『兄に愛されすぎて困ってます』で、女の子をお姫様扱いするホスト系スウィートBOYの美丘千秋を演じる草川くん。本作への出演が決まったときの心境はいかがでしたか？

「自分の中で芝居は久しぶりだったので、嬉しい気持ちと同時に、こういう役を頂いたことへの驚きは正直ありました。ざっくり言ってしまえば、けっこうぶっ飛んだキャラでもありますし、大丈夫かな？とも思いましたけど、すごく嬉しかったです」

これまでにやったことのなさそうな役柄ですし、新しい表現への挑戦のような感じもありますよね。

「まさに。それこそちょっと特殊な役で、確かに甘い言葉を言うけど、どこかおかしいというものを自分の中でも意識しつつやったので、その面ではリハーサルの段階から監督と話し合って演じました。殻を破って、新しい自分というものを出せたんじゃないかなと思います」

人気少女マンガ原作ということで、原作を読んで、この作品の魅力というのはどんな部分だと感じました？

「シンプルに、女の子がキュンキュンするんだろうなということはすごく伝わってきて。千秋に関しては、なかなかこんな人は世の中にいないなとは思ったんですけど、それでもそんな千秋を僕が演じるんだと思ったときには、ちょっとこっぱずかしい部分があったりもして（笑）。でも、やっぱり素直に思ったのは、キュンキュンする作品だなと思いました」

男子から見てわかる部分というのはどういうところですか？

「マンガを読んでいた段階では、正直“え!? こんな感じで胸キュンするの!?”という驚きもありまして。でも単純に、兄が妹に対して、“守ってあげたい”と想う感じはキュンキュンすると思います。自分に妹はいないので、そういうのは妄想してキュンとしますよね」

千秋を演じるにあたっては、どんな風に役作りをしていったんでしょうか。

「兄のはるか（片寄涼太）と、せとかの初恋の相手・高嶺（千葉雄大）と僕が演じた千秋は、みんなそれぞれタイプの違う男で、それぞれにキュンキュンさせるようなセリフがあるんですよね。だからこそ、その２人とは違った路線でいきたかったので、観ている人が“えっ!?”と思うような小芝居を入れたりとか、どうすればよりスウィートに近づけるかなというのは考えたりしました。でも特に研究はしていなくて、その前のリハーサルの段階で監督と話し合ったりしながら作っていきました」

“ぶっ飛んでる役”とおっしゃっていましたが、そんな千秋と、似ている部分や共感できる部分はあった？

「全般的には似ていないですけどね。自分の周りにも千秋みたいなタイプの人間はいなかったし、普段から女の子に対してあんな風に接している人が実際に居たら、僕はちょっと引いちゃうかも（笑）。でも、犬が好きなところは似ているかな。あとは女性に紳士的に接するよう心がけているところも。それと、千秋と同じように、人の変化にもよく気づく方だと思います」

では、演じる上で難しかったことは？

「やっぱり、自分の殻を破るということですね。振り切った感じを出すのは難しかったかなとも思います。久しぶりの映像作品だったし、どこか恥ずかしい部分もありましたし。カメラが回ったら、そんなことは関係なくなるんですけど、どこかそういうものもあったので、それが難しかったことですね」

「恋愛は女の子を落とすゲーム」と言っていた千秋が、数いる女性たちを振り切って、せとかへと向かっていくシーンとか、いちいちぶっ飛んでますよね。

「あれは撮影していても面白かったし、楽しかったです。10人くらいの女性の方々が僕の前に並んでいて、僕のアドリブもあったりして。映像ではすごくキラッキラしているんですけど、実は撮影の日はあいにくの雨だったんですよね。それが、完成した作品を観たら、キラッキラになっていて、“さすがだなぁ”と思いました（笑）」

学園モノということで、同世代の共演者も多いですが、現場の雰囲気はどんな感じでしたか？

「現場では、徐々に仲良くなっていった感じでしたね。撮影合間にけっこう待ち時間もあったりしたので、そのときにしゃべったりとか、お兄（片寄）のライブ（GENERATIONS from EXILE TRIBE）をみんなで見に行ったりもしたらしくて。僕は都合が合わなくて行けなかったんですけど、その感想をみんなで話したりとかしていましたね。特に僕は（杉野）遥亮と仲が良かったので、常に一緒に行動していました」

ロケが多かったから、天気などでの待機時間も多かったでしょうしね。

「そうですね。河合監督が本当にロケーションにこだわっていたので、ロケの現場も楽しかったです。せとかたちの家も素敵でしたし。あれはセットじゃなく実際にある家なんですけど、あの感じはすごくいいなと思いました」

