石川路子 | インタビュー | Deview-デビュー

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インタビュー「石川路子」

2018/02/06

「私の演技=TSALのレベル。その責任感が、プラスの頑張る理由になっています」

石川路子

小栗旬や綾野剛、木村文乃などが所属するトライストーン・エンタテイメント直営の俳優養成/演技研究所「トライストーン・アクティングラボ」(TSAL)から、昨年末に事務所所属となった石川路子さん。3月末のTSAL舞台公演『公務員ドリーム』を最後に新人女優として羽ばたいていきます。芝居はまったく未経験だった石川さんが、大学に通いながらTSALに飛び込み、さまざまな経験を重ねた2年半の軌跡を振り返ってもらいました。


石川路子
TSALからトライストーンへはどのような流れで所属が決まったんですか?
「昨年6月頃に今のマネージャーさんから、担当したいというお声がけをいただきました。トライストーンのマネージャーさんはTSALのレッスンもよく見に来てくださるのですが、たぶんきっかけは昨年3月のTSAL公演だと思います。私にとっては初めて出演するTSAL公演で、しかもW主演の一人を務めさせていただくという思い入れもあったので、事務所の新年会のときにマネージャーさんに『ぜひ観に来てください』とお誘いしたところいらしてくれて、そこからお話が進んだようです」
石川路子
TSALに入所したのは2015年10月のこと。それまで1年半くらいはTSAL公演に出演されなかったんですか?
「TSALでは年1回ペースで定期公演をやるんですが、オーディションだったりキャスティングだったりと、公演ごとに出演者の選抜の仕方が違うんですね。で、その昨年3月の公演はキャスティングだったんですが、入所してすぐの公演はオーディションで落ちているんです。入所して3ヵ月くらいのことだったので自信はなかったですが、『もしかしたら──』という気持ちで受けたらやっぱりぜんせんダメで。本当に何もできなかったんですよ。緊張に飲まれて胃は痛くなるし、セリフも出てこなくて。レッスンには前のめりで取り組んでいたつもりだったんですが、習ったことを生かせるまでちゃんと噛み砕けていなかったんだなと、自分の中で納得はしましたが、やっぱり悔しかったですね」
その後、2016年12月には国内外で高い評価を受ける「マームとジプシー」の演出家・藤田貴大による舞台「ロミオとジュリエット」に出演されています。石川さんにとっては初舞台となったわけですが、こちらもオーディションだったんですよね。
「はい。その頃にはTSALも1年目くらいになってましたし、その間にいろんなオーディションにも挑戦させてもらっていたので、さすがに緊張に飲まれることはなくなってました。5次審査くらいまである過酷なオーディションを乗り切る精神力もついていたのかなと思います」
石川路子
TSALで習ったことが稽古や本番で活かされた場面はありましたか?
「藤田さんはとても独特な演出をされる方で、正直、TSALで習ったことがそのまま活かせたかどうかはわかりません。私にとっては何もかもが初めてのことばかりで──。ただTSALでは2、3ヵ月ごとにさまざまな分野の講師の方がいらっしゃるんですが、みなさん演出や指導のアプローチが違うんですね。だから、最初の頃は『あれ、前の人と言ってたことが違う』と戸惑うこともあったんです。でも、特に映画監督さんや劇作家さんというのはそれぞれご自分のカラーがあって当然のことで、俳優というのはその方の“言語”をいかに早く理解できるかが重要だと思うようになったんです」
たしかに指示されたことにすぐに反応できたほうが、映画や舞台の現場ではいいですよね。きっとこれからも、いろんな独特な監督さんや劇作家さんとお仕事をするでしょうから。
「ぜひしたいです。そういう意味でも、戸惑いつつもとにかくそれぞれの講師の方のアプローチを実践することで柔軟性も養われましたし、それが『ロミオとジュリエット』の現場でも生きたんじゃないかなと思ってます」
石川路子
ところで石川さんはTSALに入所する前はフリーのモデルなどをされていたそうですが、芝居はまったく未経験だったそうですね。
「はい。モデルの仕事の流れでポートレート撮影をしていただいたことがあったんですが、商品が主役となるモデルとは違い、ポートレートには自分という人間がありありと現れていたことに衝撃を受けて、人間を表現する芝居に興味を持つようになりました。それからワークショップを受けたりもしたのですが、『デビュー』で募集していたTSALがオープンクラスに参加したのが入所したきっかけです」
TSALで約2年半、いろいろなことを学んだと思いますが、今後も大切したいことを一つ教えてもらえますか?
「TSALでは役を掘り下げる作業として、“準備”がとても重要だと教えていただいたんですが、具体的に『何々をしなさい』とまでは言わないんですね。それは準備にもいろんな方法があるからで、むしろこの役にはどんな準備が必要なのか? ということを考える力を付けてくれたと思っています」
石川路子
石川さんは今までにどんな“準備”をされましたか?
「たとえばあるCMのオーディションでは、事前にいただいていたファッション誌の編集者という設定から人物像を組み立てて、髪型やメイク、着ていく服を選びました。たかが身につけるものだけど、そこには確実に人間が出るし、キャラクターを膨らませることもできると思うんです。またそのCMは転職に関するものだったので、もし自分が今と違う世界に飛び込むとしたらどんな心境になるだろうとか、いろいろ考えましたね。そういう準備をすることで、現場での居方がしっかりすると思うんです」
オーディションは受かることばかりではないと思いますが、経験として残るものはありますか?
「はい。実は昨年、NHK朝ドラのヒロインの一次オーディションに通ったんです。結果的には受からなかったんですが、試行錯誤しながら準備をしたのが、とてもいい経験になって。その作品は舞台が岐阜県だと聞いていたのですが、岐阜県って行ったことがなかったんですよ。なので、よし、行ってみようとすぐ夜行バスを予約したんです」
石川路子
すごい行動力ですね!
「もともとそんなタイプじゃなかったんですよ。一人旅も夜行バスに乗るのも初めてだったので、正直すごく怖くて、出発前に枕の下に置き手紙をしてきたくらい(笑)。これまでの自分からは想像もできなかったアクティブさというか、ドキドキする方向に動こうとする力はTSALの仲間たちから影響された面は大きいですね」
石川さんは大学生でもありますが、大学に通っていただけの日々とは違いますか?
「そうですね。正直、TSALに通うようになってから大学生活がもったいないというか、もっと芝居に近いことに日々の時間を費やしたいとジレンマを感じてた時期もあったんです。でもそれが私の欠点というか──。マネージャーさんに『大学生なのにあまり女子大生っぽさがないよね』と指摘されたんですよ」

