友情やいろんな出会い、こうして親の元に生まれたこと、すべてが“赤い糸”

Ｑ　デビュー当時は戸惑うことも多かったのでは？

「それまで演技経験はもちろん、レッスンすら受けた経験もほとんどない状況でのデビューだったので緊張しました。初仕事は、映画『フラガール』の李相日監督が撮影するＣＭだったんです。3日間、監督に集中レッスンをしていただきました。リラックスするために漫才を取り入れたり、テレビの映像を見てマネをしたりとか、結構独創的なレッスンでした。とにかく緊張したけど、雨のシーンを撮影したとき、本当の雨の中で撮影するものだと思っていたら、そうではなかったことにビックリしたことを覚えています(笑)」

Ｑ　初ドラマ『失踪HOLIDAY』(テレビ朝日系)でいきなりの主演デビュー。プレッシャーは？

「まだ右も左も分からない状況だった中で、いきなり主演というお話をいただいたのでビックリしました。とにかく入り時間までに現場に入るとか、当たり前のことですけど自分のできることを一つずつこなしていく毎日でした。クランクアップの日に、共演の戸田菜穂さんから“頑張って”と書かれた手紙とキーホルダーをいただいたことがとてもうれしくて思い出に残っています。すぐお母さんに電話しちゃいました」

Ｑ　デビューしてから成長したと感じる部分は？

「近くに親せきもいない環境の中、一人で上京して“わたし、一人ぼっち”みたいに思ってホームシックになった時期もありました。実際に制作の裏側を見たら、朝早くから撮影したり大変なことも多くて、つらくて帰りたいと思ってしまって……。でも、今はお仕事も面白くなってきたし、それに高校では同じ芸能界で頑張っている友達もいて楽しい、はじけてます!(笑)。それから以前は人見知りもあって全然話せなかったけど、取材でも少しずつですが自分の思いを伝えられるようになってきたことは成長できたかなと思います」

寒いのでストーブの前で
台本の最終確認

Ｑ　杏奈ちゃんのマイブームを教えて！

「DVD鑑賞。よく洋画を観ています。感情表現がすごい苦手で、お母さんに“海外の俳優さんは感情を大きく表現するから、参考にしてみなさい”と言われたのがきっかけです。最近は『The OC』にハマッています。携帯の待ち受けにもしているんですけど、ミーシャ・バートンが大好きで“カワイ過ぎる！　彼女の演技が見てみたい”と思って観たら、面白過ぎて一気に観てしまいました。英会話の勉強にもなっています」

Ｑ　杏奈ちゃんにとっての憧れの人は？

「目標は綾瀬はるかさん！　かわいらしい演技でほんわかとした雰囲気が大好きです。上京したばかりのころ、電器店で買った重いHDDレコーダーをお母さんと下を向きながら寮の建物まで運んでいたら、そこに綾瀬さんがいらして超テンションが上がりました(笑)。私は緊張しすぎて何も話せなかったんですけど、“頑張って”と声をかけていただいてうれしかったです。その後、綾瀬さん主演の『ホタルノヒカリ』(日本テレビ系)と、私が出演していた『受験の神様』(同系)の撮影スタジオが隣同士だったことがあって、現場でお会いできるのが楽しみでした。いつか共演してみたいです。姉妹役ですか？　夢のようです(笑)」

Ｑ　09年は『赤い糸』のほかにも『銭ゲバ』(日本テレビ系)の出演が決定。充実した1年になりそうだね！

「『銭ゲバ』は台本の1話を読んだだけでも、今後への伏線がいろいろとあって早く次が読みたくなる作品なんです。松山ケンイチさんと共演できることにもドキドキしています。09年は、たくさん笑って楽しい1年にしたいんです。“赤い糸”って、男女の関係だけでなく友情やいろんな出会い、そして自分がこうして親の元に生まれてきたこと……すべてが“赤い糸”でつながっていると思うんです。そんな運命の出会いや挑戦に触れることができる1年になればいいなと思います」

Text／樋口俊介(日刊編集センター)

いしばしあんな●1992年7月12日生まれ、福岡県出身。2006年、第31回ホリプロタレントスカウトキャラバンでグランプリを受賞し芸能界デビュー。『SEVENTEEN』(集英社刊)の専属モデルを務めるかたわら、2008年は3本の連続ドラマに出演、初主演映画『きみの友だち』で第30回ヨコハマ映画祭最優秀新人賞を受賞。現在出演中のドラマ『赤い糸』(フジテレビ系毎週土曜夜11時10分)は映画も公開中で、もうひとつの出演ドラマ『銭ゲバ』(日本テレビ系毎週土曜夜9時)が2009年1月17日スタート。（ホリプロ所属）