佐藤流司 | インタビュー | Deview-デビュー

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インタビュー「佐藤流司」

2018/09/20

「(自身が演じた)純也は弱いし、へなちょこだし、虚勢を張りまくるキャラだけど、一周回って愛らしい」

佐藤流司 撮影/mika 取材・文/えびさわなち ヘアメイク/yama. スタイリング/小田優士(Creative GUILD)

ライブ・スペクタクル「NARUTO-ナルト-」のサスケ役、ミュージカル『刀剣乱舞』の加州清光役などで知られ、2.5次元舞台で不動の人気を誇る佐藤流司。そんな彼が兄のように慕う藤田玲とバディを組んだ、クライム・カーアクション・ムービー『ダブルドライブ 〜狼の掟〜』『ダブルドライブ 〜龍の絆〜』では、2.5次元作品とはまた別の新しい一面をのぞかせている。主演を務めた“龍の絆”の公開に先駆けて、佐藤に本作への想い、撮影エピソード、芝居への熱い思いを語ってもらった。

佐藤流司

――『ガチバン』、そして『闇金ドッグス』シリーズを手掛けたスタッフによる最新作『ダブルドライブ〜狼の掟〜』『ダブルドライブ〜龍の絆〜』へのご出演が決まった時のご心境を教えてください。

「実は、この作品に関しては、本当に流れるように頂いた仕事なんです。というのも、主演の藤田玲くんに『ちょっとご飯行きましょうよ』って連絡して、会って一緒に食べていたら、玲くんから『5月の何日から何日まで空いてる?』って聞かれて。ちょうどぴったりその日程が空いていて『たぶん空いてますよ!』って答えたら、この映画の出演が決まったんです」

――えー!? そんなことってあるんですね。

「今度、W主演の作品をやるということで、玲くんが『流司と二人でW主演やりたいなと思って』と言われて、『じゃあ、すぐスケジュールを確認してみます!』ってことで、マネージャーさんに連絡をしたら、スケジュールが空いていて」

――奇跡のタイミングだったんですね。

「本当に奇跡的だったなって思います。すでに決まっていた仕事と仕事のちょうど間の期間で、ぴったりとそこだけが空いていたんです」

佐藤流司

――藤田さんからの熱い想いを受け取られてどのようなことを感じられましたか?

「ちょっとワルな感じのカーアクションだし、絶対に流司に合うと思うんだって言ってくださって。玲くんが演じるアベルと対になるような、タッグを組むキャラクターでもあるから、流司とやってみたいって言われたのがすごく嬉しかったですね。『ありがとうございます!』って気持ちでいっぱいでした」

――台本を読まれたときにはどのような感想を抱かれましたか?

「(自分が演じる五十嵐)純也が“弱っ!”って思いました(笑)。弱いし、へなちょこだし、虚勢を張りまくるし。なんというか、スネオタイプというか。最初こそ、“魅力がないなぁ、このキャラクター……”って思ったんですけど、一周回って愛らしなぁっていうのも感じました。ダメ人間過ぎて逆に良いっていうのも感じたんです。というか、この作品って、ある意味ダメ人間しか出てないなっていうのも思いましたね(笑)。真人間がいないっていうところに新しさも感じました」

――その純也を演じる上で意識したことはどんなことですか?

「とにかくカッコ良くしないように気を付けました。カッコ良くない方が、純也はカッコ良くなるなって思ったので。無様に這いつくばるような感じをイメージしていました。だからお芝居の作り方としても、達観した芝居をしないように。すごく身近な、かなり等身大の存在になれるようにと思いながら台本を読んでいました」

佐藤流司

――純也に共感したところはありましたか?「こういうところは理解できるな」というような部分というか。

「『自由ってなかなか手に入らないよな』っていうセリフがあって。俺もそんなことを考えている時期があったなと思い出しました。“自由とは何ぞや”みたいな。結果、俺としては“自由とは海外旅行だ”という答えに辿り着いたんですけど。とにかく、“自分が不自由だ”と苦しんだ経験が自分自身にもあって。それは純也だけに限られた悩みではなくて、そういう想いを抱いてみんな生きているんだなと思うんです。そこは純也の気持ちがわかりました」

――逆に「ここは理解できないよ」って思ったのは?

