山本裕典 | インタビュー | Deview-デビュー

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インタビュー「山本裕典」

2015/08/26

「オカマの役と知って、“ヤバイ!”と思ったのと同時に、“いや、これは逆にオイシイぞ”とも思いました」

山本裕典

撮影/booro(BIEI)取材・文/根岸聖子

ジョージ朝倉による人気漫画を映画化した『ピース オブ ケイク』(9/5公開)。映画公開にあたり、原作&映画に登場する【劇団めばち娘】が実際に旗揚げ、劇中劇舞台『ツチノコの嫁入り』を上演!! 看板俳優でオカマの天ちゃんを演じる山本裕典に、舞台への意気込みをたっぷりと語ってもらった。先日、演出&脚本デビューを果たした山本が感じる“舞台”の魅力とは!?
山本裕典
――マンガ原作の映画『ピース オブ ケイク』に登場した【劇団めばち娘】が実際に旗揚げ。劇中劇舞台『ツチノコの嫁入り』を上演するということですが、作・演出の丸尾丸一郎さんをはじめ、【劇団鹿殺し】のメンバーが多いこの舞台。そういった意味で、今回の舞台は客演に近い形なのかなと思うのですが、これまでもそのような経験はありますか?
「8年くらい前かな? 僕は、初めての舞台が【劇団ONEOR8(ワンオアエイト)】さんの客演だったんです。すごく緊張したのを覚えてますね。劇団の人たちの空気に圧倒されて、“大丈夫かな!?”って。演出家の方も、劇団員にはガンガン指示していたんですが、僕には気を遣ってくださっていて。自分も、お芝居がまだよくわかっていないときだったので、いろいろと大変でした。でもその分、やり切ったときの達成感はすごくあったんです。その達成感は、もしかしたら今までで一番、印象に残っているかもしれない」
――そのときの経験が、今回は活かされそうですか?
「どうだろう? まだこの舞台の全体像が見えていないというか、どうなるのかわからないんですよ。今は、まだ未知としか言えない。今のところ、シェイクスピア作品よりも意味がわからない(笑)」
山本裕典
――ポスターやチラシの集合写真もすごいことになってますよね。
「実際、撮影しているときも、よくわかってなかったですから(笑)。メイクして衣装着て、スタジオに入ったら、すでにメイクして衣装に着替えたキャストの方たちがスタンバイしていて。状況がよくわからないまま、撮影しました。この舞台をやることになったときに、自分が演じる“天ちゃん”って、どんなキャラクターなのかな?って思って、調べたんです。そしたら“えっ、オカマの役!?”って(笑)。これは“ヤバイぞ!”と思ったのと同時に、“いや、これは逆にオイシイぞ”とも思いました。しかも、【劇団鹿殺し】さんの丸尾さんが作・演出。以前【劇団鹿殺し】さん舞台を観に行ったとき、ものすごくパワフルで、笑わせるところも、すごくおもしろくて。深く考えさせられる作品だったんです。僕もお笑いというか、人を笑わせることが好きだし、自分の中にはない笑いの要素が勉強できたらなと。僕、意外とガンコなところがあって、自分の考える“笑い”に固執しちゃうところがあるんです。その“笑い”を基に、この前の事務所のイベントで脚本を書いて、演出をしたりもしたし。でも、それだと小さい世界での話になってしまうので、いろんなものを吸収していきたい。これだけの人が出演する舞台だし、どうなるのか楽しみです」
――天ちゃん仕様のメイクも似合っていて、原作のビジュアルとイメージぴったりですけど。
「え〜恥ずかしい(照)。初共演の方が多いんですけど、初めてお会いしたのがビジュアル撮影だったので、この姿で『よろしくお願いします』って挨拶をしました(笑)。稽古はまだ始まったばかりというか、初日はみんなでゲームをやって名前を覚え合う、ワークショップ的な感じで始まりました。普通に楽しくて、久しぶりにはっちゃけました」
山本裕典
――台本はまだ完成してない?
「これからですね。いつもは稽古初日までに台本を全部覚えて、そこから演出の指示に従いつつ、おさらいしていく感じだったから、稽古をしながら固めていくっていうやり方をしたことがないんです。だから、今からドキドキです。すぐ緊張しちゃうし、結構ビビリなので、完璧に準備していかないとダメなんです」
――コミニュケーションの部分では問題なさそう?
「今まで、男ばかりの現場が多かったこともあって、女性のメンバーとは打ち解けるのに時間がかかるんですね。男性キャストは大丈夫だと思うんですけど(笑)。ただ、年下が少ないのがネックかなぁ。僕、どの現場でも、まず年下の弟分みたいな仲間を作るんです。『メシおごるから、飲みに行くぞ!』って。そこから、年上の先輩たちとも仲よくなっていくっていうパターンで。今回は舞台『私のホストちゃん』で一緒だった町田宏器くんがいるから、彼を可愛くイジりつつ、馴染んでいこうかなと」
山本裕典
――先ほども話していましたが、今年は所属事務所の『Ever Green Entertainment Show 2015 vol.4』で、自ら脚本・演出も経験したわけですが、お芝居に対する意識は変わりましたか?
