上遠野太洸 | インタビュー | Deview-デビュー

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インタビュー「上遠野太洸」

2017/04/05

「ドラマ初主演も映画初主演も『ガキ☆ロック』。自分にとってまた特別な作品になるなと」

上遠野太洸

柳内大樹によるマンガ『ガキ☆ロック』が上遠野太洸主演で実写ドラマ化。『ガキ☆ロック〜浅草六区人情物語〜』と題して、4月14日(金)よりAmazonプライム・ビデオで配信がスタート。2014年の映画化に続き、再び主人公・源を演じる上遠野に、作品への想いをたっぷりと語ってもらった。

上遠野太洸
人気コミックス原作で2014年に映画化された『ガキ☆ロック』ですが、この春、ついにドラマ化となりました。同じ役と久々に向き合う今の心境はどのようなものでしょうか。
「映画を見返したときに“こういうところがまだ足りていなかったな”という想いはあったので、それを今回は埋めていこうと思っていました。“大きくキャラクターを変える”ということではなく。一度、変えるということを考えはしたんですが、それは違うなと思ったんです。前に演じた源と全く同じではないにしろ、引き継ぎたいものはあるし、あのキャラはすごく好きだったから、それをもっとよくしようと思って撮影に臨みました」
上遠野太洸
改めて、Amazonオリジナルでドラマ化されるというお話を聞いたときはどんなお気持ちでしたか?
「“あ、やるんだ!?”という感じですね。当時、映画をやっていたときに『第二弾、第三弾とやっていこう!』なんて話はあって、みんなで『やろうぜ!やろうぜ!』って言っていたんですけど、それから3年も経っているので、もう考えてはいなかったんです。それがまさかのドラマ化。聞いたときには本当にビックリしたし、“また出来るのか!”という嬉しさは大きかったです。しかも全12話のドラマ。僕にとってはこれがドラマ初主演になるんです。しかも、映画初主演も『ガキ☆ロック』だったので、また特別な作品になるなと思いました」
3年前のご自身を振り返ると、当時はどんな風に役と向き合っていましたか?
「当時は自分のことだけで精一杯でした。“自分の台詞をどう言おうか”とか、“どういう風に演じれば印象に残るかな”とか。そういうことばかりを考えていて、場面場面の空気とかを意識するところまで意識が向いていなかったんですよね。でもいろいろな経験を重ねて来た今なら、そういうことも意識した上で、もっと他の人との間で生まれる空気で芝居をしていくということが出来るんじゃないかと思っています」
上遠野太洸
いろんな経験を経て変化した、役との向き合い方だったり芝居への影響はどんなものでしょうか。
「アプローチの仕方も変わりますね。以前は台本を読んで最初に受け取った感じで演じていたんです。でも今は、台本を読んだ上で、前のキャラクターも活かしつつ、そこに加えて台本には書いていない空気だったり、感情や雰囲気だったりを画面に出していけるようにしたいと思っています。以前は感じたままと言うより、“とにかく台本の自分の台詞を言う”という感じが強かった印象が自分でもあるので、今回はそんなことはないぞという感じですね」
そんな上遠野さん演じる志村源という人物は、どんな人だと思いますか?
「現実にいたら超迷惑ですよね(笑)」
え!? “男が惚れる男”的なキャラクターなのかと思っていましたけど(笑)。
「確かにすごく憧れるし、そうあれたらいいなとも思うんですけど、あんだけ行動力があると周囲が引きずられて大変だろうなと思いますよね(笑)。あの心意気とかはわかるんですよ。あれで源に冷静さがあったら最強だなって思います。でも、源はちょっと馬鹿な分、思うままに行動に移しちゃう。そこが魅力でもあるんですけどね。後先考えずに行動に移しちゃうし、他人を救うために突っ走る。そういうところは男としてすごく憧れるし、自分を顧みない強さもなかなか社会人になったりすると無理なことも多いのに、そんなこと天秤に乗せることさえしていないのが源だと思います」

