三津谷 亮×川上将大 | インタビュー | Deview-デビュー

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インタビュー「三津谷 亮×川上将大」

2018/07/25

「カンパニーのみなさんが愛し続けてきた、この舞台の集大成としてとてもふさわしい作品になっている」

三津谷 亮×川上将大

撮影/草刈雅之

名立たる刀剣が“刀剣男士(とうけんだんし)”と呼ばれる個性豊かなキャラクターとして活躍する大人気ゲームを原案とした舞台『刀剣乱舞』シリーズ(通称:刀ステ)。現在上演中の最新作「悲伝 結いの目の不如帰」から、骨喰藤四郎役の三津谷亮と大般若長光役の川上将大にインタビュー。新キャストとして加わった二人に、本作にかける想いや役を演じる上でのこだわりなどを語ってもらった。

三津谷 亮三津谷 亮

――明治座特別公演から幕を開けた、舞台『刀剣乱舞』悲伝 結いの目の不如帰。今回から初参加となるお二人は、初日どんな思いで挑まれたのでしょうか?

三津谷亮「僕は前作に出ていた骨喰藤四郎を引き継いでの出演で、(川上)将大が演じる大般若長光は刀ステでは初登場のキャラクターになるんですが、初演の「虚伝」から、「虚伝〜再演〜」・「義伝」・「外伝」・「ジョ伝」と、みなさんが積み重ねてきたものがあって、どんな空気感になるのかなというのは、幕が開くまでわからなかったんです。でも、初日にお客様もみなさん温かく受け入れてくださっているなという雰囲気がすごく伝わってきて。いい意味で、お客様を意識せずに、刀ステの世界観で生きることができた初日でした。その後も、僕らはその世界観の中で生きて、そこにお客様もついてきてくれて感情を乗っけてくれているのがすごく伝わってきて、嬉しかったです」
川上将大「本番に向かっての高揚感はありましたが、それ以上に緊張や不安が大きかったです。骨喰藤四郎との関係性の深さを伝えられたらいいなと思っていたんですが、初日を終えて、お客様の良い反応を聞いてすごくホッとしました」

川上将大川上将大

――緊張や不安も大きかったということですが、改めて振りかえって、大人気の刀ステに出演が決まったときの率直な想いも教えてください。

三津谷「やはりとても人気のある作品なので、これまでの刀ステを築き上げてきたキャストやスタッフさんたちの想いやお客様の想いも含めて、役に対してしっかりと愛を持って向き合っていかなきゃなと思いました。骨喰藤四郎は前作も出ているキャラクターなので、ゼロからではなく、先代のキャストの方が作り上げたものに対して、自分はどうアプローチできるのか、すごく大変なことだろうけど楽しみだなと。今までの自分だったらそういうことに対して消極的な考えだったけど、今年11年目で30歳を迎えて、こんなにポジティブに考えられるようになったんだっていう変化も素直に嬉しかったです」

三津谷 亮×川上将大

――川上さんはいかがでしたか?

川上「僕は出演が決まったという話を聞いたとき、マネージャーさんに『嘘ですよね?』って聞いてしまったくらい、最初は信じられませんでした。僕は役者としてのキャリアも浅いし、舞台経験もまだまだ少ないので。舞台『刀剣乱舞』に出演されているキャストのみなさんは、僕からしたら雲の上の存在の方々でしたし、そんな方々が出ている舞台に自分が出られると思ってもみなかったので、お話しをいただいたときは、もちろんめちゃくちゃ嬉しかったんですが、それとともに“僕で大丈夫なのか?”という気持ちもありました」
三津谷「最初の稽古のとき、緊張しすぎて震えてたよね?」

三津谷 亮×川上将大三津谷 亮

――舞台上で見た大般若長光の佇まいからは想像つきませんが。

川上「僕も初めての経験だったんですが、緊張からか、呼吸が浅くて何もしてないのにずっと息が荒い状態でした」
三津谷「お芝居をしていて緊張しているんだなっていうのはわかったんですけど、将大とは初共演だったし、初稽古のときはまだ話もしたことない状態だったから、僕は将大が緊張している姿を見て、“この子、ちょっと怖い”って思っちゃって。目つきも鋭いし、黙っている感じが怖かったんです(笑)」
川上「僕はただただ、緊張してビビっていただけだったんですけど(笑)」
三津谷「将大がビビっている姿を勘違いして、僕がビビっていたっていうね」

三津谷 亮×川上将大川上将大

――そうだったんですね(笑)。お二人が演じられる刀剣男士についても改めてお聞きしたいのですが、演じる上で特に気をつけていることや心がけていることは?

