務所変わるの?”みたいな感じでみんなちょっと心配してくださって。それはファンの方も一緒で、僕がいくらブログとかで、『大丈夫ですよ。頑張ります!』って説明しても、“何かあったのかな?”って心配させてしまうから、それはイヤだったんですよね。主演舞台を経たあとの作品だったから、やれることは精一杯やりたい!という想いで挑みました」
『Take me out』の経験は、どんな部分で大きかったんですか?
「今まではありがたいことに、主役の隣に立っていたりする役だったり、メインどころの役や大きな見せ場のある役をやらせていただくことが多かったんですが、『Take me out』で初めてそういうポジションじゃない役をやらせていただいて。メインに居る人たちを立たせるためにはどうしたらいいか、その中で自分の個性を出すためにはどうしたらいいのか?というのを初めて経験できたんです。一緒にそういう脇のポジションでやっていた方々が、本当に素晴らしい人たちばかりで、そこで自分の良さを放つためには、もっと実力が必要なんだなって実感しましたし、本当にいい経験ができました。演出の藤田(俊太郎)さんはいつかご一緒したいと思っていた方だったので、あのタイミングであのメンバーで、あの作品をやれたことは本当に良かったなって思いましたし、いい流れで次の『熱海殺人事件』に挑めました」

多和田秀弥
『熱海殺人事件 NEW GENERATION』は、“NEW GENERATION”ということで、まさに新世代キャストでの挑戦でしたね。
「あの作品は、メインキャスト4人でエネルギーをぶつけ合わないといけない作品で、文音ちゃんとは初共演でしたが、3人には本当に感謝しています。みかてぃ(味方良介)と(黒羽)麻璃央は、同世代だし、テニミュでも共演していた2人だったので、このタイミングで一緒にできることがすごく嬉しかった。特に、麻璃央は、青学(せいがく)で一緒にやっていたし、お互いいろいろな経験を踏んで、また共演できるというのが、『お互い嬉しいね』という話もしましたね」
テニミュが終わった後、同じつか作品である『新・幕末純情伝』も経験していますよね。
「あのときは、ただただ大きい声でセリフを言って、長セリフを言うことに精一杯で、自分の個性を正直出せなくて、悔しい想いも大きかったんです。だからこそ、またつか作品をやれるということと、いつか一緒にやろうと言ってくださっていた岡村(俊一)さんとも初めてご一緒することができたので、嬉しかったです。若手のキャストでやることの意味みたいなところも、やりながら感じていました。僕らが演じるからこそ、若いお客さんにも来ていただけたと思うし、『熱海殺人事件』って面白いよねって、若い世代にも広がっていけばいいなと。若手の役者さんたちがみんなこの作品をやりたいと言う意味もわかりました。あと、自分の喉ってわりと強いんだなって思ったし、それは自分の自信にも繋がりました。前回の『新・幕末純情伝』では、後半喉をつぶしてしまったりしたので、少しは成長できたのかなって」
つか作品が終わった後、中屋敷法仁さんが演出された『ぼくらが非情の大河をくだる時-新宿薔薇戦争-』で、朗読劇に初挑戦。『熱海殺人事件』後、10日足らずでの出演でしたが。
「朗読劇に対して興味はあったんですが、なかなか見に行く機会がなくて、きちんと触れたことがなかったんです。なので、どんな風にやるんだろう?という不安が最初はありました。稽古も全部で4日間あったんですが、神ちゃん(神永圭佑)が主演を務めるAチームと、僕らのBチームで分かれてやっていたので、実質的に2日間くらいで。短い時間で稽古をして、劇場入って、すぐ本番……みたいな感じでした。ただ、焦りは不思議とありませんでした。それは、台本、中屋敷さん、共演者の方々の力だと思うんですけど。稽古をやっていて“あ、コレはいいものができそうな気がする”っていう予感がしたんです」

多和田秀弥
稽古期間が短かったからこそ、集中して挑めたということですかね。
「朗読劇だったっていうのもあると思うんですが、短いスパンでできたのが良かったのかなって思います。今までだったら、“あと1週間あったらな”って思うことがあったりしたんですが、あの作品はそういうことをまったく思わなくて。むしろ稽古をやりすぎていたら、よくわからなくなっていたかもしれないなって。短い期間に集中して稽古して、それを本番で一気に解放してやったという感じで、あの感覚が今でも忘れられない。共演者の安里くんと唐橋さん、穂先くんという、すごく個性的な3人で、すごく刺激的だったし、個性の強さが放つ魅力みたいなものを感じることができて、とにかく楽しかったです。しかも、本番入ってから、自分の皮が剥けた感じがして。これまで、階段を1歩ずつ上がっている感覚はあったんですが、中屋敷さんの朗読劇を経て、一気に階段を10個くらい上がったような感覚があって。もちろん、まだまだ先があるなって思っていますけど」
後半の叫び狂う感じは、見ていてすごくゾクゾクしたというか、コレまでに観たことのない多和田くんを見られた気がしました。
「感情を解放することの楽しさみたいなものを初めて感じたんです。僕は感情を解放するのが苦手で、あまり上手くできなかったんですが、惜しげもなく出せたんですよね。後半の叫ぶシーンは、もちろん台本を読んで芝居をしているし、あそこに座っていたなとか、ああいう叫び方したなっていうのは覚えているんだけど、心情的な部分はあまり覚えてなくて」
アスリートで言う、ランナーズハイみたいな感じですかね?
「本当にそんな感じです。あの感覚を今思い出すだけでも、上がるっていうくらい、そういうものを体感させていただいて、すごく感謝しています。あの朗読劇の後から、口癖のようにマネージャーさんに『芝居がやりたいです』って言うようになりました」

