松井玲奈 | インタビュー | Deview-デビュー

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インタビュー「松井玲奈」

2017/05/31

「観終わったあとに“自分自身って何だろう?”と考え直すキッカケになるんじゃないかな」

松井玲奈

撮影/booro(BIEI)取材・文/三沢千晶

松井玲奈と新川優愛がW主演を務める映画『めがみさま』が6月10日より公開。本作は、行き場をなくし、人生に絶望した主人公・佐倉理華(松井)が、自分と同じ境遇を克服したセラピスト・ラブ(新川)との奇妙な出会いを描くヒューマンドラマ。母の過干渉、職場のいじめで追い詰められ、自殺を決意する理華を演じた松井に、本作への想いを語ってもらった。
松井玲奈
――映画を拝見させていただきましたが、衝撃的な作品ですね。玲奈ちゃんは完成作品を観て、どのように感じましたか?
「自分が出ている作品なので、あまり客観的には観られないんですけれど、台本で読んだり撮影しているときは全体が見えなかったモノが1本の作品になると、自分でも気づかなかった魅力が見えてきました。きっと観る人によって感じ方もまったく違うんだろうなぁと思うんですけど、観終わったあとに“自分自身って何だろう?”と考え直すキッカケになるんじゃないかなと。その答えは人それぞれだろうから、感想が違うような作品になっていればいいなって思います」
――確かにそうですね。玲奈ちゃんの演じた佐倉理華が言っていることもわかるし、理華が憧れるラブ(新川優愛)の考え方にも共感できる部分があるし。
「そうですね。現実的に無くはない話なんだろうなって思いました。憧れの人がいて、そういう人になりたいなって思うことはあると思うので。実際に演じているときは、理華のことだけを考えていたんです。“理華というコがどう思って今この場所にいるんだろう?”“不安なのかな? 怖いのかな?”とか。だからラブのことは考えなかったというか、“ラブがなぜここにいるのか?”とかそういうことは考えていませんでした。なので、あとで観たときに、“あ、これはこういうことだったんだ!”って初めて気づいたんですよ」
松井玲奈
――では役作りとしてはどういうところに焦点を合わせたんですか?
「まず“理華はどんなコか?”というところが軸になっていて、その次に、“ラブは自分にとってどういう存在なのか?”ということを純粋に考えていました」
――玲奈ちゃんの思う理華とは?
「ある意味、理華は誰にでも当てはまるような女のコなんじゃないかな?と考えていて。今の世の中で、会社だったり家で自分の思うように言葉を発せられなかったりとか、生きたいように生きられない状態の人ってたくさんいると思うんです。理華はそういう状態を突き詰めるところまでいっちゃって、どうしようもなく溢れ出してしまっている女のコ。心に抱えている闇は大きいけど、だからこそラブと出会ってどんどん変わっていけるのかな?というふうに考えていました」
――ラブ役の新川優愛ちゃんとの共演はいかがでしたか?
「新川さんは、私にとってある意味“ラブ”でした。存在もそうだし、見た目がそのまんま『ラブだ!』みたいな感覚がありましたね。同じワンピースを着て隣に座るシーンがあるんですけれど、そういうところで人間としての違いを感じるというか(笑)。スタイルがすごくいいし、見つめ合っているシーンとかでも、本当に可愛いなって思っちゃいました。理華にとってラブは憧れの存在なんですけど、私にとって新川さんってすごく憧れの女のコです。こうなれたら良かったって思うような存在だなと思って撮影していましたね」
松井玲奈
――同じワンピースを着ているシーン、可愛かったですね。着る人によってこんなに印象が変わるんだ〜って思いました。
「そうなんですよね。あとはアウターだったり、ちょっとした小物だったり、靴下を履くのか履かないのかだけでもこんなにも服ってダメになるんだなーって」
――(笑)。ダメになってないですよ! 静と動というか、理華が可憐でラブは華やかといった印象でした。
「いやぁ、服に着られるってこういうことなんだって思いました(笑)」
――いやいやいや、可愛かったですよ(笑)。現場では優愛ちゃんとお話しましたか?
「すごいたくさん話をしていたワケではないんですけれど……、さっき新川さんと一緒で、話していて思い出したんですけど、撮影が1月で本当に寒くて、特に新川さんはワンピース1枚のことが多かったので、いかに防寒をしたら暖まるかという話だったり、他の共演者の方々とみんなで暖をとりながら、“みんな寒いのは一緒だから頑張ろう!”って励まし合っていたな〜って思い出しましたね」
松井玲奈
――玲奈ちゃんは、以前からインタビューなどで「人見知り」という話をしていましたが、最近はいかがですか?
「ここ1〜2ヵ月はだいぶマシになりました(笑)。この映画の撮影の間は理華になっていたので、人見知りでしたけどね。暗い女のコだから、その感じをずっと保っていたんですよ。新川さんに“本当に暗いコなのかな?”って思われたみたいです(笑)。でも、お互いに人見知りだったし、新川さんの役どころもちょっと複雑だったので、どう距離を縮めていいかわからなくて。どうしたらいいんだろうなぁ〜って思いながら撮影していましたね」
――お2人のシーンが多いですよね。そういうときの間合いとか、タイミングはどうやって合わせていたんですか? 打ち合わせはあった?
「いや、あんまりなくて。監督さんが『まず自分たちのやりたいようにやってみて、そこからどうするか決めていこう』という風に言ってくださったので、たとえばぶつかるシーンとかは、まず思うようにやってみて、そこからどうやったらもっと良くなるかな?と考えながら作っていっていました」