少し年上の先輩で千葉雄大さんもいらっしゃいましたが、共演されていかがでしたか？

「ばーちーさんは、正直全然年上に見えないんですよ（笑）。もちろんいい意味で！ 本当に若いんですよね。僕はこの現場に入る前まではあまりお会いしたこともなくて、正直、そんなに変わらないと思っていました（笑）。それくらい感覚も若い方で、よく一緒に食事も行きましたし、楽しかったです」

本作は胸キュンシーンも満載ですが、ご自身の中で「注目の胸キュンシーン」と思われる場面を挙げてください。

「やっぱり、僕が演じる千秋がハートを撃ちぬくところですね。あそこはキュンとするでしょう！『必ず恋をする』って言って、カメラ目線でバンっていう……冷静に考えたら何やってんだって話ですけど（笑）。でも、あれは僕がやりたくてやったシーンなんです。映像を観たらキラキラしてたし、バキューンって煙まで出ちゃいましたから。出来上がったシーン観て嬉しくて“監督ぅ〜〜〜〜!!”って感動しました」

せとかちゃんを廻って、兄系イケメンズがライバルの火花を散らす本作ですが、芸能界で頑張っている草川くんの周りにもたくさんのライバルがいると思うのですが、ご自身で“コレは他の人に負けない、負けたくない！”と思うものは？

「仕事に対しての気持ちかな。今、いろんな仕事をやらせていただいていて。超特急としてステージに立ったり、バラエティもやったり、芝居もやったり、モデルの仕事もさせていただいて。幅広い仕事をいただいている中で、どれもおろそかにしたくないし、一つ一つに対して本気で向き合いたい。“あの人はアーティスト業がメインだから、芝居はこんな感じだよね”みたいなイメージで見られたくないという気持ちが強いんです。仕事へ向ける気持ちは誰にも負けたくないです」

スカウトされたことがきっかけで、この世界に飛び込んだ草川くんですが、“この世界で生きていくんだ！と決意したのは、どんな瞬間でしたか？

「事務所に入って初めていただいた仕事が、オーディションとかではなく、いきなりオファーをいただいたドラマの仕事だったんです。“今までテレビ越しで観ていた人たちが、今は自分の目の前にいる”ということで、実在していたんだと思ったときに、“あ、自分もこの世界に居られているんだ”というのを実感したんです。そこからいろいろと仕事をさせてもらう中で、だんだんと変わっていった感じです。一番は自分の意志もそうですけど、周りの支えとか、協力とかもあったからこそ、自分の気持ちが変わってきたんだろうとも思います」

アーティストとしての活動も多忙ながら、様々なお仕事にチャレンジされていますが、お芝居の魅力は何だと思いますか？

「“自分ではない誰かになれる”という楽しさかなと思います。普通に生きていたら、自分の人生しか歩めないけど、脚本があって役をいただいて、いざその役に入るとまるで別人になれるんですよね。そういう楽しさがあります。もちろん楽しいだけではないですし、すごく考えて、苦悩することもたくさんありますけど、自分の人生の中で経験してきたことや得てきたものを、いろいろと違う形にして出せる場所でもあると思います」

そんな草川くんが思う「夢を叶えるために大切なこと」とは？

「楽しむことだと思います。何事も楽しいことなら続けられるし、楽しくなかったなら続けられないと思うんです。楽しむことが一番かなと。ツライことがあったとしてもそこで“楽しい”が負けちゃダメだと思うんです。誰しもツライ経験はするだろうし。僕は、失敗から学ぶことがたくさんあるから、失敗は失敗じゃないなと思っていて。失敗は成功だと思う部分もあるので、“楽しむこと”が大切だなと思います」

では最後にデビュー読者へメッセージを。

「この作品が、今芸能界を目指して頑張っている人たちの刺激になってくれたらいいなと思います。僕自身は、普段は超特急として活動をしていて、久しぶりの映像作品に出られたということで、超特急のタクヤとはまた違った一面をみなさんにお見せできると思いますし、僕のパーソナルな部分がまた新しく引き出せたなと思うので、この作品から感じてもらえると嬉しいです」

草川拓弥
くさかわ・たくや●1994年11月24日生まれ、東京都出身。スターダストプロモーション所属。主な出演作は、大河ドラマ『平清盛』（NHK）、『花嫁のれん』シリーズ（東海テレビ／フジテレビ）、（スペシャルドラマ『帰ってきた 家売るオンナ』（日本テレビ）など。メインダンサー＆バックヴォーカルグループ「超特急」タクヤとしても活動中。2015年には映画『サイドライン』で、超特急として主演を果たす。7月26日にシングル『My Buddy』を発売する。