「メロンパンが好きなところです。ちょいちょい純也がメロンパンを食べるシーンがあるんですけど、ドラマとか映画の撮影中はいつも糖質制限をしているので、自分としては食べたくないけど、役としては食べないといけないという。しかも撮影では色んな角度で何度も撮影するので、何個も何個も胃の中にけっこうなスピードでメロンパンが入って来るんですよ(笑)。それがちょっと苦しかった。炎天下の中、すさまじい勢いで食べるメロンパン……。そこだけは理解できなかったですね(笑)」

佐藤流司

――今回バディを組んだ藤田さんのお芝居は、間近でご覧になっていかがでしたか?

「さすがだなという感じでした。アベルってめちゃくちゃカッコイイんですよ。男が惚れる男だなと。玲くんは『全然台本覚えてないわ』って言うんですけど、嘘なんですよ。バッチリ覚えてるんですよ、あの人。そういうところもカッコ良かったですね(笑)。それと、バディとして非常にやりやすかったです。俺がどんなに自由な動きをしても、全部に対応してくれるのは大きくて。玲くんは玲くんで色々な場面でアドリブをヒョイと投げてくれて、それに対応してお芝居がまた変わっていくというのが非常に面白かったです。玲くんから『アドリブもどんどん自由にやっていこうぜ』って言われていたので、結構、色んなアドリブが入っています」

佐藤流司

――キャストの方々も個性豊かな方々が揃っていますが、撮影で印象に残っていることというと?

「やっぱり波岡一喜さんですね。ある日、現場に入ったら、先に波岡さんがメイクをされていて。その後、衣装のスーツに着替えておにぎりを頬張っていらしたんですが、あまりにも役(闇金業者・塩田)の雰囲気のまんまで、“怖っ!!”、って思っちゃいました(笑)。でも、実際の波岡さんはめちゃくちゃ優しい方で、常に話し掛けて下さって。最終的に、『将来のことを考えたら貯金したほうがいいよ』って薦められました(笑)。『昔は浪費もしてきたけど、この年になってやっぱり貯金は大切だなと思うようになったよ』って。闇金業者の社長の役なのに(笑)。今まで波岡さんが出演されてきた作品を結構見ていたので、その現場でのお話も色々としてくださって、すごく優しくしていただきました」

――演じていて印象に残っているシーンというとどこですか?

「“龍の絆”最後に、脇知弘さんと殴り合うシーンがあるんです。脇さんも優しくてすごく腰の低い方なんですが、立ち回りで俺の首を脇さんが締めるシーンがあって。体が大きい方なので軽く締めているだけでも結構な苦しさで、芝居じゃなく本当に白目を剥くっていうことがありました。殴り合うシーンでも毎回カットがかかると、俺を気遣ってくれたり服の乱れを整えてくれたりする方で。テレビとかで活躍をされている人は、この世界で残るべくして残っていらっしゃるんだな、というのを目の当たりにしました」

佐藤流司

――そして、本作はなんといっても登場する車がカッコイイ。ヴィンテージカーのオンパレードという感じでしたが、佐藤さんの印象に残っている車というとなんですか?

「もともと、俺はGT-Rとシボレーコルベットって車だけが好きなんです。そうしたら、今回その両方に乗れたので感動しましたし、めっちゃ車が欲しくなりました。(純也が乗っていた)ダッジバイパーもめっちゃカッコイイなと思って、愛着湧いちゃって、免許を取ったらそのあたりの車に乗りたいなって思いました。あとはアベルが乗ってる「1973シボレー・コルベットスティングレー」がヤバいですね。アベルが前作(『ダブルドライブ』の前日譚である『ボーダーライン』)でも乗っていたやつなんですけど、クーラーもつかない古いタイプの車で。玲くんは炎天下の中、窓を閉め切った車の中で、革ジャン着て汗をダラダラかきながら運転をしていて。車が本当に好きな人って、服とかと一緒で、そういうのを我慢してでも乗るっていう苦労をしているんだろうなって思いましたね。それだけの魅力があるんだなって感じます」

佐藤流司

――佐藤さんが思う、この作品の「ここが面白い」というポイントを教えてください。

「とにかく悪いヤツばっかりだし、真人間がいないんです。唯一ヒロインだけがいい子っていうくらい、全員が悪いので、そこは面白いですよね。よくあるサクセスストーリーとも違いますし、“龍の絆”に関しては、結末もすっきりした終わり方じゃなかったりする。そこがいいなと思います」

――2.5次元舞台での様々なキャラクターをはじめ、今回演じた純也で、また新たな表情を見せてくださっていますが、役者という職業の魅力はなんでしょうか。

「ほかの職業では、こんなに色んな人物にはなれないと思うんです。たとえば、学校を卒業して随分経ってから学生役をやったり、詐欺師をやったり。人生で絶対に経験できない量の職業を経験できるのはひとつの魅力だし、やっていて思うのは、才能だけじゃ勝ち上がれない職業だなとも思います。才能だけでやっていくには限界のある職業だとは思うけれど、でも自分が頑張った分というのは結果として出て来るから、シンプルでいいなとも思います」

佐藤流司

――頑張れる原動力はどんなところにありますか?