「『EGE SHOW』も4回目だし、今回は何か新しいことがやりたいっていうことで、社長に『演出やりたい』って提案して。でも、『いいね!じゃあ、脚本も書いて』って言われたのは予想外でした(笑)。演じることは好きだけど、創作する才能なんてないし、“どうしよう!?”って。でも、実際やってみたら、すごく勉強になりました。お客さんもみんな、いっぱい笑ってくれたし、稽古をしていく中で、どんどん広がっていっておもしろかった。初めてにしては上出来だったかなと。僕の舞台の出演者だった(溝端)淳平にいろいろ言ってるうちに、自分で出たくなっちゃったんですよ。あいつが、なかなか言うことを聞かないもんだから(笑)。その分、伝え方の勉強にもなったし、役者のやりたいことをやらせてみて、そこから引き出すっていうやり方も学んだ。演じる側として、客観的になれたのは良かったですね」
――今回の舞台は、芝居だけでなく、歌や踊りもありそうですね。
「そうなんです! 歌があるみたいなんですよ。マズイよ〜、渋谷(CBGKシブゲキ!!)に激震が走るけど、大丈夫かな!?」
――山本くんの美声で!?
「それは……どうかな?(笑)。前に、地球ゴージャスさんの舞台『クザリアーナの翼』(2014年)に出演させていただいたとき、僕の役は歌うシーンは無いって聞いてたから安心してたのに、最後に少しだけ歌うシーンがあったんです。お客さんの反応が気になって気になって、ネットとかで感想をチェックしたら、“芝居はすごいよかったけど、ちょっと歌は……”っていうのを見つけて、すごいヘコんじゃって」
山本裕典
――歌は苦手なんですか?
「好きは好きなんだけど、自信がないんです。苦手意識が超強いのに、歌う機会が出てきちゃうんですよ。宮本亜門さんと舞台『耳なし芳一』をやったときも、琵琶を弾くシーンで、歌がセリフに変更になったりしたから。いろんなトラウマがあるので、歌はとにかく不安です!」
――そうしたいろんな緊張感がありつつ(笑)、人を笑わせたり、楽しませること自体は、すごく好きですし、得意ですよね。
「そうですねぇ。普段、友だちと一緒にいて笑わせているようなことって、お芝居にも活かせるんですよ。話をするときの間だったり、テンポだったり、日常生活の中にも芝居に活きることって、結構普通に転がっているんですよね。人を笑わせたり、笑いを意識して楽しく会話をすることって、大事だと思いますよ」
――スバリ、山本くんが思う舞台の魅力とは!?
「生の緊張感や悩める部分もたくさんあるけれど、舞台には圧倒的なパワーがあるんです。演じていても気持ちがいいし、ドラマや映画とは違う、エネルギーが生まれる場だと思う。家にいて観られるドラマと違って、舞台は劇場に行かなきゃいけない。でも、観劇に行くと、“あ〜観てよかった”って思うことのほうが多いんです。一度、勇気を持って観に来てくれたら、ハマるんじゃないかな。たとえば、僕を観に来たとして、他の役者が気になって、またその人の舞台を観に行ってみようって気持ちになってくれたり。まだまだ未熟な僕が言うようなことじゃないかもしれないけど、テレビや映画、両方出ている僕が舞台に出ることで、そうやって演劇を好きになる人が増えてくれたら、嬉しいなって思います」
Profile
山本裕典
やまもと・ゆうすけ●1988年1月19日生まれ、愛知県出身。エヴァーグリーン・エンタテイメント所属。10月スタートのTBS 火曜ドラマ『結婚式の前日に』へのレギュラー出演が決定。9月12日公開の映画『ガールズ・ステップ』11月7日より全国順次公開の映画『五つ星ツーリスト THE MOVIE〜究極の京都旅、ご案内します!!〜』、12月11日から上演される舞台『夜の姉妹』に出演。
【劇団めばち娘】旗揚げ公演『ツチノコの嫁入り』
9月17日(木)〜27日(日)CBGKシブゲキ!!
「『MY ONLY ONE』
『ツチノコの嫁入り』
写真:江森康之
ジョージ朝倉・原作×田口トモロヲ監督×多部未華子・綾野剛共演で贈る映画『ピース オブ ケイク』(9/5公開)。映画公開を記念して、原作・映画に登場する【劇団めばち娘】が実際に旗揚げ!劇中劇舞台『ツチノコの嫁入り』を上演する。看板俳優・天ちゃんを山本裕典が演じ、座長・千葉は【演劇集団キャラメルボックス】の阿部丈二が演じる。また、菜月チョビ、丸尾丸一郎などの【劇団鹿殺し】メンバーをはじめ、THE CONVOY SHOWメンバー、ミスFLASHファイナリスト、元アイドリング!!!メンバーなど、様々な経歴を持ったキャストが集結。 舞台『ツチノコの嫁入り』は、自分たちの存在を認めない人類に対して、復讐を誓うツチノコの生き残りをかけた壮大な悲劇のストーリー。原作・映画の中では数シーンしか描かれていなかった今作を膨らまし、劇中劇の完全版を若手実力派【劇団鹿殺し】の丸尾丸一郎が作・演出を手掛けリアル舞台化。

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