松本享恭 | インタビュー | Deview-デビュー

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インタビュー「松本享恭」

2018/02/07

「初のコメディなので、怖さもありますが、それよりも今は楽しみのほうが勝っている」

松本享恭

『仮面ライダーエグゼイド』の花家大我/仮面ライダースナイプ役で注目を集めた若手俳優・松本享恭が、タクフェス 春のコメディ祭!『笑う巨塔』で、コメディに初挑戦。作・演出の宅間孝行、篠田麻里子、片岡鶴太郎をはじめ、個性豊かなキャストとともに、ノンストップコメディに出演する意気込みを聞いた。

松本享恭
2003年に東京セラソンデラックスにて『HUNGRY』として上演され、2012年に『笑う巨塔』として再演された本作。映像化もされていない幻の作品が、6年の時を経て再演。歴史ある本作への出演が決まったときの率直な思いとは?
「素直に嬉しかったです。前回のタクフェスの『ひみつ』を観劇させていただいて、そのほかにも過去の4作品ほどDVDで拝見させていただきました。ストーリーもみなさんが演じられているキャラクターもどれも本当に面白くて。『ひみつ』を観劇した際に、お客さんが笑いながら泣いているというのを客席から体感して、この感覚はすごいなと感じましたし、“この座組み、いいな”というのが伝わってきて、稽古が楽しみになりました」
製作発表会では、かなり緊張されていたみたいでしたが、宅間さんをはじめ、個性豊かなキャストの方々とお会いしていかがでした?
「製作発表会の時に、取材で宅間さんたちと一緒に座談会をやらせていただいて、いろいろなお話を聞いて、宅間さんはとても熱い方だなと感じました。お芝居に対してもそうですし、“お客さんを楽しませる”ということに関してもいろいろと考えていらっしゃる方だなと。『稽古はいつもこんな雰囲気でやっている』という話も聞いたんですが、タクフェスではいつもお米を炊いてみんなで食べたりとか、前回は『人狼ゲーム』をやったらしくて、そういう共演者の方々とのコミュニケーションも楽しみだなと思いました」
松本享恭
タクフェスについては、どんな印象を抱いていますか?
「お芝居を見ていて、人間味をすごく感じました。作品でもお芝居でも、“人間の良さ”みたいな熱い部分があって、そういう部分を僕も吸収していきたいなと思います」
タクフェスといえば、最後にダンスがあったり、ふれあいタイムがあったり、いろんなイベントも盛りだくさんですが。
「僕はダンスの経験がないので、そこが不安なんですけど(笑)」
今回は、病院を舞台に繰り広げられるシチュエーションコメディですが、改めて松本さんの役どころについて教えてください。
「代議士の息子で、その秘書も務めている山之内蓮太郎という役どころを演じます。総裁選を控えているため、父が入院していることを隠そうとするんです。性格は真面目なんですが、隠そうとする必死さやドタバタ具合が笑いにつながっていくのかなと思っていて。ストーリーの大事な部分を担うところがあるので、そこはけっこうなプレッシャーを感じています」
ご自身の性格と比べて似ている部分はありますか?
「真面目でまっすぐ向き合うという部分は似ているかなと思います」
松本享恭
台本を読んで、どんなところに魅力を感じましたか?
「僕が演じる山之内蓮太郎は、真面目でまっすぐな役なんですが、だからこそ掛け違ったときのかみ合わなさが面白くなるんだろうなと。そういう掛け違いや勘違いがいろんなところで起きているのが面白いです」
今回、コメディ初挑戦となりますね。
「今までコメディをやったことがないので、まだわからないことが多いです。でも、笑わせるというのは、笑うほうもそうですが、すごくエネルギーがいるだろうなと思っています。もちろん、間とかテクニック的なことも大事だとは思いますが、今回のようなお芝居では、全力でやりきる、そのエネルギーが一番大事なのかなと思っています」
稽古前に何か準備していることはありますか?
「コメディに対して、“こうやろう”というのは今のところは考えていなくて。僕の役柄的にも、“真面目だからこそ面白い”と言う部分があるので、今は稽古場でも舞台上でも全力でこの状況を楽しみたいなと思っています。ただ、僕自身、今までは、お笑いやコメディにあまり触れてこなかったので、普段の会話で笑いが起きたときに、今は何が面白かったんだろうと考えるようになりました」

