山口まゆ | インタビュー | Deview-デビュー

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インタビュー「山口まゆ」

2017/02/08

「最初は“『相棒』シリーズに出演”と聞いて信じられなかったけど、台本がきて“本当だったんだ!”と」

山口まゆ

2014年『Deview』のオーディション企画から、現事務所「フラーム」所属し、女優として活躍中の山口まゆちゃん。以降、着実にキャリアを積み上げ、2月11日公開の映画『相棒-劇場版W- 首都クライシス 人質は50万人!特命係 最後の決断』ではヒロイン役に大抜擢! ベテラン俳優陣に混じって、堂々たるアクションからグッと心に迫る切ない演技まで披露している。ドラマ「コウノドリ」では中学生妊婦を演じ注目を集めた彼女が、次々と夢を叶えているそのヒケツとは!?


山口まゆ
『相棒-劇場版W-』への出演、しかもストーリーの鍵を握るヒロイン・瑛里佳という大役が決まって、周りの反響も大きかったんじゃないですか?
「はい。誰もが知っている、あの『相棒』シリーズに出演ということで、最初は信じられなかったんですけど、家族もみんなすごくびっくりしていて。台本が送られてきて、ようやく“本当だったんだ!”と思いました」
レギュラーキャストに加え、劇場版ということで出演者もそうそうたる顔ぶれで、緊張したのでは?
「そうなんです! でも、一つだけ助かったなと思うことがあって。みなさん、ずっと長く活躍されている方ばかりじゃないですか。だけど私は(水谷豊主演のドラマ)『熱中時代』も(反町隆史主演のドラマ)『GTO』も、(鹿賀丈史MCの料理バラエティ)『料理の鉄人』も、生まれる前だったのでリアルタイムでは見たことがなかったんです」

山口まゆ
なるほど! 本作キャストのみなさんによる伝説的な作品だけど、いずれの作品もまゆちゃんが生まれる前のものだから。
「そうなんです。母からは『もしそういう作品を見ていたりしたら、恐れ多すぎてお芝居なんかできなくなっちゃうかもよ』と言われました」
『相棒』のテレビシリーズ自体、まゆちゃんが生まれた2000年に始まってるんですよね。それだけ歴史のある作品なんだなと現場で感じたことはありましたか?
「キャストの方もそうですが、スタッフさんもみなさん、ずっと一緒にやって来られているじゃないですか。だから現場のチームワークがすごく良いんですよ。水谷さんが場を盛り上げてくださったりと、歴史の長い作品ですが現場はとてもいい雰囲気でしたね」
そんな中に唯一の新人として入っていって、現場ではどんなふうに過ごしていたんですか?
「ずっと立ったままだったなっていう記憶があります。自分のお芝居が終わっても、役のことをずっと考えていて、座るのも忘れちゃっていたというか……。だから、周りからはたぶんボーッとしてるように見えたんじゃないかなと(笑)。水谷さんはお芝居とは関係ない普段のこととか気さくに話しかけてくださったり、本当にいろいろ気遣ってくださいました」

山口まゆ
演じられた瑛里佳は、7年前に英国で起こった凄惨な集団毒殺事件で唯一生き残り、国際犯罪組織「バース」によって誘拐され、行方不明になっていた少女という役柄。過去から現在まで、山口さん自身の経験では補えないほど多くの重いものを抱えている役だったと思いますが、どんなふうに役作りをしたんですか?
「よく、現場入りの前に監督さんと相談して役作りをしていくとか言うじゃないですか。でも私自身、こんな大きな役は初めてで何から聞いていいのかもわからなかったので、とりあえずまずは自分なりに台本を読み込もうと。だけど1回読んで頭の中にたくさん“?(ハテナ)”が浮かんで、2回読んで発見はあってもまだわからないことがたくさんあって……。何回も読んだけど読むたびに気づくことが多すぎて、“本当に自分にこんな複雑な役ができるんだろうか”と、現場入りしたときはまだまだ不安でいっぱいでした」
役をつかみきれないまま、現場が始まってしまった感じ?
「はい、自分ではこれで精一杯ってくらいやったつもりではあったんですけど。でも現場入りが(犯罪組織レイブンの)アジトのシーンからで、ロケ地の廃墟がものすごく雰囲気があったんです。しかもキャストの方々も完全に役に入っていて、そんな環境の中でみなさんとお芝居をしているうちに、どんどん私も役に染まっていった感じでした。みなさんに助けられたからこそ、瑛里佳を演じることができました。本当に私一人の力ではあの役はできなかったと思います」

