萩原利久 | インタビュー | Deview-デビュー

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インタビュー「萩原利久」

2019/07/25

「映像の現場とは勝手も違うし、やることも全然違う。初めてのことばかりで、毎日、刺激に溢れていて楽しい」

萩原利久 撮影/草刈雅之 取材・文/根岸聖子 スタイリスト/町山博彦 【衣装協力】シャツ/brand:SISE、item:BALLOONSHIRT、price:37,000、その他/スタイリスト私物

『3年A組 ―今から皆さんは、人質です―』、『電影少女 -VIDEO GIRL MAI 2019-』主演など、話題作への出演が続く、注目の若手俳優・萩原利久。7月30日より上演される舞台「お気に召すまま」では、初のシェイクスピア作品に挑む。「初めてのことばかりで新鮮で楽しい」と語る、同舞台の稽古の模様や本番への意気込み、演じる役への想いなどを聞いた。本作をはじめ、2019年は転機になった作品ばかりという萩原が語る、役者の楽しさ、魅力とは!?

萩原利久

――『お気に召すまま』は久々の舞台の仕事になりますよね。

「二回目です。実は中学1年〜2年生ぐらいのときに、演出の熊林(弘高)さんのワークショップを受けたことがあって。トップコートに所属して最初に受けたワークショップだったこともあって、僕はとても印象に残っているんです。そのときやったのは、チェーホフの『かもめ』だったと思うんですけど、お芝居というよりは、台本の読み方、読解といったことを丁寧に教えていただいた記憶があります」

――映像のお仕事が続いていた中、舞台に対してはどのような印象を持っていましたか?

「機会があればやってみたいという気持ちはありました。とは言え、同じお芝居でも映像とは全然違うんだろうなというのもあり、今回、お話をいただいたときもけっこう身構えていたんです。稽古というものに時間をたくさんかけること自体、映像作品とは全然違う。舞台の稽古では、同じシーンを何回も演じて深めていきますが、映像では、一度撮ってOKが出たシーンを再び演じることってほとんどないですし、撮影していく順番もバラバラなことも多いですからね。始まりから終わりまでずっと演じるということや、本読みと立ち稽古でも違ってくるんだなとか、すべての過程が新鮮です。一度、舞台に立ったことがあるとはいえ、やり方もぜんぜん違いますし、もう5年も前のことなので、ほぼ初めてという心境で臨んでいます」

萩原利久

――シェイクスピアの『お気に召すまま』という作品についてはいかがでしたか?

「この舞台をやらせていただくにあたって、初めて原作を読みました。シェイクスピア作品の舞台は何度か観たことがあるのですが、一度で理解するのは難しいなという印象があったので、“あれを僕がやるのか!”“ちゃんと台詞言えるのかな?”というハードルの高さを感じていて。でも、熊林さんはいろんな解釈を交えながら、本読みを丁寧に進めてくださる方なので、とても助かりました。シェイクスピアは言葉遊びや比喩表現が多くて、自分一人では読み切れていない部分があったんですが、その辺も本読みの段階でクリアにしてくださったので、より理解が深まりましたし、作品世界が色づいていく手応えがありました。それを実際に芝居で表現するとなると、また新たな課題が出てきて非常に難しいんですけどね(苦笑)。頭では理解できていても、それを表現して発信するということが難しくて、いろいろな方法を模索しています。キャストのみなさんは、次から次へとアイデアが出てくるので、本当にすごいんです」

萩原利久

――現在、絶賛稽古中ですが、楽しめていますか?

「稽古はとても面白いです。こんなに新鮮な感覚は、久しぶりな感じがします。映像の現場とは勝手も違うし、やることも全然違う。だって、僕、立ち稽古の初日に靴を忘れたんですよ。“あ、そうか、立ち稽古って靴がいるんだ!”って(笑)。それぐらい、初めてなことだらけなんです。経験していないことばかりなので、毎日、刺激に溢れていて楽しいです」

――萩原さんは最年少ですが、現場ではどんな風な関係を築かれているんでしょう?

「みなさん先輩なので、コミュニケーションはとても取りやすいです。僕は一番年下だし、舞台でのキャリアも少ないから、失うものは何もない。だから緊張せずに、ありのままでいられます。失敗したとしても全然、恥ずかしいとは思わない。失敗が逆に拾われるというか、僕が“しまった、ミスした!”と思っても、みなさんが打ち返してくださるので、そのまま芝居が続行していくんです」

萩原利久

――先輩たちにとっても、萩原さんの稽古姿勢や芝居は新鮮に感じられるのかもしれないですね。

「それ、言われました(笑)。僕、想定外のことをするみたいで……。自分では至って真面目にやっているんですが、舞台を長年やられている方からすると“なんだコイツは!? ふざけているのかな?”みたいなところがあるみたいで、でもそこが新鮮だって受け止めてくださっていて。なので、舞台初心者の今の僕にしか出せないものもあるだろうから、この感覚は忘れないでいたいなと思っています」

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Information

舞台「お気に召すまま」

作/ウィリアム・シェイクスピア 翻訳/早船歌江子 ドラマターグ/田丸一宏
演出/熊林弘高
出演/満島ひかり、坂口健太郎、満島真之介、温水洋一、
萩原利久、碓井将大、テイ龍進、Yuqi (UQiYO)、広岡由里子、久保酎吉、
山路和弘、小林勝也、中村蒼、中嶋朋子

7月30日(火)〜8月18日(日)東京芸術劇場プレイハウス
8月14日(水)13:00 追加公演決定!
※9月15日まで、豊橋・新潟・兵庫・熊本・北九州にて公演

『お気に召すまま』

<story>
青年オーランド(坂口健太郎)は、ロザリンド(満島ひかり)と恋に落ちるが、公爵に目をつけられ、実の兄オリバー(満島真之介)に命を狙われて森に逃げる。同じくロザリンドも、おじである公爵に追放されることに。
オーランドを追って、従妹で公爵の娘シーリア(中嶋朋子)と、召使のタッチストーン(温水洋一)を伴い森に向かう。女道中では危険だからと、ロザリンドは男装して”ギャニミード”と名乗る。

森で暮らすオーランドはロザリンドのことばかり想っている。そこに“ギャニミード”が登場し、その恋の悩み相談に乗る。ついには「自分をロザリンドだと思って口説いてごらん」と言い、オーランドは、彼がロザリンドと知らずに思いのたけを告白。二人の恋愛ごっこは次第にエスカレートして……。

一方、オーランドを追って森に入ってきたオリバーは、シーリアと出会ってたちまち恋に落ちる。二人は結婚することに……結婚式の日、そろそろ恋のゲームも潮時と名乗りでたロザリンドをオーランドは強く抱きしめる。
召使や羊飼いらの恋のさや当てが展開した森で、4組のカップルの結婚式が盛大に執り行われる。

公式サイト:https://www.asyoulikeit.jp/

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