瀬戸康史 | インタビュー | Deview-デビュー

Deview LOGO

お知らせ

検索の条件設定はコチラ

Deview LOGO

検索の条件設定はコチラ

インタビュー「瀬戸康史」

2016/09/28

「舞台となる遠野の空気に触れられたことで、刺激をもらえたし、モチベーションも上がりました」

瀬戸康史

撮影/草刈雅之 取材・文/根岸聖子 スタイリスト/小林洋治郎(yolken) ヘアメイク/小林純子

今年に入り、NHK 連続テレビ小説『あさが来た』のナル様や『私結婚できないんじゃなくて、しないんです』(TBS系)の“フェアリー男子”で話題を呼び、7月期のドラマ『HOPE〜期待ゼロの新入社員〜』(フジ系)では、プライドが高く上昇志向が強いエリートを熱演するなど、様々なタイプの役柄を演じ、注目を集めている瀬戸康史。この秋には舞台『遠野物語・奇ッ怪 其ノ参』に出演。もともと、同舞台の脚本・演出を手がける前川知大の大ファンだと語る瀬戸に、本作への意気込みを聞いた。
瀬戸康史
――舞台『遠野物語・奇ッ怪 其ノ参』に出演が決定。もともと、この「奇ッ怪」シリーズ、そして前川知大さんのファンだとか。
「はい。事務所の先輩である安井順平さんが、前川さんが主宰する劇団『イキウメ』の劇団員なんですが、安井さんが劇団員になる前、客演していたときからずっと『イキウメ』の作品を観ていて、大好きだったんです」
――いつか自分も出てみたいという想いはありましたか?
「純粋に作品が好きで観ていたのですが、そのうちに、“自分も出てみたい”という感情も生まれてきましたね。縁あって、今回、前川さんの作品に出演することができて、運命的だなと感じています。本稽古はこれからなので、どういう演出をされるのか、まだハッキリとはわからないのですが、役者と作品について話すといった、コミュニケーションを大事にされるとは聞いています。作品に対しての共通認識を重要視するということで、役者同士でも話し合う感じになるみたいですね」
瀬戸康史
――具体的に、前川さんの作品のどんなところに惹かれたのでしょうか?
「まず、非現実的な、SFやファンタジー作品というのが好きなのに加えて、前川作品の、異世界を題材にしつつ、日常的な問題を突きつけてくるところに魅力を感じているんです。一番最近の作品では『太陽』という、映画化もされた作品がありまして。夜にしか生きられないけど、若くて健康な肉体と高い知能を有する進化した人類『ノクス』と、太陽の下で貧しく暮らす旧人類『キュリオ』の物語なんですが。僕の地元は炭坑の街でもあったので、自分が聞いていた話と似ているところもあったんです。前川さんの作品は、SFといったフィルターをかけて、描いていること、訴えかけてくることにリアリティがあるんです。本当に、前川さんの作品は毎回、期待を裏切らないんですよ!」
――必ず、考えさせる何かを残してくれると。
「そうですね。『遠野物語・奇ッ怪 其ノ参』は、柳田国男の『遠野物語』をベースに、妖怪や神々の話といった伝承から、その裏にある“本当の物語とは!?”ということを描いているんです。稽古に入る前に、舞台となる(岩手県)遠野にも行って来たんです。ちょうどお祭りをやっていて、神様を崇めたり、妖怪というものに敬意を払うことが伝えられているのは、すごくいいなと思いました。僕が住んでいた地域にも、河童の伝説とかありましたからね。舞台となる遠野の空気に触れられたことで、刺激をもらえたし、モチベーションも上がりました」
瀬戸康史
――演じる役柄は、東北の青年だとか。
「そうなんです。僕の役のモデルになっているのは、佐々木喜善という実在の人物で、語り部である祖父から聞いた話を、後世に伝えなくてはと、民俗学者の柳田国男など、いろんな人に伝えた人で。東北の訛りの強い標準語のときもあれば、ストレートに聴き取れないぐらいの東北弁でも話すということで、そこはさらなる練習が必要だなと思っています。そういった伝承を信じるかどうか、いろんな立場の人が登場するので、観客の方もいろんな視点で楽しめるんじゃないかな」
――目に見えないけれど気になるというのは、好んでパワースポットにでかけたりするのと似ていますね。
「確かに、みんなパワースポット好きですよね(笑)。遠野駅の近くのホテルに泊まったときに、少し登ったところに神社があったんですが、長い時間お祈りしている人がいましたね」
瀬戸康史
――東北地方の民間伝承を扱いつつ、今回の核となるテーマは?
「“標準化”というのが、今回の大きなテーマでもあります。社会の合理化を目指す『標準化政策』によって、全てに“標準”が設定されて、逸脱するものは違法とされるという設定で。遠野に行ったとき、お年寄りの人たちは聴き取れないくらいの東北弁だったんですが、若い人たちに話を聞いたら、普段話すときに、そこまで方言は出なくなってきているらしくて。いい意味でも、悪い意味でも、自分たちも気づかないうちに、徐々に標準化されているんだなと感じました。たぶん、僕の地元の福岡も同じだと思います。地方出身者としては、失われつつあるけれど大事なものがある。みんながみんな、同じように同じ言葉を話し、統一化されていって良いんだろうか!?という疑問も抱きました」
――今年は、連続テレビ小説『あさが来た』、『私 結婚できないんじゃなくて、しないんです』からの『HOPE〜期待ゼロの新入社員〜』とドラマ出演が続いてからの舞台出演ですから、普段舞台を観る習慣がない人たちも瀬戸くんがキッカケでこの作品を観てみようと思う人も多そうです。
