永瀬 匡 | インタビュー | Deview-デビュー

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インタビュー「永瀬 匡」

2015/04/30

「(主演)は役者をやるならば通りたい道だったし、通らなきゃいけない道でもあると思っていたから嬉しかった」

永瀬 匡

人気作家・板谷ゲッツ氏の不良高校時代を赤裸々に描いた『メタボロ』『ズタボロ』が、映画『ズタボロ』として誕生。『仮面ライダーウィザード』などで注目を集める若手俳優・永瀬匡くんが、主人公・板谷コーイチを熱演!! 映画初主演を務め、ゴリゴリの正統派な不良を体当たりで演じた永瀬くんを直撃インタビュー!

永瀬匡
演じる板谷コーイチは、どんな人物ですか?
「地元の暴走族に属している高校生で、親友の仇討ちのためヤクザの世界に足を踏み入れようとするんだけどそれが正しい判断か悩み、やがて自分にとって本当に大切なものは何かを見つけて戦っていく……という人です。自分も田舎から出てきて事務所に所属して『仮面ライダー ウィザード』(テレ朝系)などに出させてもらって、今回初めての主演もやらせてもらったので、そういう劇的な環境の変化や勝負をする生き方などはコーイチとリンクする部分があるのかなと思います」
初主演が決まった瞬間はどんな気持ちでした?
「もちろん嬉しかったですね。役者をやるならば通りたい道だったし、通らなきゃいけない道でもあると思っていたし。それに“いつか主演をやれるとしたらどんな内容がいいだろう”、“好きな部分もあるし嫌いな部分もあるけどそいつと一緒にいたい”っていう、なんか人間らしい部分が伝えられる作品がいいなっていう想いが自分の中にあったんです。それがこの『ズタボロ』という作品にとても近いものだったので、すごく嬉しかったです」
プレッシャーは無かったんですか?
「撮影に入る前のプレッシャーというよりは、入った後に“あ、こういうプレッシャーがあるんだな”と気付かされたことのほうが多かったです。例えば、自分の気持ちや言葉ひとつで現場の空気が変わることもある……ということだとか。それは経験してみないと分からないことでしたね。その中でスタッフさんたちが常に現場を盛り上げてくださったから、やっぱり自分ひとりだけが気を張っていても何もできないなって思いました。そういう周りの人間に支えられているという部分も僕とコーイチは似ているなって感じました」

永瀬匡
コーイチもまたなぜか放っておけない、と思わせられる人柄ですもんね。
「そうなんですよね。原作者でコーイチ本人でもあるゲッツ板谷さんがよく撮影現場に来てくださったんですけど、ゲッツさん自身も本当にいろんな人と関わって生きてきた方で、それこそが魅力なんだなって感じました。映画にも出てくるコーイチの中学の同級生・キャームのモデルになった方も一緒に来たりして、本当に仲間が好きな人なんだな、カッコイイなって思いました」
ご本人もいらっしゃる中でコーイチを演じるのは、どんな気持ちだったんですか?
「台本を読んで役を作るよりもご本人を直接見て学んだほうがいいなって(笑)。もちろん台本を通して感じることもたくさんあったんですけど、今回は現場で直接感じることの方がすごく多かった気がします。あくまでも俺の中での感覚ですけど、監督は“自分いま、怖いって顔をしてますよ”っていうパフォーマンスの演技が好きじゃない方なのではないかと思ったんですよ。だからできるだけ事前に気持ちを作っていくのではなく、その場でシーンに合う感情になれるようにしようと心掛けました。例えば“怖い”っていう顔だったら相手役の方のどこに怖さを感じようかって探すとか。さっきまで笑顔だったのに本番になった途端に表情が変わる、その役者としての怖さに恐怖を感じることもあったし。そうやって現場で本当の感情を探すやり方の方が生々しくなるかなって」
じゃあ、その場で自分のいろんな感情が掘り出されていったんですね。
「そうですね、自分で顔を作っていないから“あ、俺って恐怖を感じるとこんな顔になるんだ”っていう発見も多かったです。本当の感情に近すぎて、どちらかというと少しドッキリ動画を撮られている感覚に近かったです(笑)」

