工藤阿須加 | インタビュー | Deview-デビュー

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インタビュー「工藤阿須加」

2017/05/24

「福士くんはすごくストイックで、常に役のことを考えていて、その姿勢は、すごく刺激になりました」

工藤阿須加

撮影/草刈雅之 取材・文/永堀アツオ

すべての“働く人”が共感して泣いた、北川恵海のベストセラー小説『ちょっと今から仕事やめてくる』を、『八日目の蟬』『ソロモンの偽証』の成島出監督が実写映画化。本作で、ブラック企業で働くサラリーマン・青山隆を演じた工藤阿須加にインタビュー。クランクインの5ヵ月前からリハーサルを重ねて撮影に挑んだという本作への想い、役作りについて、初共演となった主演・福士蒼汰の印象などを語ってもらった。
工藤阿須加
――もともと原作の小説を読んでいたそうですね。
「そうなんです。たまたま家にあって。自分と歳が近い登場人物たちがいろんなしがらみに揉まれていく姿を読んで、胸がすごく苦しくなりました。自分自身にも問いかけて来るような作品でもあったし、読み終わった時はすごく感動したのを覚えています」
――感動した小説の映画化のオファーを受けて、どう感じました?
「今までも1つの作品ごとに役者として真摯に向き合って、いろんな経験をさせてもらってきましたが、今回のこの題材はより一層、気を引き締めて取り組まなければならないと思いました。同世代の若者の話だけではなく、題材が今話題になっていることでもあるので」
――パワハラとかブラック企業とか、現代の社会問題がテーマになっていますもんね。
「はい。ただ、両方の立場を考えないといけないなとも思って。自分が演じる青山のことだけを考えるのではなく、吉田(鋼太郎)さんが演じた部長の立場もそうですし、黒木(華)さんが演じた五十嵐先輩の思いも全部、自分が受け止めなきゃいけないということを、台本を読んだときに一番最初に感じました」
工藤阿須加
――作品全体を見て考えるということ?
「そうですね。僕はいつも“自分の役だけを中心に考えない”ということを心がけていて。基本的なことなんですけど、作品全体のこと、物語の流れの中での自分の役の立ち位置やセリフの意味も考えながら、自分がいただいた役と向き合うようにしています。特に今回の作品は、青山のことだけを一方的に考えてしまうと、部長や先輩の人間性を否定してしまうことになってしまうと思うんです。でも、きっと皆さん、いろんな経験をされて、いろんな思いで生きてきた中で、そうしなければいけない立場なんじゃないかって。それぞれにある葛藤をきちんと理解した上で演じた方が深みが出るんじゃないかと思いました」
――そういう風に俯瞰的な視点で役を捉えるようになったのはいつからですか?
「いろんな人と出会って、話をさせていただいて、刺激を受けて、だんだんそういう風に考えられるようになったんだと思います。今回、成島出監督、相手役の福士くんとも出会って。吉田さん、黒木さん、母親役の森口(瑤子)さん、父親役の池田(成志)さん、小池(栄子)さんとご一緒して、刺激を受ける中で、自分の中の考え方もそうですし、作品の中でも役柄の深みがどんどん増していったんじゃないかなと思います」
工藤阿須加
――ブラック企業で働くサラリーマンの青山というのはどんな役でした?
「どこか身近に感じています。でも、それは僕だけじゃなく、多くの人が抱えていることだと思うんです。自分の無力さに、“自分はなんで生きているんだろう?”“この先どうしていけばいいのだろう”という不安を、人は少なからず持っているものだと思っていて。僕は子供の頃からいろんなスポーツをしてきた中で、挫折も感じたし、苦しいことも、いい思いこともありました」
――テニスの練習行きたくないなっていうこともあった?
「もちろん、ありました。僕が経験してきた中で近い感情を引っ張ってきて、当てはめてみては、外してみたりの繰り返しでした。自分の中の感情と成島監督が求めているものがリンクした時に、OKが出たのかなと思います」
――成島監督の演出はいかがでした? 今作に限っては、5ヵ月前からワークショップやリハーサルを行ってから、撮影に臨んでますが、ご自身にとってどんな期間になりましたか。
