桐山漣 | インタビュー | Deview-デビュー

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インタビュー「桐山漣」

2018/03/14

「辛いことや苦しいことも笑い飛ばせるような、そんなメッセージを読み取ってもらえたら」

桐山漣

人気マンガ『曇天に笑う』が、この春に待望の実写映画化。大怪我していたところを主人公・曇天火(福士蒼汰)に助けられ、その後、曇三兄弟の“母親代わり”としてともに暮らしている金城白子を演じる桐山漣。物語の鍵を握る重要なキャラクターを演じた桐山に、本作での思い、役作りについてなどを聞いた。自らの経験を基にした、デビュー読者への応援メッセージも必見!!


桐山漣
マンガから、アニメ、舞台、と広がってきた『曇天に笑う』がついに映画化。原作の印象とは?
「原作はすごく読みやすくて、すぐに引き込まれました。巻数は全6巻とそこまで多くはないんですが、その中で描かれている物語は面白くて。夢中になる人は多いだろうなという印象を受けました。今回の出演が決まってから読んだので、僕は自分が演じる金城白子を通して読みましたし、すごくやりがいのある深く探究ができる役を頂いたなと思いました」
その原作が脚本へと落とし込まれていたわけですが、そちらはどのように読み進められたんでしょうか。受けた印象なども併せて教えてください。
「脚本を読んで、いろいろと思うところはありました。やっぱり映画化にあたって、決められた時間内で表現しなくてはならないということもありますし、すべてを詳細に描くことはできない。当然、白子も限られたシーンでしか見せることができないんですよね。だけど、白子をただ優しくて、母親のようで、兄のような存在に見えてしまっては駄目だなと思っていて。“曇三兄弟”がメインの話ではありますが、白子は物語の鍵を握る重要なキャラクターでもあるので、彼ら曇三兄弟の身近にいながらもどこか影のある雰囲気が、本当にフワっと少しだけ香るくらいの、そういうスパイスは入れておきたいなっていうのを思いながら読ませて頂きました。そこは実際の撮影でも、監督と話し合いながら、いろいろと微調整しつつ演じていきました」
桐山漣
役作りで一番心掛けたのはどんなことですか?
「“こんな風にやろう”というのは強く意識せずに演じさせていただいた部分があって。お話をいただいてからの準備期間が一ヵ月半くらいあったので、できる限りの準備をして臨んだのもありますし。もちろんマンガを何度も読みましたし、アニメも何度も観ました。そこから拾えるヒントみたいなものがたくさん転がっているので、それをちゃんと自分の内に入れて現場に臨みました。特に意識して“こうやろう”としなくても、僕の中では、すんなりと白子をやっていけたかなと思います。準備期間があったので、台詞を反復しながら、白子について考える時間も多くありましたし、そこは本当に幸運だったし、恵まれていた環境だったなと思います」
準備期間に常に吸収して準備してきていた金城白子という人物像が自然と出てきたということでしょうね。劇中での所作の美しさも目を引きました。
「所作に関しては、きっと原作の唐々煙さんも、白子のそういう部分はすごく意識して描かれているんだろうなと感じていましたし、絶対に所作は綺麗じゃないと白子じゃないなとも思っていて。アイロン掛けするシーンであったり、ごはんを作るシーンであったりとか、そういった所作の美しさは意識して演じていましたね」

桐山漣
曇三兄弟と一緒にいるシーンがすごく多かった白子ですが、三兄弟を演じた、福士蒼汰さん・中山優馬さん・若山耀人さんに対してはどのような印象がありますか?
「あのまんまでした(笑)。蒼汰は主役であり座長なので、きちんとこの作品を背負っているなという覚悟みたいなものを、傍にいながら感じていましたし、優馬に関しては、蒼汰と同じ年だけど、きちんと弟に見える芝居をしていたなという印象で。『兄貴!』って叫ぶシーンではグッと来るものがありましたね。兄に対してコンプレックスを抱いているところとかも、すごく丁寧に演じられているなと思いました。(三男の曇)宙太郎を演じた耀人はそのまんま感じでしたね。耀人は、撮影から一年経って大きくなってるんだけど、やっぱりみんなから愛されるキャラクターであり、役どころっていうのをきちんと、中学生でこれだけ表現できるのはすごいなっていう印象がありますね」
撮影現場で印象に残っていることはどんなことですか?
「優馬が、虫が本当に嫌いで面白かったです(笑)」

