須賀健太×木村達成 | インタビュー | Deview-デビュー

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インタビュー「須賀健太×木村達成」

2017/03/01

「毎回、今回はどう評価されるんだろうって思うし、演劇「ハイキュー!!」は初日が怖い舞台No.1です」

須賀健太×木村達成

撮影/booro(BIEI)

大人気バレーボール漫画を舞台化した、ハイパープロジェクション演劇「ハイキュー!!」。2015年11月の初演、2016年4月の再演″頂の景色″、2016年4月の新作″烏野、復活!″と、これまで上演されてきた公演は連日大盛況で、その勢いは増す一方。3月24日からは最新作、″勝者と敗者″を上演。主人公・日向翔陽を演じる須賀健太と、天才プレイヤー・影山飛雄を演じる木村達成に、本作へかける想いを語ってもらった。
須賀健太×木村達成
――半年に1回という異例の早さで上演され続けていますが、ハイパープロジェクション演劇「ハイキュー!!」の人気や反響はどのように感じていますか?
須賀健太「いろんな現場で、『「ハイキュー!!」の舞台またやるの? 観に行きたい』、『アレ、面白いんでしょ?』とか、必ず言われるんです。この作品にぜんぜん関わっていないスタッフさんからも言われるので、“あ、広まっているんだな”っていうのはすごく感じます。業界内でも注目されているというのは嬉しいですね」
木村達成「渋谷とかの街中で、演劇「ハイキュー!!」のポスターを見かけたり、漫画原作のポスターが貼ってあったりするのをみると、「ハイキュー!!」ってやっぱりすごく人気なんだなって改めて思います」
――手探り状態だった初演から、4回目。物語としては3作品目となりますが。
須賀「そこに関しては、変わらず常に手探り状態です。毎回、今回はどう評価されるんだろうって思うし、演劇「ハイキュー!!」は初日が怖い舞台No.1です」
木村「僕らも初日まで何がどうなるかわからないし、初日の幕が上がるまで不安なんです。この舞台は、本当にお客様ありきの演劇「ハイキュー!!」なんだなと毎回感じていて」
須賀「すごく難しい作品。原作がある舞台なので、ちゃんと原作へのリスペクトを持って僕らはやっていますし、それが伝わらないといけないとも思うので。原作の漫画のコマには描かれていないオリジナル要素も多く、それを僕らは大事にやってきているので、作品ごとに課題もすごく多いんです。だから常に初演という感じだし、1本目という気持ちでやっています」
須賀健太×木村達成
須賀健太
――今回は、東京公演がTOKYO DOME CITY HALLということで、これまでよりも大きな劇場になりますね。
木村「前作までは地方公演に行くと、東京公演のときよりも劇場が大きくなるので、ウォーリーさんに『大きく芝居をしなさい』と言われます。今回は最初からそれをできるということで、また地方に行ったときに何かが変わるんじゃないかなって考えたら、ワクワクが止まりません!!」
須賀「本当にワクワクしてるの?(笑)」
――強豪・青葉城西高校との公式戦に挑む、今作の″勝者と敗者″のみどころとは?
須賀「今回は、ずっと試合です。原作でもそうなんですが、試合の中で生まれてくるドラマの話です。まだ全貌が見えてないんですけど、これまで以上に動く量も多いと思います。より試合と芝居がリンクしたというか、切っても離せない関係性になってきているなと思っていて。物語としては3作品目。その中で一つの集大成というか、クライマックス的な位置づけになる公演になるので、演劇「ハイキュー!!」で今出せるものをすべて詰め込んだ作品になるのかなとは思います」
須賀健太×木村達成
木村達成
――影山としては、中学のときの先輩で青葉城西のセッター及川 徹との対峙もありますね。
木村「僕の中ではストーリー性が似ているというか、気持ちの持ち方は初演、再演と同じ感じなんです。中学生のとき“コート上の王様”と呼ばれ孤立してしまったトラウマがある影山が、及川という人物を目の前にしたときに、またそれが蘇ってしまう。影山の悪い意味での最終形態が現われて、その後どうなって行くのか。そこに行くまでの道のりをどうキレイに順を追っていけるかというのも、影山としての見どころの一つかなと思います」
――日向としてのみどころは?
須賀「今回、日向は脇に徹しているというか、ベンチでの時間が増えたり、このシリーズで初めて客観的に見られる公演になるのかなと思っていて、それはちょっと楽しみです。今回、ストーリーの軸としては、影山と及川、そして烏野高校のもう一人のセッター・菅原(孝支)のセッターの物語でもあると思っていて。日向はある種、箸休め的な立ち位置をセリフでとっているところが多い。クスっと笑える部分を任されていたり、日向がいるから場が和むというシーンがけっこうあったりして。そういうちょっとした部分を大事にする公演になるかなと思っています」
――改めて、それぞれの役柄で、演じる上でこだわっている部分は?
須賀「僕は人との距離は近くありたいと思っています。それと、漫画原作の主人公って、元気で天真爛漫なキャラクターってけっこう多いけど、日向はそれだけにはしたくなくて。僕はもともとすごく原作が好きで、日向というキャラクターのファンだったので、もっと深みを出して演じたいという気持ちがあります」