永瀬匡
そうした自分の感情がいちばん出たなと思うシーンはどこですか?
「電話を使って叫びながら自分自身に問い掛けるシーンがあるんですけど、そこですかね。あそこはもしかしたら一度見ただけではコーイチが何を叫んでいるのか分からない方も多いかもしれないです。あのシーンは、お芝居の中でセリフをちゃんと言うというよりも“俺は何をやってんだ!”っていう自分へのパンチを手当たり次第に振り回さないと本当の感情が伝わらないだろうなと思って、演じるというよりは感情を全部ぶつけました。そうしたら監督が『いやぁ、あそこはカットを掛けられなかったよ』って言ってくださって。そんなことを言われたのが初めてだったので嬉しかったし、監督が求めているものがわかった気がしたんです。同時に“あぁ、本当にこの現場では嘘ついたらバレるな”ってこともはっきり分かった瞬間でした」
ケンカシーンも作品の要となる部分ですが、すごくリアルに描かれていますよね?
「『仮面ライダーウィザード』のときとは全く違うアクションだったので新鮮でした。今回は“痛み”をよりリアルに伝えなきゃいけない。でも、あくまでも“振り”なので直接当たったりしちゃダメなんですよね。じゃあどうやって本当の感情を出したらいいか……と思ったときに実行したのが、殴られた後にあえて受け身を取らないっていう方法。それって実際に痛いじゃないですか。だから『お前のせいでヒジが痛いんだけど』っていう痛みをガソリンにしてやり返す……とか(笑)。本番中に教えてもらったアクションの振りを間違えることもしょっちゅうありました。でもそれがそのまま成立してしまうんですよね。それほどにみんな集中しているし、カメラマンさんもカメラを手にずっと追い掛けてくださっているし。そこからも“決して綺麗に見せたいわけじゃない、生々しい人間の姿を見せたいんだ”っていう監督の意志が伝わってきましたね。すごく楽しかったし勉強になりました」
『Deview/デビュー』を観ている人の中には、たくさんのオーディションに挑戦して、それこそ“ズタボロ”な気持ちになっている方もいると思います。そういう人へ永瀬さんからアドバイスを贈るとしたら?
「挑戦し続けることじゃないでしょうか。例えばオーディションが受かるまでオーディションを受け続ければいいと思うし、知り合いをつたってコネクションを作ってもいいし。本当になりたいんだったらどんな手段でも使えばいいと思います。まずはそこまで自分が行動できているか?ってことだと思うんです」

永瀬匡
ちゃんと自分自身の努力が足りているのか自問自答した方がいいと。
「『あ〜また落ちた』って凹むんじゃなくて、何で落ちたのかを考える。……まぁでもね、人のことだからそう言えるんですよね。自分も『なんで俺を使わねぇんだ!』って思うだけで終わってしまうことが多いです(笑)」
永瀬さん自身はそうして落ち込んだとき、どうするんですか?
「飲みます!(笑)。 で、近くの人に『大丈夫。大丈夫。向こうが見る目ないんだよ』って慰めてもらう。ダメなヤツですねぇ(笑)」
でもそういう身近な人に吐き出すことも大事ですよね。
「そうですね! 何があっても応援してくれる人って周りに絶対いるし、そういう人から言われる指摘にこそ心にガツン!と来ることがあると思うし。何に対してもまずはちょっと敏感になれたらいいのかなって思いますね。で、最終的には『使えるものは使え!』ってことで(笑)」

インタビュー・終
撮影/草刈雅之 取材・文/松木智恵

Profile

永瀬 匡
ながせ・たすく●1993年1月22日生まれ、鳥取県出身。研音所属。ドラマ『心がポキッとね』(フジ系)に出演中。9月12日公開の映画『天空の蜂』に出演。

INFORMATION

ズタボロ

(C)2015 東映ビデオ

映画『ズタボロ』
5月9日(土)より全国ロードショー

不良として幅を利かせていたコーイチ(永瀬 匡)、ヤッコ(荒井敦史)、キャーム(中西 晶)の3人は中学卒業後、地元の暴走族“立川獄門”に入門。だがその集会で待っていたのは先輩たちからの理不尽な暴力だった。やがてコーイチは高校で植木(堀井新太)や鬼(成田瑛基)に出会い、集会から遠ざかるように。必然的に暴力を受けることになったヤッコは精神的に追い込まれ、精神を病み引きこもってしまう。親友の変わり果てた姿を目の当たりにしたコーイチは、“立川獄門”に復讐するため、ヤクザの叔父・猛身の舎弟になることを決意するが――。怒り、悲しみ、恐怖、孤独……全ての感情と己にケリを付けるべく、“コーイチ”という一人の男の戦いが始まる!!

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