撮影/booro(BIEI) 取材・文/児玉澄子
世界中で大ヒット中のアニメーション映画『君の名は。』で注目を集めた上白石萌音。現在放送中のドラマ『ホクサイと飯さえあれば』では、連ドラ初主演に挑戦。“食べる シーン”が一切ない究極のグルメドラマで、妄想癖に溢れた自炊女子を好演中。女優として飛躍し続けている彼女の“夢を叶え続けるヒケツ”とは!?
「セリフと料理のプロセスを同時進行するのは難しかったけど、レシピも暗記したので、女子力が上がった気がします(笑)」
──いよいよ連続ドラマ初主演作『ホクサイと飯があれば』が放送スタートしました! 意外にも連ドラのレギュラー出演は本作が初めてなんですよね?
「そうなんです。ずっと目標だったので、お話をいただいたときはとても嬉しくて。だけど、まさか主演だとは思わなかったので、マネージャーさんに『私、どのくらい出番があるんですか?』って聞いたら、『出ずっぱりだよ』って言われてびっくりしました」
──すでに全8話を撮り終わったとのことですが、連ドラ初主演を駆け抜けた今の心境はいかがですか?
「これまで経験した映画と比べたら、わりと短い時間にギュッと凝縮して撮ったような感覚があるのですが、その分とても濃厚でした。一瞬たりともブン(上白石が演じた山田文子)のことを考えてない時間はないくらい没頭していて、すごく充実した毎日でした」
──本作は漫画の実写化ですが、演じた山田文子ことブンちゃんの人物像は原作を読んで掴んでいった感じですか?
「はい、まずは漫画を読み込みました。ブンは簡潔に言えば、ご飯好きの人見知り。良くも悪くも自分の世界を持っている子で、ご飯のこととなると誰よりも生き生きするんですが、その一方で人と向き合った瞬間に、コロッと極度の人見知り・話し下手が出てしまう。そのコントラストがとても面白く描かれていたので、ここはお芝居する上でもポイントだなと思いました」
──人見知り&妄想癖があって人付き合いが苦手な女の子だけど、お料理を考えたり、作ったりしているときは本当にキラキラしていて!
「そうなんです! 好きなものにここまで一途に突進できる人って、こんなに輝くんだなって、原作を読んでも思いました。その対象が何であれ、一生懸命な人って素敵だなと感じましたし、だからそこは大切に演じようと思いました」
──人間が相手だと話し下手になっちゃうけど、ぬいぐるみのホクサイにはズバズバとモノを言えるんですよね。ちなみにホクサイの吹き替えを担当された声優の梶裕貴さんは、現場にいらしたんですか?
「いえ。ホクサイの声は映像を撮り終わった後のアフレコだったんです。なので、現場では代理の方がカメラの後ろのほうからセリフを読んでくださって、会話のやり取りをする感じでした」
──ぬいぐるみ相手のお芝居も初経験だったと思うけど、難しくなかったですか?
「慣れるまでは声がするほうに意識が向いてしまって。でもわりとすぐ馴染めました。こう見えてホクサイもいろんな顔をするんですよ! 角度とかシーンによってぜんぜん顔が違って見えて、だんだん人格すら感じるようになりました」
──今日のホクサイとの2ショット撮影も、すごく気が合っているいい感じの写真が撮れましたよ!
「全8話を一緒に駆け抜けたので、ちょっとやつれていますね。お芝居もすごく上手で、現場では『センパイ』って呼んでいました(笑)。ただ2人のシーンがほとんどだったので、たまにジュンちゃん(演:池田エライザ)や、ろーちゃん(演:前田公輝)とお芝居するのは楽しかったです。ステキなお芝居をなさる方たちで、ダイレクトにセリフのやり取りをするのがとても刺激的でした」
──ドラマスタート前に放送されたメイキングで、池田エライザさんが『萌音ちゃんとはずっと一緒にいたような感覚でした』とおっしゃっていました。
「そうなんです。私、エラちゃんが1歳上だって知らなかったんです。すごくキレイで大人っぽいし、知的だし、もっと年上だと思っていて。だけど話をしてみると年齢も近くて、地元も同じ九州だったり、お互い音楽が好きだったりして、一気に距離が縮まってずっと2人でしゃべっていました」
──どんな話が楽しかったとか、印象に残っていますか?
「2人とも映画『天使にラブソングを』の、あるシーンが大好きで、『あの歌のところ、すごくいいよね』『そうそう!』みたいに意気投合したのを覚えています。劇中でブンは、最初はジュンちゃんにも人見知りしているんですが、話が進むにつれて2人の関係も縮まっていくんです。そういう2人の変化も、『実際に仲良くなれたからこそ表現できたよね』とエラちゃんとも話していました」
──今回のドラマはお料理を考えたり、作ったりする“一人芝居”がほとんどですが、どんな難しさがありましたか?
