インタビュー「加藤大悟」

――歌から入ったけれど、今はミュージカルも含めて俳優の仕事がすごく充実していますね。

「俳優には、特に興味は向いていなかったんですけど、あるとき、舞台『ヒプノシスマイク-Division Rap Battle-』のオーディションがあると知らされて。ラップや歌の舞台だから、これはやってみたいかも！って思って受けたら、本当に奇跡的にオーディションに合格できたんです。しかも四十物十四っていう、ビジュアル系ミュージシャンで、歌がメインというキャラクターの役がもらえた。僕と同じ名古屋出身、ナゴヤ・ディビジョンなんて、すごい巡り合わせで役者の仕事をスタートさせることができたんです。そこからだんだんと、役を演じることが好きになりました。お芝居方面を頑張ることで、歌にも引き出しが増えて、表現力も広がるんだなと。何でも繋がっているんだってことを実感しましたし、楽しいなって思いました」

――オーディション受ける時は心構えって、何かありましたか？

「審査されるのって怖いですよね。高校生のときに、推薦でグループディスカッションみたいなことをやったんですけど、その50倍緊張しました。グループディスカッションは同世代の子とだけど、オーディションの参加者は年代がバラバラですからね。僕は順番に関しては最初のほうより最後のほうが好きです。みなさんの良いところを見て、自分に繋げていくタイプだったので。最初だったとしたら、とにかく自分を忘れて、捨ててやるのが一番いいのかなと。見られるとか、もう関係ないです。とにかく自分やれることをやれる。あとは挨拶とか、基本的な礼儀とかはしっかりした方がいいかな、と思います」

――もうすぐ、映画初主演作となる『タクミくんシリーズ　長い長い物語の始まりの朝。』が公開になります。主演として決まったときは、どんなお気持ちでしたか？

「やっぱり不安だったり緊張だったり、ドキドキはずっとつきまとっていました。それまで、どの現場も自分が一番年下で、先輩たちにいろいろお世話になっていたんですが、今回は自分より年下の方々も多い現場だったので、“自分もしっかりしないと……”という責任感を強く持って撮影に臨もうと思っていました。タクミくんシリーズは長く愛されている作品ですから、イメージを壊さないようにというのは常に意識していましたね」

――特に注目してほしい見どころは!?

「僕が演じた崎義一、ギイに関しては、葉山託生と出会ってからの感情の変化や、彼への思いがどんどん強くなっていって、でもそこを表に出せなくて悲しくなっちゃっているギイの可愛らしい部分を見つけていただけたらなと思います。あと、ソロとして初めて作詞させていただいた『０％（ゼロ）』という、僕が歌う主題歌もエンディングで流れるので、こちらもしっかり聴いていただけたらと！ この楽曲は『タクミくんシリーズ〜』への出演が決まる前に作詞していた曲で、ライブに来てくださった監督が、あとからこの楽曲を選んでくださったんです。初主演と初作詞曲が映画で流れるという、僕としても記念になる作品ですので、多くの人に観てもらえたら、とても嬉しいです」

――最後に、デビューを目指している人に、アドバイスをお願いします。

「僕が最初の頃にマネージャーさんに言ってもらって、ずっと肝に銘じていることがあるんです。“どんなことでも仕事でも、一生懸命、熱意を持ってやっていれば、誰かが見てくれている”って。そして“初心を忘れるな”と。僕はずっと、これをモットーにしてやっています。参考になるかどうかわかりませんが、とにかく自分にできることを一生懸命やって、機会が訪れたら、全力で向き合う。その繰り返しかなって思います」