「作品に入る前に準備の時間をいただけるっていうことはあまりないことですし、今回、この期間を与えてくださったことによって、役に集中する時間、向き合う時間も増えたので、すごくいい経験になりました」
工藤阿須加
――役作りの期間の中で、何か印象に残ってることは?
「青山の日常に近づくために、自分でスーツを買って、できるだけ、どこに行くにしても着るようにしていたんです。自分にフィットしたスーツというのではなくて、あえて新入社員が着るようなリクルートスーツを選びました。スーツを着ていると、自分の体に染み付くというか、血肉となっていくように感じました。それに、青山と向き合う時間が長ければ長いほど、冷静になれる部分や、客観的になれる自分もいたりして。“別のアプローチの仕方もあるんじゃないか?”と、いろんなところから試行錯誤してやることができました。準備期間が短いとどうしても、その選択肢が減ってしまうので、今回はすごくありがたかったです」
――トライ&エラーを試す時間がないですもんね。
「はい。リハーサルの時間も多くとっていただきました」
――ヤマモトを演じた福士蒼汰くんの印象は?
「素敵な人です!!」
――すごい気持ちがこもった言葉ですね(笑)。
「本当に素敵な人です。福士くんには、壁がないんですけど、近すぎるわけでもない。いい距離感があるんですよね。だからこそ、仕事をしていて、居心地がすごく良かったです。それに、福士くんはすごくストイックで、常に役のことを考えていて。その姿勢は、すごく刺激になりました」
――そこは工藤さんとも似ていますよね。二人とも真面目でストイックに役に向き合っている感じがします。
「福士くんはどうかわからないですけど、僕は、ただただ必死なだけです。でも、きっとお互いの考えていることがどこか近しいところがあったから居心地が良くて、充実した1ヵ月半の撮影になったのかなと思います」
工藤阿須加
――5ヵ月の準備期間の後、1ヵ月半の撮影期間があって。どんな関係性を築きました?
「僕と福士くんが現場で集中していられたのは、福士くんが演じるヤマモトの関西弁の方言指導をしてくださっていた烏龍パークの加藤(康雄)さんの存在が大きいと思うんです。加藤さんが、僕らの間に入って、いい三角関係を作ってくれました。いい意味で、緊張がほぐれるんですけど、緩みすぎないというか。加藤さんは現場の雰囲気とか、僕らの思いも理解しながら一緒にいてくださっていたので。本当に、フィーリングが合う人たちが集まったのかなって。撮影の合間は、世間話をすることが多かったのですが(笑)、烏龍パークの加藤さんがいてくれたことで、僕らの中の気持ちはだいぶ、ほぐされたと思います」
――福士くんと二人だけでご飯に行ったりとかは?
「二人だけはないです。でも、加藤さん含めた3人で僕の家でたこ焼きパーティーをやりました」
――そうなんですね。劇中では、ヤマモトが「オレが作ったたこ焼きを食べたら、もう帰れなくなるで」というセリフがありましたが。
「たこ焼きパーティーでは、僕が作りました(笑)。福士くんは仕事があったので遅れてきたんですけど、それまで僕と加藤さんの二人で、野球を見ながらたこ焼きを食べながら盛り上がってました。福士くんが合流したあとも、作品のことについて3人で話すわけでもなかったです。そこも似ているのかもしれないですね。オフの時にあまり仕事の話をしないっていう。でも、あのたこ焼きパーティーをやったことで、距離感が縮まったのは間違いないと思います」
工藤阿須加
――特に思い入れの強いシーンはありますか?
「どのシーンも本当に思い出深いんですが、ヤマモトに救ってもらう、ビルの屋上のシーンはすごく鮮明に覚えています。一番念入りにリハーサルを重ねて臨んだシーンでもあって。成島監督が最後の最後まで細かく突き詰めてくださいました。一番、集中していたんじゃないかなと思います。気づいたら終わっていたくらいだったので」
――長回しのシーンですよね。
「長回しですけど、そのプレッシャーは全くなかったです。お互いに役としていれたからこそ、言葉のトーンだったり、リズムだったり、少しずつ変わってくるのが自分たちでも分かって。“あ、心が動いている”って思いました。やっぱりあのシーンは、この映画の中でも特に大事なシーンだと思っているので。成島監督の思いを受け止めた上で、今、僕らができるすべての力を出せたんじゃないかなと思っています」