木村「言葉ではうまく説明できないけど、ずっと変わらないのはオーラかな。そこに立っているだけで何も言わなくても影山であるという自信とオーラ。それは自分自身の気持ちの持ち方だとは思うんですけど、遠くで見ても近くでみても“影山だわ〜!”って思えるような立ち振る舞い、気迫。そして、針の穴に糸を通すような正確なトス回し、動きのキレ、天才と呼ばれるだけの能力を舞台上でどれだけ表現できるかということにこだわって演じています」
須賀健太×木村達成
――お互い、演じる役柄とリンクしている点も多い?
木村「けっこう、まんまだよね」
須賀「それはお互いあるよね。僕ら自体の関わり方や関係性も作品をやるごとに仲良くなっていっているし、お互いを理解していっている感覚が、役としてではなく素であるので。そこは烏野のチーム感とも近い部分があるのかなと」
木村「僕達の関係性は、ほかのメンバーも含め、けっこう作品とリンクしているよね。そこも一つ、演劇「ハイキュー!!」の見どころなのかなと思います」
――今では息ピッタリのお二人ですが、改めて、お互いの第一印象は?
木村「ライブ・スペクタクル「NARUTO -ナルト-」が最初なんですが、健太に関しては、“いい子ちゃん”っていう印象」
須賀「俺は逆。テキトーなヤツだなって思った。怖かったんですよ、顔が!(笑)」
木村「あはははは」
須賀「目つき悪いし、それでテキトーなことするから“怖いな、この人”って最初は思いました。そのときは、こんなに長い付き合いになるとは思ってなかったですけどね」
――そこまで深い絡みはなかった?
木村「同じ現場だったけど、そんなに関わりもなく、“ザ・仕事”っていう感じの付き合いでした。でも、演劇「ハイキュー!!」のオーディションを受けるっていう話をしてから、いろいろと話すようになって。それで、一緒にオーディションに臨んで、お互いのセリフ回しに対して『あれ、ヤバかった!良かったよ!!』とかお互いに言い合ったりしてね」
須賀「普段やらないのにね、そんなこと(笑)。それくらいからだよね?仲良くなったの。それまではお互いのことをあまり深くは知らない関係性だったけど、演劇「ハイキュー!!」ではそれじゃダメだって、お互い自然に感じたんだと思うんです。それもあってか、“お互いもっと知っていこう”っていうのをどちらともなく始めた感じです」
須賀健太×木村達成
須賀健太
――この作品を通して、ともに戦ってきて、新たに発見した意外な一面とは?
木村「とってもおちゃめだなと。ふざけるところは俺と同じようにふざけるし」
須賀「達成は、繊細なところがすごくある。それはお芝居に対してもだし、普段の生活でも。雑そうにみえて、そういう繊細な部分が垣間見える瞬間がある。それは、深く関わってきたからこそ見えてきたものだと思うんですけど。あと、達成の『もう無理!』は、無理じゃない」
――それはどういうことですか?
須賀「すぐ言うんですよ、『痛い』とか『もう無理だ』とか。でも、ぜんぜん無理じゃなくて、自分でも10分くらい経つと忘れているんです。放っておくと誰よりも元気に稽古していますから(笑)」
木村「すごくナイーブでガラスのハートなんです。でも、強がるっていう……幼いんです(笑)」
須賀「本当にヤバイときは黙るもんね」
――お話を聞いていてもそうですし、カンパニー全体がすごく仲がいいなという印象ですが、須賀さんが座長として心がけていることは?
須賀「座長としてというか、日向としてというか、やっぱり人と距離が近いというのが日向の魅力だと思っているので、“カンパニーを良くしたい”という意識よりは、“人との距離を近くしたい”と思ってやっていました。みんな「ハイキュー!!」が好きで、いい作品を作りたいと思っている人たちが集まっているので、僕がまとめようとしなくても、やるときはやるし、ふざけるときは一緒にふざけるという人たちです」
須賀健太×木村達成
木村達成
――そんな座長をこれまでずっと近くで見てきた木村さんはいかがですか?
木村「健太は小さいころからこの仕事をやっているということもあり、最初はみんな健太に対して先輩だからって気を遣っているような感じだったんです。それを見ていて、この作品のためにはこれではダメだなって思って、ウォーリーさんと一緒に、僕が健太のことをイジり始めたんです。そうしたら、“あ、こんな感じでいいんだ”って、みんなわかってきてくれて。今、みんなから愛される座長になっているっていうのは、僕のおかげです!」
須賀「やかましいわ!(笑)。でも、それはすごく大きかった。カンパニーに入る前から深いレベルで知っている間柄の達成がそういうことをしてくれたので、みんなから怖がられることもなく、受け入れられているなって思います」
――公演を重ねるごとに、烏野高校排球部の結束力も強まっていると思いますが、お二人が思う、烏野らしさ、カラーとは?
木村「うるさい(笑)」
須賀「本当に、原作通り“烏合の衆”ですね。この言葉が一番しっくりくるかな。よくもまあ、こんな原作と同じようなチームになったなって(笑)。ふざけるところはふざけるし、やるときはやる。作品としていいものにするときに、スイッチ入れないといけないところはちゃんとわかっている。こんなに気を遣わなくていいっていう関係性ってすごくいいなと」
木村「毎日、稽古場行くのが楽しいですもん!」
――体力的にはキツイけど、稽古は楽しいと。
須賀「筋肉痛で“あ、演劇「ハイキュー!!」だな”って感じます。普通の舞台ではここまでならないですからね」
木村「台本のト書きだけだと、抽象的な書き方が多いので、読んでもどうなるのかわからないところが多いんですが、その答え合わせをしに来ているという感覚もあります」