「原動力はお客さんです。舞台とかだと特にそうなんですが、“今、俺の台詞で笑ってくれた”、“俺の芝居で感動してくれた”、“カーテンコールで挨拶をしたときに拍手をしてくれた”とか、そんなことからお客さんの心を動かしている実感みたいなものは、やっぱり原動力になります」

――そもそも役者になろうと思ったのはどうしてだったんですか?

「いちばん最初は、ドラマの『人にやさしく』(2002年フジテレビ)という香取慎吾さん主演のドラマで、五十嵐明を演じていた須賀健太を見たことです。同じ年なのにお芝居しているってすごいなって思ったのが一番最初のきっかけです。今でもすごく好きなドラマで、本当に素敵な話なんですよね。それを見て、俳優になりたいと思っいました」

佐藤流司

――そうして入った世界で、ご自身が「芝居って本当に面白い」と思ったきっかけとなった作品はなんですか?

「う〜ん。たくさんあるんですけど、ライブ・スペクタクル「NARUTO-ナルト-」ですかね…。すごく苦しかったし、大変だったし、サスケに依存してしまって公演期間中は機嫌も悪かったし。でも、公演が終わった時の達成感に関しては、大変だった分、「NARUTO-ナルト-」は一味違いました」

――そんな佐藤さんが思う、“夢を叶えるために必要不可欠なこと”というと何だと思いますか?

「全く根拠のない自信を持つこと。何の理由もないけど、自分はやれる!と思うことは大切だと思います。もちろんそれにはある程度何かが伴ってないとダメだと思うので、自分に出来る努力はやった上で、自分に自信を持つことだと思います」

PROFILE

佐藤流司(さとう・りゅうじ)●1995年1月17日生まれ、宮城県出身。劇団ひまわり所属。2011年に『仮面ライダーフォーゼ』で俳優デビュー。その後、ミュージカル『テニスの王子様』2ndシーズン、ライブ・スペクタクル「NARUTO-ナルト-」シリーズ 、學蘭歌劇「帝一の國」シリーズ 、ミュージカル『刀剣乱舞』シリーズなどで注目を集める。そのほか、ドラマ『ファイブ』(CX)、ドラマ&舞台『御茶ノ水ロック』(TX)でそれぞれ主演を務めるなど、飛ぶ鳥を落とす勢いの活躍を見せる若手俳優。今後は、ミュージカル『刀剣乱舞』加州清光 単騎出陣2018(9月12日より東京・仙台・大阪・北海道にて開催)、音楽劇『道』 La Strada (12月8日〜28日 日生劇場)に出演。アーティスト「Ryuji」として結成したバンドプロジェクト「The Brow Beat」のボーカルとしても活躍中。主演“龍の絆”編の主題歌「OVER」では作詞も担当をしている。

Information

映画『ダブルドライブ 〜龍の絆〜』9月22日(土)より公開

『ダブルドライブ 〜龍の絆〜』©2018「ダブルドライブ 〜狼の掟&龍の絆〜」製作委員会

窪田正孝らが歴代の番長を務め、不良たちのド派手でリアルな喧嘩ファイトを描いた『ガチバン』シリーズや、山田裕貴を主演に据え、金と欲望にまみれた裏社会のリアルな闇を描いた『闇金ドッグス』シリーズをてがけた製作陣が新たに放つ、疾走感溢れるクライム・カーアクション・シリーズが誕生。 <『ダブルドライブ 〜龍の絆〜』あらすじ> 五十嵐純也(佐藤流司)の実家はスクラップ工場を経営している。我妻アベル(藤田玲)と共に逃げるように実家に戻り、工場でバイトすることになった。ところが多額の借金を抱え、首がまわらない純也は、高級車を次々と盗み盗難車ビジネスに手を染める。裏社会のルートを探し出し、何とか換金に成功し、意気揚々と盗難を続けていたが、とある高級車を盗んだ時、そのトランクには手足を縛られた謎の美女・亜梨紗(木アゆりあ)の姿が。この出会いが純也の運命を大きく変えることになる…。

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