松井玲奈
――けっこう印象的なセリフがいっぱいありますよね。『他人の人生を生きるんじゃない。自分の人生を生きなさい』とか『自分を解放してあげたらいい』とか。玲奈ちゃんの中で印象的な言葉はありましたか?
「ラブの『自分の思うように生きればいいの』みたいなセリフがあって、自分が理華を生きたからかもしれないんですけど、ラブがそう言っているとすごく説得力があるなって、そのシーンを撮っているときに思っていましたね。でも、その言葉をすべて真に受けると、破綻していってしまうなとも思っていて、自分の中でどれだけ折り合いをつけて、どこまで自分に素直になるべきなのか、相手の意見をどこまで受け入れるべきなのか、そのサジ加減が人と人とが向き合っていくためには大事なことなんだなって思いました。自分の意見を押しつけるばかりでは思っていたように伝わらなかったりするし、それがある意味、この映画の核なのかな?と自分の中で思ってはいました」
――それでは好きなシーンは?
「理華とラブが2人で家の中で唐揚げを食べているシーンは、数少ないほっこりシーンだなと思っています(笑)。2人で食べさせ合ってキャッキャ笑っているところはラブと理華もそうですし、自分たちも演じていて嘘がないというかそのままの空気が映像に残っているなという感覚があったので、すごく好きなシーンですね」
――ここ2年くらいで女優としてのお仕事が増えましたね。玲奈ちゃんの中では女優観とかお芝居に対する考えは変わったりしましたか?
「前は憧れが強かったんですけど、いざ現場に入っていってみると憧れだけじゃダメだなとか、頭で考えていることをちゃんと体現するってすごく難しいことだなと思いながらやってます」
松井玲奈
――ちょうど1年くらい前のインタビューでは『仕事を楽しむというよりは毎回反省のほうが多い』って言っていましたけど、その点は…?
「そうですね〜、ちょっとは変わりましたよ。やるときは楽しんで、終わってから反省することが増えました。やっている最中に反省することは減りました! やれるだけやってみて、たとえばドラマだったら放送を観たときに、ここはもうちょっとできたなと思ったりしてますね。前よりは、お芝居の世界観の中で楽しめるようになってきました」
――そういえば前回は“自分が出た作品はあまり見ない”とも言っていましたけど、そこは成長ですね!
「ハイ(笑)」
――演じる上で常に心がけていることはありますか? たとえば役ノートを作るとか。
「そういう役作りもしますけど、できるだけ現場では役のテンション感を大事にしているなとは思いますね。自分が器用じゃないので。今回の『めがみさま』だったら、できるだけ理華の低いテンションでいるとか。逆に明るい役だったら、ビックリするくらい現場でしゃべったりしていて。それって本番が始まったときにちゃんと空気として出るなと自分でも思うんですよね。なので、そういうやり方もあるのかな?と思いながら今はやっています」
松井玲奈
――では映画にちなんで、なりたい自分とは?
「絶対なれないと思うけど、きゃりーちゃん(きゃりーぱみゅぱみゅ)みたいになりたいです(笑)。遺伝子的に絶対にムリなんですけどね。でも私、きゃりーちゃんが好きなので超憧れです。雰囲気も性格も……全部を知っているワケじゃないけれど、きゃりーちゃんのコラムが好きで読んでいて、ハッキリ物を言うスタンスが偽りなくとてもカッコイイなと思うし、その時に思ったことをちゃんと自分の言葉で人に伝える力がある人ってステキだなと思うんです。ビジョンがあって自分のやりたいことを突き詰めていくっていうのは本当に憧れますね」
――10〜20代の『Deview』読者にメッセージをお願いします。
「特に10代って悩みがちだと思うし、理華みたいなコもいると思うんです。でも自分の考え方ひとつで世界の見え方も変わるし、映画を観たあとで“なりたい自分って何なのかな?”って考えるだけで、周りも自分も変われるキッカケにはなるんじゃないかなと思います」
Profile
松井玲奈(まつい・れな)●1991年7月27日生まれ、愛知県出身。Grick所属。2008年『SKE48オープニングメンバーオーディション』に合格し、SKE48のメンバーとしてデビュー。2015年に同グループを卒業し、その後は女優へ転身。舞台『新・幕末純情伝』、映画『はらはらなのか。』、ドラマ&映画『笑う招き猫』、ドラマ『100万円の女たち』(毎週木曜 25:00〜 テレビ東京系)などに出演。6月25日より上演される舞台『ベター・ハーフ』への出演も控えている。
映画『めがみさま』
6月10日(土)全国順次公開
めがみさま
めがみさま
©2017 Mcinema
閉塞的な郊外の田舎町。母・市絵(筒井真理子)の過干渉、職場のいじめなどにより、佐倉理華(松井玲奈)は、精神安定剤で何とか日々やり過ごしていたが、遂に自殺を決意する。そんな折、自分と同じ環境を克服したセラピスト・ラブ(新川優愛)の存在をネットで知り会いにいくことに―。
「他人の人生の中で生きるな」というラブの言葉に感銘を受けた理華は、家を出てラブが開催する自己啓発セミナーの手伝いを始める。自分らしさを取り戻していく同士たちとの交流、同じようにラブに救われた川崎拓海(廣瀬智紀)との出会いによって理華の日常は順調に回りだしたかのように見えた。そして理華とラブの関係は急速に距離を縮めていくのだが、ある事件をきっかけにその関係に不協和音が生じはじめる―。
果たして理華が最後に下した決断とは!?

公式サイト: http://www.mmj-pro.co.jp/megami/
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