美波 | インタビュー | Deview-デビュー

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インタビュー「美波」

2011/02/25

結果がないお話がどう変化していくか楽しみです

美波
そのファッショナブルなたたずまいと裏腹に、舞台では泥臭い役者性を発揮してきた美波さん。今度はロンドンで衝撃を呼んだ話題作を、演劇ユニット「ポツドール」主宰の三浦大輔が演出する『ザ・シェイプ・オブ・シングス〜モノノカタチ〜』に出演。冴えない大学生を変えていく美術大学院生を演じる。



Q 年末年始はゆっくりしたんですか?

美波

          美波(Photo/大槻志穂)

「久しぶりに実家に帰りました。海外で新年を迎える年もあって、何年か前にインドで年末を過ごしたときは、村のロッジでアーユルヴェーダ(全身エステ)をやってたら気持ち良すぎて、年を越す前に寝ちゃいました(笑)。12時前に寝ちゃって、起きたら新年になってることは多いです(笑)」

Q ご両親の国籍が違うと、お正月のスタイルはどうなるんですか?

「父も日本に来てたし、祖父と祖母も近所なので、みんなで神社に行ったりしますよ」

Q 美波さんが神社って、イメージと違いますけど(笑)。

「確かに個人的には行かないけど、家族とは行きます。年末も新宿の酉の市でおみくじを引いたら、大吉でした。でも、小吉のほうが変化があっていい気がします」

Q 年明けから舞台『ザ・シェイプ・オブ・シングス』の稽古に入ったそうですが、その前に自分でやっておくこともあります?

「まず体力作り。風邪をひかないように。走るのは結構好きです。ノドとかも全部ケアして。あとは、お料理かな。稽古場にお弁当を持って行けるように、保存の良い食材で。それから、遊びます(笑)。と言っても、そんなに遊び方は知らないので、友だちとごはんをいっぱい食べて、映画を観たり、美術館に行ったり。稽古に入ると、もう他にインプットもアウトプットもできなくなるから、今のうちに…って感じかな」

Q 役作りは、あまり固めず?

「ものによります。蜷川(幸雄)さんだったら“絶対こう”というのがあったし。やり過ぎずバランスも取らないと…って最近は思いますけど、かなり考えないと気が済まない性格なので。理由付けはすごくしたい。今回のイブリンなら、どんな少女時代を過ごして、何がコンプレックスで、ここまで歪んだのか。あるいは、お金持ちの家庭で可愛がられて育って、この美術大学にも優等生として奨学金をもらって入って、本人には何の屈折もない…とか、そういうことを考えるのが好き。推理小説を読むみたいに」

Q つまり、台本には書かれてないバックグラウンドまで、自分のなかで組み立てると。

「そう。“だから、こういうことにカチンとくるのか”とか、全部分かると面白いです。でも、演出家さんや共演の方と話して“違っていた”と思えば、また違うことを考えるし。舞台の稽古ではそういう作業をする時間もあるから、それは家でやるかな」

Q それにしても、イブリンがアダムにしたことって、ちょっとひどいと思いません?

「全然思いません(笑)。どちらかというと、よく分かります。純粋に物事を追求して、お互いの価値観が違っただけ。“あなただって楽しんだでしょう?”と言いたい(笑)。誰だって自分に都合いいほうに向かうし、その延長なだけだと思う。たぶん女性のほうが理解しやすいかな。イブリンのなかでは、何も矛盾がないから」

Q 今回はそうだとして、自分で心情を理解や共感できない役が来ることもあります?

「ありがたいことに、今まで映画やお芝居ではなかったかな。もし来たとしても、理解しようとしている途中を、ひとつの形として出せばいいと思います。結果が出ないのは、生きてるなかでは当たり前のこと。自分が100 分かったつもりでも、意外と全然そうでもなかったりするし。1コ思うのは、お芝居は長い稽古中にゴールが何となく見えて、一度そこまで行けば、またその先…って出てくるものだけど、今回は一度辿り着いたところから、全然違うところに行く可能性もあって」

Q 極端に言えば、ゲネプロまで行っても、初日はまた変わるかもしれないと?

