佐藤永典×原嶋元久 | インタビュー | Deview-デビュー

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インタビュー「佐藤永典×原嶋元久」

2015/11/25

「原嶋くんは“極度の人見知り”で、“ストイックな人なんだな”って感じた」

佐藤永典×原嶋元久

12月11日より上演される、わかぎゑふ脚本・演出のゴシックホラーの名作・舞台「夜の姉妹」。19世紀ドイツに存在したバーデン大公国に起きたとてつもない悲劇を、物語はそのままで、男優と女優の配役をそっくり入れ替えた男女完全入替劇に挑む2人に直撃インタビュー! 舞台への意気込みを語ってもらった。



佐藤永典×原嶋元久
今回、お二人は初共演になるんですよね?
佐藤永典「今日の取材が“二度目まして”です」
原嶋元久「そうですね。でも初対面より以前に、出演されている舞台は拝見させていただいてます」
佐藤「僕も舞台で観させてもらってますね」
舞台上でのお互いの印象は?
佐藤「“器用そうだなぁ”というのが役者としての最初の印象です」
原嶋「いやいやいや(照れ)。僕は逆で、“どんな役者さんなのかがわからないな”って感じました。いろいろな作品に出演されているので……。直近で言えば、「【第二章】學蘭歌劇『帝一の國』−決戦のマイムマイム−」を拝見したんですが、実際にどんな役者さんなんだろうって……」
佐藤「『帝一の國』でやった役は女性的な役柄だったし、それを観たら……そうだよね(苦笑)。ほかの舞台でもいろんな役をやっているし」
原嶋「そうなんです。だからすごく謎でした。いろんな作品でお見かけしていたので、とても幅広く演じられる役者さんなんだなと」
佐藤「実は共通の友だちに、原嶋くんがどんな人なのか、ちょっと聞いたりもしたんです。すると『真面目だよ』って返ってくることがすごく多くて。でも今となっては、“極度の人見知り”で、“ストイックな人なんだな”って思っています」
佐藤永典

佐藤永典

そんなお二人が共演する、舞台「夜の姉妹」。作品の印象はどんな風に捉えましたか?
原嶋「見えないところでいろんなことが動いている、そんな物語だな……と感じました」
佐藤「最後まで観ていただくと、“怖いな”と思ったり、“悲しいな”と思ったり、様々な想いが、見てくださる方の中に湧いてくる作品だなという印象です。実際、僕らがその物語を完成させたときに、“どんな風にお客さん届くのか”が楽しみです。名作ゴシックホラーと銘打たれているだけに、ゾワッとするものになるのか、最後の最後に何か温かなものを感じられるのか、とか」
原嶋「受け取り手にもよりますよね。僕は台本を読みながら、この物語をホラーとは思わなかったんです。“美しい一つの形だな”とも感じましたし。ゴシックホラーというだけに、確かにホラー的な要素も入ってはいるんですけど、ただひと言で括ってしまうのではない物語だと感じました。世界観は少し怖いけど。「夜の姉妹」というくらいですし……」
19世紀のヨーロッパが舞台となっていますが、この世界観についてどんなイメージを持っていますか?
原嶋「まず僕自身は、“女の人を演じる”というインパクトが強いので、まだそのころの時代背景はイメージをしていなかったなってことに今、気が付きました(苦笑)。ただやっぱり、その時代を舞台にしている映画とかの作品を観て、とにかく頭の中でその世界観を想像できるようにしないといけないなと思っています。当時の政治的な問題も、物語には出てきますし、そういった背景も知りたいです」
佐藤「僕もまだわからないことは多いです。そもそも、当時のヨーロッパで暮らす人たちと、現代の僕たちとでは価値観が全然違う。なので、そういう価値観を調べた上で演じれば、役の背景や肉付けもできると思います。自分が演じるとどう伝わるか興味深いですね」
原嶋元久

原嶋元久

本作は、“男性が女性役を、女性が男性役を演じる”という男女完全入替劇でもありますが、お二人は女性役を演じることについてはいかがですか?
佐藤「僕は女装をしたり、女性を演じたことも経験はあるんですが、みなさんがどんな風になるのかが全然わからないので、それを見るのも楽しみなんです。仕草とか、どう表現するのかなと思って」
原嶋「以前、女形をやっていらっしゃる方と共演をしたんですけど、窮屈なくらいに肩をさげて、腰を落として、女性としての動きを表現していらして。形で見せるもの、表現できるものもあるんだろうなって感じたんです。でもそれは日本舞踊で和モノだったので、ヨーロッパの話である今回とは違い、それを自分の中でどう表現していくか、改めて考えていかないといけないなって思います。女の子らしさをどう出すか……」
佐藤「スカートとかもあるしね。動きや佇まいで見せるのは大事だったりするよね。新鮮な気持ちにもなります」
役者でなければ、女性を演じるという機会はないですよね。その『役者』というお仕事のなかで、お二人が転機になったお仕事や出会いを教えてください。
佐藤「僕は、芝居が楽しいと感じるようになったのは2011年の『遠ざかるネバーランド』という舞台です。村井良太くん主演の作品だったですが、その舞台の演出の北澤秀人さんとの出会いで、色んなことを教えていただいたんです。初めて、緊張したり、震えたり、様々な感情が生まれて。ほかにもたくさんの出会いや転機になった舞台はあるんですが、初めて、芝居を面白いと感じられた作品だった。それまでの自分は、とにかく必死で、面白いと感じる余裕がなかったんですよね」
原嶋「僕は今やっている舞台(音楽劇「Sleeping Beauties〜夢をあやつるマブの女王」11月1日まで公演)で、作・演出をされている石丸さち子さんとの出会いです。以前、共演した方に石丸さち子さんのワークショップでの経験のお話を聞いたことがあって。それがきっかけで、僕自身も石丸さんのワークショップに参加したんです。最初、与えられた3行の台詞さえ言わせてもらえなかったくらい、本当に厳しかったんです。でも、ストイックに精神的にも肉体的にも追い込まれていく中で、石丸さんの愛とムチの宝箱みたいなワークショップを体験できた。僕の中でその方と出会ったことは転機でした。作品としては美内すずえ×ガラスの仮面劇場「女海賊ビアンカ」も転機になった作品の一つです。素晴らしい共演者のみなさんとの出会いや“自分に負けたくない”という想いや学びもたくさんあった作品です。2年前、20歳のときに出演して、今年の再演にも出演したこの作品も、役者としての自分にたくさんのヒントをくれました」

