――『デビュー』という媒体なので、石川さんの芸能界入りのきっかけもお伺いできたらと。

「芸能界デビューのきっかけは、昔お世話になっていた先輩に、『芸能のオーディションがあるから、良かったら受けてみない？』と誘っていただいたことです。その話をいただいたのが3月だったのですが、そのときの僕は就職活動も終わっていて、4月から内定をもらった企業で働き始めるっていう段階だったんです。でも、オーディションの話をいただいて、普通に働くよりもそっちのほうが楽しそうだなと思って。そのオーディションに受かるかどうかわからなかったけど、そっちに懸けてみたいなと思い、半ば勢いでオーディションを受けました。もちろん、内定をいただいていた企業には手紙を書いて、辞退しますということを伝えて、オーディションを受けに行きました」

――人から勧められたことがきっかけで入った芸能界。やっていく中で、“自分はこの世界でやっていくんだ！”と決意したのはいつ頃ですか？

「そんなに固く考えてなかったかもしれません。そう考えていたら、進めなかったかもなと。単純に自分がやりたいなとか、好きだからやるとか、他に働けないから…みたいな感覚でいたので。“この世界で１番になってやる！”みたいに思うと、たぶん自分は進めなかったんじゃないかなと思います。だから、芸能界に固執していないっていうのはあるんです。すごくラフに考えていて、楽しいことをやろうっていう気持ちだったからこそ、進んでこれたのかなと感じています」

――力み過ぎず、ニュートラルな気持ちで進んできたことが良かったと。

「そうですね。そこで頑張ろうと意気込み過ぎてしまうと、周りと比べてしまったり、飲み込まれてしまうような気がして。なので、そういう意味では、“ハングリーにやっていくんだ！”みたいなことは、当時はぜんぜん考えていなかったと思います」

――ミュージカル『刀剣乱舞』や、舞台『炎炎ノ消防隊』、舞台『ロミオ＆ジュリエット』など、ここ１、2年で本当にたくさんの作品を経験されてきていると思いますが、改めて今思う、この仕事の楽しさや魅力とは？

「魅力はいろいろとあると思います。僕らが表に立たせていただいているのって、本当に一瞬で、その瞬間は楽しいって思うのですが、大変なこともすごく多いし、楽しいだけではない。そんな中でも、普段、自分が過ごしている時間では解放できない気持ち、心の扉みたいなものがあって、そういうのを解放できる瞬間はすごく楽しいです。ただ、そこに至るまではがなかなか大変なんですよね。でも、それをできた瞬間は達成感があるなって思います」

――では最後に。石川さんが夢や目標を叶えるために大切にしていることはなんですか？

「これは実体験でもありますが、そのことに固執しすぎないってことは大切なのかなとは思います。それと、言霊って本当にあると思うので、口に出し続けることも大事だと思います。誰にも言わずにフツフツと想いを募らせていくっていう方法もありますが、やっぱり“自分はこういう風になりたい”と言い続けることで、周りが導いてくれたりすることもけっこうあったりするので、言い続けるというのは大事だなと。この業界は特殊な世界だったりすると思いますが、その夢というのは、恥じることなく、“これがやりたいんだ”と発信し続けていけたら、徐々にその夢が近づいてくるんじゃないかなって思います」