桐山漣
けっこう自然豊かな中での撮影でしたよね?(笑)。
「そうなんですよ。自然の中だし、夏だし、ゴキブリとか、とにかく虫がいっぱい出たんですよ。優馬は本当に面白いし、シュールだし、一緒にいてすごく楽しいんですけど、集中している時には割と物静かだったりもするんです。だから、そういうときに虫が出たりすると『キャーキャーキーキー』言って、騒ぐんですよ(笑)。もう、マンガのように『ヒャーッ!』って飛び上がって宙に浮いているイメージでしたね」
三兄弟と一緒にいると、お兄さん的なポジションになっていたんじゃないですか?
「そうですね。僕が一番年上だったので。でも、俺自身、兄貴ぶったりするのも好きじゃないですし、現場では普通にいました。耀人は俺と一緒にお風呂に入りたいらしくて、宿泊していたホテルの俺の部屋の前で待っているんですよ。本当に可愛いんです。『じゃあ、一緒に風呂行くか』って言ってお風呂に入って、背中を流してもらって。僕も背中を流してあげました」
劇中でも宙太郎は白子にすごく懐いている感じが出ていましたが、撮影以外でのそういった出来事が、宙太郎と白子の関係性の芝居にも滲んだんでしょうね。
「そういうことも積み重ねてきたから、自然とそういうのが出せたのかなとも思います」
桐山漣
監督とのやりとりはいかがでしたか? 本広克行監督といえばエンターテイメントの申し子のような存在の方ですが。
「本広監督とご一緒させていただくのは、今回が初めてだったんですが、佐々部清監督とは映画でご一緒させて頂いたことがあって、その佐々部監督の後輩になるんですよね。なので、佐々部さんから本広さんのお話も聞いていましたし、入口から共通の方がいたので入りやすかったです。本広さんの好きなところは、いい意味で監督監督していないところで。あれだけの方なのに、懐が深いですし、美味しい食べ物が大好きだし、とても人間味のある方で、大好きです」
さきほど、白子を演じる上で、監督とも話し合いながら、微調整していったとおっしゃっていましたね。
「演出面で言ったら、やっぱり白子に関しては“ここまで出すと白子の秘密が出過ぎてしまう”“ここまでだったらわからなさすぎる”という絶妙なラインがあって。観ている人に匂わせ過ぎてもダメだし、匂わせなすぎても薄っぺらくなってしまう……。そこらへんの微調整は監督とたくさん話し合いながらやっていけたかなと思います」
桐山漣
『新宿スワンII』や『コードネームミラージュ』、『曇天に笑う』と、このところアクションが続いていますが、アクションについては、どのように取り組まれているんですか?
「お芝居と一緒かなとも思っているところもあって。アクションも段取りばかりを意識しすぎてしまうと、段取りっぽくなってしまう。アクションに感情を乗せていくのって、最初の頃はあまり意識していなかったんですが、『コードネームミラージュ』でガッツリとアクションをやらせてもらったことで、それを意識できるようになりました。結構、いろんなアクション作品を観たりして勉強もしています。やっぱり、楽しいですよね、体を動かしてアクションをするのは」
“こういうアクションをやってみたい”というものはありますか?
「『コードネームミラージュ』でやったガンアクションも結構楽しかったんですけど、日本刀とかリーチの長い武器を使ったアクションとか、カンフーっぽいような中国の武術系のアクションには興味があります」

桐山漣
『曇天に笑う』でのアクションはいかがでしたか?
「白子の武器がクナイなんですよね。クナイはリーチが短いから、手の動きを大きく振ってあげないと、武器がすごく小さく見えてしまう。手元だけのアクションになってしまうと、全体の動きが小さく見えてしまうので、そこを意識してのアクションでしたね」
芸能界を目指しているデビュー読者に向けて、読者の先輩でもある桐山さんから“10代〜20代のうちに、こんなことをやっておくといいよ”というものは?
「アルバイトかな。大人になって仕事を始めたら出来ないことですし、学生や若いうちに経験しておいたほうがいいと思います。僕もいろいろなアルバイトを経験してきましたが、そこで培われた経験はすごく大きい。たとえばアルバイトでキッチン担当をやっていたら、野菜を切ることひとつに置いても、少なからず包丁を持つ演技を違和感なくできたりする。経験していないことを芝居でやるとなると、違和感やぎこちなさが出てしまったりするんですよね。ドラマとか映画で、日常ではないフィクションをどれだけリアルに魅せるかだと思うので、そういったところでの経験が活かされることは絶対にゼロではないし、僕にとってもゼロではなかったですから」

