西内まりや | インタビュー | Deview-デビュー

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インタビュー「西内まりや」

2015/11/18

「ひとみの“女の子として輝くまでの心の変化”を観てもらって、みなさんにも希望をもってもらえたらすごく嬉しい」

西内まりや

撮影/mika(f-me) 取材・文/須永貴子 ヘアメイク:中山友恵(Three Peace)スタイリスト:田中ルミ

『阪急電車』『図書館戦争』シリーズの大人気作家・有川浩のロングセラー恋愛小説を原作とした映画『レインツリーの国』で、実写映画初出演となる西内まりや。感音性難聴を抱える女性という難役に挑んだ彼女に直撃インタビュー。本作への想いや役作りで心がけたことなどをたっぷりと語ってくれた。
西内まりや
――西内さんにとって映画出演は夢だったそうですが、いつ頃からそう思うようになりましたか?
「小さいころから映画を観ることが好きでした。それが確かな“夢”や“目標”になったのは、ドラマに出させていただくようになった頃ですね。でも実は、それよりも前に『ライラの冒険 黄金の羅針盤』という映画のオーディションに受かって、日本語吹替えの声優のお仕事をしたときに、“声だけじゃなくて、自分がスクリーンに映る仕事をしたいな”って密かに思っていたんです。その後、映画の仕事はかったので、ずっと目標にしていました」
――その目標を達成した今の心境は?
「試写室が暗くなって、スクリーンに自分の姿が初めて映ったときに初めて“映画に出たんだ……”と実感が湧きました。最後までコマーシャルとかもなく集中して一気に観るから、ストーリーや登場人物の心情が観ている人の心に焼き付くんだなって。たった2時間という短い時間で、自分が演じているのに自分じゃない人の人生を観た気がしました。ほっこりしたし、苦しかったし、切なかったし、キュンキュンしたし、映像もきれいで感動しました」
西内まりや
――初めての映画の仕事という意味で、反省点はありますか?
「もちろんです! この物語は、シーンごとにひとみの感情が変わっていくんですけど、撮影はどうしても物語の流れ通りではなくバラバラに撮るので、感情の繋がりをより繊細に、丁寧に表現していかなきゃなと思いました。例えば、会社でものすごく嫌な思いをして、伸さん(玉森裕太)に会いに行ったらある光景を目撃してしまい、裏切られたと思って泣きながらお家に帰ってくるシーンとかも、撮影はその流れでは撮っていないんです。自分なりに“今、こういうことが起きて、ひとみはこういう心境だ”と意識して、感情を繋げながらお芝居をしていました。それが自然な流れに見えたら嬉しいですし、それはこれからも大事にしていきたいです」
――泣いているひとみを抱きしめるお母さん(麻生祐未)とのシーン、泣けました!
「たくさん好きなシーンはあるんですけど、あのシーンは私も大好きです。セリフがひとつもないから、台本だとすごく短いのに、親子愛がすごく強く伝わってきました。無言で抱き合う愛のかたちは、試写で見て一番ぐっときましたし、そういう存在って大事だなと改めて思いました」
西内まりや
――ひとみを演じるにあたり、どんな役作りをしましたか?
「中途失聴者の女の子なので、同じ状態の方にいろいろとお話を伺いました。私がお会いした方は、つらい時期から前に踏み出している方だったので、すごく明るいんです。映画に協力してくださるのも、“ご自分の経験を人に役立ててほしいからだ”ということで、なんでも赤裸々に話してくださいました。とてもありがたかったです。現場にも頻繁に顔を出してくださっていたので、なるべく一緒にいて、ボードに文字を書いてコミュニケーションをとるようにしました。そうすることで、目線の動かし方、頷き方、行動のテンポ感などをナチュラルにできるようになればいいなって」
―― 一番勇気が必要だった質問は?
「一番つらかったのはどんなときか、最初どんな苦しみがあったのかを質問するのはやっぱりつらかったです。耳が聞こえなくなり始めた頃は、いろいろと不便なことがあるので、あまり外に出なくなってしまったり、それまで仲良しだった人とも疎遠になってしまったりしたそうです。何かにトライする前から諦めるようになってしまったり。でも、同じ状況の方と交流してコミュニケーションを広げてくことで、変わっていけたそうです。それこそひとみもそうですけど、自信をもてるようになって、補聴器を隠すために髪を切った方もいたそうです」
――ひとみの性格はどう掴んでいきましたか? 自分との相違点を探した?
「ひとみはもともと明るくて優しい女の子だったけれど、難聴をきっかけに自分の殻に閉じこもるようになってしまいました。私もどちらかというと明るい性格だと思うんですけど、人に対して一枚フィルターを通して接する時期があったんです。だから、ひとみの気持ちはわかります。自分に自信がないときは、伝えたいことがあっても伝えられなくなるし、相手のことを考えすぎて遠慮してしまうんですよね。今はもう吹っ切れて殻を破った状態なので、その頃の自分を思い出しながらひとみを演じました」
西内まりや
――過去の自分を思い出すのはつらかったでしょうね……。
「すごくつらかったですよー(笑)。でも、今の自分だからこの役を演じられたんだろうなと思います。伸さんがまっすぐに向き合ってくれたおかげでどんどん明るくなっていく変化を丁寧に演じようと思ったし、笑顔になれない時期を抜けて笑えるようになった瞬間の心の変化を経験しているから、ラストで笑顔になったひとみの気持ちがわかる気がしました」