多和田秀弥
芝居に対しての意識がまた変化した?
「正直、15、16歳でこの業界に入ったばかりの頃は、芝居が大嫌いだったんです。人前で泣いたり、笑ったり、恥ずかしいなって思っていたし、自分の魅力が何かわからない時期でもあったので、カッコイイ人とか面白い人がやるからいいんでしょ?って冷めていたところがあって。でも、テニミュを経験して、表に立つことの楽しさとか、徐々に感じていって、いろんな作品を経たことで、もっと芝居上手くならないとなって感じるようになりました」
改めて振り返ると、この1年間で本当にたくさんの経験を積まれていますよね。
「いつか出演したいと思っていた演出家の方々の舞台が続いたことは、本当にありがたいことだし、感謝しないといけないなって思います」
8月には舞台『幽劇』、11月・12月にはミュージカル『スカーレット・ピンパーネル』も決定しています。話題作への出演が続きますが、今の段階での多和田くんの役者としての野望とは?
「僕は今すぐ大ブレークしたいとか、知名度をもっと上げたいとか、そういうのはないと言ったら嘘になるけど二の次で。いろんな演出家さん、共演者の方々、作品と出会って、今“芝居がやりたい!”という状態になってきているので、この先も舞台、ミュージカルと続きますが、自分がその作品でどういう輝きを放てるかっていうのを、自分の中で見極めて大切にやっていきたいなと思います」

多和田秀弥
演じてみたい役とかありますか?
「役柄としては、超エキセントリックな役をやってみたいです。もともとやりたいという願望はあったんですが、この前の朗読劇をやってから、よりやりたいなという想いが強くなりました。みんなが『キモッ!!』って言いたくなるような役をやりたいし、たとえ1シーンしか出てこなくてもインパクトを残せるような役ができるようになりたなと思っています。そのためには、今は目の前にあることを大事にやっていって、もっともっと実力をつけないといけないなと思っています。作り手に呼ばれるような役者になりたいなと。『多和田じゃないとダメなんだよ』と言ってもらえるくらいの役者になれるように、これからもたくさんの現場を経験していきたいと思います」

インタビュー・終

Profile

多和田秀弥
たわだ・ひでや●1993年11月5日生まれ、大阪府出身。GVjp所属。2011年『100年分の声援を』にて舞台デビュー。2012年〜14年までミュージカル『テニスの王子様』2ndシーズンで手塚国光役を務める。2015年『手裏剣戦隊ニンニンジャー』でキンジ・タキガワ/スターニンジャー役に抜擢。ドラマ『不機嫌な果実』では年上人妻と不倫の間柄になる山岸亮介役を熱演。2016年7月には、『ソラオの世界』で舞台初主演を果たす。今後は、8月17日から上演される舞台『幽劇』、11月・12月上演のミュージカル『スカーレット・ピンパーネル』への出演が控えている。

INFORMATION

映画『ひだまりが聴こえる』
映画『ひだまりが聴こえる』
©文乃ゆき/プランタン出版
©2017「ひだまりが聴こえる」製作委員会

映画『ひだまりが聴こえる』
6月24日より池袋HUMAXシネマズにて公開、全国順次

難聴の大学生と同級生の男子の、切なくも爽やかな友情を描いた、文乃ゆきによるBL漫画を実写映画化。
≪story≫
中学生のときに突発性難聴を患ったため、教室でも何かと誤解を受けて周囲とうまく馴染めないまま大学生なった杉原航平(多和田秀弥)は、いつしか人と距離を置くようになっていた。そんな中、大学の裏庭で出会った佐川太一(小野寺晃良)は、バカみたいに明るい性格で思ったことを何でも口にする同級生だった。いつしか太一と距離が近づくようになるが、それでも学校での陰口や嫌がらせで卑屈になる航平に対して、太一から「聴こえないのはお前のせいじゃないだろ!」と言われ、航平はその言葉に心から救われるのだった。太一との出会いが航平を変えていくのだが、近づけば近づくほど、二人の距離に期待と不安が募る航平がいるようになって……。

INFORMATION

『漫画特別』
多和田

【多和田秀弥 所属事務所も参加】
2017年、漫画原作映画公開ラッシュ!!
俳優・女優特別オーディション

2017年も夏に向けて人気コミックの実写映画化が花盛り。大作から意欲作まで様々なジャンルの映画が公開を待っています。そこで、漫画実写映画化作品に出演する俳優・女優の事務所の特別オーディションを特集! 映画界の最前線で活躍したい役者志望のみなさんは、要チェック!!

応募締切は、6月30日(金)まで!

オーディション応募受付は終了しました

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