桐山漣
ご自身の経験の中でも大きかったと。
「若いうちに、時間があるときに何でもいいからアルバイトは経験しておいたほうがいいのかなって思います。僕もたくさんやってきたからこそ、そう思うし、経験しておいて良かったなと思います。“これだけ働いたのに、これくらいのお金しかもらえないんだ”というような、お金を稼ぐことがどれだけ大変かというお金の価値やありがたみもわかるし、それを知っているのと知ってないとでは違ってくるんじゃないかなと」
読者の中には、過去の桐山さんのようにアルバイトをしながら夢を目指している人も少なくないのですが、そういう大変な思いをしつつも、心が折れなかった原動力というも教えていただきたいです。
「諦めずにやってこられたのは、やっぱり“自分がこういうステージに立ってお芝居をしている”という未来を想像していたからだと思います。それが想像できなかったらダメだと思うし、僕は“絶対にやるんだ”って思っていました。僕は10代の頃、バンドやミュージシャンに憧れていたんですが、20歳になってからこの仕事を意識しはじめて。20代になってからもやっぱり諦めなかった。若いときって根拠のない自信があるじゃないですか。それが年を重ねるにつれて、いろんなことを経験して外を見てだんだん角が取れていく。でも、若い頃はそういう根拠のない自信や、尖った角があっても全然いいと思うんです。むしろそれを大事にして欲しいかなと。だから失敗もして欲しい。礼儀とか守らなきゃいけないルールはもちろんあるけど、表現に正解はないんです。変にお利口ちゃんにならないでいいんじゃないかなと思います」

桐山漣
では、最後にこの映画の見どころアピールを!
「この作品の伝えたいメッセージとして、キーワードでもある“笑う”というのは絶対に欠かせないものだと思うんです。どんなに辛いことがあっても、笑っていればいいことがある。確かに僕もそうだなと思っていて、ポジティブな発言をする人にはポジティブな結果が舞い降りてくるし、ネガティブなことを言っていたらネガティブな情報しか入ってこない。だからこそ、主人公の曇天火は、どんなに辛いことがあっても『笑え』ってよく言うけど、それってとても大事なことだなと。もちろん男同士の友情だったり、曇家の家族愛も大事なんですが、僕が演じた白子からの目線からだと、“笑う”ということに関しては、笑わなかった白子が曇三兄弟と出会ったことで笑うようになる。それだけ彼らが白子にとって大きな存在で、気づいたら巻き込まれて笑っていた……みたいな。それってすごいことだなと思うんです。彼らに影響されて白子が変わっていったように、観ている人もこの作品によって辛いことや苦しいことも笑い飛ばせるような、そんなメッセージを読み取ってもらえたら嬉しいです」

インタビュー・終
撮影/mika 取材・文/えびさわなち ヘアメイク/江夏智也(raftel)
スタイリスト/吉田ナオキ 衣装協力/MARKAWARE、wjk、SToL、amp japan

Profile

桐山漣
きりやま・れん●1985年2月2日生まれ、神奈川県出身。ヒラタオフィス所属。3月10日スタートの『ドルメンX』(日本テレビ)、3月24日放送のアガサ・クリスティ2夜連続ドラマスペシャル 第一夜『パディントン発4時50分〜寝台特急殺人事件〜』(テレビ朝日)、4月20日スタートのドラマ10『デイジー・ラック』(NHK総合)に出演。また、主演映画『海の底からモナムール』が公開待機中。

※桐山漣の「漣」は、正しくは「さんずい」に「連」。

INFORMATION

『曇天に笑う』
©2018映画「曇天に笑う」製作委員会
©唐々煙/マッグガーデン

映画『曇天に笑う』
3月21日(水・祝)全国ロードショー

「どんな時でも笑っていられる強い男になれ!」が信条のお調子者、曇天火(福士蒼汰)は、3兄弟の長男で、弟思いで人々から慕われていた。どんな悪党にも負けない最強の男として村を守っている一方で、実は弟にも言えない秘密を抱えていた。
彼らの暮らす地では、300年に1度曇り空が続く日、世界を滅ぼす破壊の神・オロチ(大蛇)が復活し、人々に災いをもたらすという伝説があった―。ついに曇り空が続き、オロチ復活がささやかれるある日、オロチの力を利用し、政府転覆を目論む忍者集団・風魔一族が村を襲い、明治政府と大闘争がおき、それに巻き込まれた天火の弟・空丸(中山優馬)は、命を狙われ捕らわれの身になってしまう。
弟を救うため、単身で風魔一族に戦いを挑む天火だが、仲間の裏切りに遭い絶体絶命の窮地に―。
果たして天火は愛する弟を守れるのか?そして彼が隠し続けてきた秘密とは――?

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