石川路子
女子大生っぽくないのが欠点とは!?
「私ははしゃぐのが得意じゃないというか、大学でもあまりキャピキャピできないほうなんです。でも、『もしキャピキャピした女子大生の役が来たらどうする?』と言われたんです。そのときに『大学に通った経験はきっと生きるよ』と。たしかにTSALのレッスンは週1回で、それ以外の時間をどう過ごすかが大事だというのは、スタッフや講師の方からいつも言われているんです。それが私にとっては大学生活であって、この時間を栄養にしなければもったいないと思うようになったんですね。それに芝居というのは人間を表現するものなので、人間に興味を持つことはとても大事。そういうふうに気持ちを切り替えてからは、大学での人付き合いも変わり、前よりは積極的になったと思います」
大学との両立は大丈夫でしたか?
「はい。さっきも言ったようにTSALは週1回なので。大学の履修をTSALのスタッフさんが考慮してレッスン日を組んでくださったりもしたので、問題はまったくなかったです」
石川路子
そして3月のTSAL公演は、石川さんにとってのTSALの集大成になります。どんな思いで臨んでいますか?
「さっきもお話ししたように、昨年3月のTSAL公演ではW主演の一人を演じさせてもらったんですが、最初はとても悩んだんです。台本のヒロイン像とあまりに自分とかけ離れてるような気がして。一方でもう一人の子がとても適役に見えて、自分がこの役を演じる意味はなんだろう? とすごく考えて込んでしまったんです。そのときに先輩が『人のことは気にしないで、路子は路子らしく演じればいいんだよ』と言ってくれて、その言葉で気持ちがスッと楽になったんですね。そして自分がこの役に合うとか合わないとかという考えを捨てて、周りの役との関係性を大切に紡いでいくことで、いい舞台にしようという気持ちになったんです」
TSALはいい仲間たちと出会えた場でもあったんですね。
「はい。そのほかにも『この映画が参考になるんじゃないかな』と教えてくれた仲間もいたり、ここには役の大きい小さいとか関係なく、とにかくいい作品を作りたいという人しかいないんです。3月の舞台は初出演の子も多く、前の私みたいに悩んでいる子もいるかもしれないので、ちゃんと周りを見て協力したり、一緒に頑張っていきたいと思っています。それともう一つ、私がTSALからトライストーンに所属したということはもう公表されているので、観にくる方もたぶんそういう目で見ると思うんですね。つまり私がいい芝居を見せればTSAL全体のレベルの高さを示すことができるし、逆にできなかったら──という、そういう責任感はすごく感じてます。でもそのプレッシャーは負担ではなくて、プラスの頑張る理由ができたという感じなんですよね。これからもTSALの仲間とはずっと仲間でいられると思うし、いつかまた別の作品で共演するためにも、まずは3月の公演。みんなでいいものを作りたいですね」