――自分の経験を役にシンクロさせたんですね。
「はい。支えてくれる人がそばにいて、その人の言葉があったから前を向けたところもひとみに重なります」
――デビューの読者に限らず、“自分の殻を破りたい!”と悩んでいる人は多いと思います。
「自分でもがいて、笑顔になりたい、プラスの方向に進みたいという思いがあれば、変われると思います。大切なのは自分で自分を信じてあげることですよね。臆病になったり、周りの言葉や人目が気になったりしてしまう時期ってどうしてもあるけれど、自分が悪いことをしていないなら自信をもっていい。私は母にそう言われて変わったんです。“自分がまっすぐ生きていれば、きっと報われる”って。あと、“つらいときこそ笑ってみる”というのもすごく効果がありました。5年くらい前、ふとしたときに“Keep Your Smile”という言葉を見て、“あ、最近笑ってないな”って気づいたとき、声を出して笑ってみたら、スーッと心が楽になったんです。しかも、自分が笑顔でいるようにしたら、周りにプラス思考の人が増えていったんです。笑顔って魔法ですよ!」
西内まりや
――仕事を始めてからですよね? 自信がなかったなんて意外です。
「自信なんて全然なかったですよ。モデルのお仕事ではきれいにメイクをしてもらっておしゃれをするので、世間の皆さんや若い女の子は、西内まりやを“自信に満ち溢れたキラキラした女の子”というイメージで捉えてくださると思うんですけど、私自身はみんなと同じ一人の女の子です。だからこそ、この役をいただけて本当に良かった。最初は垢抜けなくて、髪も重くて、伏し目がちな女の子に自分の経験を重ねて演じることで親近感をもってもらいたかったし、感情移入してもらいたかった。世間のイメージも裏切りたかったし。ひとみが女の子として輝くまでの心の変化を見てもらって、みなさんにも希望をもってもらえたらすごく嬉しいです」
――『レインツリーの国』というタイトルは、ひとみのブログのタイトルで、心がときめく場所という意味です。西内さんの心がときめくのはどんなとき?
「やっぱり、このお仕事をやっているときです。自分が何かを表現しようとしているときにワクワクします。うまくいっているときはもちろん楽しいし、ままならないときも闘志がメラメラと湧いて、ワクワクします(笑)」
――ストイック! プライベートではどうでしょう?
「福岡の自然の近くでのびのびと育ったので、自然と触れ合うとワクワクします。時間があれば空を見たり、朝日を浴びたり、風を感じたりして、自然のエネルギーやパワーをもらうようにしています。休日には、山の方の温泉に行って森林浴をしたり。癒されるし、ときめくし、頭がリセットされる。自分らしくいられるし、感性が動く大事な時間です」
西内まりや
――では最後に、夢に向かって頑張っている『Deview』ユーザーへのメッセージをお願いします!
「頭から諦めたり、“どうせ無理だ”とか思わずに、やりたいと思ったらやってみる。できなかったらそこで考えればいいし、そこから見えるものこそがすごく重要なんです。可能性は無限大にあるので、自分の興味があることには積極的に挑んでほしいなって思います。モチベーションを上げるためには、目標を明確にして、2〜3年後をイメージすることも効果的だと思います。イメージすると、そこに近づく方法が想像しやすくなりますよ。あと、頭の中が目標や不安なことや悩み事でグチャグチャになったときは、紙に書き出すのもおすすめです。客観的に整理ができますよ!」
――ありがとうございます。では最後に、西内さんの大きな目標を教えてください。
「え〜恥ずかしくって絶対に言えません!(笑)。言えるのは、“いつも笑顔でいたい(Keep Your Smile)”という目標です!」
Profile
西内まりや
にしうち・まりや●1993年12月24日生まれ、福岡県出身。ライジングプロダクション所属。2007年にティーン誌『ニコラ』専属モデルとして活動を開始。2010年よりファッション誌『Seventeen』の専属モデルを務め人気を集め、その後、ドラマやバラエティなどに数多く出演。2014年には、シングル『LOVE EVOLUTION』で歌手デビューも果たし、その年の日本レコード大賞最優秀新人賞を受賞。ドラマ『エンジェル・ハート』(日テレ系)の主題歌に起用されているニューシングル『Save me』が発売中。
映画『レインツリーの国』
11月21日(土)全国ロードショー
『レインツリーの国』
『レインツリーの国』

(C)2015「レインツリーの国」製作委員会
きっかけは伸が高校時代に好きだった「忘れられない本」。そこから「レインツリーの国」というブログの管理人である“ひとみ”とメールで繋がり、会ったこともない彼女に惹かれていく。「直接会いたい」という伸。「会えない」というひとみ。頑なに会うことを拒む彼女には、言い出せない「秘密」があった…。 「秘密=感音性難聴」を抱え、自分の殻に閉じこもっていたひとみ。パソコンの中に作ったブログ「レインツリーの国」は、唯一「秘密」を気にせず、活き活きと「言葉」を綴れる場所。そこに伸が現われ、ひとみに変化がおとずれる。 想い合うあまり、恋に傷つき迷う2人。伸とひとみの奇跡の出会いが、本当の“障害”を乗り越えたとき、現実の世界に2人の「レインツリーの国=ときめきの国」を見つけることができるのか――。

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