上遠野太洸
今回はどんな源になりそうですか?
「前からあった無鉄砲なところとか、聞いているようで他人の話を聞いていないところとか、その変は継承しつつ……。というか、3年前は他の人の台詞を聞いている余裕なく、自分の台詞を言うのは“今だ”という感じで演じていたところがあったんです。でも、今回は共演者の方の台詞を聞きつつ、“聞いていない”演技をしようと思っていて。それだけでもすごく源の印象が変ってくると思っています。それとちゃんとメリハリをつけたい。映画では源はずっと叫んでいるイメージが強かったと思うんですが、それはそれでありつつも、今回はもうちょっと言葉に説得力を持たせたいなと思っていて。それと日常感を出したい。ドラマは全12話で物語が描かれていくこともあり、今回は日常風景も描かれているので、“常に怒ったり叫んだりしているわけじゃないんだ”という落ち着いた源の、ギャップみたいなものを出したいと思っています」

上遠野太洸
それは楽しみですね。今作、ファンのみなさんもとても期待されているようで、情報が解禁される前、上遠野さんがSNSにあげた金髪の写真で“もしかして!?”という反応が届いたそうですね。
「そうなんですよ。結構、前々からファンのみなさんか『続編はないんでしょうか』という質問があったりして。僕はその反応にも何も言えないでいたんですが、ようやく実現できたので。早く情報解禁したくて仕方なかったですね」
情報解禁になった今、やはり伺いたいのは、今回監督以下キャストも再集結で作る作品ということですよね。現場はいかがですか?
「今回は映画での経験をみんなが共有している状態で撮影が始まったので、すごく温かい感じの現場になっていて、演技が馴染まないということもなく、とても楽しい現場です。変化があったとしたら、以前よりもそれぞれが意見を言い合うようになったこと。役に対してだったりストーリーに対してだったり。“より良いものにしよう”というのが今回の作品には強くなっているので、すごくいいなと感じます」

上遠野太洸
ずばり『ガキ☆ロック』の魅力とは!?
「いろいろあるんですけど……。浅草という街もそうだし、そこで暮らす人たちの人間模様も魅力的なんですよね。それとこの作品全体を通してなら“人と人”、そして“言葉と言葉”。全ては繋がりなんですよね。様々な繋がりがあって、それがちょっと変な感じにもつれてしまったりもして。想いと裏腹の行動に出てしまう奴がいたり、どうにか解こうとする源がいたり。人間同士の繋がりが色濃く描かれているので、他者と繋がることに対して億劫になっている人が見ると、多少の勇気が湧くのではないかと思います。そういう周囲の人との繋がり方に憧れたり、何かしらか感じるものが湧く物語だと思います。“絆”を大事にするべきだと思わせてくれる作品です」
『ジュノン・スーパーボーイ・コンテスト』をきっかけに、芸能界に入って7年になる上遠野さん。ご自身の中で役者としての特に転機になったと思うことは!?
「2011年に出演した『SAKURA』という舞台かなと思います。それまでの僕は、あれよあれよと芸能界に入って、芝居をすることになったけど、演出家さんに叱られたりしているうちに、だんだんと芝居が好きじゃなくなっていたんです。そんな頃に『SAKURA』の演出家さんが、『表情筋を動かせるようになれ』と指導してくださって、さらには感情を抑える癖があった僕の、その癖を取っ払って下さったんです。そうしたら自由に芝居が出来るようになって、そのあたりから芝居が楽しくなって、徐々に意識も変わっていきました」

