――「真改」シリーズがスタートして以降、ずっと土方歳三を演じられている久保田さんですが、「薄ミュ」シリーズにおいての土方歳三という人物に関しては、どのようなキャラクターだと捉えていますか？

久保田秀敏「この作品に参加するまで、土方歳三という人物を深堀りしたことはなくて。お名前を聞いて、堅い人間だけど脆いところもあって、恋多き人間でもあるっていう史実の表面的な情報しか知りませんでした。でも、この作品を通じて、土方歳三像を深堀りしていく中で、時代を変えてやろうというような熱い想いを持っていた人なんだなと。もともと土方は武士の生まれではなく、農民の生まれだったけど、この国を変えてやろうという志があって、そういう熱い想いを持てば持つほど周りにも同じ想いを持った仲間たちが集まっていく。それって今の時代も同じことじゃないですか。僕らも普通に生活をしていて、もっとこうしたほうがいいんじゃないかなっていうことってたくさんあるし、それを思っているだけではなくて、声に出して、行動に移すことによって自然と１つの個体から集合体になって、どんどん大きく変化していって、いずれ何かをひっくり返すことができるかもしれない。そういった想いは今も昔も変わらないものがあるなと」

久保田秀敏「もちろん、現代に生きる僕らよりもこの時代の人たちのほうがよりすごいことを考えていたんだろうし、そういった内面的なことも役を深堀りしていく中でどんどん見えてきました。当時、新選組としては新政府軍と対立していたわけですが、新政府軍の人たちも自分たちの信念のもと、新しい考えがあって日本を導こうとしていて。でも、今までやってきたことが全部悪かったかといえばそうでもないし、良い部分もいっぱいあるんだという、その信念を貫き通した新選組隊士たちの行動というのは、150年以上経った今もなお語り継がれるようなことをしてきたんだなと。今考えると想像もつかないことですが、それぐらいの想いを持って行動してきた人たちなんだと知れば知るほど、僕は新選組、そして『薄桜鬼』の虜になっています。それこそ、土方歳三の生き様に触れて、その人物の虜になりましたし、こういう人間になりたいなと思いました」

――そんな土方歳三を演じる上で、こだわっている部分というのは？

久保田秀敏「こだわりかどうかはわかりませんが、僕がカッコイイなと思う人物像が、まさしく土方歳三をはじめとした新選組隊士の生き様で。男として憧れる部分でもありますし、もちろん、キレイなことばかりをやってきた人たちじゃないというのも理解していますし、時には人を斬り殺してきたとは思いますが、何かを変えてやろう、絶対に成し遂げて見せるという、自分たちの正義、“誠”を貫き通す熱い部分は、自分としても人間として尊敬できる部分でもあるなと。そういう心の揺れ動く様を、僕ら役者たちが丁寧にくみ取って演じていくというのが一番大事になってくるのかなと思います」