三津谷「今回のタイトルが「悲伝」ということもあり、僕が演じる骨喰藤四郎は、その“悲”の役割を担う部分が大きいんだろうなと思いました。骨喰藤四郎の感情が落ちていけばいくほど、大般若長光のキャラクターも立つし、二振りの関係性もより際立っていく。今回、刀剣男士が十二振り登場するんですが、それぞれ役割があって、十二振りごとに違っていて、それをしっかりと理解して演じているメンバーが揃っているなというのをすごく感じています。芝居をしていて“ここのセクションは任せた”というようなことが、呼吸で伝わってくるんですよね。だからこそ、骨喰藤四郎に求められている役割をしっかりと果たすために、お客様にも役者たちの芝居や表情、呼吸などで刀剣男士たちの感情が伝わるように、繊細にやっていくことを心がけています」
川上「僕は台本をいただく前に、大般若長光の刀としての歴史をいろいろと勉強して。そこから大般若長光というキャラクターを想像してみたり。骨喰藤四郎の “悲”の部分を、大般若長光がサポートし、明るくできるキャラクターであるとも感じました。そういう部分をしっかと舞台上で表現できたら、骨喰藤四郎のキャラクターも立つと思っているので、周りへの優しさというのを意識しています」

三津谷 亮×川上将大三津谷 亮

――自分の役割と全うすることで、お互いのキャラクターがより際立つと。

川上「ただ、稽古中は骨喰藤四郎の感情にけっこう同調してしまって。袖で骨喰藤四郎のシーンを観ていて、普通に悲しくなってしまったんです。それでそのまま表に出てセリフを言ったら、その悲しい感情が全部、大般若長光のセリフに出てしまったことがあって……。でも、それでは骨喰藤四郎と大般若長光との関係性もおかしくなってしまうし、お互いキャラクターが立たなくなってしまうので、そこはきちんと物語の中の自分の役割を果たさなきゃなと」
三津谷「将大は、基本的にすごく優しい子なんです。骨喰藤四郎が落ちていなきゃいけないときに、大般若長光役の将大が悲しそうになっているから、僕が逆に心配する感じになってしまって。もっとダンディズムな感じでいて欲しいのに(笑)」
川上「その日の夜に、三津谷さんが長文のメールを送ってくださって。“ここのシーンは……”と、1つ1つ丁寧にわかりやすい話をしてくださって、確かにそうだなと。僕一人では理解できていなかったところも、三津谷さんが解説してくれることで理解できて、本当に助かりました。そういうことが数え切れないくらいあって、いつも本当にありがとうございます!!」

三津谷 亮×川上将大川上将大

――役以外のところでも素敵な関係性を築かれているんですね。お二人は今回が初共演ですが、お互い、役者としてはどのような印象をお持ちですか?

三津谷「将大は先輩に可愛がられる素質をもっている人間だなって思います。それは、見た目がちょっと怖いというのもプラスになっていると思っていて(笑)。実際に話をすると、“あ、可愛いな”っていうギャップがあるんです。先輩からの話もしっかりと聞こうとする姿勢も素敵だなと思いますし、わからないものをそのままにするのではなく、きちんとそれに対して向き合っていくストイックさもある役者さんだなというのは、一緒にやっていて感じます」
川上「僕は一方的に三津谷さんのことは知ってはいたんですが、実際にどんな方なのかというのは今回ご一緒するまで知らなくて。僕の中では、三津谷さんは顔もすごくキレイだし、別の作品で演じていたキャラクターが、“クールビューティーな王子様”という感じだったので、普段もそういう方なのかなと思っていたんです。でも、実際お会いしたらすごく面白い方で、それこそ僕もギャップを感じました。こんなにも表情筋豊かな人なんだなと(笑)。それと、僕が落ち込んだりしているときに、いつも隣にいてくれるし、リラックスさせてくださるので、会えば会うほど最初の印象からのギャップがすごくて。今はもう大好きな役者さんです!」

