野本ほたる | インタビュー | Deview-デビュー

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インタビュー「野本ほたる」

2017/07/12

「稽古の間、苦しいことがたくさんあっても、本番のステージに立った瞬間、快感に変わる」

野本ほたる

ファン待望の“セラミュー”最終章、ミュージカル「美少女戦士セーラームーン」-Le Mouvement Final- (ル ムヴマン フィナール)が9月に上演。前作に引き続き、セーラームーン/月野うさぎ役を演じる野本ほたるちゃんに、セラミューへの想い、舞台を諦めない強い気持ちを語ってもらいました。


野本ほたる
ミュージカル「美少女戦士セーラームーン」の最終章、「-Le Mouvement Final-」の公演が9月に決定しました。ファンにとっても思い入れの深い“最後の戦い”に向けて、今はどんな心境ですか?
「早くお稽古に入りたい気持ちでいっぱいです! 前回の舞台が終わってからも、イベントだったりこういう取材だったりと何かしらの形で『セーラームーン』にはずっと関わっていられているんですが、やっぱり舞台公演は特別なので。原作コミックを読むと気持ちが高まりますね。ストーリーには忠実ですが、舞台ならではの演出も満載なので、“私の大好きなこのシーンはどんなふうに再現されるんだろう?”って今からワクワクしています」
そこはファンみんなが楽しみにしてるところですよね。舞台に立っている側として、セラミューならではの魅力はどこにあると思いますか?
「演出も歌も全部ですが、一番近くでキャストを見られる側として思うのは、衣裳がすごく可愛いんですよ。セーラー戦士の衣裳はもちろんなんですが、戦士じゃないときの格好も大好きで。前回の公演では私服衣裳もあって、それぞれのキャラクターらしさがすごく出てて、『普段こんなの着てそう!』って盛り上がっちゃいました」

	野本ほたる
前回公演はセーラー5戦士が高校生になり、キャストが一新した初の公演でもありました。野本さんも前回公演からセーラームーン/月野うさぎを演じていますが、役が決まったときの気持ちはいかがでしたか?
「オーディションを受けて出演が決まったのですが、本当にまさか受かるとは思っていなかったんです。オーディションってわりと、一人ひとり受けることが多いじゃないですか。でもセラミューのオーディションは50人くらいが一緒に受けるので、他のセーラームーン候補の審査を見ることができたんです。その中には『あの子、すごくうさぎちゃんっぽい!』っていう子や、『いいお芝居するなあ』っていう子もたくさんいて、そうするといざ自分の番になったときに、ついつい引っ張られそうになるんですよね。そこで『いやいや、自分らしいお芝居をしなきゃ』って振り切ったりと、自分の中でせめぎ合いがいっぱいあったオーディションでした」
そんな大勢の候補の中で、野本さんが選ばれたわけですが、うさぎと自分の似ているところはありますか?
「そこがちょっと難しくて……。前回の公演はすでにスーパーセーラームーンにパワーアップして、“自分がしっかりしてなきゃ”というセーラームーンとしての使命を受け入れた段階で始まっているんですね。その点については、私もけっこう決断力があるというか、たとえば友だちと遊んでいて『どこ行く?』ってなったときに『じゃあ、あそこに行こう!』って率先して決めるタイプなので、違和感なく役に入っていけたんですが、一方で、うさぎちゃんのような天真爛漫さはあまり自分にはないんです。大笑いしていたと思ったら、突然泣き出したり、楽しいことを見つけてすっ飛んで行ったり、そんな子どもみたいな天性の明るい振る舞いを掴むのにはすごく苦戦しました。アニメとコミックを何度も観て、お稽古を積んで、それだけではまだ足りなくて街中や電車の中でうさぎちゃんっぽい子を見つけると観察をして……。前回の公演でようやく自分の中で一つ掴んだものがあったので、次回はもっと完成度を上げて臨みたいと思っています」