「セリフを言いながら、同時進行でお料理のプロセスをきっちりこなすというのが難しかったです。ブンはお料理の手際がいいので、食材を切って火にかけて中火にして、とよどみなくやるんです。そこが苦労した点ではあるんですが、セリフに分量や作り方も入っているし、レシピも暗記してしたので、“これ、家でもできるんじゃないかな!?”って、ちょっと女子力が上がった気がします(笑)」
──ブンちゃんのお料理は、時短でお金もそんなにかけないけど、工夫に満ちていて一人暮らしの参考になりそうですが、萌音さんもお料理は好きだっておっしゃっていましたよね。
「はい、よくするんですけど、基本的にあんまり凝らないんですよ。冷蔵庫を見て、有り物をざざっと炒めるみたいな。でもブンの料理って、凝るところはめちゃくちゃ凝るじゃないですか。その心の豊かさが素敵で、見習いたいなと思います」
──しかも本作はグルメドラマなのに、食べるシーンは一切なし。視聴者においしさを訴えるのは、お料理を作るときのお芝居にすべてがかかっているわけですが。
「そうなんですよね。ご飯のクライマックスって作るときと食べるときの2種類あって、ブンにとってはどっちも同じくらいテンションが上がるんですよね。劇中では、食べるほうのクライマックスを表現できない分、作るほうの過程でどうやって頂点まで上り詰めるか、そこは監督とも何度も話し合ったところでした。ちょっと異常なくらいのテンションの上がり方なんですよね(笑)。そこにホクサイの冷静なツッコミが入るのも面白いんですけど」
──テンションが上がりすぎて、歌い出しちゃいますもんね。
「食材の買い出しに行くときも商店街でスキップしながら歌が出ちゃったり(笑)。たぶんブンにとって歌は、一つのスイッチだと思うんです。普段おとなしい分、料理を考えているときの高ぶった感情が歌になって出てきてしまうという。でも、私も日常でついフンフ〜ン♪みたいに歌っちゃうことがあるので、唐突にブンが歌い出すのもぜんぜん違和感がなかったです。“ブンも歌が好きなんだ、一緒だね”と思ってすごく共感できましたし、不器用なブンの感情表現が出てくるとても好きなシーンになりました」
──これまでも映画やミュージカル、そして昨年は歌手デビューもして伸びやかな歌声を披露してきましたが、歌は萌音さんにとって特別なものなんですか?
「そうですね。小さな頃から音楽が大好きで。でも、ただただ好きなだけで、歌手になるなんて夢以上の夢で、想像したこともなかったんです」
──その夢を叶えたヒケツはなんだったと思いますか?
「“歌手になりたい”という以前に、ただ歌が好きだったので、歌のレッスンをずっと続けていたんです。でも、そういうふうに好きだから故の努力をしていると、なんらかの形で実を結ぶんだなと改めて感じています。ブンもそうですけど、“好きこそものの上手なれ”というか、どんなものでも好きなものを愛し続けるって本当に大切で尊いことだなと思います」
上白石萌音(かみしらいし・もね)●1998年1月27日生まれ、鹿児島県出身。東宝芸能所属。2011年第7回「東宝シンデレラオーディション」で審査員特別賞を受賞。同年、大河ドラマ『江〜姫たちの戦国〜』で女優デビュー。その後、2014年に『舞妓はレディ』で映画初主演を務め、『ちはやふる -上の句/下の句-』、『溺れるナイフ』などに出演。2016年8月に公開され、今もなお世界中で大ヒット中のアニメーション映画『君の名は。』でヒロイン・宮水三葉の声を担当し話題を集め、同年10月にはカバーミニアルバム『chouchou』で歌手デビューを果たす。
ドラマ『ホクサイと飯さえあれば』
MBS:毎週日曜 深夜0:50〜/TBS:毎週火曜 深夜1:28〜 ほか
※放送時間が変更になる場合があります。
※地域によって放送日時が異なります。
NETFLIXにて独占配信中
※地域によって放送日時が異なります。
NETFLIXにて独占配信中
(C)鈴木小波/講談社・「ホクサイと飯さえあれば」製作委員会・MBS
東京・北千住が舞台のインドアご馳走マンガ『ホクサイと飯さえあれば』を上白石萌音主演で実写ドラマ化。
一人暮らしを始めた大学生の山田文子(通称:ブン)はウサギに似たしゃべるぬいぐるみ(?)ホクサイと一緒に暮らしている。人見知り&妄想癖もある彼女の1番のこだわりは、料理。どんなにお金がなくても、どんなに忙しくとも、ゴハンだけはきちんと作る…!
野菜・タンパク質・炭水化物をバランスよく、しかし面倒なので基本的には一品で。ホクサイと共に東京・北千住の町でアイディア満載のD.I.Y.レシピで美味しいご馳走作る。
トラブルがあっても、ホクサイがいて美味しいご飯さえあれば毎日ハッピー!
公式サイト: http://www.mbs.jp/hokumeshi/
一人暮らしを始めた大学生の山田文子(通称:ブン)はウサギに似たしゃべるぬいぐるみ(?)ホクサイと一緒に暮らしている。人見知り&妄想癖もある彼女の1番のこだわりは、料理。どんなにお金がなくても、どんなに忙しくとも、ゴハンだけはきちんと作る…!
野菜・タンパク質・炭水化物をバランスよく、しかし面倒なので基本的には一品で。ホクサイと共に東京・北千住の町でアイディア満載のD.I.Y.レシピで美味しいご馳走作る。
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公式サイト: http://www.mbs.jp/hokumeshi/
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