「今回、この記事を目にしたことがキッカケになって、観に来てくれたりしたら、それはすごく嬉しいです」
――『あさが来た』では“ナル様”、『私 結婚できないんじゃなくて、しないんです』のときは、“フェアリー男子”と、様々な世代の女子を虜にして話題になりましたね。
「いや〜いろいろ話題にしていただいて、嬉しいです(笑)。“ああ、そういう見られ方をしていただけたんだな”と。特に、フェアリー男子の橋本諒太郎を演じたときは、キャラクターがわからなすぎて、すごく悩んでいたから。あの作品は、オンエア前にすべての撮影が終わっていたので、余計に“大丈夫かな……”と不安で、オンエアされるのがちょっと怖かったくらい。本当に、何が評価されるのか、わからないですよね(笑)。テレビとかで知ってくれて、こういう舞台にも足を運んでくれたら、本当に最高ですよ。遠野に行ったときも、会う人会う人に、『遠野に住んでいるなら、この舞台は絶対観たほうがいい!』って、めっちゃ宣伝してきましたから」
瀬戸康史
――改めて、舞台の魅力をどう感じていますか?
「舞台ならではの題材があることと、生で楽しめることですね。出る側としても、その場でのリアクションや空気が味わえるし、こちらも直に伝えることができる。そこは舞台ならではの魅力だと思います」
――『あさが来た』と『HOPE〜期待ゼロの新入社員〜』で共演している山内圭哉さんも前作の「奇ッ怪」シリーズ出演者ですが、お二人の共演も楽しみです。
「この2つの作品では、役柄的に実際には関わることがほとんどなかったので、この舞台で“やっと絡める”といった感じなんです。他にも仲村トオルさんや池谷のぶえさん、銀粉蝶さんなど、魅力的な役者さんばかりで。本読みを一回やっただけで、楽しくてワクワクしました。初めて合わせるのに、テンポとか、場数の違いを感じましたね。“自分も頑張らなきゃ”とも思ったし、“超えてやろう!”って気持ちになりました」
――この舞台では、役者・瀬戸康史のどんなところが堪能できそうですか?
「語り部で憑依体質ということなので、語りながら、違う人の魂が入ってくるんです。乗り移られて、コロコロと人格が変わる芝居になるんですよね。そういう意味でもやりがいのある役なので、頑張ります!」
瀬戸康史
――最後に、デビューを目指している後輩たちに、メッセージをお願いします!
「これが一番難しい(笑)。僕自身、地方も地方、本当に田舎の出身ですけど、今はインターネットの情報も充実していて便利になっているじゃないですか。いろいろと調べたり、応募もやりやすくなっていますから、まずは動いてみることが大切だと思います。情熱があるなら、続けていくしかない。僕はデビューが早かったせいもあって、本当に何も知らずにこの世界に入ったんです。だから、“もっと知識と知恵があれば……”と思うこともあったので、今のうちにドラマや映画、舞台などの作品をたくさん観ておくのもいいかもしれないです。個性は自分で無理して作るものじゃなく、自然に身についてくる。僕ももともとは地味な人間なので、焦った時期もありましたが、そこであがいても空回りしてしまう。“自分は自分!”って開き直ったら、大分ラクになりましたね(笑)あと意外と、礼儀とか、目上の人たちとの関わり方とかも大事ですよ。割と普通のことをきちんとやることも、将来のためになると思います」
舞台『遠野物語・奇ッ怪 其ノ参』に出演する、瀬戸康史がデビューを夢見る読者へ熱いエール!!
Profile
瀬戸康史(せと・こうじ)●1988年5月18日生まれ、福岡県出身。ワタナベエンターテインメント所属。連続テレビ小説『あさが来た』、『私 結婚できないんじゃなくて、しないんです』、『HOPE〜期待ゼロの新入社員〜』などの映像作品で活躍する一方、2015年には舞台『マーキュリー・ファー』では、存在感を残し、演技力を高く評価された。 2017年2月に上演される「シアターコクーン・オンレパートリー+キューブ 2017 昭和三部作・完結編『陥没』」への出演も決定している。
舞台『遠野物語・奇ッ怪 其ノ参』
【東京】10月31日(月)〜11月20日(日)世田谷パブリックシアター
【新潟】11月23日(水・祝)りゅーとぴあ 新潟市民芸術文化会館・劇場
【兵庫】11月26日(土)、27日(日)兵庫県立芸術文化センター 阪急中ホール
【岩手】11月30日(水)岩手県民会館 大ホール
【仙台】12月3日(土)、4日(日)イズミティ21 小ホール
遠野物語・奇ッ怪 其ノ参
超常的な世界観を真骨頂とする前川知大が、異界との共生を綴る「遠野物語」をモチーフに、現代の“奇ッ怪”な物語を紡ぎだす、「奇ッ怪」シリーズ第三弾。
民俗学者・柳田国男が遠野盆地〜遠野街道にまつわる民話を集録した『遠野物語』をがモチーフとなる今作。「標準化政策」が行われている架空の日本を舞台に、真と偽、事実と迷信、この世とあの世といったもののあわいの世界へ迷い込んでいく者たちの物語を、脚本・演出の前川が、日本の演劇界を賑わす魅力ある出演陣と共に紡ぎだす注目作品。

公式サイト: https://setagaya-pt.jp/performances/20161031toono.html
関連記事

最近のインタビュー

インタビュー一覧

ア行のタレント
カ行のタレント
サ行のタレント
タ行のタレント
ナ行のタレント
ハ行のタレント
マ行のタレント
ヤ行のタレント
ラ行のタレント
ワ行のタレント
×