小越勇輝 | インタビュー | Deview-デビュー

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インタビュー「小越勇輝」

2015/06/17

「(舞台は)生身の人間が演じるからこその面白さが絶対にある。そこを楽しんでもらえたら…」

小越勇輝

累計発行部数1300万部突破の大人気コミック『東京喰種トーキョーグール』がついに舞台化! 前売りチケット即完という超注目舞台で主人公・金木研(カネキ)を演じる小越勇輝くんに直撃インタビュー!!

小越勇輝
原作マンガはもちろん、アニメ化もされ人気も高い『東京喰種トーキョーグール』が待望の舞台化。多くの役者さんが「カネキをやってみたい」と言葉にしていたほどの役である主人公・金木研(カネキ)を演じる小越くんですが、この作品との出会いというと?
「元々は妹がこの作品が好きでマンガを読んでいて、それがアニメ化になって、僕も一緒に観ていたんです。それが舞台化になるということでお話を頂いて。それから改めてマンガを全部読んだのですが、やっぱりすごく面白くて。ただ“これをどう舞台化するんだろう”っていうのはまず最初に思いました」
実際にカネキをやることになった心境は?
「すごく楽しみです。また(これまでと)全然違う役をやれるというのも楽しみですね。前回出演した舞台で、今までとはまったく違う役を演じて、苦しんでもがいて、新しい自分を見つけることができたので、きっと今回も苦しみながら、しかも役も役ですし、カネキと一緒に悩み苦しみながら新しいものを見つけていけるんじゃないかなという楽しみもあります。それにこういう、カネキのような役に興味があったので、葛藤であったり、苦しみを抱いた表現を出来ることが今は楽しみです」
この作品に対しては、どんな印象がありましたか?背景としてはファンタジックな部分もありつつも非常に人間的ですよね。人の姿をしながらも人間の肉を喰らうことで生活する喰種(グール)たちもそれぞれが抱えるものがあったりして……。
「最初に読んだときは、やっぱり主人公であるカネキに意識がいきました。彼は元々人間だったけど、とある事件がきっかけで半分だけ喰種になってしまった。それもなりたくてなったわけではない……という切なさや苦しみもすごく伝わってきましたし、喰種は喰種で世界があって、人間は人間で世界があって。そこでの共存を考える人たちもいる。それがうまくやれば均衡を保てるんじゃないかとも思うけど、やっぱりそうもいかない。人間と喰種の関係も面白いとも思ったし、カネキの“大切なものを守るために強くならなきゃ”っていう、孤独の中での強さにも切なさを感じました。物語としてもいろいろと考えさせられるなって思うし、すごく好きな作品です」
小越勇輝
小越勇輝
そのカネキを、どう演じていきたいと思っていますか?
「まずはカネキという人物の心情に引っ張られないとかな……と思っています。それはもちろん、僕がその世界に行けるわけでもないですし、現実には起こりえない世界でもあるので、その世界観を自分の中で構築するのも大変ではあるんですが、舞台上では実際に全ての事象が起きているんだと感じさせるくらい、のめり込んでもらえるようにするには、まずは僕が彼の気持ちを知って、僕に寄せるのではなく彼の気持ちに寄り添っていかなきゃいけないと思って。そこは舞台上もですが、“カネキがそこにいる、小越勇輝はそこにはいない”と思ってもらえるように作り込んでいきたいです」
映像作品では、CGなど様々なギミックを使うことができるわけですが、舞台は体ひとつ、というのもありますよね。
「そうですね。でもギミックの有無だけではなく、毎日公演があることや、稽古が長いといことで自分が気づかないうちに新鮮さが失われていくことだったり、舞台の難しさはありますが、それを常に持ちながらも作品と向き合って、カネキとして生きていければ、人の心を動かせるんじゃないかなとも思うんです。いい意味で観に来てくださる皆さんの心に痕をつけられたら。“面白いんだけど、切ない”、“気持ちいいだけでは帰れない”という何かを残せる作品だと思うので、そういう意味でも挑戦したい作品です」
それに座長としても引っ張っていかなきゃですしね。
「でも今までになく、年上でキャリアのあるキャストさんがたくさんいるので、いろいろと吸収しながら、頼る部分では頼ったりもしながら、その中でしっかりと芯を作っていけたら……と思います」
舞台化は難しそうですが、今回のキャストだからこその『東京喰種トーキョーグール』を見せて頂けると感じるので、期待値も高いですよね。
「僕自身、マンガを読んでからアニメを観ていたので、アニメではマンガとの世界観とまた少し違っていたのが新鮮だったんです。原作の面白さ、そしてアニメはアニメの面白さがあったと思うんです。それは舞台もそうで。生身の人間が演じるからこその面白さが絶対にあると思うので、そこを楽しんで頂けると思います。人がやるからこそ伝わるもの。人が演じなければ伝わらないもの。それをしっかり出していきたいなと思います」