山口まゆ
アクションもありましたが、苦戦したシーンはありましたか?
「映像で観ると本当に一瞬のシーンなんですけど、ガードレールを飛び越えるところです。ほかのアクションからしたら、そんなに大したことないアクションだとは思うんです。水谷さんも私が飛び越えた後に、ヒョイッと軽々と飛び越えていますし。でも、本番までに東映の撮影所でアクション担当の方に付いていただいて、何日も練習したんですけど、ぜんぜんうまくいかなくて……」
劇中で疾走するシーンなんかもカッコよくキマってたし、運動神経は良さそうだけど?
「アクション担当の方からは、『恐怖を捨てなきゃダメだ』と言われました。“ここを飛び越えるのが怖い”という、そこから入ってしまってるからって。アジトのロケ現場にも似たような柵があったので、休み時間に何度も練習していたんですけどぜんぜんできなくて……。こんなこと初めてなんですけど、現場でパニックになって『もう、わかんない!』って泣いてしまいました」
アクションそのものより、役のことも含めて頭がいっぱいになってたのかもしれないですね。そこをどうやって乗り越えたんですか。
「お芝居での絡みが多かった北村一輝さんに助けていただいたことが大きかったです。ガン(銃)アクションについても『持ち方はこうしたほうがいい』とか『耳栓はしっかりとしたほうがいいよ』など、いろいろとアドバイスをしてくださって、“北村さんスクール”みたいな感じでした。中でも特に印象深いのが、相棒のお二人(水谷・反町)と対峙するシーン。重い場面だったこともあっていろいろ迷っていたら、北村さんが『自分なりの瑛里佳でいいんじゃないか。きっとできるよ』ってポロッとおっしゃってくれて。その一言でいろいろ悩んでいたことから吹っ切れた気がしました」

山口まゆ
北村さんとは山口さんのデビュー作のドラマ『昼顔〜平日午後3時の恋人たち〜』で共演してるんですよね。
「2年も前のことだし、きっと忘れられているだろうなと思ったんですけど、覚えていてくださって、びっくりしましたし、嬉しかったです。今回の現場では本当に切羽詰まっていっぱいいっぱいなことも多かったので、北村さんの存在は本当に心強くて、感謝しかないです」
いろいろ大変なことも多かったと思いますが、“やっぱりお芝居って楽しい!”と思った瞬間はありましたか?
「私自身の力ではないんですけど、水谷さんと一対一で向き合うシーンで、未知の感覚を味わったんです。水谷さんというか、杉下右京さんの言葉を聞いているうちに、瑛里佳が抱えていたものも私自身が抱えていたものもスーッとすべて吸い取られてしまったんですよ。本当にあれは、お芝居を超えた不思議な感覚でしたね。“俳優さんってこんなことができるんだ”と、ただただ呆然としてしまって。“いつか私もあんなお芝居ができるのかな、難しいかもしれないけどしてみたい!”と思いました」

山口まゆ
相棒シリーズ史上、最上級のスケール感に謎に満ちた展開と見どころ満載の本作ですが、そのシーンも楽しみです!
「私も公開が楽しみです。ドラマでも映画でも、現場にいるときはお芝居に一直線なので、公開してみなさんの声を聞いて初めて気づいたり、改めて勉強になることも多いんです」
最後に山口さんなりの「夢を叶える秘訣」について教えていただけますか? 「相棒」という大作への抜擢も「夢を叶えた」一つだったと思うんですが。
「この役が決まった経緯については、私も聞いてないんです。時期的にはドラマ『ふれなばおちん』をやってる頃に、マネージャーさんから『決まるかもしれないから、心の準備だけしておいて』って言われてたんですが」
ということは、「相棒」のスタッフの誰かが、まゆちゃんのお芝居を見て『瑛里佳役はぜひこの子にやってほしい』と思ったのかも?
「そこは私もよく知らないんです。でも、これまでいろいろお仕事をいただいてきて思うのは、目の前にあることを一生懸命取り組めば、必ず次に繋がるということ。だから、作品に入っている間は、後先を考えずにその役のことだけに一直線でいようと思ってます」
じゃあ、もしかしたら本作をきっかけにまたアクションのある役が来るかもしれないですね!
「ぜひ、今度はもっとすごいアクションにも挑戦してみたいです!」

インタビュー・終
撮影/mika 取材・文/児玉澄子

Profile

山口まゆ
やまぐち・まゆ●2000年11月20日生まれ、東京都出身。フラーム所属。小4から子役として活躍し、2014年『Deview』のオリジナルオーディション『Push!』でフラームに合格。同年7月に連続ドラマ『昼顔〜平日午後3時の恋人たち〜』(フジ系)でテレビドラマデビューを果たす。その後、『アイムホーム』(テレ朝系)、『ナポレオンの村』(TBS系)、『コウノドリ』(TBS系)、映画『くちびるに歌を』などに出演。3月4日には映画「雪女」が公開される。

INFORMATION

『相棒-劇場版W』
『相棒-劇場版W』
『相棒-劇場版W』
(C)2017「相棒‐劇場版W‐」パートナーズ

映画『相棒-劇場版W- 首都クライシス 人質は50万人!特命係 最後の決断』
2月11日(土)より全国公開

2000年の誕生以来、15年以上にわたるファンの厚い支持とともに高視聴率を記録してきたモンスタードラマ『相棒』の劇場版第4弾。
水谷豊が演じる杉下右京の4代目“相棒”冠城亘(反町隆史)が映画に初登場。そして、仲間由紀恵、及川光博、石坂浩二、六角精児をはじめとする『相棒』の人気キャラクターに加え、ゲストに北村一輝、山口まゆ、鹿賀丈史ら豪華キャストが集結。
そんな『相棒』オールスターズの面々が立ち向かうのは、これまで特命係が関わってきた事件の中でも比類のない難敵となるミステリアスな国際犯罪組織。7年前に英国で起こった集団毒殺事件と少女の誘拐、日本国内に秘密裡に持ち込まれた化学物質、そして東京のど真ん中で行われる世界的なスポーツ大会の凱旋パレード。それらの点を杉下が持ち前の推理と洞察力によって線で結んだ時、深い愛が生み出した『相棒』史上最も壮大で切ないクライマックスがおとずれる――。

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