須賀「稽古場で“今日は何が見られるのかな?”っていうね。音楽も映像も動きも僕らの芝居も、すべてがかみ合ったとき、“あ、コレか!”って実感するし、嬉しいです」
須賀健太×木村達成
――改めて、漫画やアニメとは違った、演劇「ハイキュー!!」ならではの魅力とは?
木村「この作品は嘘が限りなく少ない舞台だなと感じていて。役者たちが己の身体に嘘をつかず、そのまま出てきた言葉がセリフになっている。原作がもともとそうなので、いかにそれに近づけられるかというのを、僕らが必死に動いて、リアルに汗をかいてやっている。だからこそ、お客様にはセリフがストレートに心に響くのかなと思います」
須賀「瞬間熱量は一番だと思います。僕らが生でやるメリットってそこだと思うんです。舞台で生身の僕らが原作の力を借りてお芝居で伝える。そこには、その瞬間にしかない熱さがある。武田先生のセリフで『100%の実力を出した時チームとして強いのは青城で、烏野は70%に落ちたり、120%に跳ね上がったりする』っていうのがあって、この演劇「ハイキュー!!」は120%が出る瞬間がすごく多い。それはこの作品の魅力でもあり、熱量の瞬発力的なものは何にも負けないと思っています」
――様々な作品を経験されてきた中で思う、役者の面白さ、魅力をどんなところで感じていますか?
木村「いろんな職業になれること。30歳でも高校生の役がやれたり、喧嘩をしたことない人でも劇中では喧嘩が強い人物になれたりもする」
須賀「“超強い、俺!”って思うよね、相手は勝手に倒れてくれるから(笑)」
木村「あとは、いろんなものに挑戦できるのも魅力的だと思います」
須賀「自分じゃない人生を体験できるっていうのは大きい。僕は役者というものは楽しいだけじゃないなと最近すごく思っていて。キツイなって思っていた作品のほうが評価されたり、後から観てみると納得できたり、いろんな感情になれるのが役者なのかなと」
木村「1日の中で怒ったり泣いたり、喜怒哀楽の感情をいろいろ演じるもんね」
須賀「それを何回もやったりもするし。自分の中のエネルギーを燃やしている感じがします」
須賀健太×木村達成
――演劇「ハイキュー!!」では、よりエネルギーを燃やしている感じがあります。初演のときは水を飲むタイミングもないって言っていましたし。
木村「初演、再演のときはぜんぜんなかったよね」
須賀「カラッカラでした。初演なんて、僕は早替えのためだけにはけていたから、約2時間半の中で2分くらいしか袖にいなかった。どういうことやねん!って思いましたけど(笑)」
――本作は、夢や目標に向かって仲間達と切磋琢磨しながら突き進む物語ですが、お二人が思う“夢を叶える秘訣”とは?
須賀「コレ、カッコイイこと言いたいな〜。太字になるやつ!夢を叶える秘訣か……。僕は口に出すことは大切だと思います。それと、夢だと思わず目標だと思うこと。僕も『「ハイキュー!!」が大好きなんです。実写化があるなら日向をやりたい』っていろんなところで言っていたら、この作品のプロデューサーさんが『今オーディションをやっているから受けてみない?』と声をかけてくださって、オーディションを受けることができて夢が叶ったんです。自分のやりたいことを口にして、それが形になるようにしていくことが大事なんじゃないかなと。言ったもん勝ちですよ!」
木村「……です!」
須賀「いや、俺の答えに乗っかるなよ!(笑)。とは言え、まだ僕らも夢を叶えている途中ですからね。現在進行形だし、秘訣があるなら知りたい!!」
――木村さんが思う、夢を叶えるために大切なこととは?
木村「持ち前のポテンシャルとか、運とかタイミングとか、いろいろとあるとは思いますれけど、努力していない人は勝てない世界だと思います。たとえば、『消防士が夢だ』って言う人が、“そのために何かやっているか?”って聞かれたとき、『毎日筋トレしています』って、やってもいないのに語るのは夢じゃないと思う。その夢を叶えるための行動力は大事。有言実行の能力。思っているだけでは夢ではない、何事も行動に移さないと叶わないと思います。俺、いいこと言った!俺のやつ太字になるでしょ?(笑)」
須賀健太×木村達成
――では最後に、改めて本作の見どころアピールをお願いします!
須賀「今の僕達が作れる演劇「ハイキュー!!」の集大成になると思います。今まで以上の熱量で、原作の良さをしっかりと伝えながらも、僕達なりの「ハイキュー!!」というものを再確認しながら、いい作品にできたらと思います。ぜひ、劇場にお越しください」
木村「今回の作品は、何作品も詰め込まれているかのような公演になると思います。1試合で数え切れないほど何人ものドラマがある。前作までの試合は、誰かしら何か問題を抱えていて、それを解消できたから試合に勝てたっていう流れだったけれど、今回は全員で最後の最後までガムシャラに挑んで、全員の力で勝つか負けるかが繰り広げられます。いろんなドラマが詰まっている作品だし、情報量が多い作品なので、見る側のみなさんも頑張って観てください!!」
Profile
須賀健太(すが・けんた)●1994年10月19日生まれ、東京都出身。ホリプロ所属。現在『世界の村で発見!こんなところに日本人』レギュラー出演中(朝日放送)。3月7日スタートのドラマ『嘘なんてひとつもないの』主演(NHK‐BSプレミアム)のほか、2017年初夏公開の映画『ダブルミンツ』、2017年公開の映画『獣道』への出演も決定している。

