徳永えり | インタビュー | Deview-デビュー

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インタビュー「徳永えり」

2010/05/28

1カ月間、孤独な現場を耐え抜きました!

矢島舞美
元漁師の老人・忠男(仲代達矢)が孫娘・春とともに旅をしながら、自分自身を見つめ直していくロードムービー『春との旅』。この作品でヒロイン・春を演じ、日本映画界を代表する名優・仲代達矢さんの相手役を務めた徳永えりちゃんに、この作品への思いや女優として成長したことなどを語ってもらいました。



矢島舞美

Q 『春との旅』の出演が決まったとき、プレッシャーは感じましたか?

「はい。どの作品でもプレッシャーはありますけど、今回は特に大きかったです。 仲代達矢さんをはじめ、大御所の役者さんがたくさんいらしたので。私がどんなに頑張っても太刀打ちできないですよね。私ができることと言ったら、"春で居続けること"しかなかったです」

Q 春を演じるにあたって、どんなことに気をつけましたか?

「監督の思い描く春はとても強くて明確だったんですよ。その春のイメージを100%表現することはできなくても、なるべく近づくようにしたくて、監督から何を言われても『NO』と言わないようにしました。また私自身の『こう演じたい』という考えは一切なくしました。自分を消して、監督から春の情報をもらっては入れる、という作業を毎日やっていましたね。今までの作品では、役の中に何割かは自分が入っていたけど、今回それをやってしまうと監督が思い描く春にはなれないと思ったんです。その意味では、今までの作品とはアプローチが違いました」

Q 撮影は1ヵ月間のオールロケ。物語の進行と同じ"順撮り"だったんですね。

「はい。今回はロードムービーなので、順撮りはありがたかったです。春の場合、旅をしながら思いをためていって終盤のシーンにつながるわけですから。やっぱり順序を追って撮っていく方が気持ちが入りやすかったです。想像して演じるのと実際に肌で感じるのとは、大きな差があると思うので」

矢島舞美

5月22日(土)より新宿バルト9、
丸の内TOEI2ほか
全国ロードショー
2010『春との旅』フィルム
パートナーズ/ラテルナ/
モンキータウンプロダクション

Q 今回は監督の狙いがあって、「現場では仲代さんと仲良くしないように」と言われたんですって?

「はい。というか、仲代さんだけじゃなくて、他のキャスト、スタッフのみなさん全員です。監督がみなさんに、『徳永に話しかけるな』って言って(苦笑)。もう、孤独でしたよ。みんなで大きなテーブルを囲んでご飯を食べるときも、私はしゃべれなくて、仲代さんと監督が黒澤明監督の話をしているのを勝手に盗み聞きしてました(笑)。でも仲代さんは、監督がいないところで『体調どう?』って声をかけてくださったりして…。そういうのはうれしかったです」

Q 辛い現場でしたね。現場にはマネージャーさんもいなかったんですか?

「いなかったんです。宿泊先のホテルも一人の部屋でした。ホテルの部屋って、一人でいると意外と気分が落ち込むんですよね…」

Q 落ち込んだとき、どうやって自分を上げていました?

「音楽を聴く……それくらいしかなかったです。私、そのとき演じている役によって聴くジャンルが違うんですよ。クラシックだったり、ロックだったり。でも今回は、自分を励ます曲ばかり聴いてました。ガンバレ、ガンバレって(笑)。また、その日の撮影が終わると印をつけて、『あと2週間』『あと3日』ってカウントダウンをしてました。それが私の日課でしたね(笑)。とにかく1カ月間、耐え抜いた感じです」

Q 1ヵ月間耐えて、春になりきった感じ?

「"なりきった"というか、春を"生き抜いた"感じです。撮影が終わったとき、 自分に戻るために1ヵ月くらいリハビリが必要だなと感じて、実家に帰ってましたから(笑)。私にとって、そういう経験は初めてでした」

PART2へ続く
【Profile】とくながえり●1988年5月9日生まれ、大阪府出身。本誌『冬の特別オーディション』出身。雑誌『ピチレモン』の専属モデルを経て、04年、ドラマ『ディヴィジョン1「放課後。」』(フジテレビ系)で女優デビュー。以降、ドラマ『ブラッディ・マンデイ』シリーズ(TBS系)、『フルスイング』(NHK)、映画『フラガール』『うた魂(たま)♪』『ホームレス中学生』、舞台『ワルシャワの鼻』『ファンタジア』など多くの作品に出演。フラーム所属。

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