――それぞれ演じる役柄については、どんなキャラクターだと捉えていますか？ 池田さんは、超能力の解明に明け暮れている、私設研究機関「渡来超能力研究所」の所長という役どころ。

池田「僕が演じる渡来暦は、お客さんとはかけ離れている存在かもしれないなと。所謂、すごく頭が良くて、オカルトマニアで理屈っぽいっていうところを考えると、お客さんが感情移入しやすいキャラクターではないんですよね。けれども、観ている人がノアやほかのキャラクターに感情移入するためには、僕の演じる渡来がお客さんの内側じゃなくて、隣に寄り添うというか、アドバイスしてあげるような立場にならないといけない。そこをしっかりと履き違えないようにやっていきたいなと思いますし、それがこのキャラクターの魅力になればいいなと思っています」

――そして、生駒さんは、研究所の壁面から突如出現する記憶を失った謎の少女・ノアを演じますね。

生駒「私が演じるノアは、記憶喪失で自分のことを知らない状態から始まるんです。私自身はそんな風になったことないからな〜って思っていますが、でも、だからこそ、日常で自分のことを知っていても今、自分が何に悩んでいるのかわからないみたいなこともあるだろうし、自分が持っているいろんな悩みと重ね合わせていくと、きっと自然と物語もわかっていくんじゃないかなと思っています。ノア自身は記憶を失っていて何もわからないんだけど、確実に“これをやらなくちゃいけない！”という使命感があって、それに突き進む強さや優しさがあったりするので、そこをどう伸ばしていくのかが課題かなと。お客さんにもそこに共感していただいて、この世界観に乗っかってきてほしいですね」

――生駒さんが演じるノアに対して、どんな期待がありますか？

池田「本当に期待しかないです。何の不満も不安もない。もうほぼ9割9分できているから、当然できると思っているし、できないことはないと思っています。それは妄信ではなくて、間違いなくできるからっていう期待しかない。全部が楽しみなんですよね。だから、彼女がどこに躓くんだろうっていうことですら楽しみ。ただ、躓いたとしてもそれは壁ではなくて、石だって僕は思っているので、だから、あなたの前には壁は無いって思っています」

――本作では、生駒さんとともに、池田さんも「エン＊ゲキ」シリーズ初の主演を務めますが。

池田「僕の前には壁しかないです（笑）」

――作・演出に加え、W主演というのは新たな挑戦ですね。

生駒「本当にすごいな〜」

池田「今回は、すごくつらいだろうなって思いますが、人生で一回くらいはヒリヒリしてもいいんじゃないかなと。きっと、自分が一番足を引っ張るんじゃないかなって思っています（苦笑）。でも、前回くらいでようやく自分はわりと“演出脳”と“役者脳”を分けて考えらえるタイプの人間だなと納得できて。たとえば、役を演じながら演出的にはこうだから、こう演じたほうがいいなとかはあまり考えなくて。役者としてやりたいことをやるし、逆に自分が出ているときは映像チェックをするんですが、そのときに演出家として“この役者、ここいらないな、やりすぎだな”って自分に対しても思えるんです。そこらへんは分けて考えられる脳があるってわかっているので、今回もしっかりと分業してやっていけばなんとかなる……ハズです」

――今回初共演となるお二人ですが、お互いどんな印象をお持ちですか？

池田「すごく不思議な感覚なんですよね、親戚みたいというか。お互いが信頼している人間や好きだなと思う人間が、僕と彼女の間に共通で居たりして。なので、勝手に親戚みたいな感じだなって思っています。僕が尊敬している人が、彼女も尊敬している人であったりする…みたいな関係値でいうと、きっと感覚的に近しいものを持っているんだろうなと。この作品に向けて何度かご飯に行ったりしたのですが、作品の話もそうだし、作品以外のところで触れ合う機会があるなかで、彼女はすごく正直でまっすぐだし、僕の友人や先輩、恩人が彼女のことを好きなのがわかるなと、今一つずつ納得していっているという状態です」

――女優としてはどんな印象がありますか？

池田「女優さんとしてもなかなか稀有な存在だなって思っています。お芝居の部分でいうと、彼女を紐解けるほどそんなにたくさんの作品を観ているわけではないですが、どの作品を観ても唯一無二だなと思いますし、もし同じ役を別の女優さんがやったとしても彼女が演じたこの役には絶対にならないだろうなっていう確信があって。彼女が国民的グループの真ん中で歌って踊っていたというのには、そういう彼女にしかない彼女だけの魅力っていうものがあるからだろうなと。それを上手く引き出すという言い方は変ですけど、乗りこなしたいなと思っています。彼女の魅力が全部乗っかっていて、さらにみなさんが観たことのない彼女の魅力っていうものを引き出したいと思っていますし、本人も気づいていない彼女の魅力を引き出せたらなと。そういう風にこの作品が、そしてこのノアというキャラクターが彼女にとってプラスになればいいなと思っています」

――池田さんに対しての印象はいかがでしょう？

生駒「私が好きになる先輩たちというのは、自分もそうなりたいなと思う人たちなんです。この人のこういうところが好きだから、カッコイイから私もそうなりたい、みなさんみたいになりたいと思う人たちの中に、純矢さんも入っていて。なので、役者さんとしても好きですし、そういった私の好きな先輩たちと、好きな演出家さんとずっと一緒にやられている人なので、単純に一緒にやってみたいという想いがありました。ただ、実はまだどこかでお互い緊張しているので、早くそれが無くなればいいなと（笑）。きっと私の素を出しても引かないでいてくれるだろうし、むしろ『面白い』って言ってくれるだろうっていうのはわかっているので、もうちょっと慣れていきたいなと思います。そこは稽古しないと……」

――生駒さんにとっては、池田さんをはじめ、初共演の方ばかりなんですよね。

生駒「そうなんです。なので、最初はきっと借りてきた猫の状態から始まると思います（笑）。もう、本当に年々人見知りが増していっている気がしていて……」

池田「すごくわかる！僕もそうだから。稽古して一番いいのは、人となりや人間性というところよりも、一緒に同じものを見て笑ったり、悩んだり、そういう経験みたいなものがきっと大切なんじゃないかなって思っていて。人間性的なところは、取材などでもある程度わかってきたなとも思うので、稽古を通じて、そういうものを共有できたらなと思います」