松本享恭
松本さんご自身は、ボケとツッコミだったら、どっち側ですか?
「たまにツッコミに回ることもありますが、どちらかというとボケ側が多いですかね」
『仮面ライダーエグゼイド』をはじめ、舞台『黒子のバスケ』など、様々な作品に出演されていますが、舞台の仕事の魅力とは?
「お客さんの目の前で芝居をやるというのは、本当に楽しいです。映像にしても舞台にしても僕はそこまで経験しているわけではないので、“演じ方がこう違う”というのはまだ答えはないです。とにかくお客さんが目の前にいて、反応が返ってくる。それによって芝居が変わることもある。そういう部分が楽しいなと思います」
舞台経験の中で、印象に残っていることは?
「初舞台だった『もののふ白き虎』で、相手の目を見てお芝居をしているときに、自分が思ってもみないところから感情が溢れてくるっていうのを、舞台上で体験して。お客さんの空気感や相手の方や芝居とかいろんなことが重なった結果だと思うんですが、今振り返ると、あの感覚はすごく良かったなって思います。またもう1回同じことをやれって言われたらできないんですけど」
いろんなことが重なって、自然と生まれたものだったと。
「そうですね。だからこそ、普段の稽古で土台となるものをみんなで作っていく作業というのが本当に大事なのかなと思いました。それがあるからこそ、本番で出せるものがあるなと。『もののふ白き虎』のときは、とにかく最初にセリフを全部覚えて、状況を確認しながら稽古を精一杯やっていました。それが良かったんだろうなと思いますし、そういうのがきっと自分には合っているんだろうなと。なので、今回も稽古から全力で取り組みたいと思っています」

松本享恭
松本さんご自身、俳優としてのこだわりは?
「瞬発力とか身につけたいものがいっぱいあるんですが、役との向き合い方は、誠意を込めてやっていると思います」
今後、挑戦してみたい舞台のジャンルとかありますか?
「今はまだ、読むだけでも疲れてしまうんですが、いつか海外戯曲に挑戦してみたいなと思っています。言葉の意味も難しくてなんて言っているのかわからないものも多くて。だからこそ、海外戯曲を読もうと思って、『ハムレット』とか『リア王』とかシェイクスピアの有名な作品から読み始めました。何年後、もしくは何十年後に、やってみたいと思います」
なるほど。
(ここでマネージャーから「1年前に『ハムレット』を読んだら、熱出したんです」とのタレコミが……)
「そうなんですよ(苦笑)」

松本享恭
そんなことがあったんですね(笑)。今後の目標も聞いたところで、松本さんが思う、夢を叶えるために大切なこととはどんなことでしょう?
「なんだろうな……。自分が何か持っているのかと思うと、強い思い、意思だけなんですよね」
以前のインタビューで『オーディションで賞を獲れずに悔しい想いをしたけど、“ファイナリストの中で絶対に一番になってやる”という気持ちで、レッスンに通っていた』とおっしゃっていました。
「そうですね。最初の頃“役者になりたい!”と思った瞬間の想いはすごく強かったなと思います」
当時は地元・福岡から片道約14時間かけて高速バスでレッスンに通っていたんですよね。
「地方の人間からしたら、上京するってけっこう一大事というか、重大決心なんですよね。今振り返っても、あのときの熱はすごかったなって思います。なので、そういう夢に対しての熱い想いや意思を持ち続けるのは大切だと思います」

