乃木坂46のメンバーとして活躍する一方、女優として舞台やドラマに出演し、『JJ』専属モデルとしても活躍中の樋口日奈。4月に上演される宅間孝行主宰の「タクフェス春のコメディ祭！」シリーズ第3弾『仏の顔も笑うまで』では、ヒロインに抜擢。宅間演じる“ふくちゃん”が恋する相手“はな”役で本格コメディに挑む彼女に、本作への意気込み、演じる役柄について、お芝居の楽しさ・魅力についてなどを聞いた。

――タクフェス初参加となる樋口さん。まずは、出演が決まった際の想いを教えてください。

「以前からタクフェスの存在は知っていましたし、毎回ポスタービジュアルとかをみていて、レトロな感じというか、映画のようなビジュアルで素敵だなと思っていて、いつか出てみたいなという想いがありました。なので、今回出演させていただくことが決まったときはすごく嬉しかったです。ただ、タクフェスとはいえ、いつもの笑いあり涙ありの切ないお話ではなく、『春のコメディ祭！』ということで、ノンストップコメディなので、いざ出られるとなってからは不安も出てきて、嬉しい気持ちだけじゃない緊張がありました。私自身、本格コメディは初挑戦ですし、まだまだ女優としては未熟なので、“ちゃんとお客さんを楽しませることができるかな？”というプレッシャーを感じて。でも、共演者にダチョウ倶楽部の肥後（克広）さんやモト冬樹さんなど、お笑い芸人でもある大先輩方もいらっしゃるので、きっと稽古場では勉強になることがいっぱいあるんだろうなとも思いますし、どんな作品になるんだろうっていう楽しみもあります」

――いろんなジャンルで活躍されている方々が集結した、バラエティに富んだキャスト陣ですよね。

「そうなんです。今回はいろんな場所で活躍されている方々とご一緒させていただくので、稽古場では自分がスポンジになったつもりで臨んで、全部吸収していきたいなと思っています。たぶん、稽古中、絶対に1回は壁にぶつかる日がくると思うんです。なので、周りの先輩方に教えていただいたり、みなさんの姿を見たりして、スポンジのようにいろいろなことを吸収して、自分でその壁を越えていかないといけないなと思っています」

――16年ぶりに再演される本作ですが、現段階ではどんな印象を抱いていますか？

「観始めたらあっという間に終わってしまったというような、とても勢いのある作品だなというのが一番の印象です。勘違いと勘違いがどんどん重なっていくドタバタコメディなのですが、作品の資料の言葉を借りると、まさに“ジェットコースター・コメディ”で、ノンストップでどんどん進んでいくのが面白いなと思いました。でも、実際そこの世界で生きている登場人物たちは、自分が信じたことをまっすぐにやっているだけなので、“コメディ作品だから笑いをとらなきゃ！”と考えすぎず、素直に一生懸命に”はなちゃん“を演じたら、きっと観てくださる方にも面白いって思ってもらえるのかなと。登場人物みんなが、一生懸命で本気で進んでいく物語だなと思いました」

――演じる「町田はな」に対してのイメージは？

「はなちゃんは、この作品のヒロインなのですが、コメディ作品のヒロインって、これまで演じてきたようなヒロインとはちょっと違う立場を担うことがあるのかなと感じています。まだ今回の台本をいただいてないので、役を深めていくのはこれからになると思いますが、一生懸命まっすぐに、そして純粋にというのは心がけて演じていきたいです」

――そのまっすぐさや一生懸命さが、コメディ作品場合は結果として笑いにつながっていきますもんね。

「実は私自身、コメディ作品はできない人間だと思っていたんです。私は大人しいタイプだと自分で思っていたので、きっとコメディは無理だろうなと。乃木坂46のメンバーでもそうなんですが、いるだけで面白かったり、ちょっと動くだけで笑いが起きたりっていうような面白い子に対して、うらやましいなとずっと思っていたんです。でも、宅間さんをはじめとする先輩方が、『とにかく「タクフェス」はキャストが一生懸命やっている姿がいい』というお話をされていて、一生懸命さに関しては誰にも負けない！と思っているので、それをはなちゃんに重ねて、一生懸命素直に頑張っていろいろなことに対応していきたいなと思います」

――本作の作・演でもあり、“はな”に一目ぼれする“ふくちゃん”を演じる宅間さんについては、どんな印象をお持ちですか？

「実はこの取材の前に、宅間さんと肥後さん、モト冬樹さんと対談させていただいたんですが、宅間さんに『周りから僕のこと怖いって聞いたでしょ？』と聞かれて、私は正直に『はい』って答えました（笑）。周りの人から、お芝居にとても熱い方で、厳しいお言葉も頂くというのは聞いていたので、不安な気持ちがないと言ったらウソになるし、怖いなという気持ちもあるんですが、先に宅間さんのほうからそういう風に言ってくださったので、緊張がほぐれました。モト冬樹さんも『確かに（宅間のことを）怖いって感じる子もいるかもしれないけど、お芝居が本当に好きで、お芝居に熱い子は怖いって思わないと思う』と言ってくださって。みなさんといろいろとお話をさせていただいて、私がイメージしていた“怖い”というのではなく、愛を持って接してくださる方だなと思いました。なので、今は不安な気持ちもありますが、楽しみです。厳しいことを言ってもらえる機会もなかなかないですし、お芝居に対してもう1個違う見方ができるくらい成長したいなとも思いますし、私にとって何かきっかけになる作品になるんじゃいかな、というワクワク感があります」

――乃木坂46としての活動をはじめ、女優やモデルなど、様々なジャンルで活躍されていますが、お芝居への興味や憧れみたいなものは最初からあったんですか？

「乃木坂46として活動してからですね。この世界に入ったのは、ダンスを習っていたときに、『乃木坂46の1期生オーディションを受けてみたら？』と勧められたことがきっかけで、オーディションを受けて。当時は、“芸能界って楽しそう、自分も入ってみたい”というような漠然とした憧れだったんです。そんななかで、乃木坂46としていろいろな活動をやらせていただいて、舞台を観に行ったり、舞台やドラマなどに出演させてていただく機会をいただいて、それを重ねていくことで、芝居の楽しさに気づいて、好きになっていきました」