杉咲 花 | インタビュー | Deview-デビュー

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インタビュー「杉咲 花」

2015/06/03

「1回目のオーディションでいきなり(松永)監督に泣かされたんです(笑)」

杉咲花

ドラマ『学校のカイダン』(日テレ系)をはじめ、ドラマや映画、CMなど幅広く活躍中の若手女優・杉咲花。6月には出演映画『トイレのピエタ』、『愛を積むひと』が公開! 同作品のオーディション秘話や撮影エピソードなどをたっぷりと語ってもらった。


杉咲花
『トイレのピエタ』の真衣役は、約1年のオーディション期間を経て決まったそうですね。
「決まるまでに5回ぐらいオーディションがあったんですけど、1回目でいきなり(松永)監督に泣かされたんです(笑)」
え、どうしてですか?
「『トイレのピエタ』のワンシーンを演じるというお題をもらいまして。そこは真衣がものすごく怒る場面で、自分の持っているものすべてを出して“怒る”演技をしたんですけど『そんなのは俺にもできる』って監督に言われてしまったんです。私が今までやってきたのは誰でもできる演技なのかって悔しくて……。そこから一回離れてエチュードをやるってことになったんですけど、今度はいきなり相手役の方から『やる気がないなら帰れ!』って罵られたんです。私も思わず『やる気あるよ! 帰らねーよ!!』って怒鳴ってケンカみたいになったら、監督が『よし! そのテンションでさっきの真衣のシーンをやって』と言われて改めて演じたという感じで……。オーディションはずっとそんな感じでした(苦笑)」
“ガチ”の演技指導ですね。
「私もこんなオーディションは初めてで。しかも監督は言い方が強くてキツいんです。でも対等に向き合って最後まで私を信じてくれている感じがあったので、決まったときは本当に嬉しかったです」
でも、真衣はこれまで花さんが演じた、どの女のコとも違う複雑でシリアスな役。撮影が始まってからはさらに大変だったのでは?
「撮影よりも、その前のリハが大変でした。私なりに真衣を作って自信を持った状態でリハに入ったんですけど、いざ始まったら監督から『全然違う』って言われて“あ、また怖いのが始まった”って(笑)。結局、登場シーンだけで1時間ぐらいかかりました」


杉咲花
監督から見て、何が“違って”いたんですかね?
「そのときも真衣が怒っている場面だったんですけど、監督は“体”ってものをすごくわかっているというか。本当に怒っているときの体と声をすごく見ているし、聞いているんです。だから口先だけで怒った声を出しても、それは『違う』と。で、そのときは息をギリギリまで止めてから声を出すように言われて、その状態でセリフを言ったら、『そんな感じでいい』って。そうやってだんだんとリハの段階で真衣を掴んでいきました。でも(野田)洋次郎さんは最初からしっかり主人公の“宏”になっていたから、それもまた悔しくて“自分は全然ダメだ”って結局、リハでもまた泣いてしまいました(笑)」
オーディションから泣きっぱなし(笑)。
「でも、リハでそこまでやったので、実際に現場に入ってからは困ったことは何もなかったです。しかも宏がそばにいるから、やればやるほど心が真衣になっていく。そうなると今度は宏を失うことがどんどん怖くなっていって、撮影中は家に帰ってからもずっと悲しくて泣いていたんです。そしたら親からは『切り替えてくれ』って言われて、撮影中はよくケンカしてました」
真衣も常に“怒っている”子ですしね。
「でも、真衣が怒っているのは悲しみが強いからなんです。世界に対して絶望的で生きることに興味がない。それぐらい悲しいんだけど、不器用だから怒りでしか表現できないという」
でも映画ではそんな真衣を生命力の象徴として描いていますよね。特にプールでイルカのように泳ぐところは、“命”そのものを感じさせるシーンでした。
「私自身は普段そんなに泳がないんですけど、ドルフィンキックだけは得意というか、小さい頃に友だちと“人魚ごっこしよう”って練習していたんです(笑)。真衣としてプールに入ったら自然とその泳ぎになっていました」