松本享恭
これまで『仮面ライダーエグゼイド』をはじめ、同世代の役者との共演が多かったですが、それも刺激になりました?
「はい。共演者に対して負けたくないという想いは持っていました。ライダーの現場では、みんなと毎日ずっと一緒にいたし、仲は良かったけど、みんなどこかで負けたくない、人よりも一歩出たいし、この中で一番になりたいという思いは持っていたと思うので、すごくいい刺激になりました。この仕事のことをいろいろと考えた時期でもあって。自分はやっぱりこの仕事がやりたいんだなと再確認することもできました」
今回は、世代も活躍しているジャンルも様々な人たちとの共演です。また違った刺激をもらえそうですね。
「こんなにたくさんの先輩方に囲まれる現場は今までなかったですし、個性もバラバラで、まったく未知なので、楽しみです。それに、勉強できることが多いだろうなと思います。僕自身はそんなに芝居経験があるわけではないですし、そんな中で、本当にたくさんの経験を積まれてきた方々と一緒にお芝居ができる。稽古場でも一緒に居られる時間が多いので、先輩方にいろんな話を聞きたいなと。なので、今回はコミュニケーションを大事にしようと思っていて、わからないことを聞いたりすることもあまり怖がらずに、自分から積極的にいこうかなと思っています」

松本享恭
初めての現場の際、自分から積極的に話しかけたり、飛び込んでいけるほうですか?
「今まではそんなことなかったです。そんなに自分から積極的にはいかなくて。仮面ライダーの現場は1年間あったので、自然と仲良くなりましたし、やりやすかった。でも、今度は稽古期間で信頼関係をそこまで持っていくとなると、自分からどんどん積極的にいかないとなって思っています」
今回の一つの課題でもあるんですね。
「そうですね。コミュニケーションに関しては、今回に限らず、今年の課題です。自分からどんどん発信していこうかなと思っています」
では、最後に改めて本作への意気込みをお願いします。
「コメディが初めてなので、怖さとかもありますが、それより楽しみのほうが今は勝っていて。役的にも自分も、その場を全力で楽しもうと思っています。あとは、宅間さんの“お客さんを楽しませる”という作品づくりは、すごく楽しいだろうし、とても勉強になると思うので、そこも大事にして、稽古に臨みたいと思います」

インタビュー・終
撮影/草刈雅之

Profile

松本享恭
まつもと・うきょう●1994年12月27日生まれ、福岡県出身。トップコート所属。映画『闇金ぐれんたい』主演、現在放送中のドラマ『人狼ゲーム ロストエデン』(tvkほか)に出演中。2月3日公開のVシネマ『仮面ライダーエグゼイド トリロジー アナザー・エンディング』PartT「仮面ライダーブレイブ&スナイプ」、3月放送予定のKBC『福岡恋愛白書13』、4月7日公開の映画『人狼ゲーム インフェルノ』に出演。

INFORMATION

笑う巨塔

タクフェス 春のコメディ祭!「笑う巨塔」

【東京公演】2018年3月29日(木)〜4月8日(日)東京グローブ座
【愛知公演】4月13日(金)〜15日(日)ウインクあいち 大ホール
【兵庫公演】4月17日(火)〜22日(日)兵庫県立芸術文化センター 阪急中ホール
【愛媛公演】4月24日(火)ひめぎんホール サブホール

その他 地方公演予定。詳しくはHPへ
公演特設HP: http://takufes.jp/kyotou/

ノンストップのリアルタイムで突っ走る抱腹絶倒のシチュエーションコメディ、タクフェス春のコメディ祭!
シリーズ第2弾となる本作は、2003年に東京セレソンデラックスによるシチュエーションコメディ『HUNGRY』として上演され、2012年『笑う巨塔』として再演。この作品をもって、東京セレソンデラックスは解散し、12年の歴史に幕を下ろした。そして6年の時を経て、映像化もされていない幻の作品が、今回満を持しての再演となる。
とある病院のロビーを舞台に、入院患者に見舞い客、医者や看護師まで様々な人々を巻き込んで、病院内は大混乱。“白い巨塔”ならぬ、“笑う巨塔”と化していく!

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