野本ほたる
これだけ人気のある作品とキャラクターだけに、生半可なものは見せられないというプレッシャーもあったのでは?
「そうですね。単純に最初は決めポーズの指に苦労しました。中指と薬指を曲げると一緒に小指まで曲がっちゃって。そこは矯正してできるようになりましたが、髪のなびき方や衣裳のひらめき方など、絵では表現できても生身では再現が難しいこともたくさんあるんですよね。でもみなさんが期待しているのは、コミックやアニメで大好きになったセーラームーンなわけだから、いかにその雰囲気に近づけられるか、家でも鏡を見ながらいろいろと研究しました」
一方で、これまで多くの女優さんが演じてきた役だけに、自分らしいセーラームーンをやろうという気持ちはなかったですか?
「私はもともと地声がわりと低いほうなんです。アニメ化もされていて人気のある作品なので、ファンのみなさんの中には理想のうさぎちゃんの声ってあると思うんです。でもアニメそのままの声は出ないし、無理して高い声を出すと変な違和感が出てしまう。そこは演出家の方から『いろんなムーンがいていいんだよ』っておっしゃっていただいたことも後押しとなって、声は低めでもうさぎちゃんらしいしゃべり方を追求することで、自分のものにしていこうと思いました」
	野本ほたる
セラミューに加え、舞台「けものフレンズ」と人気作への出演が続いていますが、野本さんは小学1年生で児童劇団に入団して今年で20歳。このお仕事を続けていこうと決意した時のことを覚えていますか?
「はい。歌とダンスが大好きで児童劇団に入ってからは毎日が楽しくて、中2で初めて主演舞台をやらせていただいたときに『一生、舞台に立っていたい』と決めました。でも子役からだんだん大人になるにつれて、楽しさだけでなく厳しさや難しさを感じることも増えて、一時期は“この仕事、向いてないのかな”と悩んだこともありましたね」
子役からの脱皮は、小さい頃から仕事をしてきたみなさんが悩むところですが、野本さんはどうやって乗り越えたんですか?
「本当にうまく行かない時期が長かったんです。周りの子たちがどんどんいろんな作品で活躍していくのを見て、“自分はダメだな”って落ち込んだり……。それでもレッスンに行くことだけは辞めなかったです」

野本ほたる
そのモチベーションは、どこから来ていたのでしょうか?
「今、努力している一つ一つのことを、他の誰が認めてくれなくても自分だけは信じてあげるしかないと思ってました。結局、今できないことが一瞬でできるようにはならないんですよね。『継続は力なり』と言いますけど、ひたすら練習するしかない。それがいざ役をいただいたときに一番のエネルギーになるんだってことに、セラミューの舞台に立って改めて思いました。今までやってきたことは無駄じゃなかったんだって」
苦しさや厳しさも十分に知った上で、それでも続けている役者の魅力ってどんなものなんですか?
「舞台ってステージに立っている時間より、稽古のほうが断然長いんですよ。稽古の間は辛くて苦しいことがたくさんあって。なのに、本番のステージに立った途端、苦しんだことすべてが快感に変わるんです。その感覚って、本当に魔法にかかったみたいなんですよ。あの快感は本当に中毒みたいなもので、一つ作品が終わると“また舞台に立ちたい!”って思うんです」

インタビュー・終
撮影/大槻志穂 取材・文/児玉澄子 ヘアメイク/伊熊美砂

Profile

野本ほたる
のもと・ほたる●2月20日生まれ、東京都出身。砂岡事務所所属。小1で劇団ひまわりに入団し、その後ドラマや映画、舞台等、様々なジャンルで活動。2016年10月・11月に上演されたミュージカル「美少女戦士セーラームーン」-Amour Eternal-で、セーラームーン/月野うさぎ役で出演。2018年1月に上演される舞台「けものフレンズ」再演に引き続き出演することが決定。

INFORMATION

美少女戦士セーラームーン

ミュージカル「美少女戦士セーラームーン」-Le Mouvement Final- (ル ムヴマン フィナール)

【東京公演】9月8日(金)〜18日(月・祝)AiiA 2.5 Theater Tokyo
【愛知公演】9月23日(土・祝)・24日(日)アイプラザ豊橋
【大阪公演】9月29日(金)〜10月1日(日)梅田芸術劇場 シアター・ドラマシティ

美少女戦士セーラームーンプロジェクトとして、2013年から上演され、好評を博しているミュージカル「美少女戦士セーラームーン」(セラミュー)が、ついに最終章を迎える。
≪story≫
衛のアメリカ留学のため、空港へ見送りに来ていたうさぎだったが、何者かに衛の身体を粉々にされてしまう。ショックでうさぎは記憶を失い倒れてしまうが、それを受け止めたのはスーパーアイドル、スリーライツのメンバーだった。 その日は、スリーライツが出演する音楽祭の当日。うさぎたちも出演予定だったが、そこで新たな敵に襲われる。「シャドウ・ギャラクティカ」と名乗る敵集団は、セーラークリスタルを狙うセーラー戦士だった! さらに、謎の少女ちびちび、そして新たなセーラー戦士、セーラースターライツも現れ、今までにない壮絶な戦いへと突き進んでいく。 セーラー戦士VS.セーラー戦士!まさにセーラームーン“最終章”にふさわしい、銀河の未来をかけた壮大な戦いが、今、始まる!!

©武内直子・PNP/ミュージカル「美少女戦士セーラームーン」製作委員会2017

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