浜辺美波×北村匠海 | インタビュー | Deview-デビュー

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インタビュー「浜辺美波×北村匠海」

2017/07/26

「オーディションは“出会いの場”だと思っているので、“自分らしく”ということを一番に考えている」

浜辺美波×北村匠海

撮影/booro(BIEI)取材・文/三沢千晶 ヘアメイク/浜辺美波:鎌田順子、北村匠海:佐鳥麻子 スタイリング/浜辺美波:瀬川結美子、北村匠海:鴇田晋哉

若い女性層を中心に、“泣ける小説”として口コミが広がり、瞬く間にベストセラー小説となった「君の膵臓をたべたい」が実写映画化。重い膵臓病を患うヒロイン・山内桜良を演じた浜辺美波と、桜良の病気を唯一知ることになるクラスメイトの【僕】を演じた北村匠海に、直撃インタビュー。儚くも美しい高校時代を瑞々しく演じた二人に、本作への想いをたっぷりと語ってもらった。
浜辺美波×北村匠海
浜辺美波
――まずは、完成した映画をご覧になった感想をお願いします。
浜辺美波「試写を観ながら“このシーン大変だったな”という風に観るというよりも、一つの物語として観ることができましたし、号泣してしまいました。いい作品だなと思いました」
北村匠海「僕も完成したものを観て、すごくいい映画だなと思ったので、試写を観た直後にその気持ちを月川(翔)監督に伝えました。美波ちゃんとW主演で、僕としては初主演ということもあって、きっと客観的には観られないだろうなと思っていたんですけど、監督が創り出す映像とか流れとか、脚本とか全部含めて客観的に観ることができて。それに自分が出ている映画で人目を気にせず泣いたのも初めてだったんです。当たり前のことが当たり前じゃなくなる瞬間とか、そういうことも観た人に深く考えてもらえるんじゃないかなって思いました」
――W主演というオファーがあった際、どのような気持ちでしたか?
浜辺「主演を任せていただけるということは、すごく光栄でしたし、作品を読ませていただいて、“この桜良ちゃんを演じることができるんだ”と幸せを感じました。やるからには、“絶対にいい作品にしたいな”と撮影に入るのが楽しみになりました」
浜辺美波×北村匠海
北村匠海
―― 一方の匠海くんは、オーディションを経て【僕】の役を勝ち取ったんですよね。オーディションで心がけていたことは?
北村「僕、昔からオーディションは気負わずにやろうと思っているんです。いつも普通というか在りのままでいようと思っていて。オーディションは出会いの場というか巡り合わせの場だと思っているので、“自分らしく”ということをいつも一番に考えています。今回のオーディションは、役のことは知らされないままプロデューサーの方とお会いして、中学時代の話をしたんです。それで、後に『「君の膵臓をたべたい」という映画で【僕】の役をやってもらいます』と言われました。なので、この役のために話をしたというよりは、自分の実体験を話しただけなんですよ」
浜辺「すごいですね……。オーディションとなると私は毎回、緊張してできないんですよ。まず前に座っている方の顔を見られないし、隣の人の顔も見られない(笑)」
浜辺美波×北村匠海
――もともと人見知りなんですよね?
浜辺「ハイ。ずっとそうですし、最初のオーディションからずっと人が苦手のままやっていました…」
――(笑)。そんなお二人が今回、初共演。お互いの印象はいかがでしたか?
北村「人見知りの部分とか、僕と似てるところがある方なのかなって思いました(笑)。僕自身は音楽をやり始めて、DISH//のメンバーに出会ってから社交的にはなったんですけど、人見知りの気持ちはものすごくわかるので。でも、透明感をすごく感じていたので、撮影が始まる前から、“どう桜良を演じるんだろう?”ってとても楽しみでしたね。僕がもしも美波ちゃんの立場だったら、桜良ちゃんってめちゃくちゃ演じるのが難しい役だなと思うので、大変だっただろうなって」
――では、撮影が始まって美波ちゃんの桜良を見て衝撃だったのでは?
北村「そうですね。桜良は自分の余命を知りながらも、周りを安心させるために、つらいけど笑顔でいるその姿に弱さがあって、それは映像で見ても出ていてすごく良かったです」
浜辺「私は、北村さんは【僕】と真逆の方なんじゃないかな?と思っていました。内に秘めている【僕】の感じじゃなくて、どちらかというと桜良に近いのかな?と思っていたので、【僕】の内向的なところをどう表現されるんだろう?って考えていましたね」
浜辺美波×北村匠海
――そして、いざ撮影に入ってみたら?
浜辺「すごく内向的な方なんじゃないかな?って思いました」
北村「あははは(笑)。僕、私服がけっこう個性的で変わっているんですよ。古着なんですけどね。初めてお会いしたときも、たぶん奇抜な服装をしていたので、第一印象はだいたいそう思われます。でも、中学生のころは、けっこう心を閉ざしている人間だったんですよ。その経験があったから、【僕】役について色々感じ取れたんだと思います」
――明るくていつも笑顔の桜良という役に入る前には、テンションを上げるとか、なにかしていたんですか?
浜辺「だんだん桜良ちゃんに影響されていって、現場でも明るく居られるようになってきましたし、役をイメージするとテンションが上がるというか明るい気持ちになれるっていうのがだんだんわかってきて、最後のほうになると軽い気持ちで現場に入れることが増えました」
浜辺美波×北村匠海
浜辺美波
――友達でも恋人でもない独特の距離感の【僕】と桜良を演じてみていかがでしたか?
北村「【僕】という役柄に僕自身、近しいものを感じていたので、演じすぎずにセリフを読んでパッと出た気持ちのまま芝居をするようにしていました。桜良ちゃんとの関係も、僕の中学校時代の経験を踏まえつつ、距離感とか心の開き具合とかを表現していきました。あとは桜良ちゃんが芝居の中で引き出してくれたので、自然な流れでできました」