工藤阿須加
――あのシーンに込められたメッセージとは? 青山はどう変わったと捉えました?
「青山は、自分は何のために生きてるのか?”がわからなくなっていて。自分の命は自分だけのものじゃないっていうことも、少し考えればわかるはずなのに、自分で心を閉ざしてしまっていて、希望も何も見えなくなっていた。でもそこに、ヤマモトが現れて、一筋の光を与えてくれたんです。そこから、青山は自分の力で立ち上がり、部長とも真っ向からぶつかる事ができました。ヤマモトには、きっかけをもらったんだと思います。本当にヤマモトのような存在がいたら大きいと思いますね」
――工藤さん自身は、心が折れかかったときや凹んだときはどう対処していますか?
「僕は楽観的なタイプなんですけど、落ち込むときは落ち込みます。でも、今は落ち込んでる場合じゃないという感じですね」
――2012年に『理想の息子』で俳優デビューして5年目になりましたが。
「今はただ、がむしゃらに進んで、壁にぶち当たっては、越えての繰り返しだと思うんです。じゃあ、壁にぶち当たった時はどうするかというと、結局は、自分の考え方次第かなと思います。落ち込んだときはどうしてもマイナスのことばかり考えてしまうけど、違う方向から考えてみるというか。心が折れそうになったときは、“答えは1つじゃない、まだ他にも選択肢や答えがある”と思うようにしています。僕は、常にそのことを頭に置いておいて、“じゃあ、どうすれば、その壁を越えられるのか”っていうのを考えています」
Profile
工藤阿須加(くどう・あすか)●1991年8月1日生まれ、埼玉県出身。パパドゥ所属。2012年にドラマ『理想の息子』で俳優デビュー。翌年には、NHK 大河ドラマ『八重の桜』で主人公の弟役を演じ、2014年の『ルーズヴェルト・ゲーム』(TBS)沖原和也役を演じ、注目を集める。主な出演作は、ドラマ/『ショムニ2013』(CX)、『アルジャーノンに花束を』(TBS)、連続テレビ小説『あさが来た』(NHK)、『偽装の夫婦』(NTV)、『家売るオンナ』(NTV)、『就活家族〜きっと、うまくいく〜』(EX)、映画/『百瀬、こっちを向いて。』、『アゲイン 28年目の甲子園』、『夏美のホタル』、『恋妻家宮本』など。
映画『ちょっと今から仕事やめてくる』
5月27日(土)全国東宝系にてロードショー
ちょっと今から仕事やめてくる
ちょっと今から仕事やめてくる
ちょっと今から仕事やめてくる
©2017 映画「ちょっと今から仕事やめてくる」製作委員会
すべての“働く人”の共感の涙を誘った北川恵海のベストセラー小説を、『八日目の蟬』『ソロモンの偽証』の成島出監督が実写映画化。謎の男・ヤマモトを演じるのは、初の大阪弁での演技も注目の福士蒼汰。ブラック企業で働くサラリーマン・青山隆に工藤阿須加。その他、青山の憧れの先輩社員に黒木華、青山の両親役に森口瑤子と池田成志、ヤマモトの謎を知る女性に小池栄子、青山を追い詰めるパワハラ上司に吉田鋼太郎、といった実力派俳優が勢揃い。
≪story≫
ブラック企業で働く青山隆(工藤阿須加)は、仕事のノルマが厳しく精神的に追い詰められていた。疲労のあまり駅のホームで意識を失い、危うく電車に跳ねられそうになってしまう。すんでのところで青山を救ったのは、幼馴染みのヤマモト(福士蒼汰)と名乗る男。だが、青山には彼の記憶がまったく無かった――。
大阪弁でいつでも爽やかな笑顔をみせる謎の男、ヤマモトと出会ってからというもの、青山は本来の明るさを取り戻し、仕事の成績も次第に上がってゆく。 そんなある日、青山はヤマモトが深刻な表情で墓地行きのバスに乗車するところを見かける。不審に思った青山がヤマモトについて調べてゆくと、何と3年前に自殺していたことが分かる。それではヤマモトと名乗る、あの男は一体何者なのか?
その真実が明らかとなるラストに、誰もが涙する感動の物語。

公式サイト: http://www.choi-yame.jp/
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