門脇 麦 | インタビュー | Deview-デビュー

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インタビュー「門脇 麦」

2016/06/15

「ドキュメンタリーの撮影のように、ずっとカメラが回っているようで、全くカメラが回ってないような、不思議な現場だった」

門脇 麦

撮影/booro(BIEI)、取材・文/永堀アツオ

ドラマ『お迎えデス。』(日テレ系)や映画『オオカミ少女と黒王子』など、話題作への出演が続いている門脇 麦が、映画『二重生活』で単独初主演を果たす。“理由なき尾行”をテーマにした、新感覚の心理エンターテインメントに挑んだ彼女に直撃インタビュー。
門脇 麦
――今作の映画『二重生活』が、門脇さんにとって単独での映画初主演作となりますが、プレッシャーはありました?
「“お客さんは入るのかな?”っていう心配はありましたけど、長谷川博己さん、菅田将暉さん、リリー・フランキーさんと豪華な男性3人が揃ってくださったので、そこはお任せしようって思いました(笑)」
――門脇さん演じる“白石 珠”が哲学を学ぶ大学院の担当教授にリリーさん、同棲中の彼に菅田くん、論文のための理由なき尾行の相手を長谷川さんが演じられていますね。
「楽しかったです。リリーさんは、以前に親子役で共演させて頂いたので、久々の再会で嬉しかったですし、菅田さんは何回目かの共演で共通の知り合いも沢山いますし、初日から違和感なくすんなり入れました。長谷川さんはこの作品で初めてご一緒したのですが、すごくフランクな方で、お互いが好きな焼肉の話をしたりしていました」
門脇 麦
――画面からは尾行によるスリルや緊張感が伝わってきましたが、現場はどのような雰囲気でしたか?
「撮影現場ってカメラ前の空気とスタンバイ場所の空気がすごく違うんです。私は基本的に本番直前まではオフの状態で、カメラの前に立ってから瞬間にスイッチを入れてガッとエンジンをかけるタイプなのですが、今回はドキュメンタリーをやってこられた岸監督の作品だったので、オンとオフをつけるのをやめようと思ったんです」
――それはどうしてですか?
「演技じゃないところで出来たらいいなというか、自分の全部、私情までも持ち込んで臨もうと決めていました。なのでこの現場はスタンバイ場所とカメラ前のテンションがずっと同じでした。監督も基本的にずっと穏やかでテンションが変わらないですし、こっちもずっとオンなのか、ずっとオフなのかわからない状態でしたね。適度に緊張感があるけど、みんなシリアスな感じでもない。ドキュメンタリーの撮影のように、ずっとカメラが回っているようで、全くカメラが回ってないような、不思議な現場でした」
門脇 麦
――今、「私情も持ち込む」とありましたが、撮影と空き時間の壁をなくしたように、門脇麦と珠の境界線も曖昧にしていきました?
「そうですね。曖昧にした方が面白いかなと思ったし、珠っていう子に余白をもたせたかったんです。私を通して役をやっていることは間違いないんですけど、本当の自分も入り混じればいいなと思ってやっていました。私はこの現場に限らず、常々目指していることがあって。映画はフィクションですけど、少なくとも私たちがやることはノンフィクションであるべきだなと思っているんですね。本作で言えば、珠ちゃんから出てくる言葉や感情は、本物であるべきだと思っていました。映画を観るお客さんの一人としても、個人的にその人、本人がにじみ出てくるような役者さんが好きなんです」
――珠を演じる上で他にも心がけていたことはありますか?
「いつも大切にしているのは、これは映画の中の人の話、で終わらせたくないということ。“もしかしたら今日、街ですれ違った一人の女の子の人生なんじゃないか?”って思ってもらえないとやっていても意味ないかなって思っていて。役に説得力をもたせたいんです。“ああ、いるいる”って感じてもらえるようにしたいというのは、どんな役でも気を付けてるかもしれないです」
――自分自身と重なる部分もありました?
「役の状況を自分に置き換えた時に特別違和感はなかったので、感覚的に自分と重なる部分もたくさんあったのだと思います。珠ちゃんという女の子は、過去の悲しい出来事をきっかけに自分の本当の感情に触れないように生きている子で、凝り固まってしまった自分の本当の感情が人の秘密や感情を知ることで、再び動き出したのではないかと思います。珠ちゃんは、他人を通して、実は自分を見てる。人間って、自分自身を振り返るよりも、他人に共感することの方が心が動かしやすいのだろうなって思います」
門脇 麦
――彼女が抱える空虚さも理解できました?
「昔の自分なのか今の自分なのか、嫌いな自分なのかはわからないけど、頭ではなくちゃんと気持ちでわかりました。尾行に関しては想像でしかないけど、そこから出てくる言葉や感情に違和感があったシーンは1つもないので、すべてにおいて共感できていたと思います」
――彼女はすべてにおいて受け身ですよね。
「そうですね。本当の私とは違いますけど、“もしも自分がそうだったら?……”と考えたら全然わかります。……いや、私も珠ちゃんのように受け身な面もありますね。役者は受け身でなんぼの仕事だと思うし、逆に積極的で行動的な面もあるし、いろいろですね(笑)」
――(笑)。この仕事を選んだのは門脇さん自身ですよね。