木村達成(きむら・たつなり)●1993年12月8日生まれ、東京都出身。UTY所属。2012年にミュージカル『テニスの王子様』2ndシーズンで、海堂 薫役で役者デビュー。その後、ライブ・スペクタクル『NARUTO-ナルト-』、舞台『暁のヨナ』、ドラマ『弱虫ペダル』などに出演。
ハイパープロジェクション演劇「ハイキュー!!」″勝者と敗者″
【東京】3月24日(金)〜26日(日)TOKYO DOME CITY HALL
【宮城】3月31日(金)〜4月2日(日)多賀城市民会館 大ホール
【大阪】4月13日(木)〜16日(日)梅田芸術劇場 メインホール
【福岡】4月21日(金)〜23日(日)キャナルシティ劇場
【東京凱旋】4月28日(金)〜5月7日(日)TOKYO DOME CITY HALL
ハイキュー!!
© 古舘春一/集英社・ハイパープロジェクション演劇「ハイキュー!!」製作委員会
「週刊少年ジャンプ」(集英社)にて絶賛連載中の大人気バレーボール漫画「ハイキュー!!」を舞台化した本作。2015年11月の初演、2016年4月の再演″頂の景色″、2016年4月の″烏野、復活!″を上演し、それぞれ連日大盛況の演劇「ハイキュー!!」旋風を各地で巻き起こした。
≪story≫
幼い頃に見た“小さな巨人”に魅せられて、バレーボールを始めた少年・日向翔陽。しかし、憧れの烏野高校排球部に入部した彼を待ち受けていたのは、中学最初で最後の試合で惨敗した天才プレイヤー・影山飛雄の姿だった。最初は反目し合っていた二人だったが、様々な困難を前に少しずつお互いを認め合っていく。 “堕ちた強豪、飛べない烏”と揶揄されるようにまでになっていた烏野高校排球部の部員たちも、日向と影山と一緒に成長し始めた。そして、迎えたインターハイ宮城県予選。二回戦を突破した次なる相手は県内屈指の強豪・青葉城西高校。烏野はどう戦うのか? 試合の行方はいかに!?

公式サイト: http://www.engeki-haikyu.com/spring2017/
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