三津谷 亮×川上将大

――お話を聞いていると、舞台上での骨喰藤四郎と大般若長光との関係性と普段とでは、真逆の関係性なんですね。

川上「袖にはけた瞬間、逆の関係性になります」
三津谷「だからこそ、お互いの気持ちがわかるのかもしれないですね。こうやったら相手を元気にすることができるとか、こういうことで元気をもらえるんだなとか。よく、舞台の稽古で、相方の気持ちを理解するために、わざと役を交換して演じることがあるんですけど、今回に関しては、通常の関係性が逆なので、そういうのを抜きにして、役に向き合うことができたなと思います」
川上「今回の現場で、プライベートで仲良くなれば、芝居をする上でもより良くなるというのを改めて感じました。日々の稽古で三津谷さんとずっと一緒にいて、三津谷さんのことを僕自身がすごく好きになっていくことで、芝居でも変な緊張とかが全部なくなって芝居ができる。やっぱり先輩と芝居をするときは、どうしても遠慮してしまうところがあって。でも、今はまったくそういうのはなく、信頼関係が出来上がっているので、ステージ上ではリラックスしてやらせていただいています」
三津谷「稽古からも感じていましたが、本番に入ってからも、将大は日々すごく伸びているなって実感しています」
川上「本当に三津谷さんのおかげです。とある公演で僕がちょっと硬くなってしまったことがあって。演じながら自分でもちょっとヤバイなと感じていたんです。そしたら、袖にはけた瞬間、三津谷さんが『今日、どうしたの? 大丈夫!?』って、声をかけてくださって。正直、芝居を見ただけではわからないような細かい部分で、しぐさや僕の目とかを見て、感じ取ってくださったんだと思うんですけど、声をかけてくださったときに、“僕のことを見ていてくれている”という安心感があって。あのときはすごく嬉しかったです」

三津谷 亮×川上将大

――それは心強いですね。

三津谷「でも、僕からしたら、デビューしてまだ3年とかなのに、将大はスゴイなと思います。僕が同じくらいのキャリアのときなんて、まだまだ全然だったもん」
川上「僕もまだまだです!」
三津谷「だから、これからがすごく楽しみだなと。今回は全部で55公演なので、千秋楽までにもっと成長するだろうなと思っています」
川上「いつか、三津谷さんみたいに、後輩をサポートできるような役者になれるよう、頑張ります!」

――お二人の関係性からも滲み出ていますが、ほかのみなさんのSNSとかを拝見していても、カンパニー全体もとても仲のいい雰囲気なんだなというのが伝わってきます。

三津谷「いい意味で、マイペースな人が多いかも。各々が自分のやるべきことをやっていて、無理に合わせようとしなくても自然と呼吸が合ってくる。全員がきちんと各々の役割を理解していて、責任感持ってやっているので、プロの集団だなと感じています。あと、バランスもすごくいいんです。将大や大包平役の(加藤)将が、弟的なポジションにいてくれるから、みんながそこを通して集まれるというのはありますね。大家族に近いというか、兄弟の関係性に似ている気がします」

三津谷 亮×川上将大

――居心地がいいカンパニーですか?

川上「はい! 芝居の稽古をしたときに、周りのみなさんが凄すぎて、自分の実力の足りなさを改めて実感したんです。それで、僕はネガティブな性格なので、“こいつじゃダメだなと思われて見捨てられる”って思ってしまって。でも、三津谷さんをはじめ、キャストのみなさんが、たくさん声をかけてくださったんです。『こうした方がいいよ』ということはもちろん、『大丈夫だよ』とか、僕のメンタル面もケアしてくださる先輩方ばかりで、本当に救われました。これだけすごい舞台だから、けっこう体育会系みたいな感じなのかな?と思っていたんですが、みなさん本当に温かくて、とても居心地のいいカンパニーです」

――そんなみなさまが物語を紡ぐ、今回の「悲伝」。大千秋楽の7月29日(日)には、ライブビューイングも実施されます。改めてファンのみなさまに、メッセージをお願いします。

