小越勇輝×陳内 将 | インタビュー | Deview-デビュー

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インタビュー「小越勇輝×陳内 将」

2017/03/15

「生身の人間が舞台で表現するからこそ、より強く届いて、心を動かせるんじゃないかな」

小越勇輝×陳内 将

撮影/草刈雅之 取材・文/根岸聖子 ヘアメイク/佐藤美紗(coo et fuu)

鴻上尚史氏脚本・演出により、2008年に上演された『舞台版ドラえもん「のび太とアニマル惑星 (プラネット) 」』が、3月26日(日)より約9年ぶりに再演決定。のび太を演じる小越勇輝とスネ夫を演じる陳内将に、幅広い層から注目が集まる本作への意気込みを聞いた。
小越勇輝×陳内 将
――舞台版ドラえもん「のび太とアニマル惑星 (プラネット) 」再演で、お二人はのび太とスネ夫にキャスティングされましたが、この有名なキャラクターを演じる上で難しいなと思うのは、どんなところでしょうか?
小越勇輝「誰もが知っているキャラクターだけに、声も動きもみなさんすぐに想像できると思うんです。僕が台本をもらったときも、読みながら、脳内でのび太の声で再生されてしまい、“あ、これはマズい、ダメだ”となりました。僕は原作のある作品をよくやらせていただくのですが、特にアニメ化しているものだと、そのキャラクターにはすでに声はついているんですよね。でも、舞台でやるときは、そのモノマネじゃなくて、自分たちの体と声で表現していきたいと思っていて。自分にしか、自分たちにしかできない空間を大事にしたいんです」
陳内将「そうそう。年代を問わずにキャラクターが頭の中にずっとあるぐらい、ドラえもんの登場人物って強烈な存在なんですよね。だからといって、そのスネ夫の存在をただなぞってしまうと、僕はスネ夫として舞台で生きられないと思うんです。なので、最初はイメージに囚われないように、極力アニメのキャラクターを削いだ状態で読み合わせに臨みました。僕もこのキャストで作り上げていく過程で、生まれるものを大事にしたいと思って取り組んでいます」
小越勇輝×陳内 将
小越勇輝
小越「一緒にいるメンバー同士で常に話し合っているし、同じ方向を見てやれていると思います。それでも、頭のどこかにアニメのキャラクターがいるんですよね。そこが難しさであり、課題です」
陳内「例えば、“スネ夫がのび太をからかう”というシーンをあげると、多くの人がそのやりとりをすぐに想像できるじゃないですか。それよりも、舞台上で僕が演じるスネ夫が(小越)勇輝が演じるのび太をからかっていることが面白くて笑っちゃうということを、大事にしたいんですよ。きっと誰もが知っている答えもあるけど、別のパターンも試したい。それをみんなで探っている毎日です」
――演出の鴻上尚史さんは、どんな感じですか?
陳内「鴻上さんの頭の中に答えが明確にあるから、まずはそれを提示されます。それを一回やってみて、さらに自分で“こういうのもありかな?”と思うものをやってみたりしています」
小越勇輝×陳内 将
陳内 将
小越「とても丁寧に説明してくださるので、その場ですぐにやって、あとからその理由をじっくり考えながらやっています。そして僕も、決められたことだけでなく、他にも何かできないかなぁというのは考えますね。やっぱり、自分なりにいろいろ試して出していきたいなっていうのはありますよ」
陳内「きちんと答えを提示していただく分、“ちゃんとその通りにやらなきゃ!”って思いすぎるとそのことだけにとらわれてしまうので、変に意識しすぎないようにしています。あと僕は、休憩時間はついふざけちゃいますね。“みんな、笑って〜!”って」
小越「あはは。確かに、陳ちゃん、よく中心になってなごませてくれるよね」
陳内「楽しい作品は、お客さんにも楽しんでもらうものだから、 “やらなきゃ!”っていう気持ちに押されてしまうと、子供らしさが失われてしまうと思うんです。突き詰める部分はしっかり取り組みつつ、楽しみながら芝居をしたいっていう気持ちが常にあります」
小越勇輝×陳内 将
――誰もが知っているキャラクターだからこそ、役者として生身の人間がどう作り上げていくのか、とても気になるところです。子供を大人が演じることについては、いかがですか?
陳内「そこがね、また絶妙なんですよ。よく、『今のは小学校3年生だね』って、のびちゃん言われてるよね?」
小越「うん(笑)。小学生って考えてやってみると、僕の場合は小3ぐらいになるみたいで。でも、のび太は小5なんですよね。その細かい調整が難しいです」
陳内「ちなみに、僕の場合は、よく『ジャイアンよりバイオレンスになってるよ!』って言われます(笑)。ついつい楽しくなっちゃって、ずっとのび太をイジってしまうんです。まず、この陳内っぽさを消すことが課題です(笑)」
――(笑)。今日の撮影でもすごく和気あいあいとした雰囲気でしたが、お二人は、割とすぐになじめたんですか? お互いの第一印象を教えてください。