小越勇輝
“舞台”の面白さとはどこにあると思いますか?
「出ている自分から言えば、一度スタートしてしまえばそこで時間は流れていくこと。止まらずにその世界にいられて、感情が動いていけるというのは楽しいなと思います。一回も感情が止まることがない。人と会話して、日によって感情の動きやニュアンスも変わってきたりする。そういったちょっとした変化であったり、直接人と人とがぶつけ合うことが楽しいと感じるんです。あとはお客さんが目の前にいて、反応が返って来るのが嬉しいですね。自分では自分の舞台は見られないですが、その世界観を人に届けられること、現実にはあり得ないことにのめり込んで、現実を忘れて没頭してもらえることの喜びを感じます」
小越くんといえば、ミュージカル『テニスの王子様』2ndシーズンで、越前リョーマを演じたことで注目を集めましたが、4年間リョーマと共に過ごしてきたことで、役者としてどんな変化が自分の中ではあったと思いますか?
「間違いなく基盤を作ってくれた作品だなっていうのはあって。この4年間がなかったら今の自分はないですし、初めてのミュージカル、そして舞台というものを学べました。実際に、舞台での芝居や歌、ダンスも初めてでしたから、できないながらに毎日稽古をしていく中で、自分でもわかる成長はもちろんありましたし、これがあったからこそ、まだまだ上を目指していかなきゃいけないという気持ちにもなりました。ゴールはないけれど、ゴールに向かう途中まで走ってこられたな……ということが自信にもなりました」
テニミュが始まった頃は、『初めてのことばかりで不安もある』という話をしていたのが印象に残っています。
「不安だらけでしたね。もちろん今もそれは変わらないんですけど。それでも間違いなく自分自身の基盤になるものを作ってくれましたし。助走ができたと思っています」
助走とは?
「ここからが本当にスタートなんだってことを。それをテニミュ卒業後の初舞台をやってみて、感じました。“やっと役者としてスタートに立ったな”という気がしました」

小越勇輝
その作品ではロックシンガーとしてハードにロックな人生を見せつけていましたね。
「越前リョーマとは、全然違うキャラクターを演じたかったのもあったんですが、4年間ひとつの役を演じてきたことは大きかったですし、どうしても自分でも気づかないような癖もついてしまっていただろうから、それが自分でも怖かったんです。観てくれる方が“やっぱりリョーマだな”と感じてしまったらどうしよう……という不安もあって。だからこそ、テニミュ卒業後の一発目の作品では全く違う表現を出したかったですし、とても素敵な作品、素敵な役にも出会うことができたので、ここで役者として全く違う自分を出せたのが本当に良かったです。だからこそ今回のカネキでもまた新たな表現に出会える気がしています」
そのお話を聞くと、本当に舞台『東京喰種トーキョーグール』が楽しみになりますね。
「僕も楽しみです。カネキを掴むためにも彼と一緒にボロボロになって頑張っていきたいと思います。このあいだ彼を意識して、気持ちのいい天気の日に外で読書をしたんです。あれは気持ちがいいですね。カネキの時間にシンクロした気がしました。そんな風にカネキを掴んでいって、自分が信じたものを出せたらいいですね。原作を大事にしながらもどんなことができるのか、カンパニーのみんなと一緒に作っていきたいと思っています。期待してください!」

インタビュー・終
撮影/草刈雅之 取材・文/えびさわなち

Profile

小越勇輝
おごえ・ゆうき●1994年4月8日生まれ、東京都出身。ATプロダクション所属。主な出演作にミュージカル『テニスの王子様』2nd シーズン 主演:越前リョーマ役、ロック☆オペラ『サイケデリック・ペイン』主演・Vo/詩音役など。

INFORMATION

東京喰種

舞台『東京喰種トーキョーグール』
【東京公演】7月2日(木)〜8日(水)AiiA 2.5 Theater Tokyo
【京都公演】7月18日(土)〜20日(月・祝)京都劇場

累計発行部数1300万部突破の大人気コミックが待望の舞台化。現代の東京を舞台に、読書好きの平凡な大学生であった金木(カネキ)が、事故をきっかけに、人の姿をしながらも人間の肉を喰らうことで生活する喰種(グール)と呼ばれる種族となってしまう。喰種はヒトに紛れ、ヒトを狩り、その死肉を喰らう。彼らが生きる方法は、ヒトを喰う以外には存在しない。そんな喰種になってしまったカネキが、自分の存在に疑問と葛藤を抱きつつ、あるべき世界のあり方を模索する物語。

※7月20日(月・祝)の京都大千秋楽公演日に、舞台『東京喰種トーキョーグール』シアターと題して、東京千秋楽公演の模様を、全国13都道府県及び、台湾の映画館で配信上映することが決定。
詳しくは:http://liveviewing.jp/contents/tokyoghoul/

(C)石田スイ/集英社
(C)舞台『東京喰種トーキョーグール』製作委員会

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