浜辺「私にとって、桜良ちゃんのグイグイいく感じや他人との距離の取り方とかはすごく独特で、私とは違う部分が大きかったので最初はやりにくいなとは思っていました。でも、桜良ちゃんは私から見るとすごく眩しくて。そうやって感じたところを表現できたらなと思って演じていました」
――美波ちゃんにとっての桜良は憧れの存在でもあるということ?
浜辺「そうですね。とても社交的だし、みんなとすぐに仲良くなれるというのは本当に憧れですし、そうなれたらいいなと思っていました」
浜辺美波×北村匠海
北村匠海
――余命がわずかであることをわかっていても、明るく振る舞えるという桜良の心情表現は、なにか参考にする人やモノがあったんですか?
浜辺「心情的には桜良ちゃんの日記ですね。画面では映ってなくても桜良の日記がきちんとノートに書かれていたので、それはすごく参考にしました。それと、“本当に楽しもう!”というところや笑顔でいるというのは桜良ちゃんの一番大事なところだったので、“楽しむ”という気持ちを忘れずに臨んでいました」
――【僕】は感情の起伏があまりないけれど、後半に、気持ちが溢れ出して号泣するという、重要なシーンがありますね。
北村「監督も僕も脚本を見たときにココが見せ場だというのをお互い感じていました。【僕】は平坦な人間で、何事も活字的に物事を捉えているようなキャラクターだったので感情を表に出すことがあまりなくて。それが桜良によって徐々に心を開いていくという絶妙なニュアンスは、時間軸を自分の中で作って考えていきました。桜良と二人で行った福岡旅行のあとから気持ちを少しずつ表に出していこうとか。徐々に【僕】の本質的な部分を出していって、そのシーンに向かおうとしていました。桜良の日記もそのシーンの撮影の日まで、敢えて一切読まずにいて、撮影のときに初めて読んだんです。そしたら自然と涙が溢れ出してきてしまって。【僕】に関しては、本当に自然な芝居が出来たと思います」
――儚くも美しい高校生時代を演じられているお二人は、どんな高校生でしたか? 美波ちゃんは現役の高校生ですけど。
北村「僕は中学まですごく内向的でした。でも、中2くらいに音楽を始めてから、ポジティブな人たちに囲まれて、DISH//のメンバーがみんな前向きなうるさいヤツだったんですよ(笑)。僕自身も除々に明るい気持ちになっていたという感じでした。なので、高校では、勉強や体育祭なども自分なりに頑張ったので充実した高校生活を送れたんじゃないかと思います」
浜辺美波×北村匠海
――現役高校生の美波ちゃんは?
浜辺「学校の勉強は楽しいですし、仲の良い友達もいて楽しいです。他のクラスで『おはよう』って挨拶だけ交わすくらいのコが何人もいるんですが、まだそこから発展しなくて……。どうやって仲良くなっていったらいいんだろうな?と模索している最中です」
――ところで今作では『星の王子さま』がモチーフとして出てきますね。
浜辺「ハイ。読ませていただきました」
北村「最近、現代文の教科書に載っているんですよ。それで授業でやりましたね」
浜辺「へぇ〜。そうなんですね」
北村「と言いつつ、あまり授業では印象に残ってないんですけど……(笑)、今回改めて読んでちょっと懐かしい気がしました」
浜辺「私は小学5年生くらいのときに図書館で読んだんですけど、何度読んでも感想を書くのが難しいなと思っていて。だから教科書に載っていると聞いてビックリしました。捉え方は人それぞれだろうって思うから、どんな授業をしているのか受けてみたいなって思いました。おもしろそう!」
――では最後に、芸能界を目指している『Deview』読者へ、お二人それぞれの、“夢を叶える秘訣”を教えてください。
浜辺「私は第7回「東宝シンデレラ」オーディションで、ニュージェネレーション賞をいただいたことがきっかけで、この世界に入ったんですが、ファイナリストが10人くらいいる中で、小学4年生の私が最年少だったんです。審査のときは、大人の人たちを目の前にしたら、何もできなくなってしまって泣いてしまって(苦笑)。所属が決まったあとのレッスンとかでは、何をやっても私が一番できなかったので、そのときから『みんながやっていることの倍はやらないとダメだよ』とマネージャーさんにずっと言われていたんです。最年長だった高校1年生のお姉さんに比べたら、私は劣っていることしかなくて、悔しくて滑舌とか発声の練習を毎日いっぱいやりました。なので、人一倍努力することが大事なのかなと思います」
浜辺美波×北村匠海
――スカウトがきっかけで芸能界入りした匠海くんが思う、夢を叶える秘訣は?
北村「僕はスカウトで入ったので、もともとこの業界に興味があったワケではないし、最初は明確な夢もなかったんです。この11年間は本当に“運”に助けられてここまで来たなっていう感じはあります。ただ、出会いはすごく大切にしてきたと思いますね。それが今回の映画にもつながったし、これからの作品にもつながってくると思っていて。僕は、一期一会という言葉が好きなんです。出会いは本当に自分の骨組みになっていくというか、いろんな人と出会ったからこそ、今の自分の人間性ができあがってきたんだと思うし、自分が発する言葉も、いろんな教えや経験をさせてもらったからこそ出てくるものだと思っています」
――先ほどオーディションは出会いの場という話をしていましたが。
北村「ハイ。なので、これからオーディションを受けようと思っている子がいたら、あまり自分を作りすぎずにありのままを見てもらったほうがいいと思います。自分を信じて。あとは仮落ちたとしてもめげない心を持つことも大切だと思います!」
Profile
浜辺美波(はまべ・みなみ)●2000年8月29日生まれ、石川県出身。東宝芸能所属。2011年に第7回「東宝シンデレラ」オーディションでニュージェネレーション賞を受賞し、同年『浜辺美波〜アリと恋文〜』で映画主演デビューを果たす。人気アニメの実写ドラマ「あの日見た花の名前を僕達はまだ知らない。」(フジテレビ)、NHK 連続テレビ小説「まれ』、「無痛〜診える眼〜」(フジテレビ)、「咲-Saki-」(MBS/TBS)などに出演。9月30日公開の映画『亜人』への出演が決定している。