小越「昔から知ってはいたんですけど、じっくり話をしたり、役柄でも絡むことはあまりなかったんです。遠目に“ワイワイしているお兄さんがいるなぁ”って感じでした。久しぶりにお会いしたら、やっぱり話しかけてくれたりして、とても気にかけてくれるお兄さんです。みんなのこと、すごくよく見ているよね」
陳内「そうかな?(笑)。勇輝は、テニミュ(ミュージカル『テニスの王子様』)をやっていた頃、ダンスも歌も飄々とやっていたから、クールに何でもこなしちゃうイメージがありました。でも、ふざけたりするときもあったりして、意外と人間味があるんですよね。そして勇輝も僕も、すごい人見知りなんですよ(笑)」
小越勇輝×陳内 将
――お互い人見知りなんですね。
小越「今回も、そんな話から入ったよねぇ。僕は自分から話せなかったり、自分のことを知ってもらうまでにとても時間がかかるんです」
陳内「うん。勇輝は人見知りで、いつも端っこに座っていたのに、今回は最初の顔合わせでみんなでご飯に行ったとき、自分からみんなに乾杯をしに行っていたよね。あれは驚いたよ。“ああ、すごく頑張っている!”って、僕もちゃっかり、後ろにくっついて回っていました(笑)」
――意識的に自分からコミュニケーションを取りにいったんですか?
小越「はい。今回は少しでもやりやすくなるようにと思って、頑張って自分から動いてみました。今までは、よく『何を考えているのかわからない』とか、『話しづらい』って言われたりしていたので……」
陳内「そのあとは、いつも通りになってたけどね(笑)」
小越「いやでも、最初の印象が大事なんだよ!」
陳内「芝居をしているときもさ、袖から見ていたら、不安そうな顔でめっちゃこっちを見てくるの。“何見てんだよ! 可愛いなぁ”って、いつも思ってます(笑)」
小越「不安になると、つい人のことを見ちゃうんだよ。スネ夫(陳内)とジャイアン(役の皇希)を見ると、笑って見返してくれるから、ホッとするんです」
小越勇輝×陳内 将
――この舞台は、アニマルたちも出てきたりして、画的にもとても可愛らしいですが、お二人の思う見どころを教えてください。
陳内「本当に可愛いんですよ。ドラえもんがいつも近くにいるっていうのも最高です!原作の『のび太とアニマル惑星』は、環境問題にも着目していて、藤子・F・不二雄先生の“人間は愚かで弱いんだ”というメッセージに、“だからこそ、力を合わせて、いい世界を目指そう”というポジティブなメッセージが込められていると思うんです。それは作品自体の魅力であると感じています。舞台版に関しては、(小越に)どうですか!?(笑)」
小越「えっ!?(笑)。あ、僕は生身の人間が舞台で表現するからこそ、より強く届くものがあるだろうし、心を動かせるんじゃないかなと思っています。そこは、まさに舞台ならではなんじゃないかな」
陳内「いいこと言った!(笑)」
――ちなみに、今自分はこれが欲しい! というドラえもんのひみつ道具は?
小越「『スモールライト』かな」
陳内「え!? 人見知りだから、小っちゃくなりたいの?」
小越「違います(笑)。荷物とかを小さくしたいんです」
陳内「あ、なるほどね〜。僕は『家元かんばん』。この看板を家の玄関に掲げておくと、家元になれて生徒さんがやって来るんです。生徒がたくさん来て、みんなが崇めてくれる。きっと、超幸せですよ! で、満足したら看板を外すといつも通りに戻るんです。どれだけ褒められたいんだっていう話ですけど(笑)」
小越「いいねぇ(笑)」
小越勇輝×陳内 将
――では、最後に芸能界を目指している『Deview』読者へのメッセージをお願いします。
陳内「僕は今年、上京してきて10年目になるんです。10年前は、今もこうして役者をやり続けていることなんて想像もできなかった。当時は不安しかなかったけど、何もない自分が10年も役者を続けていられて、その経験の中でしか見られない景色や世界に触れてこられたんです。10年前のあのとき、19歳で上京して良かったって思うんですね。今、迷っている人もたくさんいると思うけど、踏み出してみないと見えない世界もあります。そこは、勇気を出して前に進んでもいいんじゃないかなって伝えたいです!」
小越「僕自身、よく悩んだり苦しんだりするけど、そこで投げ出さずに考え抜くことって大事だなって思うんです。好きなことを楽しむためには、たくさん考えて、自分がなぜ役者をやっているのか、根本的なものを忘れないでいたい。ときには悩んだりしても、その先には何かがあると信じて、一緒に頑張りましょう!」
舞台版ドラえもん「のび太とアニマル惑星(プラネット)」に出演する小越勇輝&陳内将が、舞台のみどころをアピール
Profile
小越勇輝(おごえ・ゆうき)●1994年4月8日生まれ、東京都出身。ATプロダクション所属。CM、ドラマ、映画、舞台等、幅広いジャンルで活躍をしており、2010年ミュージカル『テニスの王子様』2ndシーズンにて主演に抜擢。以後2014年までの2ndシーズン全公演で越前リョーマ役を演じ切り、その後も舞台『東京喰種トーキョーグール』主演、BSスカパー!オリジナル連続ドラマ『弱虫ペダル』主演、ミュージカル『刀剣乱舞』〜幕末天狼傳〜などの話題作に出演。