石川路子
最後にこれからはプロとして羽ばたいていくわけですが、どんな女優になりたいですか
「私は満島ひかりさんの表現が大好きで、満島さんの出演した映画はいくつも心に残っています。いい映画というのは観た人の人生さえも変えてしまう力があると思っていて、私もそんな作品に出てみたい。観た人の心の中に足跡を残せる女優になりたいですね」

インタビュー・終
撮影/厚地健太郎 取材・文/児玉澄子

Profile

石川路子
いしかわみちこ●1995年10月24日生まれ、北海道出身。フリーでのモデル活動を経てTSALに入学。舞台 マームとジプシー『ロミオとジュリエット』(東京芸術劇場プレイハウス)出演。トライストーン・アクティングラボplus『公務員ドリーム』(3月15〜18日 劇場MOMO中野)に出演。

INFORMATION

舞台公演 Vol.6.1 トライストーン・アクティングラボplus 『公務員ドリーム』
(3月15〜18日 劇場MOMO中野)

脚本:大和(劇団ノーティーボーイズ)
脚本/演出:えんたま
とある地方の役所に一通の封筒が届いた。「新しい出発の為に使って下さい」と手紙が添えられた中身は2億円の当選宝くじ! 災害復興の目的に使われる“はず” なのに、受け取った土木建築課は揃いも揃って問題人物ばかり。人の真心は? 善意は? 果たされるのか、否か?苦しくもおかしい出来事の行方とは… !?

INFORMATION

トライストーン・アクティングラボ
レッスン生募集

小栗旬や綾野剛、木村文乃、田中圭、坂口健太郎といった、人気・実力を兼ね備えた俳優が所属する芸能プロダクション、トライストーン・エンタテイメント直営の俳優養成/演技研究所。演技の未経験者から、演技術の向上を目指すプロの俳優まで、幅広く門戸を開いている。講師陣は多数の俳優を指導してきたエキスパートぞろい。また、映画や舞台の製作者、監督、演出家、俳優などによる特別講義も実施している。映画『クローズZERO』シリーズや『ルパン三世』そして『新宿スワン』といった大型映画を自社製作しているのもトライストーン・エンタテイメントの特色。インタビューで語られているようにTSAL生にもこれらの作品への出演の機会を提供している。もちろん、外部の映画、ドラマ、舞台のオーディションへも積極的に送り込んでおり、TSAL在籍中から俳優として活動する人は多い。レッスンで有望と認められたり、人一倍の努力が評価された場合には、トライストーン・エンタテイメント所属に向けて推薦が受けられる。

トライストーン・アクティング・ラボの詳細は下記まで
TEL:03-5433-2195
WEB:http://www.tristone.co.jp/tsal/

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