杉咲花
体が勝手に動いてしまったと。そこまで役に入り込んでしまったときって、撮影が終わった後も引きずったりしないんですか?
「変な感じでした。ラストシーンがクランクアップで、その後、普通に学校に行ったんですけど、急に“もう真衣じゃないよ、花だよ”って突き放された気がして、整理できないし受け入れられない。“宏”に会えないことも辛くて、1ヵ月ぐらいは落ち込んでました。それぐらい『トイレのピエタ』が大きな存在になってしまって、大好きな作品だし宝物だけど、自分にとっては強烈すぎて危険なものというか。今もまだ安易に映像を観られないし、主題歌も聴けない。それは今後も変わらないと思います」
いっそ、真衣に戻りたい?
「かなり苦しいから戻りたくはないですけど、思い出すと『トイレのピエタ』をやっていた期間が愛おしい。まだ自分のどこかに真衣がいるなって感覚です」
すごい影響力ですけど、花さんはいつも役に入り込むタイプなんですか?
「いえ、いつもは違うんですけど『夜行観覧車』はその傾向があったかもしれないです。友だちからいじめられて家で暴れる役だったので、撮影中は本当に学校に行きたくなくなったり、物を投げたくなったりして(笑)。でも今回は、松永監督から『嘘をつくな』ってずっと言われていたんです。私は結構、猫をかぶるタイプで、緊張とか恥ずかしさを外に出さないようにしちゃうんです。でも監督はどんな手を使ってでもそれを引きずり出そうとする人で。さらに洋次郎さんも嘘をつかない人で、そういう人たちとずっと一緒に過ごしていたから、自分も嘘はつきたくないと思いました」
“演技”と“嘘”の違いはなんでしょう?
「例えば、怒っていないのに怒ってる演技をすることだと思います。感情が入ってないのに怒鳴っても、それは力づくで出した“嘘”の声になってしまう。監督はそれをすごくイヤがって、『本当に怒ってみて』って何度も言われました」
喜怒哀楽の感情をすべてさらけ出して、カメラの前で“丸裸”になるってことですね。そう考えると役者さんてすごい。
「私も現場で他の役者さんを見ていてそう思います。自分がそれをやっていることも不思議だなって(笑)。でも私は今後、(演じる上で)?をつくことはないと思う。『トイレのピエタ』をやったことでそこは変わりました」
そんな『トイレのピエタ』に続き、『愛を積むひと』も公開されます。しかもこっちで演じた紗英は真衣と真逆の可愛らしい女のコで、ギャップがすごかった(笑)。
「どっちも去年撮影したんですけど、初夏に『愛を積むひと』を撮って、その後に『トイレのピエタ』があって、また秋から『愛を積むひと』の撮影に戻ったんです」

杉咲花
混乱しませんでした?
「『トイレのピエタ』の後に、『愛を積むひと』の紗英に入るときは、ちょっと真衣を引きずりましたけど、『愛を積むひと』の現場に救われた部分もありました。それぐらい温かい現場で、撮影後は毎日みんなでごはんを食べに行って映画について話したりとか、キャストもスタッフもすごく仲が良かったんですよ。そういう意味で『愛を積むひと』も私の中では刺激をもらった大きな作品。昨年は他にも2本撮ったんですけど、ドラマとはまた違う現場の雰囲気が心地良くて、もっと映画に出てみたいって思いました」
真衣も紗英もオーディションで決まった役ですが、オーディションを受けるときに心がけていることはありますか?
「心がけているというか、私、オーディションはあまり緊張しないんです。昔はしていたんですが、オーディションって、関係性として審査する側の方が立場が上っていう感じがするじゃないですか。だから緊張していたんですけど、実際に撮影が始まって現場に入るようになると、みんながひとつの作品を作る仲間なんだなってことがわかってきて。オーディションはそれを探す場所だから上も下もない。そう思ってからは緊張しなくなりました」
オーディションで緊張しないって、すごい強みですよね。
「強みかどうかわからないですけど、居心地は良くなりました。オーディションは、それこそ丸裸にされる気がして、今でもいい気持ちではないですけど(笑)、居心地は悪くなくなった気がします」

インタビュー・終
撮影/booro(BIEI) 取材・文/若松正子

Profile

杉咲 花
すぎさき・はな●1997年10月2日生まれ、東京都出身。研音所属。映画『愛を積むひと』(6月20日公開)、劇場版『MOZU』(11月7日公開)に出演。出演ドラマ『学校のカイダン』のBlu-ray&DVD BOXが7月22日に発売。

INFORMATION

トイレのピエタ

(C)2015「トイレのピエタ」製作委員会

映画『トイレのピエタ』
6月6日(土)新宿ピカデリー他全国公開

RADWIMPS野田洋次郎×若手人気女優・杉咲花が贈る、最も純粋で痛快なラブストーリー。余命3ヵ月と告げられた宏(野田)は、出会ったばかりの女子高生・真衣(杉咲)から、「今一緒に死んじゃおっか?」と誘われる。バイクの後ろに彼女を乗せてスピードを上げるが、そのまま死ぬことはできなかった。画家の夢を諦めてフリーター生活を送っていた宏にとって、ただやり過ごすだけだったこの夏。それが人生最期の夏に変わってしまったとき、立ちはだかるように現れた真衣。純粋な真衣に翻弄されながらも、二人は互いの素性も知らないまま、反発しながらも惹かれ合っていく。

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