前原滉 | インタビュー | Deview-デビュー

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インタビュー「前原滉」

2020/01/06

「僕自身がいい仕事をすることによって、結果的に業界の方や俳優を目指す人がTSALの存在を知ってくれれば」

前原滉

──現在は絶賛稽古中だそうですが、いかがですか?

「いや、もう、明らかに自分の技術のなさを認めざるを得ないというか……。映像の作品を重ねてきて、“できるんじゃないか”と思ってたところを打ちのめされましたね。稽古をやっていて感じるのは、舞台の芝居って正解を出してはいけないんだなということ。“これが正解だ”ということでやってしまうと、そこから動けなくなるんです。舞台は生物だから、毎日同じ芝居は絶対にあり得ないんですよね。そこが映像との大きな違いなんですが、最初の頃は稽古でも正解を求めてしまって。たぶん失敗したくなかったんだと思います。無駄なプライドです(笑)」

──失敗はしないほうがいいとは思いますが。

「でも、舞台においては失敗することで新しいものも生まれるんだということが少しずつわかってきました。近道の正解にたどり着こうとするんじゃなくて、いろんな芝居を試して、その中で失敗をしても恐れてはいけないと。とにかく舞台においては素人同然なんだから、映像で培ったものを全部切り離さないとできないと気づいた瞬間がありました。そこから稽古が楽しくなりましたね。ぜんぜん技術は追いついてないですけど、でも楽しい。約2ヵ月続く本番の間も、ずっと楽しめるんじゃないかという気がしています」

前原滉

──この舞台から始まる2020年は、撮影済みの映画も含めてすでに数々の作品が決まっているとのことです。ちなみに2019年は「恋愛が成就する役をやりたい」という目標を聞かせていただきましたが──。

「そんなこと言ってましたねー。毎年このインタビューで自分の恥ずかしいところを掘られているような(笑)。でも、それで言えば『あなたの番です』で(山田真歩演じる)木下さんとくっついたから、ある意味、目標達成かな(笑)」

──過去にも「舞台挨拶」「金髪の役」などこのインタビューでお話いただいた目標はほぼ有言実行できていますが、2020年は何を目標にされていますか?

「抽象的な言い方になってしまうんですが、僕自身にも見ている方にもグサリとクサビを打ち込むような役を演じたいです。それこそ映画『あゝ、荒野』で演じた自殺研究会のリーダーのような、精も根も尽き果てるくらい自分を追い込まないと挑めないような役に取り組みたいという願望が心の中を侵食しつつありますね」

前原滉

──それは作品を重ねるごとに、だんだん器用に“こなせる”ようになっているからですかね?

「とまでは思わないですけど、良くも悪くも自分のやりやすい芝居というのがわかってきてるところがあります。だけどそれを超えるためには、究極に追い込まれる時間が必要なんだろうなと。いや、追い込まれるのは辛いですよ。だけど稽古中の舞台でも、追い込まれた先の芝居の面白さみたいなのを実感できているので、久しぶりに映像でもその感覚を味わってみたいですね」

──ところで出身の養成所・TSALには、前原さんを目標とする受講生も増えていると思います。ご自身が後輩にできることについて、どのようにお考えですか?

「まだまだ直接できることなんてないけど、僕自身がいい仕事をすることによって、結果的に業界の方や俳優を目指す人がTSALの存在を知ってくれればいいなと思ってます。TSALで芝居を学んだ役者なら間違いないと思ってもらえるように。同じくTSAL出身の東野絢香ちゃんもすごく頑張ってるんですよね」

前原滉

──TSALの受講生にとっては希望の存在です。

「しかも僕も決して見た目はいいほうじゃないですけど、東野さんもどちらかというと個性派じゃないですか。ということはトライストーン・エンタテインメントはルックスで判断する事務所じゃないということがわかると思うんです。たぶん物好きなマネージャーさんが多いんじゃないかと(笑)。純粋に芝居をやりたい人にとってはすごくチャンスだと思うんですよね」