北村匠海(きたむら・たくみ)●1997年11月3日生まれ、スターダストプロモーション所属。映画/『TAJOMARU』、『シュアリー・サムデイ』、『陽だまりの彼女』、『ディストラクション・ベイビーズ』、ドラマ/『信長協奏曲』(フジテレビ)、『ゆとりですがなにか』(日本テレビ)、『仰げば尊し』(TBS)など、様々な作品に出演。ダンスロックバンド「DISH//」のメンバーとしても活躍中。今後、『勝手にふるえてろ』(2017年公開)、『恋と嘘』(今秋公開)が控える。
映画『君の膵臓をたべたい』
7月28日(金)全国ロードショー
君の膵臓をたべたい
君の膵臓をたべたい
君の膵臓をたべたい
© 2017「君の膵臓をたべたい」製作委員会 © 住野よる/双葉社
若い女性層を中心に、“泣ける小説”と話題を呼んだベストセラーが実写映画化。映画では、原作にはない12年後の≪現在≫が描かれ、≪過去≫と≪現在≫の2つの時間軸が交錯しながら物語が進んでいく。
≪story≫
高校時代のクラスメイト・山内桜良(浜辺美波)の言葉をきっかけに母校の教師となった【僕】(小栗旬)。彼は、教え子と話すうちに、彼女と過ごした数ヶ月を思い出していく――。
膵臓の病を患う彼女が書いていた「共病文庫」(=闘病日記)を偶然見つけたことから、【僕】(北村匠海)と桜良は次第に一緒に過ごすことに。だが、眩いまでに懸命に生きる彼女の日々はやがて、終わりを告げる。
桜良の死から12年。結婚を目前に控えた彼女の親友・恭子(北川景子)もまた、【僕】同様に、桜良と過ごした日々を思い出していた――。
そして、ある事をきっかけに、桜良が12年の時を超えて伝えたかった本当の想いを知る2人――。

公式サイト: http://kimisui.jp/
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