陳内 将(じんない・しょう)●1988年1月16日生まれ、熊本県出身。ワタナベエンターテインメント所属。主な出演作は、初主演映画『ガチバン NEW GENERATION 1&2』、舞台『怪談・にせ皿屋敷』、『東海道四谷怪談』、『また逢おうと竜馬は言った』主演(岡本役/土方役)、『露出狂』、ミュージカル『黒執事〜NOAH'S ARK CIRCUS〜』など。今夏には映画「カーラヌカン」の公開が控える。
舞台版ドラえもん「のび太とアニマル惑星 (プラネット) 」
東京公演:3月26日(日)〜4月2日(日)サンシャイン劇場
福岡公演:4月7日(金)〜9日(日)キャナルシティ劇場
愛知公演:4月14日(金)〜16日(日)刈谷市総合文化センター 大ホール
宮城公演:4月21日(金)〜23日(日)多賀城市民会館 大ホール
大阪公演:4月29日(土)〜30日(日)森ノ宮ピロティホール
ドラえもん
© Fujiko-Pro
本公演の原作は、「大長編ドラえもん のび太とアニマル惑星(プラネット)」(1989年 月刊コロコロコミック掲載)。ドラえもん大長編シリーズのなかでも、環境問題をクローズアップするなど、大人もハッとさせられる心に響く強いメッセージ性が込められたストーリーが見どころ。脚本・演出は初演に続いて鴻上尚史が手がける。
≪story≫
ある夜、のび太はピンクのもやをくぐって見知らぬ森にもぐりこむ。そこは、なんと動物が人間の言葉を話すアニマル惑星だった!
のび太とドラえもんは、チッポというイヌの少年に出会い、友だちになる。しずかちゃん、ジャイアン、スネ夫も誘い、みんなでアニマル惑星の新年を祝う。楽しい時間をすごして地球に戻ったのび太たちに、チッポからの SOS のメッセージが届く。再びアニマル惑星に到着したのび太たちが見たのは、廃墟と化した街だった。のび太たちはアニマル惑星を守るために、チッポたちとともに空から来た悪魔たちに立ち向かう!

公式サイト: http://thirdstage.com/doraemon2017/
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