上遠野太洸
お芝居が楽しくなったと。
「そこから確実に変わってきたかなって思いますが、その後に出会った作品はどれもこれもターニングポイントになったと思っているんですよね。新しい価値観を植え付けられたりもしましたし、勉強になりました。『グランディーバ』では、海外に行ったこともなかったし、バレエも未経験だったけど、いきなり海外に行ってバレエの特訓をして、日本公演の主演を務めることになって。そこから時代劇や仮面ライダーもやりましたし、その全てが今の自分に繋がって来たと思っています」
役者であるからこそそれだけの挑戦が出来ているのかとも思います。役者という職業の魅力とは何だと思いますか?
「“考えること”です。役者って、役に対して、作品に対して、そして自分に対してすごく考えるんですよね。考えなきゃいけないし、考える癖がついていく。考えると色んな可能性が出てくるんですよ。役に対してもそうですが、自分に対しても。どれが正解かもわからない。その中で普遍的に人に伝わるのはどの感情なんだろう。そうやって日々考えていることは自分の可能性にも影響していって、いつのまにか自分の可能性を拡げてくれていたりもする。そうしていく中で自分だけの哲学が徐々に生まれていく……それが面白いんですよね」

上遠野太洸
では、最後に『Deview』読者へメッセージをお願いします。
「努力を重ねていれば、チャンスって同じタイミングではないにしろ、必ずやってくると思うんです。努力をどれだけしても叶わないことってそんなにないと思うんですね。いつやってくるかわからないチャンスに向けて、しっかり準備して応えることが出来れば、そのチャンスを掴むことができる。もしダメだったとしても努力を惜しまなければまた次のチャンスも廻って来る。それを逃さないためにも“何をしたいか”を明確にした方がいいと思います。“何でもいいから芸能界に入りたい!”ではなく、“自分はどうなりたいのか、どうしたいのか”。“これでやっていくんだ”という芯を一本持っていたら、流されることもなく、自分の可能性を拡げて行けるんじゃないかなと。今、芸能界に挑戦しようとしているみなさんは、何にでもなれるし、何でもできる。その可能性を自分で見つめて、選んで欲しいと思います」

インタビュー・終
撮影/加藤千絵(CAPS)取材・文/えびさわなち

Profile

上遠野太洸
かとおの・たいこう●1992年10月27日生まれ、宮城県出身。エヴァーグリーン・エンタテイメント所属。2010年『第23回ジュノン・スーパーボーイ・コンテスト』グランプリ受賞。主な出演作に、『35歳の高校生』(日本テレビ)、『チーム・バチスタ4 螺鈿迷宮』(関西テレビ)、『グランディーバ』日本公演・主演、『仮面ライダードライブ』(テレビ朝日)、『警部補 矢部謙三〜人工頭脳VS人口頭毛』(SVOD・TVOD)など。6月14日から上演される舞台「Nana Producce Vol.7『どんどろ』」(演出:寺十吾)、今夏スタート予定のNHK-BS時代劇『伝七捕物帳2』に出演が決定。

INFORMATION

映画『暗黒女子』
©CLUSTAR.inc

Amazonオリジナル『ガキ☆ロック〜浅草六区人情物語〜』
4月14日(金)よりAmazonプライム・ビデオで配信スタート

「ヤングチャンピオン」にて連載していた柳内大樹のマンガ『ガキ☆ロック』の実写ドラマ化。
浅草で生まれ育った主人公・志村源、通称・喧嘩祭りの源(上遠野太洸)は、ひとたび浅草を歩けば「源!」「源ちゃん!」と浅草の住人たちに声をかけられ、まるで寅さんのような人気ぶり。実家のストリップ劇場・イギリス座を手伝いながら、仲間の人力車屋のマコト(前田公輝)、フリーターのジミー(川村陽介)、おバカな坊主のまっつん(中村僚志)と共に今日も大好きな浅草で暮らしている。
ある日、たこ焼き屋でアルバイトをしている今日子(久松郁実)に出会い、あっという間に恋に落ちた源が浮かれていると、事件は起きるのであった。いつものように先輩・のりお(勝矢)が営む居酒屋にたむろし、看板娘の真奈美(大塚千弘)らとバカ話で盛り上がっていると、猿のマスクを被った暴漢にいきなり殴られたと、流血した蕎麦屋の店主が倒れ込んでくる。浅草で次々に起こる不可解な事件、そして容赦なく始まる浅草の開発。源たちは「大切な浅草は、俺たちが守る!」と義理と人情を胸に、奔走していく―。

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