三津谷「舞台『刀剣乱舞』は、2.5次元舞台というジャンルではありますが、ストレートの演劇と変わらぬメッセージ性のある作品です。タイトルは「悲伝」ですが、舞台上で巻き起こる物語を見ることで、逆に元気を与えられるというか、“自分も生きなきゃ!”というような、今の生活環境を改めて見つめなおすきっかけにもなるんじゃないかなと思っています。原案のゲームが好きで観に来られる方はもちろん、まったく知らない人でも入り込める作品だと思いますし、観終わって、劇場から出たときに、何か一つ、心に持ち帰って考えるきっかけになったら嬉しいなと思います」
川上「僕自身、稽古中からこの作品を観ていて、改めて親に感謝をしました。三津谷さんもおっしゃっていましたが、この物語を観ることで、今自分が置かれている現状のありがたみを実感するというか、日々こうして生活していることに感謝しなきゃなと思いました。それと、今回は刀ステのシリーズ集大成でもある作品でもあって。今まで刀剣男士を演じられてきたキャストのみなさんや、スタッフさんを含めたカンパニーのみなさんが愛し続けてきた舞台の集大成として、とてもふさわしい作品になっていると思います。いっぱい笑って、いっぱい泣いて、観終わったあとに、みなさんの中でずっと心に残っているような作品になったら嬉しいです」

Profile

三津谷亮(みつや・りょう)●1988年2月11日生まれ、青森県出身。ワタナベエンターテインメント所属。近年の主な出演作は、舞台『真田十勇士』、學蘭歌劇『帝一の國』、大河ドラマ『真田丸』(NHK)、ミュージカル『黒執事〜NOAH'S ARK CIRCUS〜』、舞台『柔道少年』、テッペン!水ドラ!!『3人のパパ』(TBS)、劇団□字ック『滅びの国』、舞台『パタリロ』★スターダスト計画★、劇団西瓜糖『レバア』など。8月25日から上演されるミュージカル『マリーゴールド』に出演。

川上将大(かわかみ・しょうた)●1993年4月8日生まれ、兵庫県出身。ギャレエンタテインメント所属。2016年にミュージカル『テニスの王子様』3rdシーズン 青学vs山吹 亜久津仁役で俳優デビュー。その後、『ROCK MUSICAL BLEACH〜もうひとつの地上〜』、*pnish* vol.15『サムライモード』、WBB vol.11『スペーストラベロイド』、RICE on STAGE『ラブ米』、映画『霊眼探偵カルテット』などに出演。9月21日より上演される『家庭教師ヒットマンREBORN!』the STAGEに出演決定。

Information

舞台『刀剣乱舞』悲伝 結いの目の不如帰
東京凱旋公演:2018年7月25日(水)〜29日(日)/天王洲 銀河劇場

◆日本全国(155館)の映画館にて千秋楽のライブビューイングが決定&DMM.comにて独占LIVE配信決定!
2018年7月29日(日)17:30上映開始
詳細は公式サイト(https://www.marv.jp/special/toukenranbu/)まで
◆2018年10月31日(水)にBlu-ray&DVDが発売

舞台『刀剣乱舞』悲伝 結いの目の不如帰

舞台『刀剣乱舞』悲伝 結いの目の不如帰

≪あらすじ≫
西暦2205年。
歴史改変を目論む「歴史修正主義者」が過去への攻撃を開始した。
対峙する時の政府は歴史の守りとして「審判者」なる者を過去へを派遣する。
物の心を励起する審判者の力によって生み出された、刀剣に宿りし付喪神「刀剣男士」たちは、審判者と共に歴史を守る戦いへと身を投じる。
本丸にも、今や多くの仲間たちが増えていた。
ある日、永禄八年 永禄の変へ出陣する刀剣男士たち。
戦国の世では、室町幕府第十三代・征夷大将軍 足利義輝が三好義重、松永久通らの手によって最期の時を迎えようとしていた。
一方、刀剣男士たちの歴史を守る戦いは激化の一途をたどっていた。
出陣に次ぐ出陣。
終わりの見えぬ戦い。
本丸の仲間も増えたとはいえ、刀剣男士たちは徐々に疲弊を色濃くしていく。
山姥切国広はとある出陣先で、【正体不明の敵】と出会う。
それはあらゆる時代に現れ、まるで刀剣男士と対等に戦うチカラを得るために経験を積み重ねているように思えた。
「ぼくは……よしてるさまを……しなせやしない」
その敵と対峙した三日月宗近が取った行動とは――

(C)舞台『刀剣乱舞』製作委員会

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