「そうですね。最初にこの仕事を始めようと思ったのは、12年間やっていたバレエに限界を感じて辞めて、それでも“何か表現したい”という気持ちがあって。映画が好きだったので、勢いと衝動で事務所に履歴書をポンって送ったんです。本当に無知と若さってすごいなって思うんですけど(笑)。どういう仕事かもちゃんと知らずに飛び込んで、気付いたら、今、ここにいるという感じなので。もちろん、自分で選択しているし。行動力もある方だと思うんですけど、ただ流れに乗っているだけのような感じもします」
門脇 麦
――デビューから5年経ちましたが、仕事に対する考え方は何か変わってきていますか?
「いざ始めてみて、あまりにも自分が平凡で、特に何も人に提示できるものがないっていうことを知りました。そこからは“表現したい”という思いから、監督が表現したいことを役者の身体を通して、言葉にできたらいいなと思うようになったんです。監督のために、現場のために、作品のために頑張る!っていう気持ちでしかやってなかったし、それが原動力の全てだったんです。でも、だんだんと、それだけではやはり限界があるなということに気づいて。今も自信はないですけど、始めたばかりの頃は、本当に自信がなかったので、『私はこの仕事が好きでやってます』というより、『オファーを頂いたのでやってます』と言う方が、逃げ道があるし、楽なんですよ。ずっと、そこに甘えていたんですけど、今は『自分が好きだからやってます』という、シンプルなところにいきつつあります」
――意識が変化したのは何かきっかけがあったんですか?
「どの作品からというわけではなく、何か限界を感じたんですよね。やっぱり、“人のために”っていう原動力を100にしてると、尽きるんですよ。でも、そこが100じゃなくなった今の方が、“監督のために”っていう思いは何倍も強い。そこがゴールじゃなくなったのは私にとって大きな変化ですね」
――今は『お芝居が好きだからやってる』と言い切れるようになった?
「私、この仕事、おそらく好きだと思うんですけど、“演技することが楽しい”と思ったことはまだありません。でも、強く惹かれていて。たとえ、苦しい現場でも、終わったらすぐにまた良い作品をやりたいなと思っていますし、何でこんなに魅了されてるのかなと常々感じてます。その感じで5年続けてきて。これからその答えが見つかるのかは分からないし、一生、分からない気もしてます」
門脇 麦
――好きだけど、楽しいと思ったことないというのは意外でした。いつか楽しいって思える瞬間が来るという期待や予感はあります?
「そこに関しては難しいんですけど、“演技してる私、楽しい!”って思ったら、仕事をもうしなくなる気もします。自己満足をするくらいならこの仕事しない方がいいと思うし、私、『演技が楽しいです!』っていう人のこと、あんまり信用できないです。捻くれてるだけかもしれないですけど(笑)」
――これまでに心の底から楽しいって思った瞬間は?
「う〜ん……小学生の時が一番楽しかったですね。休み時間に鬼ごっこをしてる時とか。まだ子供だったのもありますけど、あの頃は、空虚だなって思ったこともなかったですし(笑)。バレエも楽しかった。それが全てだったし、バレエのことだけを考えていればよかった時期だったので。それこそ、その頃の自分が一番のライバルだなって思っています。あの頃の自分を超えるために今、この仕事を頑張っている感覚があります」
Profile
門脇 麦(かどわき・むぎ)●1992年8月10日生まれ、東京都出身。ユマニテ所属。2011年にデビュー後、東京ガスのCM『ガスの仮面』で披露したクラシックバレエで注目を集める。主な出演作は、映画『愛の渦』、大河ドラマ『八重の桜』(NHK)、映画『合葬』、連続テレビ小説『まれ』(NHK)、ドラマ『探偵の探偵』(フジ系)など。現在放送中のドラマ『お迎えデス。』(日テレ系)に出演中。映画『太陽』、映画『オオカミ少女と黒王子』、Netflixオリジナルドラマ『火花』出演。12月にはミュージカル『わたしは真悟』で高畑充希とW主演を務める。
映画『二重生活』6月25日(土)新宿ピカデリーほか全国公開
二重生活
二重生活
(C)2015「二重生活」フィルムパートナーズ
原作は、フランスの女性アーティスト、ソフィ・カルの『本当の話』から着想を得た直木賞作家・小池真理子が執筆した長編小説。この原作を、NHK「ラジオ」など、多くのドラマを手掛けた気鋭の映像作家・岸善幸が大胆に脚色、映画化に挑んだ。
≪story≫
大学院で哲学を学ぶ平凡な学生・珠(門脇麦)。同性しているゲームデザイナーの恋人・卓也(菅田将暉)との日々は穏やかなものだった。ところがそんな毎日は、担当教授・篠原(リリー・フランキー)から修士論文の題材に“哲学的尾行”の実践を持ちかけられたことで一変する。半信半疑ではじめた、隣人・石坂(長谷川博己)への尾行だったが、彼の秘密が明らかになっていくにつれ、珠は他人の日常を覗き見する行為から抜けられなくなっていく。修士論文が目的とはいえ、職務のためにターゲットを追う刑事や探偵とは違う、いわば“理由なき尾行”。そして、禁断の人間模様を覗き見するうちに、珠は異常なほど胸の高鳴りを感じていく。

公式サイト: http://nijuuseikatsu.jp/

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