──美男美女だけでは作品は成り立たないですし、むしろ最近は王道なルックスではないけれど芝居が面白い役者がフィーチャーされることが増えてますよね。

「それを知ってか知らずか、TSALの受講生にも最近クセモノが増えてる気がします(笑)。でもいいことだと思います。自分の見た目を生かすも殺すも役者次第なので。トライストーン・エンタテインメントが、TSALの力でクセモノの比率が上がっていったら面白いですよね(笑)」

PROFILE

前原滉(まえはら・こう)●1992年11月20日生まれ、宮城県出身。トライストーン・アクティングラボ(TSAL)』でのレッスンを経て、トライストーン・エンタテイメント所属の俳優となる。大河ドラマ『おんな城主直虎』(NHK)『陸王』(TBS)連続テレビ小説『まんぷく』(NHK)などのドラマや、各映画賞で高い評価を受けた『あゝ荒野』(前篇)、『探偵はBarにいる3』『世界でいちばん長い写真』などの映画に出演。2019年はNHK大河ドラマ『いだてん〜東京オリムピック噺〜』(NHK)『スパイラル〜町工場の奇跡〜』(TX)『あなたの番です』(NTV)にレギュラー出演した。2020年は1月13日から東京芸術劇場プレイハウスで開幕する『FORTUNE』に出演。

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Information

PARCO PRODUCE 2020『FORTUNE』

2020年1月13日(月・祝)〜2月2日(日)東京芸術劇場プレイハウス
2020年2月7日(金)〜2月9日(日)まつもと市民芸術館 主ホール
2020年2月15日(土)〜2月23日(日・祝)森ノ宮ピロティホール
2020年2月27日(木)〜3月1日(日)北九州芸術劇場大ホール

作:サイモン・スティーヴンス 演出:ショーン・ホームズ 翻訳:広田敦郎
出演:森田剛、吉岡里帆、田畑智子、根岸李衣、鶴見辰吾
市川しんぺー、平田敦子、菅原永二、内田亜希子、斉藤直樹、皆本麻帆、前原滉、津村知与支

世界中で語り継がれる「ファウスト伝説」を、大胆にも現代のロンドンに置き換え、映画業界を舞台に描き上げる意欲作。自らの欲望を叶えるために悪魔と契約する男・フォーチュンに森田剛。フォーチュンが想いを寄せる相手・マギーに吉岡里帆、契約を交わす悪魔を田畑智子が演じる。

Information

トライストーン・アクティングラボ
レッスン生募集

小栗旬や田中圭、綾野剛、木村文乃、坂口健太郎といった、人気・実力を兼ね備えた俳優が所属する芸能プロダクション、トライストーン・エンタテイメント直営の俳優養成/演技研究所。演技の未経験者から、演技術の向上を目指すプロの俳優まで、幅広く門戸を開いている。講師陣は多数の俳優を指導してきたエキスパートぞろい。また、映画や舞台の製作者、監督、演出家、俳優などによる特別講義も実施している。映画『クローズZERO』シリーズや『ルパン三世』そして『新宿スワン』といった大型映画を自社製作しているのもトライストーン・エンタテイメントの特色。インタビューで語られているようにTSAL生にもこれらの作品への出演の機会を提供している。もちろん、外部の映画、ドラマ、舞台のオーディションへも積極的に送り込んでおり、TSAL在籍中から俳優として活動する人は多い。レッスンで有望と認められたり、人一倍の努力が評価された場合には、トライストーン・エンタテイメント所属に向けて推薦が受けられる。今回の前原滉もTSAL入所〜レッスンを経てトライストーン・エンタテイメントに所属をした一人である。

トライストーン・アクティング・ラボの詳細は下記まで
TEL:03-5433-2195
WEB: http://www.tristone.co.jp/tsal/

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