「出演者が4人しかいないこともあって。たとえば、アダム役の向井理さんの言葉の温度が少しズレたら、枝の先まですごく変わりそう。どう変化するか楽しみです。もともと結果がないお話だから」

Q 主要登場人物が4人という点では、映画『乱暴と待機』と一緒ですね。

「そうなんですよ。でも、関係性が全く違う。今回は学校の話だし、4人の年齢も近い設定。同じ4人の話なのに、ここまで違うのかと思います。『乱暴と待機』ももともと舞台だったけど、映画版はまったく違ってたし。4人の作品が続いたな、とは思いました」

Q 今回“なぜ自分にイブリン役が?”とは考えました?

「イブリンは、純粋に自分の芸術を追求しているだけと思えるような人じゃないとこの役は出来ないと思いました。これはプロデューサーも同じ意見で、だから私なのかなあと。 私にとって、イブリンは興味深い女の子で、言動はすごく分かるし、まだ一周してないキビキビした感じも納得できました。きっと彼女もこのまま行ったら、鼻をへし折られる日が来ると思いますけど(笑)」

Q 三浦さんとは接点があったんですか?

「何度かお芝居を観に行って、挨拶はしてました。どう演出されるかも、噂で聞いていて(笑)。本読みから カチーンとくると、バーンって言っちゃう人でした(笑)。でも今回、私も役者のポジションから作品を観て、ある意味、三浦さんと戦うのが楽しみでした(笑)。ぶつかって、ゴネていきたいと。すごくエネルギーを使う分、パワフルな芝居になると思います。イギリスのオリジナルとは、絶対違うものになるし」

Q 具体的に三浦さんの演出に、独特なものを感じたりはしてますか?

「舞台では声で“情報”を伝えようというのが私のなかにありますけど、三浦さんは『聞こえなくてもいいから、もっと普通っぽくしゃべって』と。三浦さんは、情報でなく、リアリティをもとめているんですよね。私はボソボソしゃべったら“聞こえないじゃん!”と思っちゃう。円形劇場だと、それぐらいでも聞こえるのかもしれないけど、お客さんにやさしくはないなと思って。でも、もう一度、三浦さんのおっしゃる通りにやったら“ああ、なるほど”と思ったりもする。そういう点でも、私のなかで大きな舞台になりそうな気がしますね」

Q ところで、相手役の向井理さんは、今の日本でいちばん人気があると言ってもいい俳優さんですが。

「そうなんですよね。お陰さまでチケットが売り切れて、私の友だちにもあげられないという(笑)。向井さんのファンの方は、いろんな角度から向井さんを見られて良いんじゃないかと思います(笑)」

Q もちろん、美波さんのファンの方も観に行くでしょうけど。

「まあ、価値観の問われるお芝居なので、恋人同士で観に来ていただいてもいいし。でも、やっぱり女性が“そうなのよね”と思うところが多いかもしれません」

Photo/大槻志穂 Text/斉藤貴志



【Profile】みなみ●1986年9月22日生まれ、東京都出身、O型、160?。2000 年に映画『バトル・ロワイアル』で女優 デビュー。昨年は舞台『 ザ・キャラクタ ー』『ハーパー リーガン』、映画『乱暴と待機』などに出演。


舞台『ザ・シェイプ・オブ・シングス〜モノノカタチ〜』
【作】ニール・ラビュート
【演出】三浦大輔
【出演】向井理、美波、米村亮太朗、川村ゆきえ
【日程】 2月10〜24日/こどもの城 青山円形劇場
3月5〜6日/水戸芸術館ACM劇場
3月8〜9日/りゅーとぴあ 新潟市民芸術文化会館
3月11〜13日/大阪・サンケイホールブリーゼ
3月14日/広島・アステールプラザ
3月16〜17日/大分・iichiko総合文化センター
3月19〜20 日/福岡・ももちパレス

アダム(向井)はさえない大学生。ある日美術館で美しい芸術大学院生のイブリン(美波)と出会い、つき合い始める。髪型や体型についてイブリンのアドバイスを受け、洗練されていくアダム。しかし、イブリンにはある目的が……。
2001年にロンドンで初演。翌年、オフブロードウェイでも上演された。

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