佐藤永典×原嶋元久
では役者の楽しさ、舞台の魅力を教えてください。
原嶋「稽古中は辛くてすごく悩んだりもするんですが、舞台上の自分を評価してくれるお客さんからの拍手を貰うと、やってよかったと思うんです。お客さんの前に立つこと。それが魅力だと思います」
佐藤「楽しくないことが続くのに、それでも楽しいんです。観に来てもらうことで本当にパワーをいただけるので、それを感じるために舞台に上がってる気がします。もちろんお芝居にもパワーがある。そこで放つものがお客さんにもダイレクトにぶつかっていく感覚がある。お芝居って、すごいって思います。しかもまだ知らないこともたくさんあって。それを知るためにも、様々な作品に出会っていきたいと思うのが芝居の世界。だから僕も、まだまだ役者を突き詰めていきたいです」
「夜の姉妹」もきっと、そんな魅力を深める作品になるんでしょうね。
佐藤「そう思います。きっと素敵な現場になると思います」
原嶋「楽しみです」

佐藤永典×原嶋元久
では最後に、雑誌『デ☆ビュー』読んでくださっていた先輩にあたるお二人から、デビューを目指す『Deview』ユーザーへメッセージをお願いします!
佐藤「正直、ライバルはもういらないよね」
原嶋「えっ!……(爆笑)」
佐藤「いや、冗談です(笑)。僕自身も、『デ☆ビュー』を読んで、いろいろなことを調べたり、実践したり、先輩たちのインタビューを読んだりしていたので、こういった場所から学んだり吸収するのも大切だと思います。あとは将来的に共演することがあれば、ぜひよろしくお願いします!」
原嶋「僕は『デ☆ビュー』を買って、応募したことがきっかけで役者デビューに繋がったので、自分を信じて挑戦するしかないと思います。あとは時間があるうちに習い事をいろいろとしたり、レッスンを受けたりした方がのちのちに活きてくるので、挑戦してみて欲しいですね」
佐藤「“やっておけばよかった”と思わないように、いろいろと挑戦するのはいいね! ぜひ実践してもらいたいですね」

インタビュー・終
撮影/宮坂浩見 取材・文/えびさわなち ヘアメイク/伊熊美砂

Profile

佐藤永典
さとう・ひさのり●1990年2月14日生まれ、埼玉県出身。スターダストプロモーション所属。おもな出演作は、『少年探偵団』主演、舞台『ライチ☆光クラブ』、ロック☆オペラ サイケデリック・ペイン、第二章 學蘭歌劇『帝一の國』−決戦のマイムマイム−など、舞台を中心に数多くの作品に出演。

原嶋元久
はらしま・もとひさ●1993年1月1日生まれ、東京都出身。アプレ所属。主な出演作に、『ママと僕たち』、舞台『激動-GEKIDO-』、美内すずえ×ガラスの仮面劇場「女海賊ビアンカ」、音楽劇「Sleeping Beauties〜夢をあやつるマブの女王〜」など、舞台を中心に数多くの作品に出演。

INFORMATION

『夜の姉妹』

舞台「夜の姉妹」
≪東京公演≫12月11日(金)〜20日(日)品川プリンス クラブeX
≪大阪公演≫12月23日(水・祝)〜27日(日)近鉄アート館

劇団リリパットアーミーU20周年記念の際に上演された、劇作家・演出家であるわかぎゑふが作り上げた名作ゴシックホラー。19世紀ドイツに存在したバーデン大公国に起こった悲劇を、物語はそのままで、男優と女優の配役をそっくり入れ替えた男女完全入替劇。 物語の舞台は、19世紀初頭のドイツ・バーデン大公国。そこへフランスからオペラ「椿姫」を書いたアレクサンドル・デュマ(山本裕典)という女流作家がやってくる。そこでバーデン大公国の皇太子・ラインハルト(彩乃かなみ)に出会い、やがて親友になっていく。ラインハルトは恋人のローザ(平野 良)との結婚を両親から反対されていた。王妃と大公はラインハルトを跡取りにしたくないという動きもあり……。皇太子の身に起きたとてつもない血の悲劇。巻き込まれた女流作家・デュマがこの謎に挑む。

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